「わ、私からも少しだけ…… 言いたいことがあるんですけどぉ、先に日向さんのお話からいきましょうか」
さっきから罪木ちゃんには鋭いことを言われてばっかりだから、そう言われるとなにを突っ込まれるか怖いなあ。
「ああ、十神の襟についていた黄色っぽいシミ…… あれがなんなのか、それぞれの意見を聞かせてくれ」
彼が周りを見渡すとそれぞれが話し始める。
まず口火を切ったのは弐大クンだった。
「無、ただのシミではないんかぁ!?」
「カレーでも食べた時についたんじゃないっすか?白夜ちゃんもうっかりさんっすねー!」
澪田さんがそういって笑うが、すかさず花村クンが割り込んだ。
「いや、それにしては広範囲すぎるよね? それに十神くんって食べ方が意外と綺麗なんだよ! いつも豪快に食べてるから勘違いしがちだと思うけど、ぼくが見てる限り服に汁を飛ばして食べることはないよ! お皿もいつも綺麗だし」
シェフ目線での人物像は大分出来た人のようだ。そこは十神白夜としてマナーをしっかりしているのか、それとも食事が綺麗なのは元来のものなのだろうか。
「分かんないよー? コテージではズボラにしてるかもしれないじゃん! ああいうデブにはぶひぶひ言いながらカス飛ばしてるのがお似合いだしね、クスクス」
「そんなことはないわよ? 十神って他の男子とは違ってちゃんとシミ抜きまでしてるらしいし。こないだアタシが左右田のツナギについて注意してたら、それを聞いてシミ抜きの仕方を教えに行ってたもの」
いつの間に皆カケラ集めをしているのか。
十神クンはそれだけ慕われていたってことか。
「あ、ああ確かに来たけどよ……」
「あいつも世話好きだな……」
「とりあえずカレーを跳ばしたのはありえないってことかな」
結論が出ようとしたとき、笑顔で終里さんが言う。
「おう、そーだよ! カレーじゃなくてお菓子だろ! なんの菓子かは知らねーけど!」
私はその言葉に硬直した。
「いや話聞いてたんか! ? 食いモンのシミじゃありえねーって話になっただろ!」
「はあ? じゃあなんで甘い匂いがしてたんだよ? 菓子以外にそんなのありえねーだろーが!」
「ちょっと待て、終里。その話詳しく聞かせてくれないか?」
日向クンからストップがかかり、訳が分からないといった風の彼女を見る。終里さんは全員から注目され、居心地悪そうに頭をかいてから 「タワーでオレが言ったじゃねーか」 と説明する。
「腹減ってるときに甘い匂いがしてさ、それを追ってたら十神を覗き込んでた狛枝とぶつかったんだよなぁ」
―― くんくん、と匂いを嗅いでいるように終里さんが死体のそばにしゃがみ込んだ。彼女が覗き込んで来たのでびっくりして思わず尻餅をついてしまい、そのまま包帯の下にある傷に響いた ――
確かに、そんなことはあったね。すぐに日向クンが手を差し出してくれて、ちょっと恥ずかしかったときだ。
それに、彼女が匂いを追っていたおかげで襟のシミに気がついたようなものなので、甘い匂いの原因は襟のシミしかりありえないだろう。
「そんなこともあったな」
「でも、十神くんが几帳面な人で…… シミを作るような人じゃないってことは、あのシミはドッキリハウスでついたものってこと…… だよね?」
「着替えなんて勿論用意されてなかったからな。シミ抜きしたくてもできないだろうし、そもそもなんでついたのかも分からないからな…… 黄色っぽいシミ…… 甘い匂い…… 甘い匂いといったら…………」
どんどん考え込んでいく日向クンは目を瞑る。
そして、つぎに目を開いたときにはもう答えを出していた。
「そうか! シミの原因は食べ物とは限らない!」
「あ、そっか、ドッキリハウスに食べ物がないんだから…… 別のものが原因なんだね……」
頷く2人に冷や汗が止まらない。やっぱり2人もオクタゴンに連れて行くべきではなかったか? 追い詰められるのが早すぎて恐怖を感じるくらいだよ。
「あのシミは、クロロホルムなんだ!」
「クロロホルム…… って、オクタゴンにあったあの〝 透明な 〟液体だよね?」
すかさず用意していた言葉で反論をする。
見た目は透明な液体だったのだから、そんなシミができるわけないよねってね。
「た、確かに透明な液体だったけどな、甘い匂いといったらあのクロロホルムからもしていたぞ。ならクロロホルムがシミになってたのかもしれないだろ?」
「でも十神クンのシミについてた匂いなんてキミは覚えてないでしょ? TNTとは違ってクロロホルムはここに持ってきてないんだから、終里さんにだって同じ匂いかどうかなんて確認しようがないよね。そもそもクロロホルムは透明だったんだから〝 黄色っぽいシミができるわけない 〟でしょ?」
「あなたは間違っていますぅ!」
「……」
また、罪木ちゃんが日向クンの援護をするのか。
「え、えっと、クロロホルムの成分に黄色色素のある溶液が入っていた可能性は十分あると思いますよぉ。なにかに染み込ませると黄色く見える可能性もありますぅ……」
そうだよ、まさか色が出るだなんて思っていなかったから…… どうしようもなくてね……
「確かお前…… 終里に食べ物を持っていないか聞かれてたよな?」
ドキリ、と心臓の鼓動が早くなっていくのが分かる。
「なあ終里、どうしてあのとき…… 狛枝が食べ物を持ってると思ったんだ?」
「あー? そんなの狛枝からも甘い匂いがしたからに決まってるじゃねーか!」
―― 彼の襟元に、僅かながら黄色っぽいシミができているようだった。
《コトダマ 襟元のシミ》
「匂いの発生源はこれなのかな…… ?」
「あー、なら狛枝。なんかお菓子とか持ってねーか?」
「え、なんで私? …… 持ってないよ」
「おっかしいなぁ…… オメーなら持ってると思ったんだけど……」
なんか、妙に確信していたように感じたけれど、ちょっと怖かった。
捲った袖をぎゅっと握りしめながらぶるりと震える。
こんなことをしている場合じゃない。ちゃんと捜査しなくちゃね ――
思い起こして首を振る。
終里さん怖い。匂いで捜査しちゃうとか規格外すぎるでしょう……
まあ、それを最後の証拠にしようとしていたのは私だが。
凍傷がバレる方が意外だったのだ。こんなにも証拠が揃うとは思っていなかった。
皆の視線が私に注がれる。
左袖のみ捲られた不自然な格好、両手の包帯、左腕を右手で掴み、俯く私…… 口元に浮かぶのは、笑み。
「畳み掛けるね…… でも、まあ、クライマックスの前に罪木ちゃんの話も聞いておこうかな? なにか話があるんだよね?」
「は、はい…… ここまで来たらもう必要ないでしょうけど…… 凶器に使われた血液のことですぅ」
なるほど、彼女ならばどの血液型が使われたかも逆算していくことはできるだろう。そうすれば絞られたクロの範囲をさらにぎゅうぎゅうに絞ることができるだろう。
いわゆるオーバーキルってやつだね! 罪木ちゃんもえげつないことするなぁ。そうでもないと私を完全に負かすことができないと分かってるからだろうけれど。
「輸血パックのこと? でもあれは全部使い切られてたんだよね。使われた血液型が分からないんじゃどうしようもないんじゃない?」
「そんなことはありません…… 十神さんの傷口は早いうちに血液凝固していましたが、狛枝さんはそうではありませんでしたよねぇ? B型なら十神さんの傷はあそこまで塞がっていませんでしたし、それ以外の血液型ならあなたの方に拒絶反応が起こるはずですぅ」
「狛枝さんと同じ、O型以外なら…… だよね?」
O型は他のどんな血液にも拒絶反応を起こす。
そんな私が無事で、十神クンに拒絶反応が出ているのだから答えは1つしかない。
「はい、だから凶器自体に使われたのはO型の血液…… 狛枝さんもO型ですし、辺古山さんは九頭龍さんの部屋に、そして七海さんは凍傷もシミもありません。あなたしか…… ありえないんですよぉ!」
「じゃあ、十神クンが苦しんでいたのは? もしかしたら毒でも飲んでたのかもしれないよ?」
「それはお前さんも否定してたじゃろう!」
「凍結させて使う毒薬は沈殿性だった。大方氷を作る際に立てかけて杭の先端にしか毒がいかないようにしたんだろ?」
「……」
全て証明が済み、私はもうどうしようもないようだ。
だが、まだクライマックスには足りない。こんな情報量じゃあ、当時のことを日向クンがクライマックス推理できないもんね!
「十神クンが…… 悪いんだよ……」
ポツリと呟き、私は顔を上げた。
「あんな〝 危険な人 〟放っておけるわけないじゃないか!」
「…… は?」
私の大声に、今まで果敢に立ち向かって来ていた日向クンが間抜けな声を漏らす。
ははは、そうだよね。不思議だよね。私がなぜこんなことを言うのか、分からないよね。1番皆を導いて来た人が〝 危険人物 〟だなんて信じられないよね?
でも今から言うことは嘘なんかじゃない。
決して、嘘なんかじゃない。ただ、言わないことがあるだけなんだ。
「私ね、気付いちゃったんだよ。彼がとんでもないヤツだってことをさ! そんな彼を野放しにしているわけにもいかない。だって怖いんだから! いつ私が殺されるか分からない。コロシアイを起こすか分からない! この平穏を保つためには彼を止めるしかなかったんだよ!」
「な、なに言ってるの凪ちゃん…… ? 十神が危険人物…… ?」
「狛枝さん、冗談はよしこちゃんですよ!」
「おいおい、どう考えたってオメーのほうが危険人物じゃねーか……」
「テメー、なにか知ってるんならなんで言わなかった? ナントカの証明だなんだ言って、情報共有しろっつったのはテメーだろーが!」
「まさか、十神が危険人物だとは考えられないが」
私は大袈裟なくらいに誇張して腕を広げる。
「十神クンはとんでもない人だったんだ!」
画面のまえにいる
ふふ、なんで十神クンがって? 分からないって?
…… だって、だってあんなにいい人なのにって?
いい人なんてこの世界には、いやどんな世界にだって誰1人いやしないんだよ。
人が言う〝 いい人 〟なんて所詮〝 どうでもいい人 〟ってことなんだからさ!
聖人君子だって最期には神を呪うんだよ? 誰だって自分が大事なんだ。
だから私たちは所詮そのキャラクターの側面を見ていただけにすぎない。その本心なんて、主人公にでもなってもらわないと知ることなんてできないでしょう? 特に、すぐに死んじゃうような人物ならね!
…… ここまで言っても分からないのかな。
だったら、教えてあげようか?
彼が如何に〝 才能 〟に踊らされていたかを!
さあ、約束通り…… キミの名誉を徹底的に傷つけてあげようか! 許してくれるって言ったんだから、起きてから恨んで刺したりしないでよ?
…… お説教はちゃんと受けるけどね。
でも、まあ…… 私の本領発揮と行こうか!
「ずうっと不思議だったんだよね…… パーティのときに殺人予告状を出したのが誰か」
「その話は保留で終わったはずですぅ!」
「そうだね、けど不思議には思ってたんだ」
そして話し始めた内容は私の推理、心情だ。
「勿論モノミは全員の個室で話をしていったからあの日には分からなかったよ――」
けど、なんとなくだけど予感はあったんだよね。
だって〝 あの人 〟は私の可哀想な日記を証拠にしてこちらを追い詰めた。その筆跡が同じだからと言って私が予告を出したのだと言った。
でもおかしいよね? 私はそんなもの書いてないんだもの。
犯人と疑われた私自身が確定で犯人ではない。そんな情報さえあれば十分に推測は可能なんだよね。
犯人は私以外の誰かということになるけれど、じゃあ私の筆跡をどうやって知ったのか? それも書き分けているはずのプライベートの筆跡をさ。
ここまで来ればもう1人しかいなかった。
私の日記を持っていた十神クン。
けれど、彼の人柄を見ていたこちらとしては疑問だらけで信じたくなかった。
…… もちろん、彼がそんなキャラクターでないっていう先入観もあったけれど。
「それ以降もずっと彼は殺人抑止に動いてたから、気にする必要はないのかと思ってたんだ……」
けれど、ドッキリハウスで初めて
「なんでそれを教えてくれなかったんだよ…… 狛枝」
「ああ、キミたちと一緒に行ったときは実は初めてじゃなかったんだよね。ごめんね? でも初めてだなんて一言も言ってないから騙された日向クンたちが悪いんだよ」
「んなの屁理屈じゃねーか!」
「まあまあ、落ち着こうよ九頭龍クン。ほら深呼吸、深呼吸」
「コイツ…… !」
九頭龍クンったら短気なんだから。
で、その特典のことを聞きたいよね? 当たり前だよね…… だってその特典、日向クンが探し求めてたものなんだから。
「俺が…… ?」
「そう、特典はこれ…… 希望ヶ峰学園の生徒である私たちのプロフィールだよ。もちろん、才能も載ってるからさ」
「本当か!?」
ああでも、キミは知らない方がいいんじゃないかな。
そんなに変な才能だったのかって? そんなわけないじゃん。
「だって、キミに才能なんてないんだからさ! ね? 替えの利く予備学科生の日向創クン……?」
予備学科っていうのは要するになんの才能もない凡人が入る場所だ。いや、才能溢れる人間の側で虎の威を借る狐をしたい人間とか、すごい人と同じ学校に通っているっていう名誉が欲しい愚かな人間が莫大な入学金を払って入る場所と言えばいいのか。
予備学科差別? してないしてない。
私はただ煽り倒してるだけだよ。皆が容易に投票ボタンを押せるように崖から突き落としてあげてるだけだ。
「っな……」
「そ…………」
「ん、どうしたの左右田クン?」
「予備学科とかそんなのオレらには関係ねーだろ! ここで会ってオレがソウルフレンドになったのは日向、オメーだけだよ! なに落ち込んでんだシャキッとしろよぉ!」
「うわぁ、それを左右田おにぃが言うんだー」
「たまにはいいこと言ったって言ってくれてもいいだろ!?」
「…… でも、日向くんは日向くんだよね」
「元々才能云々を気にする人なんてここにはいないでしょ!」
いたんだよなぁ、ホントは。
今の私も似たようなものだけどね。
ところで、話がどんどんズレていくのだけど。
「予備学科のことなんてどうでもいいから続き話していい?」
「そんな言い方するんじゃねーよ! テメー本当にどうしちまったんだ!?」
だって皆ったら私の話を聞いてくれないんだもん。
十神クン1人いなくなっただけなのにまとまりがなさすぎて絶望的だよね。
「私たちの中にね、予備学科とは別に才能を偽っている人がいたんだ。いや、才能だけじゃなくて、容姿声才能名前全てだね」
もちろんそれは十神クンの格好をした誰かさんのことだ。
誰かさん? だって名前は空欄だったんだもの。仕方ないじゃない。
「そんな彼の才能は…… 〝 超高校級の詐欺師 〟」
詐欺師なら筆跡を真似ることなんて朝飯前だよね!
「名前は載ってなかったよ。それどころか才能以外の部分が見事に空欄だらけ謎だらけ。ね? 十神クンは皆を今までずっと騙してたんだよ。そんな人信用ならないよね!」
「…… しかし、仮に予告状を出したのが十神だとして、なぜ十神は自分宛に予告を出したりしたのだ? そこが不可解だ」
「あ、確かに…… 殺人予告なのに自分が死ぬなんて書くはずないよね。ならやっぱり別の人なんじゃ」
花村クンが信じたくないとばかりに首を振るが、残念! 真実からは逃れられない!
「自決でもしようと思っていたのか? しかし、それでは弱肉強食のデスゲームは始まらない…… 解せぬな」
「自分があの予告状を出されたらどうするか考えてみなよ。彼の標的は自分じゃなくて、予告状を受け取った…… 日向クン本人だったって分からない?」
「な、なぜそうなるのですか!?」
そんなのは簡単。
さっき言ったみたいに考えてみれば分かるよ。
普通、誰かが死ぬなんて書かれた予告状を受け取ったらその人のことを心配するよね? 心配して、気を配り…… そして、自分自身の身の安全は守らなくなり、無防備になる。
ましてや、自分を狙っている相手が、殺人予告された当人だなんて絶対に思わないからね!
でも、彼が提案したパーティは私の思い通りの場所に決定して、掃除まで私がやることになったから彼はなにもできなくなってしまった。
学級裁判がある以上、下手に動いても自分自身が処刑されてしまうから。
「おしおきだよ!」
「あーはいはい、処刑じゃなくておしおきね。分かった分かった」
「もー適当だなぁ」
モノクマがなんか言っているが続けよう。
で、彼の計画を私が利用した形になって闘論が起きたってわけだね。
「…… 証拠は、ないのか?」
「そんな、随分と前のことですよ。証拠が残っているかなんて……」
「…… あるよ?」
え、なに言ってるの? あるに決まってるじゃない。
彼が日記を持っていたことが証拠…… なんて言わないよ。私はもっと決定的な証拠を持っているんだ。
懐からいつものようにクローバーの手帳を取り出して皆に見せる。
「…… ? それはお前の手帳だろ?」
「ううん、ここにあるのは十神クンが予告状に使った手帳だよ」
「なな、なんで凪ちゃんがそんなものを持ってるんすかー!」
答えは簡単、十神クンが絶望病にかかった日に取ってきた。それだけ。
「彼の着替えを持っていくのに私じゃなんだからさ、日向クンと一緒に彼のコテージに入ったんだけどね? その前に1人だけでお邪魔してたんだよ。そのとき、彼のテーブルに置いてあったから自分の手帳と交換してきちゃったんだよね!」
―― 次にテーブルに置いてあった一冊を手に取りパラパラと捲ってみる。罫線だけ引かれた白紙のそれを見て私は 「そうだ」 と呟いた。
「日向クンは呼ぶにしても他の皆はこのことを知らないし、ホテルロビーにでも置き手紙とか残しといたほうがいいよね」
レストランは夜時間の今は入れないし、十神クンが入院することを報せておかないと。ないとは思うが、日向クンも病院に泊まるかもしれないし。
「よいしょ…… っと」
懐から出した手帳のページを1枚破り、それに彼の万年筆を借りて伝言を書く。
「十神クンが風邪をひいてしまったので病院に連れて行きます…… と」
皆に見せるものなので丁寧に書き、うんと頷く。
それから、伝言を書くからとテーブルに置きっぱなしにしていた手帳を懐に入れる。もう1冊も最初に彼の手帳が置いてあった場所に置き、やっと本来の目的を思い出した ――
あのとき、先頭の1枚だけ破り取られた十神クンの手帳を見て思いついたのだ。
〝 このまま交換してしまえば分からない 〟
使っていなかった自分の手帳の、彼の手帳と同じく先頭のページを破いて置き手紙を作って交換した。
あとで2番目のページを鉛筆で擦ってみたら薄っすらとだけど、文字が浮かび上がったのだ。
私は、自分の推理が当たっていることに喜んだけれど、同時に落ち込んだ。彼がこんな危険人物だったなんてって。だからそれからも彼を警戒しながら殺されないようにするにはどうすればいいかって考えてたんだ。
だって十神クンったら、私がなにかする度に私に会いに来るんだもの。さすがに怖いよね。
で、これがその証拠となる手帳なんだよね…… と手帳の先頭ページを開く。
そこには勿論、鉛筆で塗りつぶされて薄っすらと浮かび上がったその文字があった。
〝 明日夜 十神白夜は死ぬ 〟
・HOPE VS DESPAIR
いつも大体クライマックスに流れるノンストップ議論の曲ですね。大好きです。
・前書き
No.22『波乱』― 混乱 ― 前書きの〝 やっぱり、キミだったんだね 〟の続き。ここも伏線だったのです。
・クロロホルム
調べてはいますがめちゃめちゃ曖昧なので間違っている可能性もあります。完全に違っている場合でももうこれでいくしかないのです……
・詐欺師
この小説のテーマは主人公がクロ、と詐欺師らしい詐欺師ですから。
3アニメ放送前でしたので、先に死んで本性が出なかっただけで実はこんな狡猾な一面があったりして、あったらいいなあという自己解釈にて書いていました。
やーっと1章と3章の伏線を解放できた。叙述トリックに気がついた人はいたかな?
〝 それから、伝言を書くからとテーブルに置きっぱなしにしていた手帳を懐に入れる。もう1冊も最初に彼の手帳が置いてあった場所に置き、やっと本来の目的を思い出した 〟
この部分、やたら回りくどい書き方してると思いませんでしたか?
自分の手帳、彼の手帳、とは一切言っておりませんでしたとさ。
Ps. 6月21日は王馬クンの! 王馬小吉クンの誕生日でした!おめでとう!プァンタグレープとケーキ買ってお祝いしたよ!