宇宙警備隊長・冴子   作:EF12 1

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前作、前々作とも異なる決着です。
『何じゃコリャ!?』
と思われましたら平にご容赦を。


決断、だがしかし③

     ――『テシオ』――

 

「く‥‥!」

 

 

 

「全艦面舵130度、急速離脱!総員衝撃と閃光に備えろ。急げ!!」

「おもーかーじ!!」

「立っている者はその場に座るか何かに掴まれ!砲手はゴーグル着用!!」

 

嶋津の離脱指示に大村は即座に復唱して操舵捍を右に切りながらスロットルを開き、松島は対衝撃・閃光防御の指示を出す。

 

「通信長、『ゴルバ』のメルダース司令官にも離脱勧告を送れ!」

「『ゴルバ』にもですか!?」

「そうだ。信じるか否かは連中次第だがな」

 

暗黒星団帝国の概要がわからないまま、全面敵対するのは避けなくてはならない。

彼らに与える口実はなるべく減らしておかなければならない。

たとえ、相手がクソッタレな連中であっても。

 

「わかりました!」

 

嶋津の意図を解したパク通信長は、キーボードを叩き始める。

 

TF13各艦と『ヤマト』『オシマ』は機関をふかし、イスカンダルから離れていく。

 

そして――。

 

「マザータウン、消滅しました!!」

 

三沢が哀しげに叫ぶ。

 

「衝撃波がくるぞ。皆、何かに掴まれ!」

「――――っ!」

 

大村が対衝撃防御を指示する中、嶋津は立ち上がったまま、コンソールの手摺を握り締める。

 

「イスカンダル星爆発!衝撃波、来ます!」

 

“ズズウゥ‥‥ン!!”

 

腹の底まで響くような衝撃波が艦を見舞う。

 

(‥‥‥‥)

 

嶋津はスクリーンに映る、大火球と化したイスカンダルを睨み続けていた。

 

――やがて、

 

「衝撃波が止みました!」

「‥‥イスカンダルとゴルバはどうなった?」

 

何波にも分かれて襲い来ると思った衝撃波が呆気なく止んだ。

すかさず、嶋津はイスカンダルの状態を質す。

 

「大小無数の岩石デブリの反応はありますが、惑星の反応はありません。ダイヤモンドをはじめ、岩石組成はイスカンダル星のそれと一致しています‥‥ゴルバの反応も消失しました。ワープ反応はありません」

「‥‥そうか‥‥」

 

『ゴルバ』は離脱できなかったか。あるいはしなかったか。

と、三沢が嶋津に報告する。

 

「艦長、デブリですが、一つ一つは非常に細かくなっています。大きいものでも1m以下です」

 

どう判断すればいいのか。

イスカンダリウムが反応したのか、地殻がボロボロだったのか‥‥。

 

(両方、だろうな‥‥)

 

暗黒星団帝国とやらが余計な事をしなければ、崩壊せずにいられたのに――。

 

『ヤマト』『水無瀬』と艦載機からも通信が入る。全員無事とのこと。

 

「‥‥‥‥」

 

そこに、

 

「艦長、イスカンダルの古代元艦長から通信です!」

「!!‥‥繋げ!」

 

パクの報告に、艦橋は色めき立つ。

メインスクリーンに『ユキカゼ』艦長服姿の古代守が映し出され、副画面には『ヤマト』の古代進と真田の姿がある。

 

『古代、3人とも脱出したのか!?』

 

真田の問いに、守はほろ苦い表情になる。

 

『ああ、スターシャもサーシャも一緒だが‥‥』

「‥‥何があった?」

 

守の表情が沈んでいるのが気になり、嶋津が問う。

 

『自分は残ると言って聞かなかったので、当て身を入れて無理矢理連れ出した』

「『‥‥そうか』」

 

星を預かる者ならさもありなんだ。

しかし、スターシャも助かった事に、各艦長はホッとした表情を隠さなかった。

 

『こっちの準備はできているよ、兄さん。迎えの者を出すから』

『‥‥すまない、世話になる』

『当然の事をするまでだ。気にするな、古代』

「‥‥‥‥」

 

嶋津も一息ついたが、すぐ表情を引き締めて指示を下す。

 

「全艦、『ヤマト』を中心に集結せよ!取り舵40、上げ舵6!微速前進!!」

 

ひとまず集結し、ガミラス艦隊も交えて色々話す事が残っているし、暗黒星団帝国軍の追撃も警戒しなければならない。

任務は折り返し点を過ぎたばかりなのだ。




安倍総理の『新しい判断』はうまい言い回しですね。
謝らないで済む嘘のつき方になりますか‥‥?

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