プロローグが思ったより短く、まとめるのに時間がかかりました。申し訳ないです。
この章は感覚的には3.5章といった感じで、3章から4章の間という認識でお願いします。
元々はブラックコーヒー必須なサラとロキのイチャイチャを書くつもりでした。
が、上手く行かず、結果としてサスペンス的な路線に行きます。
間の話ではありますが、本編に大きく関わってきますので読んでください。
それでは本編へどうぞ。
前話
サラとロキが暮らすクラウィンコロナという国は、先の“第一次魔術対戦”の際に黒の王国に滅ぼされることを恐れたいくつかの小国と滅ぼされた国の生き残りの人達が結んだ、「小国間共闘連合」がルーツとなっており、加盟した国々は戦争の集結と同時にクラウィンコロナとして独立を宣言した。
それが認められた16月9日は、建国記念日として、クラウィンコロナの国全体の祝日となっており、その日1日は、国中のどこへ行っても屋台が目にされる。
というのは全て建前で、実際の所はというと思いの丈をぶつけ、恋が実り晴れて恋人同士となったもの、なかなか思いを伝えられないものがそれぞれの想い人を誘ったりする、一年に一度のデートスポットである。
ということを知った上でサラはオズリーが起こした事件の最中、気が付いたらロキをその建国祭に誘っていた。
そして今日は15月の末。
サラは顔を真っ赤にして、頭を抱えていた。
(私ったら…どうしてロキの事をお祭りに誘ったんでしょう…別にそんなふうに思ってるわけじゃ…ない…です…よね?あれ?どうしてこんなに鼓動が早いんですか?そもそも、そもそもですよ?どうしてこんなにお祭りが楽しみなんですか?もう訳がわからないんですけど。)
とてもソワソワしている彼女の事を、物陰から生温い目で見守っているのは皆さんおなじみの第1分隊の隊員達。
そしてふとサラが振り向いた瞬間、そこにいたクィンドがサラと目が合う。
そして両者はすべてを瞬時に理解し、走り出す。
クィンドが逃げ、サラが追う。
例え彼の行動がサラのことを思っての事だとしても容赦はしないサラ。
数分後、彼らは全員確保され、詰所にて長時間の説教の後、罰としてサラに高級洋菓子店のケーキをワンホール買う事となった。
その頃ロキはというと…
「えええ!?ロキ、サラ総隊長に誘われて建国祭に行くの!?」
学校でラオに仰天されていた。
「あ、ああ…そこまで驚くことか?別に祭りに行くだけなんだし…」
と何事もないように言うロキ。
(えっと…やっぱり…そういう事だよね?ロキってサラ総隊長に好かれてるの…?そんな事ってあるの?…)
結論から言うと、異性に建国祭に誘われたということは、その異性は自分に恋愛感情を向けている、ということなのである。
それはこの国でのいわば常識だった。
しかしその事をロキは知らない。だからロキとラオの間にここまでの温度差が生まれているのではあるが…
(どうしよう、やっぱりロキは気付いてないよね…僕が言うのも可笑しいし…というかロキはどうなんだろう?)
と思ったラオは、「ねえ、ロキってサラ総隊長の事どう思ってるの?」と聞く。
「ん?どう思ってる?どゆこと?何の話だ?」
ラオにとっては予想はしていたもののやはり普通ではない返答が帰ってきた。
「うーんと、可愛いな、とか、そういう感じ?」と、ラオは言葉を選びながら質問を投げかける。
すると、「かわ…いい?サラが?」とロキはフリーズしてしまった。
どうやらロキはサラ総隊長のことを異性と認識していなかったらしい。
(サラ総隊長、これはなかなか厄介ですよ。頑張ってください。)
ラオは心の中でサラにエールを送る。
「可愛い…とは思うな。あと、なんだろう、サラが殺されかけた時は勝手に体が動いたしな…よく分からんが。まあ嫌いではないな。」
とロキから返答が帰ってきた。
というか直球である。
ロキ自身、面倒ごとや、回りくどいことが嫌いなタイプではあるが、これは流石にストレートに言い過ぎではないだろうか。
そしてここまでで何も気づかないのかなロキ。
普通気づくでしょ。
あ、もういいや。考えるのやめよ。
「そ、そうなんだ。」
ラオは流石に考えてられなくなって思考を放棄した。
建国祭はあと10日ほどまで迫っていた。
To be continued…
今回は序章なのであまり話は進みません。強いて言うなら建国祭の設定解説回と言ったところでしょうか。
感想をお願いします。