なぜならここで切らなければ終わらなくなるから。
この本編第参章も、いよいよ残すところ2話(予定)となりました。参章終了後は再び外伝としまして、サラとロキの建国祭となります。
ちなみに初稿を書き上げた際に「ロキとサラをいちゃつかせようとしたのにどうしてこうなった…」と頭を抱えたのはまた別の話。
と、とにかく本編に行きましょう。
さあ、どうぞ。
僕の…僕のせいだ…僕をカバーしようとしてロキが…
「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ!」
僕の周りの床から無数のツタが生え、僕の心のように荒ぶり、激しく揺れる。
床は凍り、頭上には厚い雲が立ち込め、数え切れないほどの雷撃が落ちる。
小規模な竜巻が起こり、放射状に放たれる。
それら全てはラオの魔術固有色である琥珀色だった。
それらの一つ一つはあくまで基礎の、単純な術式であった。
しかし、それほどまでの数の属性魔術を発動させる魔術師はこれまでに存在したかどうかも定かでない。
オズリーは完全に攻撃の手を止めて回避に専念し、少し離れたところから惚けたような表情で「こんな数の術式を…1人で発動させるなんて…」などと呟きながら口をパクパクさせている。
しかし、流石にそこまで多属性の魔術の同時行使は心身へと負担が大きく、視界は血の色に染まっていき、塗りつぶされている。
気が付くとラオは走馬灯のように、MSF隊員養成学校に入学した頃を見ていた。
中学ではまずまずの生活を送った僕は、そのまま中堅レベルの高校に進学する予定だった。
実際入学試験にも合格していた。
物心付いた頃から、激怒したり、号泣したりすると、火が出たり激しい水の流れが発生したり不思議な事が起き、他人からは気味悪がられていた僕は、違う環境で人間関係を作り直そうと思っていた。
初恋の女の子を虐めるガキ大将からその子を守ろうとガキ大将の手を弾いたところ、同時に石礫が飛んでいって、初恋の人にも気味悪がられて距離を置かれたりもしたが、環境を変えれば解決すると思っていた。
そんな時だった。
僕の家に1通の手紙が届いた。
その内容は
「 拝啓ラオ殿
貴方はMSF隊員養成学校の上位コースへの挑戦権を得ました。
挑戦するのであれば5/6の午前8時までに会場で受付をしなさい。」
という物だった。
両親との相談の末、時折起きる「不思議な事」の解決ができるかも知れないということで受験することになった。
試験では、サラマンダーを召喚したり、部屋中凍らせたり、僕よりも明らかにすごい人がいて、僕は不合格だと思った。
しかし数日後に届いたのは「合格通知」と書かれた封書だった。
訝しく思いながら入学し、その後知ったことなのだが、普通の魔術師は一つから二つ、多くても三つまでしか属性魔術を使えない。
しかし僕はテストで発現しただけでも5~6種の基礎魔術が発動した。
僕は一つ一つの威力が低い代わりにすべての魔術が使える「全属性」使いだったのだ。
それこそが僕が倍率10倍以上の狭き門を突破できた理由だった。
To be continued…
ぶっちゃけラオ君ってぶっ壊れキャラじゃないですか?一応基礎魔術だけという縛りは設けましたがそれでも強い気がする…
ということで次次回終結です。まとまるのか?そもそもまとめられるのか?やや不安ではありますが頑張ります。(メタいですがプロットはあるのでなんとかなるでしょう。)
ということでまた次回までおまちくだされ。