「なんで私がこんなことを……」
「つべこべ言わず手伝え……って殆どお前のせいだからな!」
「熊口様、この米俵はどこへ置けばよろしいのですか?」
「ああ、土間の端にでも置いといてくれ。あと別に様付けなんてしなくていいぞ」
今日、おれと部下5人は来たばかりのおれん家の大掃除をしていた。なんで来たばかりで荷物もほとんど持っていなかったおれの家を大掃除する羽目になったのかと言うと昨日、射命丸におれが受けた罠を体験させようとしたら射命丸が暴れだしたため、家の中で乱闘が始まってしまったせいだ。お陰で家の中がしっちゃかめっちゃかになってしまったため、急遽部下達に掃除を手伝わせることになった。
ついでに昨日の乱闘は途中で参加してきた萃香がおれと射命丸をノックアウトして終了した。
お陰で天井にでかい穴が二つもできたよ、新築らしいのに……
「おーい、修理班。そっちはどうだ?」
「はい!完璧とまではいかないものの、目立たないまでには修繕しました!」
「ほうほう、それぐらいできれば十分だ。
んじゃ、これが終わったら鍋でも食うか!」
「まだお昼にもなってないのに鍋なの?そこはおむすびとかにしなさいよ」
「8人分作るのは面倒だからな。それにくらべて鍋はただ具材を放り込むだけで済むから楽だし」
「8人?6人じゃなくて?」
「ああ、今日萃香の奴が昼に来るらしいからな。あとは翠の分」
「「「伊吹様!?」」」
おっとぉ?何故か皆萃香の名前を出した途端怯えだしたぞー
「あぁー!そういえば今日用事があったー!」
「うぐっ、急にお腹が…………」
「あ、俺も」
「あ、足つったー!!帰らなきゃ!」
「おいこら、4馬鹿兄弟。嘘なんかつくんじゃない」
「「「ぶべっ!?」」」
逃げそうになった部下である4人の周りに霊力壁を出現させて行く手を阻む。
つーか最後の奴足つったとか言ってるくせに普通に玄関に向かって走っていこうとしたからな。もっとマシな嘘つけよ……
「い、いやだー!熊口様の部下になれば鬼の無理難題を受けなくて済むときいて入ったのに!」
「鬼の支配よりも人間の言うことを聞いてた方がましだと思ったのに!」
「なんか楽そうだと思ったから部下になったのにー!」
「なんとなくはいったというのに!」
「おいこら4馬鹿、ついに本音を漏らしやがったな」
しかも全部しょうもない。
確かにあいつら(鬼達)は気性が荒くて無茶ぶりとかさせてくるけど、酒でも与えてれば上機嫌になってアルハラされるだけですむやつらばかりだからな。畏敬に思いすぎだと思う。
「大丈夫だよ。萃香は基本的には酒呑んでるだけの酔っぱらいだから」
「いやいや熊口様!貴方も一度戦ったことがあるのでしょう?私も一度鬼が攻めてきたとき一戦交えましたが一瞬にして吹き飛ばされました。もう勝負云々じゃない。勝負ですらなかったのです!」
「しかも俺は見ました。同士が次々と吹き飛ばされていくなか、狂気に満ちた笑顔の伊吹様を……」
「しかもほら!みてください!実力だけならば天狗の中でも五本の指に入る射命丸が泡を吹いて気絶していますよ!」
「うわ、ほんとだ……」
さっきからなにも話さないと思ってたら気絶していたのか、こいつ。てか射命丸って結構凄い奴だったのか……
「ま、取り敢えず萃香にたいしてどれだけ恐れているのかはわかった。おれも戦ったことがあるからお前らの気持ちはわからんでもない」
「でしょ!」
「だけどそれはお前らが強くなろうと努力してこなかったつけが回ってきただけじゃないのか?(実際自分はあまり努力してない)」
「「「え?」」」
「だから、お前ら妖怪は寿命がこれでもかというぐらい長いだろ?なのになんでそれを活かそうという努力をしない。おれはしてきたぞ。強くなるために努力してきた(嘘)。」
「し、しかし種族という壁が……」
「それがどうした。その理論が本当に正しいとおもってるのか?じゃあなんで天狗よりも弱い種族のおれが鬼に勝てたんだ?(神からもらった能力)」
「うっ、それは……」
「それはただたんに熊口様に才能があったんじゃ」
「……はあ、別におれに才能があった訳じゃあない。ただ長生きして色々な技術を吸収していっただけだ(実際技術面に関しては都のところで止まっている)」
「そ、それってつまり…………!!」
「そう、お前らも長生きを活かして努力していけばいつかおれのようになれるってことさ!」
「「「な、なんだってー!?(なりたくねぇー!!)」」」
「ま、生斗くんの力説コーナーはこの辺にして飯にするか!ほら、射命丸起きろ」ベシッ
「ブツ!?!」
よし、射命丸にビンタを食らわせることが出来て少しすっきりした。兎に角鍋を作ろうかな。もうすぐ翠も起きるころだろうし
4馬鹿天狗たち
「なあ」
「なんだ、晩天」
「さっきの人間についてのことだが……」
「私も思う部分がありました」
「ああ、俺もあるぜ」
「「「熊口って本当に伊吹様と星熊様に勝ったのか?」」」
「やっぱり皆もそうおもったか」
「これは試す必要性があるな」
「いまからあの人間がここに来たら四人で奇襲しようぜ」
「確かにそうですね。しかし人間一人に四人も必要でしょうか?」
「いや、あれでも文を倒すほどの実力はあるようだし、これでいいだろ」
「そうだな。それじゃああいつが来たら奇襲だ」
「「「おー!」」」
鍋が出来て皆の元に持っていってたら4馬鹿が急に攻撃してきた。
なんでかはわからなかったがほんとなぜか攻撃してきやがった。
咄嗟の反応で霊弾を放ったつもりだったけど、最近のずっと使ってたのもあって爆散霊弾を間違えて放ってしまった。
お陰で四人とも撃沈。そして吹き飛んで壁を突き破って他の部屋へいってしまった。……大きな穴が4つできたよ。
「に、人間って、こんなに強か、ったけ?………」
と、部下の一人がそういって意識を手放した。
いや、こいつらほんとなんなんだよ。
取り敢えず起きたら壁の修繕やらせるか。