東方生還録   作:エゾ末

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50話突破!!


5話 みんな元気かなぁ……

 

『…………あれ?いつの間にか寝てましたか』

 

「…………全くでてこなくなったと思ったら寝てたのか……」

 

『うわ?!熊口さん酒くさ!!』

 

「うわ……まじか。つーか翠、お前嗅覚神経通ってたのか」

 

『当たり前じゃないですか!生きてるんですよ!』

 

「いや、死んでる」

 

なに意味のわからんことをほざいているんだか。

 

「ああ、いかん。二日酔いだよ、これ……頭痛い」

 

『大丈夫ですか?』

 

「ああ、水を飲んで休んどけばなんとか」

 

 

今おれは勇儀の家の一室を借りて休ませてもらっている。ついでに今は夕方、昨日の宴会からもう一日近く経っているが、一向に頭の痛みがひかない……

 

『それじゃあ少し”出て“お水持ってきますね』

 

「おお、頼む……」

 

そういうと翠はおれの背中から出てきた。後ろなのでおれからはわからないが他から見れば異様な光景が映ってるだろう。

男の背中から美少女が這い出てくる光景…………一部のやつには受けそうだな。おれはそんなことないが……

 

「それでは!」

 

「なるべく早くな……」

 

さて、翠も言ったことだしごろごろしておくか……寝ようにも頭痛くてそんな気がしないし。

 

 

 

 

 

 

 

 

「熊口さぁ~ん」

 

「ん、翠戻ったか……って勇儀……」

 

「人ん家に女を連れ込むなんて案外熊口も大胆だねぇ」

 

戻ってきたと思えば勇儀に首根っこ掴まれた翠が現れた。

 

「いや、そういうのじゃないから。守護霊だよ」

 

「なんだ、やっぱり幽霊だったのか。初めて見たよ」

 

「何度もいってたじゃないですか!」

 

「いや、遭遇した瞬間に『幽霊です!!』って言われても信じられるわけないだろ」

 

「私は見てたよ。生斗の背中から這い出てくるこの女の姿を」

 

「「うわ?!萃香(さん)?!」」

 

え?どこから出てきたんだ?!今目の前に萃香が発生したように見えたんだけど……

 

「なんだい、萃香。またストーカーじみたことしてたのかい?」

 

「ストーカーとは失礼だね。鬼の酒を飲んで潰れた生斗の事を見守ってやってただけだよ」

 

「いや、それならなんで姿を現さなかったんだよ……」

 

「ん、生斗がたまに独り言を言うからどんなのか気になってね。どんなのか調べてみようと思ったんだ」

 

「おいおい、看病する気0じゃねーか」

 

「看病するなんて一言もいってないよ」

 

それはそうだけどさ……

 

「やべぇ、頭痛が……ちょっと横になるわ」

 

「あ、熊口さんお水です。」

 

「ん、ありがとう」

 

「…………」

 

「…………」

 

「な、なんだよ」

 

「いや、お似合いだなぁって思って」

 

「まさか恋仲だったり?」

 

「「いや、それはない(です)」」

 

「ほら、息ぴったり」ニヤニヤ

 

「これはこれは……」ニヤニヤ

 

「ああもう!もう寝るから出てってくれ!!!」

 

 

「「熱いひとときを~」」

 

「煩い!!」 

 

 

なんだ一体、おれはそんな目で翠を見たことなんてないぞ!

取り敢えず二人を追い出しといた。……ああ、くそ、大声だしたせいで余計痛くなりやがった……

 

 

「熊口さん……」

 

「ん、なんだ?」

 

「ま、まさか私を性的な意味で食べようと萃香さん達を追い出したんですか?!」 

 

うわ、がちで引いた目でおれを見てきやがった!?そんなわけないだろうが!

 

「な分けないだろ……次そんなこと言ったら物理的な意味で襲うぞ」

 

「あ、すいません……」

 

睨んで答えたら安心したように謝罪を述べた。おいこいつ、本気でおれが性的な目でお前を見てたと思ってたのか!?

 

「お前がおれに性的な目で見てほしいならもうちょっと大人な雰囲気をかもちだしな」

 

「一生このままでいいです」

 

「ならよし」

 

よし、これで翠の不安を取り除いた事だし、寝るか。頭痛いけど頑張れば寝れるはずだ。

 

「おやすみ」

 

「お休みです。私は萃香さん達の所へいってますんで」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うん、やっぱり寝れないな。」

 

辺りはもう暗い。ちょっと奥の部屋では話し声が聞こえているがたぶん翠達だろう。

 

寝れはしなかったが頭の痛みはだいぶ引いてきた。

……一人になれるのは久しぶりだな。いつも翠か誰かと一緒にいたし。

 

「ああ、そういえば月にいったあいつら、元気してるかなぁ……」

 

もうおれにとっては何十年、あいつらにとってはもう何年か数えるのも面倒なぐらい会ってない。久しぶりに会いたいな……永琳さんやツクヨミ様、ごりごりおじさん(綿月大和隊長)、依姫や豊姫、

小野塚やトオル…………あとついでに教官。

 

「あいつら寿命が恐ろしく長いからたぶん生きてるよな、うん。いつか会えるさ」

 

そういいつつ、障子をあけて縁側にでて、月を眺めた。

 

「やっぱ月は綺麗だな。羨ましいよ、あんなところへ住めて……まあ、今の生活に不満があるわけではないけどさ」

 

月には行けなかったがその代わりにまた新しい繋がりができた。月に行けなかったことは惜しかったけどそこまで後悔はしてない。

 

「さて、痛みも引いてきたし皆のところへ行こうかな」

 

 

そういっておれは縁側から部屋に戻って、萃香達のいる部屋へ向かった。

 

 

前の事をいつまでもだらだら思ってたって良いことは殆どない。今を楽しまなければ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………旅にでてからは戦ってばかりで全然楽しくなかったけどな!!

 

 




あれ、後半ちょっとシリアスな感じになっちゃったりしました?
急に過去の話をするのは、なんとなくこれまで生斗くんが昔の事を振り返ってなかったので少しは入れさせてみようと思い書いてみました。

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