東方生還録   作:エゾ末

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ついに総話数が40話突破しました!
ここまで続けられたのも皆様が見てくれたおかげです!!


十四話 え、帰してくれないの?

「よし、帰るか!」

 

昨日、道義との勝負に勝ったおれは宿屋で一夜を過ごし、今日帰ることにした。

そして現在、おれは大和の国の門の前で優越感に浸っていた。

 

役目を終えるとこんなに開放感があるんだなぁ。例えるなら勉強を全然してないのにテストでまあまあ解けたときみたいな感じだ。まあ、そのテストは大抵予想の遥か下なんだけどね。

 

「っぐええっ!?」

 

と、前世の世界での失敗談のことを考えていたら後頭部から衝撃がきた。

 

「一体っ……なんだってん……だあぁ?!」

 

またもや頭に衝撃が来て、おれは意識が薄れていった。その意識が飛ぶ瞬間、おれを殴ったであろう輩の声がした。

 

「よし!連れて行け!!」

 

「は!…………しかしこんなことまでする必要があったのでしょうか?」

 

「昨日の道義様との戦いを見ただろう。だから試して見たのだが……どうやらそこまで大物では無かったようだな。あともしそうであっても手っ取り早く済んでいいだろう」

 

 

 

この声は…………たぶんここの兵士だろうか?

つーか上司っぽい奴!手っ取り早いてなんだ手っ取り早いて!!

 

そう上司っぽい奴に悪態をつきながらおれは意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目覚めたら神奈子さんのいる部屋にいた。まあ、予想はしてたよ。

 

「いやぁ、すまないねぇ。こんなことになってしまって」

 

「いや、悪いのはおれを連れてきたやつらですよ、神奈子さん。あとおれを連れてきた上司っぽい奴は後で一騎討ちを仕掛けます。」

 

「おお、それは困るな。私の国の戦力が削られてしまう。それに連れてこさせた者は道義の弟子だった奴なんだ。それなのにその師匠を無傷で倒されたのが気に食わなかったのもあるんじゃないか?」

 

「はあ、そんな事で気絶させられたのかよ…………

まあ、この話はおいておくとして。

 

神奈子さん、なんでおれを連れてきたんですか?おれ的にはもう帰りたいんですけど」

 

まさか昨日の約束やっぱ止めた。とかはないよな!?

内心この事で汗をかきつつ、おれは神奈子さんの返答をまった。

 

「酷いことを言うねぇ。まあ、悪い話じゃないさ」

 

「ほうほう」

 

「熊口生斗よ。私が洩矢の神。洩矢諏訪子との一騎討ちが終わるまでこの国に居てもらう」

 

「はえ?!」

 

なんで態々敵地にいなければならないんだよ。昨日と今日とで思ったけどここの皆おれを見るなりヒソヒソ話をしたり睨み付けられたりするから居心地最悪なんだけど。……まあ、宿屋のおっさんはやさしかったけど

 

 

「断る。……といったら?」

 

「熊口は断れない、いや、断らない。」

 

「断らない?」

 

「もし断った時は昨日の約束はどうなるんだろうな。まあ、頭の良い熊口には容易い事だとは思うが」

 

「……くっ」

 

「分かってくれたようだな。それじゃあこの首飾りを掛けてくれない?」

 

「一つ聞いていいです?なんでおれをこの国にひきとめるんですか?別にあの約束通り諏訪子を行かせますよ。ちゃんと一人で」

 

「いやぁ、そういうことじゃないんだよねぇ。…………と、話はここまで。取り敢えず付けてくれ。」

 

「はいはい、わかりました。っと。……それでこれは何なんですか?」

 

「契約みたいなものさね。これで熊口は私との約束を守らなければならなくなった。」

 

「いや、別にそんなことしなくてもここにいましたよ。」

 

「それは昨日の約束を無効にすると脅されたからだろう?」

 

「そ、そうですけど」

 

「私は一度した約束を破るような真似はしたくないんでね。しかし熊口にここに居てもらわなければ面白いことができないから少し嘘をついてしまったのさ」

 

「嘘だったんですか?……それでもその嘘をつき通せば結局はこの首飾りをつけさせる必要なんて

なかったくないですか?あと面白いことてなんですか!?」

 

「それは保険。もしかしたら私の心情を読み取ってわざと了承したふうに見せている可能性があったからね。あと面白いことは私と洩矢の神が戦う日までのお楽しみさ」

 

お楽しみってなんだあああぁぁ!!

取り敢えず話に戻ろう。

 

「そんな読心術を持っているわけないじゃないですか。それも神の」

 

「くくっ、まあいいさ。取り敢えずこれから宜しく。」

 

神奈子さんが俺のところにきて前に出してきた。

 

「はいはい、わかりましたよ」

 

前に出された手を握り握手をした。

 

 

 

 

 

 

「お楽しみってなんだ…………」

 

「いい加減諦めな……。」

 

「それじゃあおれの心の中に出来たしこりが取れないんですよ!」

 

「はあ…………仕方ないねぇ。それじゃあ一つ教えてやろう。

 

 

『洩矢の神との関係が深いほど面白味が増す。』

 

……あちゃ、ほぼ答えをいってしまったようなもんだ」

 

「いや、そんなこと言われても分かりませんよ。なんですかそれ。おれ諏訪子とはそんな関係なんかじゃないですよ。第一おれはロリコンじゃない。」

 

「ろりこん?……まあ、別に好い合っている仲とは限らないけどねぇ。家族愛とかそういうの」

 

「ああ、そういうことですね」

 

「まあ、教えるのはここまで。後は自分で考えな。それでもわからないときは1週間後まで我慢するんだね」

 

「ぐおぉお!!!絶対解いて見せるぜぇ!」

 

「その意気その意気」

 

 

 

結局おれは諏訪大戦までそのことについて分かることは無かったとさ。

 

ほんと、あーゆーことだったのね……

 

 




神奈子の台詞がわからない。どうしよう。

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