十一、四   作:なんじょ

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情報収集

「松本、こっちだ」

「あ、居た居た。お疲れ、一角。いいの? ほんとに奢ってもらっちゃって」

「おう。今日は好きなだけ飲め」

「やーった、気前いいじゃないっ♪」

「その代わり、だ。話聞かせろ」

「ん? 何の?」

「…………雪音の話だ」

「……あぁ、なるほど」

「何だよ」

「だって、いきなり酒奢るーなんて言いだすから、どんな裏があるのかと思ってたの。情報収集のためか」

「悪いかよ」

「いや、いいんじゃない? 付き合い始めは色々手探りでしょうし。で、何知りたいの」

「……あー……、その、あいつ、前はどんな奴と付き合ってたんだ?」

「うわ。いきなり元カレの話なの」

「う、うるせぇな、良いだろ。何だ、そいつとどこいったとか、何したとか、そんな話をだな」

「する事はしてたと思うけど。子供じゃないんだし」

「ばっ……、そ、そんなこと聞いてねぇだろが!」

「やーね、冗談でしょ冗談、そんなに動揺しなくてもいいのに」

「……命惜しかったら大概にしとけよ、てめぇ……」

「まぁまぁ。そうねー、前の彼氏ね。優しそうな感じだったと思うわよ。雪音のいう事何でも聞いて、リードしてあげてっていう。年上だったから、雪音の毒舌も流してあげられたのかな」

「……ほー」

「二人の時何してたかってのは、あんまり知らないわね。その辺は虎徹のほうが、話聞いてるんじゃない?

 買い物とか、ご飯食べにいったりとかじゃないの。あ、ちょっと遠出して、瀞霊廷の外に遊びにいったりしてた気がする」

「外に……なるほど」

「でもま、最後は自然消滅しちゃったみたいだけど」

「(そういや前、そんな話聞いたな)……何でだ?」

「雪音はねー、彼氏に時間割くより、仕事に打ち込んじゃうからねー。お互い忙しくてすれ違いばっかりになって、あとは消滅……って感じだったみたい。

 というか、話聞いてたら、いつもそんな終わり方になってるみたいよ。『仕事と俺、どっちが大事なんだよ』っていう」

「……男が言う台詞じゃねぇな、それ」

「まぁねぇ。でも、デートすっぽかして仕事してました、なんてことが続いたら、あんただって嫌でしょ?」

「そりゃ、まぁな」

「あの子元々、恋愛には淡白なのよね。自分から積極的に動くより、相手からのアプローチ受けて、とりあえず付き合ってって感じで。自分で告白するより、される方みたいだし」

「けっ、物好きな奴もいたもんだな」

「あんただってその内の一人じゃない」

「うっ……」

「ところで、ねね、あんたはどーやってあの子落としたの? やっぱ、一角から告白したの?」

「う、うるせぇな、そんなの関係ねぇだろ」

「何よー、人が親切に雪音の情報教えてあげてるのに、関係ないはないでしょ! ねーねー、教えなさいって、どうなのよ実際」

「だーっ、やかましい、絡みつくな! てめぇは酒でも飲んでろ!」




まだ付き合ってはいない。

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