十一、四   作:なんじょ

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ガールズトークのおはなし。


温泉会議

「わー、広い!」

「ほんと、すごく素敵じゃない。温泉なんて久しぶりね」

「そうそう。総隊長も気がきくわよねー、慰安旅行計画してくれるなんてさ」

「しかもこんな綺麗なところですもんね。早く入りましょうよ、乱菊さん、勇音。よいしょ……」

「はいはい、っと……あーあっつい、きもちいー! ねぇ雪音、……」

「? 何ですか、乱菊さん」

「いや、前から思ってたけどさぁ。雪音って良い身体してるわよね。そう思わない? 虎徹」

「ブハッ!」

「な、何言い出すんですか乱菊さん、いきなり」

「えーだってさ、ラインがエロイっていうか」

「意味わかんないから! っていうか、そんなん乱菊さんに言われても」

「何でよ」

「だって、乱菊さんのほうが胸大きいし。勇音だって」

「あたしは……その分、背大きいから。雪音くらいのほうが、可愛いわよ。……あっ、背の事よ、背丈の事!」

「そうそう。それに雪音のは形いいじゃないよ。こう、さわりたくなるっていうか」

「…………近寄らないで下さいよ」

「なによう、別に襲ったりしないってば」

「身体さわられるの、好きじゃないんです」

「えぇー? でも雪音みたいなタイプって、彼氏には甘えまくりっぽいんだけど」

「いや、別に甘えませんよ。今彼氏いないし」

「そうなの? 前つきあってなかったっけ?」

「とっくに別れました」

「そうそう、それ聞こうと思ってたの。どうして別れちゃったの? 優しそうな、いい人だったのに」

「ん~~、何でだろう……。仕事忙しくなって、自然消滅……みたいな感じになっちゃった気が」

「そうなんだ。もったいない、お金持ってそうだったのに」

「どういう基準で彼氏選んでるんですか、乱菊さん……。というか、乱菊さんは彼いないんですか?」

「いないわねぇ」

「作らないんですか?」

「うん、乱菊さんだったらモテモテでしょう」

「ん~、今はそういうの、面倒なのよね。束縛されるの嫌いなの」

「あ、それ分かる。あたしもいちいち口出しされるの、嫌い」

「彼氏彼女だからって、四六時中一緒にいたら、息つまらない?」

「そうそう、そう思う。たまには一人でのんびりしたいですよね」

「女同士で飲みに行ったりね」

「あーいいですね。あがったら、食堂行ってみます? 地酒とか色々種類あるみたいでしたよ」

「あら良いわねー、いきましょ」

「ま、また飲むんですか……」

「とーぜん。まだまだいくわよ、虎徹。……でもさぁ、雪音」

「はい?」

「ほんとに彼氏いらないの? まだ若いんだし、色々遊んでおいたほうがいいんじゃない?」

「いや、遊びって。男遊びするつもりは無いですから。そもそも乱菊さんとそう変わらないっていうのに。

 ……良いんです。今は仕事の方が楽しいし、気になる人もいないし」

「雪音や虎徹のタイプってどんなよ」

「そ、そんな、タイプなんて」

「ん、ん~……急に言われても」

「護廷十三隊で一人くらいはいるでしょ? タイプの人が」

「え、そういう縛り付き?」

「え、えーと……うーん……」

「藍染隊長……とか?」

「え、そうなんだ。意外」

「何でですか」

「だって雪音、藍染隊長の事苦手じゃないの」

「苦手、っていうか……藍染隊長って、すごくまともで、すごくきちんとした方でしょう。

 あたしはこう、考えもなしにばーっと口走っちゃうから、失礼ないように、と思うと緊張しちゃうんです。

 でも、それ抜きで言えば、穏やかで優しい方だし、気配り上手っぽいなぁって」

「ふーん、そういうのがタイプなんだ。虎徹は?」

「あたしは……射場さん?」

「渋ッ!!」

「な、何で? 勇音って、射場さんと仲良かったっけ」

「あ、ううん、ちょっと話した事あるってだけだけど。でも何かこう、包容力ありそうだなぁって。大人の男性って感じがしない?」

「え、えぇっと……コメントに困るな。あー、乱菊さんは?」

「あたし? あたしは……朽木隊長?」

「えっ。それこそ意外。そりゃ格好良いけど、朽木隊長って付き合いにくそうじゃありません?」

「甘いわね、雪音。ああいうタイプは得てして、自分の懐に入れた人間にはとことん弱いのよ。

 一度気を許したら、どんな我が儘も、最後には絶対聞いてくれるんだから」

「はぁ、そういうものですか」

「あるいはうちの隊長もいいかなー。いつも仕事手伝ってくれて、ぶっきらぼうだけど優しいし」

「……いや、それは乱菊さんが仕事さぼりまくるからじゃ……」

「そもそも、見た目に犯罪っぽい……」

「後は誰かなー、あんまりいい男いないわよね、護廷十三隊って」

「スルーですか。いいけど。……あ、檜佐木君は? 乱菊さんのこと、好きですよね」

「あぁ駄目駄目。頼りないし馬鹿だもん、あいつ」

「ひ、ひどい……そこまでバッサリ斬らなくても……」

「可愛いところはあるけど、ま、ただの飲み友達だわね」

「……じゃあ、後は……。そういえば市丸隊長って、乱菊さんの同期じゃなかったでしたっけ」

「……あぁ、まあね」

「……そういうの、なさそうですね」

「無いわね。今じゃ特に付き合いもないし」

「そうですか」

「雪音は?」

「はい?」

「周囲にちらほら男がいるじゃないの。恋次とかどうなのよ」

「阿散井君? いや、どうって。別にどうとも」

「嘘、結構かわいがってるじゃないの。甲斐甲斐しく怪我の治療しちゃって」

「それ仕事だから。それに阿散井君、朽木さんが好きっぽいし」

「朽木さん?」

「ほら、十三番隊の子ですよ」

「あぁ、朽木ルキアのほうね。びっくりした、朽木隊長に惚れてるのかと思ったじゃない」

「そういう薄ら寒い冗談はやめてくださいよ……」

「あんたの言い方が悪いんでしょ。でもそうなんだ、恋次って朽木が好きなんだ」

「いえ、異性として好きかどうかは知りませんけど、でも大切に思ってるっぽいから。そういう相手がいる人は、恋愛対象にならないです。

 それに阿散井君自身、まぁ、年下の男の子って感じで可愛いなぁとは思いますけど、そういう風には見た事ないですよ」

「か、可愛い……?」

「うん、勇音はそう思わない?」

「……ノーコメントでお願いします」

「じゃあ……やっぱり一角とか」

「何で、やっぱり、一角なんですか、よりによって」

「仲良いじゃないの、あんた達。ねぇ?」

「えぇ、まぁ、そうですね」

「あんなに喧嘩しまくりなのに、どこをどうしたら仲良しに見えるのよ」

「それはあれでしょ。喧嘩するほど、とか、夫婦げんかは、っていう類の」

「夫婦じゃないから。あと一角は違うから」

「何で? 好みじゃないから?」

「そりゃそうですよ。あーんな目つき悪くてハゲで態度でかくて、鉄砲玉みたいに飛び出していったと思ったら、血まみれで帰ってくるような阿呆、だーれが」

「ふーん……」

「そう……」

「……何で二人して、ニヤニヤしてるんですか」

「えっ、あ、ニヤニヤなんてしてないわよっ」

「べっつにぃ。そろそろ上がろうかな」

「ちょっと、何か勘違いしてません?」

「なにがぁ?」

「なにがぁ、ってちょっと待って下さいよ!」

「あっ、待って、雪音! 走ると転ぶわよ!」

 

 

「……だってさ、一角」

「うるせぇよ」

「僕は何も言ってないよ?」

「うるせぇってんだ、黙れ畜生!」

「一角ー、今上がると鉢合わせだよー、って行っちゃったよ。しょうがないなぁ。修兵、そのままだと溺死するよ」




勇音は何となく渋好みなイメージなのでねつ造ですw

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