十一、四   作:なんじょ

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愛しき、世界

 遠くなった記憶は、不意に蘇る。恐怖と、感謝を伴って。

 

 次の瞬間目の前には、めちゃくちゃに破壊された町並みと、死体の山が広がっていた。萎えた体は動かす事も叶わず、否応なしにその光景を網膜に焼き付ける。

 死体の山。ちぎれた手足、溢れ出す血、何も語らない虚ろな目。

 先ほどまで確かに生きていたそれらは皆動かない、ただの肉塊に変じていた。

「……ぁ……」

 声にならない声が、口からこぼれた。同時に吐き気がこみ上げてきて、体を折って地面にはいつくばると、何もない腹の中から苦いものがせりあげ、黄色い液体があふれ出す。

 体をひくひくさせながら何度も吐いて、ようやくおさまった頃、ふらりとよろけて地面に倒れた。

 指一本、動かせない。頭がぼうっとして、耳鳴りがする。吐しゃ物のすっぱい臭いが鼻をふさぐ。

 死。

 その言葉は知らなかったが、今目の前に、生死の境があるのは本能的にわかっていた。恐ろしさは無かった。もう、苦しまなくてよいのだと思うと、かすかな喜びが心を掠めた。

 今度こそ、死が訪れる。

「……ぁあっ……」

 僅かにもがいて、目を閉じた。闇の中は不思議な安らぎに満ちていて、暖かいように思えた。

 

 しかし、闇はそう長く続かなかった。

「……な……かり……」

 鈴を震わすような、やわらかい声が降ってくる。あたかもその声が、温もりをもたらしてくれるかのようだった。

 冷え切った体にじんわりと温みが染み、徐々に意識を引き上げられていく。

「……聞こえ……か? ……私の声が、わかりますか?」

「……っ……」

 ぼんやり、と目を開く。ぶれた視界に影が映った。暖かさが全身を覆い、何度か瞬きを繰り返していたら、影が人のそれだということがわかってきた。

 大人。大人の女。黒髪を長く伸ばした、穏やかな表情の、女。

「しっかりなさい。もう、大丈夫ですよ」

 女は、光を纏っていた。やさしい微笑みは白い輝きを帯び、目がつぶれそうなほど美しく見えた。

「……ぁっ……」

 たじろいで、逃げようと動きかけたが、女がそれを止めた。手を伸ばしてこちらの体を抱き上げ、腕の中に抱える。

「大丈夫。怖い事はもうありませんよ。今は、お休みなさい」

 先ほどとはまた違う、温もり。体を包み込む柔らかい感触は、なぜだかひどく安心させられる。息を吐いて、目を閉じた。

 再び闇に覆われたが、今度のそれはどこか冷たく、よそよそしかった。

 

* * *

 

 暖かい。寒くないし、痛くもない。くさい臭いもしない。むしろ、甘い匂いがする。

 目を開くと、天井が目に入った。整然と格子状に並んだ天井は見た事が無くて、何度も瞬きをする。

(どこ?)

 起きあがろうと身じろぎしたが、体が重くて動かない。と、枕元で水の音がした。

「目が覚めましたか」

 視線を向けると、そこには大人の女が居た。長い黒髪を編み、黒い着物に白い羽織を着たその人は、目を細めてにっこり微笑む。

「気分はどうですか? 熱は下がったようですが、どこか痛むところはありますか」

 穏やかなその声が自分に向けられてると知って、居心地が悪くなる。

 こんな風に優しく声をかけてくれる大人には今まで出会った事がなかったから、どう答えていいのか分からない。

 驚くほど柔らかい布団の中でもぞもぞ動きながら、首を振ると、女はそうですか、と言って、こちらの額に濡れた布を置いた。

「無理をしてはいけませんよ。あなたは、二週間も眠り続けていたのですから。少し、食べられますか?」

 傷一つ無い白い手が、頬に触れた。しっとりした感触に驚くも、食べる、という言葉のほうに意識がいった。

 食べる、食べられるの?

 目で訴えると、女はまた笑みを浮かべて、

「良かった、食欲はあるのですね。今、おかゆを持ってきますから、少しお待ちなさい」

す、と静かな所作で立ち上がり、部屋を出て行った。その後ろ姿をぎょろ、と動かした目だけで見送り、もう一度天井を見る。

(どこ。だれ)

 少なくとも、自分が今まで暮らしてきた場所でない事は、確かだ。あそこはこれほど静かでも、綺麗でもなかった。

 何故、自分はここに居るのだろう。記憶を辿ろうとしたら、頭にずき、と強い痛みが走って、思わず身が縮こまる。

(わかんない)

 痛みに顔をしかめて、目を閉じる。する、と睡魔が忍び寄ってきて、すぐに何もかも感じなくなった。

 

 目が覚めたのは、食欲をそそる暖かい匂いがしたからだった。ぱ、と目を開いて顔を動かすと、さっきの女が皿と水差しを枕元に置いたところだった。

「あら、起きたのですね。よく眠っていたと思ったのだけれど」

 女の言葉は、耳に入ってすぐに抜ける。今は、皿に目が釘付けだった。

 ほかほかと白い湯気をたてるそれには、白い飯がつやつやと光輝いて盛られている。ぐう、と腹が鳴った。盛大なその音に、女は目を丸くした後、小さく笑った。

「ふふ。では、食べましょうか」

 さじで飯をすくって、ふー、ふー、と息を吹きかけて、こちらの口に添えてくる。

 白い飯はするり、と口の中に入ってきた。ほとんど噛まずに飲むと、暖かく甘い味がじんわり、喉を通っていくのが分かる。

「……っ」

 もっと食べたい。そう思ってさじに噛み付いたら、女は「慌てないで。急いで食べると、お腹がびっくりしてしまいますよ」と、口に運んでくれた。

 少しずつだったので物足りなく感じたが、皿が空になる頃には、腹もくちくなった。

「これをお飲みなさい。お薬ですから、楽になりますよ」

 女は水差しをこちらの口にくわえさせた。

 何日かぶりに飲む水は、しかしあの街で飲んでいたそれとは違い、冷たく、甘く、少し苦い、不思議な味がする。

 こくこく、と飲み干すと、体全体がぽかぽか暖かくなって、先ほどの急速な睡魔とは違う、緩慢な眠りが忍び寄ってくるのが分かる。

「……ゆっくり、お眠りなさい。次に目が覚めた時には、もっと良くなっていますよ」

 女は水差しを置いて、頭を撫でてきた。素直に頷いて目を閉じると、これまで感じた事がないほど優しい眠りが、押し寄せてきた。

 

 女の言う通り、眠りから覚めるたびに、体の具合はどんどん良くなっていった。

 目覚めてから一週間後には起きあがれるようになり、食事も普通に取れるようになった。

 女は、卯ノ花 烈と言った。ここがあの街ではなく、瀞霊廷というところにある部屋だ、という事も教えてもらった。

「あなたの名前は、何というのですか?」

 そう尋ねられて、ゆきね、と答える。

 誰がつけたのか知らない、記憶の片隅に残っていた、自分の名前。

 あの街では、おい、とか、こら、とか、そこの、とか、そんな風にしか呼ばれなかったから、名前なんて忘れかけていた。意味があるとも思っていなかった。

 けれど、烈と呼んで欲しいと言った女は、にっこり笑って、

「そう。雪音、ですか。良い名前ですね。あなたは、雪を見た事がありますか?

 ……無いのですね。それならば、今度見せてあげましょう。雪は空から降り注いで、広い大地を一面、純白に染め上げて、それは美しいものです。

 あなたの名前は、とても綺麗な名前なのですよ」

 そういって頭を撫でてくれた。綺麗、なんて言われた事がなかったから、雪音は俯いた。どうしたのですか、と聞かれ、

「……わかんない。ことば、いえない」

拙い口調で言う。話をしている内に、雪音のぎこちない言葉の意味をくみ取るようになっていた烈は、顔をのぞき込んできた。

「ほめられた時、どういって良いか、分からないという事ですか?」

「……う」

 頷く。

「そのような時は、こう言えば良いのですよ。――ありがとう、と」

「あ……あり? ……」

「ありがとう。相手の気持ちを受け入れ、感謝する言葉です。言ってご覧なさい」

「あ……ありが、とう」

「そう。良く出来ましたね」

 烈は嬉しそうに顔をほころばせて、雪音の顔を手で包み込んだ。

 与えられた絹の服のように滑らかなその手は、とまどいを覚えるほどに温かかった。

 

 

 総隊長の執務室に、墨の匂いが漂う。

書類にさらさらと筆を滑らせながら、山本元柳斎重國はそれで、と問うた。

「あの子供の様子はどうじゃ、卯ノ花」

 報告を終えた卯ノ花は、わずかに目線を下げた。

「酷く衰弱しています。まだ幼いものですから、あの場で何が起きたか聞き出すには、時間が必要となりましょう」

 死に満ちた街の中で唯一見つけた、あの子供。

 発見した際、血にまみれ怯えきった様子から、いとけない瞳でさぞ恐ろしいものを目撃したに違いない。

 そう思うと、哀れで胸がしめつけられるような思いがする。

「出来うるのならば」

 これが許されるのかどうか、分からない。だが言わなければ後悔するだろう。卯ノ花は山本と視線を合わせ、穏やかに言った。

「出来うるのならば、わたくしは、あの子を預かりたいと思っています。少なくとも、日常生活を送れるようになるまでは」

「ふむ」

 山本は顎髭をしごいて唸った。考え込む様子でしばらく黙り込んだ後、よかろう、と頷く。

「世話はおぬしに任せる。時間がかかってもかまわん。今回の事態について、少しでも聞き出すように。何しろ、あの子供は唯一の目撃者じゃからの」

「……はい」

 卯ノ花は静かに頭を垂れた。その時が、まだ先である事に少しほっとして。

 

* * *

 

 子供の名は、雪音と言った。

 言葉がたどたどしく、大人を見るといつも怯えた目をして逃げようとするから、あの街ではよほど酷い暮らしをしていたのだろう。

 やせこけ、あちこちに暴力の跡を残した体も哀れで、治療に当たっている間、卯ノ花は涙がこぼれるのを禁じ得なかった。

 そしてつきっきりで看病しようと決意し、隊舎にある卯ノ花の自室で起臥させ、隊長職の傍ら、根気よく世話を続けた。

 その献身的な介護のためか、最初の内は目を合わせる事無く、ただひたすら怯えていた雪音は、徐々に緊張を解していった。

 身体がすっかり回復した頃には、卯ノ花の後をどこへでもついて行くようになるほどに、なついた。

 一度部屋の外に出ると雪音は、その目に映るもの全てが物珍しいのか、瞳を大きく開いて、きょろきょろと落ちつきなく辺りを見、興味のあるものには躊躇いなく手を伸ばした。

 しかし誰かに話しかけられると、さっと卯ノ花の後ろに隠れてしまう。

 卯ノ花はそんな雪音へ常に優しく暖かい言葉をかけ、その手をとって導き、夜は添い寝をして寝付くまで子守歌を歌った。

 卯ノ花は子供を持った事は無い。

 だが、もし自分の子がいれば、こんな風なのだろうと思えたから、自然、愛着がわいた。

 だから雪音を預かり、一年が経過した頃。

 そろそろ事の真相を聞きたいと総隊長から催促された際には、胸がつぶれそうな思いで、彼女を伴い、執務室を訪れた。

 

「おうおう、雪音よ。この間よりもまた、美人になったの」

 雪音を前にした山本は、護廷十三隊の総隊長というよりは、孫を可愛がる祖父のようだった。

 目尻をさげて微笑み、あめ玉を雪音の手に握らせる。

「ありがとう、山本おじいちゃん。これ、好き。甘くておいしい」

 雪音は恥ずかしそうに、しかしはっきりした口調で答えた。その可愛らしい様子に、山本はますます笑み崩れた。

 しかし、来賓室へ卯ノ花と共に招き入れ、給仕が茶と菓子を差し出して下がってから、山本はすぐに本題を切り出した。

「それでどうじゃ、卯ノ花。雪音はあの時の事をなんぞ、語ったかの?

 以前は話そうとすると、頭が痛くなる、というておったが」

 卯ノ花は顔を曇らせた。

「いいえ。ですが時折、夢を見ているようで、うなされて跳ね起きる事があります。

 言葉に出して言いはしませんが、おそらく、少しずつは思い出しているのでしょう」

「そうか」

 山本は、無心にあめ玉をしゃぶる雪音を見て、目を細めた。

 少し間を置いたのは、山本もまた、あの時の惨事をこの幼子の胸に蘇らせる事が哀れと思ったからだ。

 しかし総隊長は雪音の顔をのぞき込むと、穏やかな、それでいて拒絶することを許さない強さで語りかけた。

「雪音。一つお主に聞きたい事があるんじゃ」

「?」

 真剣な様子に何事かと、顔をあげる雪音。

「お主が生まれ育った、あの街――骸鴉(むくろがらす)の事を、聞きたい」

「!」

 雪音の顔がこわばる。問いを拒むように、小さな手が卯ノ花の羽織を握りしめた。山本はそれを見て、穏和に微笑む。

「うむ、思い出すのは怖かろう。辛かろう。

 じゃが、わしらはあの街で、いったい何が起きたのかを知らねばならぬ。なぜあのような惨状となったのか、知らねばならぬ。

 それを知っておるのは、雪音、お主だけじゃ」

 雪音の華奢な身体が震え始める。

「ほんの少しでも良い。お主があの時何を見たか――語ってはくれぬか。お主の言葉だけが、唯一の手がかりなのじゃ」

「……」

「雪音」

 言葉を失ったかのように、雪音の唇だけが動く。卯ノ花はその背をそっと撫でて、名を呼んだ。

 雪音は卯ノ花の顔を見上げ、泣きそうな表情でしがみついてきた。

「……て」

 肩に手を回した卯ノ花に、鼓動の音が伝わってくるほど動揺しながら、雪音が小さく呟く。

 身を乗り出して耳を傾ける山本の目を、怯える小動物のように落ちつきない瞳で見つめ返しながら、

「手が、ぶった」

震える言葉を、紡ぎ出した。

 

 手が、ぶった。壺、落ちた。地面、濡れた。手、ぶった。何度も、ぶった。白。黒。気持ちわるい。お腹、けられた。吐いた。頭、ふまれた。赤い。痛い。

 耳がきーんとなった。音。たくさん、音。さっきより、いたい。すごくいたい。頭われる。耳いたい。じめん、ゆれる。

 あつい。お湯みたいにあつい。音。どくどく。耳こわれる。かわく。見えない。白とくろ。たくさん、ひと。おなじひと、なんにんも。こえ。こえ。知らないこえ。ゆれる。ぜんぶゆれる。じめん、われた。

 じめん、われた。ゆれた。こえ。おおきいこえ。おとな、さけんだ。しろ。ひかり。くろ。ぜんぶみえない。きこえない。まっしろ。ぜんぶまっしろ。ぜんぶ。ぜんぶ、ぜんぶ……

 

「……雪音!」

 不意に雪音の身体が痙攣したかと思うと、床に落ちた。

 がくがく震える身体がど、と大きくのけぞる。驚いて伸びた卯ノ花の手が、雪音の身体に触れるより前に、

 バシッ!

 大きな破裂音をたてて弾かれる。

「!」

 卯ノ花は目を見張った。

 白目を向き、えびぞりになりながら痙攣する少女は、不意に喉の奥から笑い声をしぼりだした。

 気が触れたように明るいその笑いと共に、目に見えるほど濃密な霊圧がど、と噴き出した。

 霊圧は一度もがくように小さくなった後、渦を巻いて部屋の中に吹き荒れた。

 烈風を伴った霊圧で卓や椅子が弾き飛ばされ、窓ガラスが粉々に砕け散る。

「総隊長!」

 吹き付ける霊圧に押されながら卯ノ花が叫んだ時には、山本はすでに行動していた。

「縛道の三十二、過墜天!」

 裂帛の気合いと共に紡ぎ出された白色の巨大な光が、吹き荒れる霊圧の上にのしかかった。

 一時、光と霊圧の力は拮抗してきしみ、耳障りな甲高い音を奏でたが、しかし次の瞬間光が霊圧を飲み込み、破裂し、降り注いだ。

「雪音……!」

 まぶしさに目を半ば閉じながら、卯ノ花は名を呼ぶ。

 光の雨の中、体を丸めた少女は、床の上でひくひく蠢く。卯ノ花はとっさに駆け寄って、脈をとり、口元に手をあて、まぶたをめくった。

「卯ノ花、どうじゃ。加減はしたが」

 山本もそのそばに膝をついて、雪音をのぞき込む。卯ノ花は、ほ、と息をついた。手をかざして治癒の光を注ぎながら、

「大丈夫。気絶しているだけです」

「そうか」

 山本も音の無いため息を吐いて、それから部屋の中を見渡した。

 整然と片付けられていた部屋はいまや見る影もなかった。

 卓や椅子は半ばひしゃげてひっくり返り、壷は砕けて飛び散り、ずたずたに裂けた壁掛けがぷらんとぶら下がり、書類は散らばって、枠の弾けとんだ窓からひらひら飛んでいく。

 コレクションの和食器がことごとくひび割れているのを見て、山本がむぅ、と思わず肩を落とした時、

「総隊長、これは……何事ですか?!」

騒ぎを聞きつけた副隊長の雀部長次郎が、貴賓室に飛び込んできた。惨状に驚いて足を止めるのに山本が向き直り、

「不測の事態じゃ、騒ぎにするな。急ぎここを片付けい」

 ぴしゃり、と疑問を受け付けずに言い放ったので、雀部は背筋を伸ばして「はっ」と応えた。そして、使用人を呼ぶため、足早に去る。

 それを見送った山本は、卯ノ花の腕に抱かれた雪音を見下ろした。

 先ほどまでりんごのように頬を赤らめ、嬉しそうに飴をしゃぶっていた幼子は、紙のように真っ白な顔色で、目を閉じたまま、ぶるぶる震えている。

「卯ノ花」

 呼びかけに顔を上げた卯ノ花の表情は固い。

「雪音の力、お主は知っておったか」

「……いいえ。多少の霊力を持ち合わせているのは承知しておりましたが、まさかこのような……」

「わしも気づかなんだ。先の力、自身の魂魄さえ壊しかねぬほどの大きさ。しかも、まだ霊圧は上がると見た」

「…………はい」

 卯ノ花はぎゅ、と雪音を抱きしめる。

 珍しく恐れを含んだその表情は、おそらく山本と同じ可能性を考えてるのだろうと思う。

 山本は、しゅ、と髭をしごいた。うっすらと目を開き、

「卯ノ花、空躯(からむくろ)の件。技術開発局と協力して、至急調査を進めよ。……極秘にの」

 優しく聞こえるほど穏やかな声で言うと、卯ノ花はハッと顔をあげ、それから頷いた。

 雪音を抱く手に、震えるほどの力を込めて。


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