最近全然確認していなかったため今日初めて気が付きました。
桐那宇宙様ご指摘ありがとうございます。
次からは同じ間違いをしない様に気をつけますので、これからもよろしくお願いします
結果は俺たちの勝ち。カウントは6-5。ただ
「試合に勝って勝負に負けた。そんな気分だわ」
雪ノ下がそう告げる。
全くその通りである。
高く上がったボールを追う縦ロールは文字通りボールに目を奪われていた。周りを見ずに下がっていった縦ロールがフェンスに直撃するのをトーストが防いだ。
たったそれだけのことだがトップカースト勢のハプニングで辺りからは変なコールが聞こえてくる始末。そんな青春ラブコメは絶対に間違っていると思う俺がいる。
つか誰だよ、葉山の事をトーストって呼び始めた奴は。お腹空いてくるだろ。
ってことで勝負に勝った俺たちは最終日まで戸塚との特訓を終え、週を開けた月曜日の放課後。奉仕部での反省会が開かれていた。
金曜日の練習が終わると戸塚は
「練習ありがとうございました。自身も少しだけついたし、部員を引っ張っていける様に頑張るね」
と満面の笑みで言ってくれた。
「練習に手伝った期間はたったの2週間、戸塚の技術は上がったのかはわからない。それでも戸塚自身に自信が付いたなら俺たちの役目は果たされたんだと思うぞ」
少し納得いっていない様な顔をしている雪ノ下。多分だが、あの試合に戸塚が出れなかったのを残念に思っているのだろう。葉山達と頑張って試合しているのを見れば付いてくる部員が出る、そう思っているのかもしれない。だから俺は続ける。
「戸塚には実力がある。これまでは自信がなかったから部員を纏められなかった。でももう大丈夫、戸塚はやるさ」
「そうね。戸塚君なら大丈夫よね」
「そうだよ!彩ちゃんならいい部長さんになれるよ」
意見は纏り、次の議題はなんだ?そういう意味で雪ノ下を見ると
「今日の部活は以上よ。帰りましょうか。私が鍵を返すから早く出てちょうだい」
雪ノ下はカップの洗浄、由比ヶ浜は机拭き、俺は椅子を片付けるというそれぞれの分担を終えると各々が荷物を纏めだす。
「ねぇゆきのん、今日は早く終わったし一緒に遊びにいかない?」
「由比ヶ浜さん、登下校時の寄り道は校則違反よ。それに再来週からテストなのだけれど、遊んでいる余裕はあるのかしら?」
「そんな校則あったっけ?じゃあ一回帰ってから勉強会しよ!えーっと駅前のガ○ト集合でよかった?」
「ちょっと待ってちょうだい。どうして行くことが決定しているのかしら」
雪ノ下が行くことは決定した様だ。
今の流れから行かないという選択肢に持っていくのは見ものかも知れない。が、かの雪ノ下でも理屈が通用しない由比ヶ浜を説得するのは無理だろう。
つうか由比ヶ浜、何でそんなに雪ノ下にベタベタしてんだよ。
別に誰がゆるゆりしてても俺には関係ないからいいんだが目の前で繰り広げるのは良くないと思う。
「ヒッキー」
あ、あれか。お前みたいな奴が存在を認められてるとおもってんのか、ってことなのか?
「ねぇヒッキーってば!」
イジメいくない......って総武高にはイジメはないんだった。
「ねぇ、話きいてる!」
思考を止めると前には上目遣いでちょっと怒った顔をしているのガハマさん。
「.......あぁ、聞いてたぞ」
何も聞いていない俺は取り敢えず話を合わす。これぞ長いぼっち生活で培われた技だ。
「じゃあ比企谷君は賛成ってことでいいかしら?」
「そういう事だな」
「良かったわね。比企谷君も参加する様よ由比ヶ浜さん。それじゃあ行きましょうか」
由比ヶ浜は一瞬意味がわからないという表情をするが、流石空気を読むのに長けている。その表情を隠すと
「やったぁ!じゃあ早く行こうよ、ゆきのん、ヒッキー」
と喜びを表す。
「ちょっと待ってくれ。そんな話してなかった筈だ......よな?それに俺にはこの後用事が.........」
「うそ!(嘘ね)」
例え嘘だろうが本当だろうが最後まで言わしてください。
「いや、本当だから。今日は俺が飯の当番なんだよ。だから今日は無理だ」
と、いきなり携帯を取り出した由比ヶ浜はいじり始める。
いきなり始めたと思ったら同様にいきなり弄るのをやめる。
一体何をしているんだ。
そう思っていると携帯が振動し内容を確認した由比ヶ浜は表情を暗くして
「ほんとみたいだよ、ゆきのん。ヒッキーは週5日でご飯作ってるみたい」
「仕方ないわね。今日は諦めて帰って次の機会を待ちましょう」
こいつ俺を使って上手く回避しやがった。まさか逃げるためだけにここまで計算していたのか.......。
.......由比ヶ浜が何か物欲しそうな顔で携帯を見つつこっちを見ている。
「あー、あれだ。ほれ俺の携帯。雪ノ下も携帯だせよ」
由比ヶ浜の顔がパーっと明るくなる。どうやらこれで正解だったらしい。
俺が携帯を机の上に置くとそれに倣って雪ノ下も置く。
雪ノ下はというと満更ではない様で少し顔を赤らめている。
操作方法の分からない俺と雪ノ下の携帯を一通り由比ヶ浜が設定すると解散となった。
「小町〜ぃ、たでーま」
「おかえり、おにーちゃん。結衣さんからメールきたけどなんだったの?」
「あぁ、勉強会をしないかって誘われてな。今日はおれの飯当番だって言ったんだ」
今までハテナを浮かべていた顔から納得いったのか表情が晴れている。
「お兄ちゃん行ってくれば良かったのに。どうせパパんやママん帰ってくる前に帰ってこれたでしょ。ていうか小町が作ったって良かったのに。あ、これ小町的にポイント高い!」
「最後のがなかったら良かったんだが.....。
まあ小町は週2回ご飯作ってくれてるだろ、それで十分だ。兄孝行ならうちの高校に受かってくれればいい。そうすりゃ一緒に通えるしな」
「ちょ、お兄ちゃん。なに言ってんの!
ただでさえダメ男なのにそんな事言っちゃダメでしょ!ヒモになりたいの!」
心から思っていた事を言ったら顔を真っ赤にした小町に怒られた。
そんなに真っ赤になって怒らなくたっていいんじゃないですか小町さん。
流石の俺も堪えますから........。
俺は制服から室内着に着替え台所に立つ。小町も休憩するのだろう、リビングのソファに腰を下ろす。
と、急に真面目な顔をする小町。
「そいえば.....最近どうなの?学校とか、.........部活とか」
俺は冷蔵庫の中身を確認しながら
「そういや今日、終わった依頼の反省会をしていたんだ。俺的には依頼者は満足してた様に見えたし成功したんじゃねぇの。俺は知らんけど」
小町はそれを聞くと笑いだした。
「何それ?でもお兄ちゃんらしくて良い答えだね。それでね、もし小町も依頼が出来たら聞いてくれる?」
本当に表情がコロコロと変わる奴だ。この短い間でも5つも見られた。我が妹ながらすごいと思う。
っと質問に答えないとな。
俺はキッチンからリビングに移動し小町の隣に腰を下ろす。
「おう、当たり前だ。お兄ちゃんにまかしとけ!」