ダンジョンに錬金術師がいるのは間違っているだろうか   作:路地裏の作者

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その頃僕らは、それが世界の真実だと信じていた――


一章
第1話 プロローグ


 ――痛みを伴わない教訓には意義がない

 ――何かを得るためにはそれと同等の代価が必要になる

 ――人は何かの犠牲なしに何も得ることはできないのだから

 

 広大な地下迷宮、ダンジョンを抱える一大都市≪オラリオ≫。今日も今日とて地下迷宮には勇壮な戦の音が――。

 

「うわああああああああッ!?」

「オイ、コラ、ベル! 戦わなきゃ、いつまでたっても経験値(エクセリア)溜まんねーぞっ!?」

 

 ――訂正。悲鳴とツッコミが響き渡っていた。

 

「いやいやいや?! ダンジョン入って一週間で、コボルト五体はキツイからね!?」

 

 そう言いながら必死になって逃げるのは白髪に深紅(ルベライト)の瞳のヒューマン。現在、≪ヘスティア・ファミリア≫唯一(・・)の団員。『ベル・クラネル』という少年だ。

 

「だあああッ! 標的(タゲ)をこっちへやるな!! ッ、しゃーねぇ!!」

 

 敵の攻撃をかいくぐり、しのいでいるのは金髪の三つ編みを翻す金眼の小人族(パルゥム)。彼こそ、この物語の主人公。≪ミアハ・ファミリア≫所属、『冒険者見習い』兼『『青の薬舗』店員見習い』、『エド・エルリック』というベルと同い年の少年だ。

 

 パアンッ!と、乾いた音が戦場に響き渡る。コボルトの攻撃をかわしていたエドが、その両手を身体の前で打ち鳴らしたのだ。

 

「【一は全、全は一】ィッ!!」

 

 彼だけが持つ魔法の詠唱とともに、エドの両手が地面に触れる。その瞬間、触れた場所を中心に青い雷光が走り抜け、地面が轟音を立てた。

 

「うおおおおおおおッ!!」

 

 地面がまるでトゲのように隆起し、周りに殺到していたコボルトを串刺しにした。

 

『『ギィィィイイイイッ!!』』

 

 犬の頭を持つモンスターの断末魔が響き渡る中、運良く攻撃の範囲外だった一匹がエドの右腕にかじりつく。

 

『ギッ……ギ? ギギ、ギィィ!?』

 

 噛み付いた腕を噛み千切ろうとするが、すぐに異変に気づき、ジタバタと暴れ出した。

 

「どうした、犬ッコロ? しっかり――――味わえよ!!」

 

 噛み付いたままのコボルトを蹴り上げ、口内の牙をへし折る。衣服が破れ、露わとなったのは、鋼で出来た義手、≪機械鎧(オートメイル)≫。

 

「来いよ、怪物(モンスター)ども! 格の違いってやつを見せてやる!!」

 

 その少年は、異世界の法則を扱う者。魂のみでこの地に降り立ち、喪った手足に代わり、憧れたチカラを操る、完全なる異常存在(イレギュラー)

 

 その者の名は、『錬金術師』。何かを得る代わりに、同等の代価を差し出す者。これは、『等価交換』に縛られた探究者が、失くした脚で歩む『眷族の物語(ファミリア・ミィス)』――。

 




始まりました、作者初のオリ主転生チートもの!
原作は今流行りの『ダンまち』です!

本当はもう少しストックが溜まるまで待つつもりだったんですが、投稿作品を見てたら全く同じクロス先が……。内容に重複が出ない内に、第一話だけ投稿することにしました!しばらくはストックを定期的に投稿しようと思います!

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