復讐異世界旅行記   作:ダス・ライヒ

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次回でこの章は終わりです。

そんでもってスーパー高橋大戦(リアルロボット限定)


モナド攻略戦

 遂にモナド攻略作戦が発令された。

 半世紀以上前にバララントに占領され、惑星型要塞へと改造された惑星モナドの奪還に投入される兵力は一億二千万、艦船百二十万隻。想像するだけで前例の無い壮大な投入数である。

 消費される戦費は毎秒四十五億、四日続けばメルキアの国家予算は吹き飛ぶ。

 休戦協定が締結される前に、ギルガメス軍はこの惑星を何が何でも奪還するつもりだ。協定が締結されてしまえば、モナドを取り返す機会は、次の戦争まで無くなる。

 だからこれ程の戦力を投入する訳だが、真の理由は情報省長官の昇進が目的である。軍の参謀本部は、あくまで奪還が目的であるが。

 そんな奪還作戦に参加するキリコ・キュービィーを守るべく、シュンはメルキア情報省の特殊部隊ISSに潜入した。

 アウトサイダーのおかげか、何も怪しまれることなくISSに潜り込んだシュンは、耐圧服と呼ばれるAT専用のパイロットスーツを身に着け、生命維持装置を装着し、ヘルメットを左手で抱える。

 それから待機室へ入り、出撃命令を自分の部下たちと共に待つ。それぞれが揚陸艇に乗っており、その中にはバーコフ分隊も含まれており、キリコの姿もある。

 皆が自分と同じ黒い耐圧服を着て、同じく出撃命令を待っていた。

 

「(ネオ・ムガルの連中は居ないな)」

 

 周囲の部下や他の小隊の隊員等の中に、ネオ・ムガルの刺客が居ないことを確認すれば、戦場へ行く前の一杯を飲む。

 

『総員機体に搭乗せよ! 出撃準備だ!!』

 

 それから数分後、本隊が惑星モナドの警戒ラインに入ったのか、自分が属する中隊の中隊長が無線機で待機室に居る面々に出撃命令を出した。

 これに応じて一同は一斉にヘルメットを左手に、自分の機体へと乗り込んでいく。

 キリコの機体に爆弾が仕掛けられていると言う可能性だが、それは既にシュンは彼の機体を調べており、仕掛けられていないことを確認済みだ。自分の機体も念のために調べ、爆弾が仕掛けられていない。これで安心して戦闘に集中できる。

 

「モニターが無いのが嫌だな」

 

 シュンはヘルメットを被り、自機の機体へと飛び乗り、シートに座れば、コックピット内のコードをヘルメットに繋げ、ゴーグルを降ろす。

 ATは火力と生産性を重視しており、故にモニターなどの高価な物は搭載されておらず、耐圧服のヘルメットのゴーグルか、機内にあるゴーグルにコードを繋げ、頭部のメインカメラからの映像でしか外を見ることが出来ない。

 暗視装置に赤外線スコープが搭載されているが、前面しか見えないので、背後に回られもしたら一瞬で自分の棺桶となる。故にAT単機での行動は危険だ。常にツーマンセルか、五機編成の分隊で行動する。

 シュン達が乗るATの機種はスコープドックISS。いわゆるターボカスタムと呼ばれ、熟練のAT乗り向けの機体である。特殊部隊ISSは新型ミッションパックが全機に装備され、宇宙戦用のラウンドムーバーを装備しなくとも宇宙戦に対応できる。

 敵に視認されないようにするためか、機体の色は黒い。うち何機かは中央管制室をハッキングするための装置を詰んでいる。

 殆どの機体の装備は右肩にミサイルポッドを装備するか、ソリッドシューターと言う宇宙戦用の無反動砲を装備していた。

 小隊長機であるシュンは、機体の右腕にパイルバンカーと呼ばれる釘打ち機を軍事用に転換した物を装備しているだけで、他のISS仕様とは変わりない。

 全員の搭乗が終わると、部隊長から連絡を受けた中隊長からの無線連絡が入る。

 

『中隊各機へ伝達、全員乗り込んだか? 各小隊長、報告せよ』

 

『こちら第五小隊、全員の搭乗を確認』

 

『こちら第六小隊、こちらも同じく』

 

『第七小隊、例の分隊は乗っているな?』

 

 その連絡が入れば、各小隊長は全員の搭乗が完了したことを知らせる。直ぐにシュンの出番が回って来た。

 

『小隊長、こちらバーコフ分隊、全員乗っています!』

 

「こちら第七小隊、全員乗りました。例の分隊の連中もです」

 

『ご苦労、第八小隊、乗っているな?』

 

『はっ! いつでも発進できます!』

 

『よし、全機、降下地点に到達次第、直ちに発進する。備えろ』

 

 バーコフの返答を聞けば、シュンは全員が乗っていることを報告すれば、中隊長は出撃に備えるように告げた。

 既に本隊はモナドに攻勢を仕掛けており、バララント軍の防衛用の衛星や艦隊を排除しながら射程内に収め、迎撃に遭って損害を出している。

 乗っている揚陸艇が敵の対空砲火に晒され、船内が揺れる中、シュンは微動だにせず、ただ降下地点に来るまで待っていた。

 その数分後、ライトが緑色になり、ハッチが開かれ、それと同時に中隊長より出撃命令が出される。

 

『全機出撃! 出撃せよ!!』

 

「全機出撃!」

 

 中隊長より命令が出されれば、シュンは全機に指示を出し、先陣を切って要塞に改造された惑星モナドに降り立った。

 彼の機に続き、バーコフ分隊を初めとする他の分隊も続けて揚陸艇から飛び出し、完全に機械の惑星と化したモナドへと降下する。

 総勢三百機の特殊作戦用のATや侵攻軍本隊に向け、モナドを占拠するバララント軍は容赦なく対空砲火を浴びせ、何百機以上の敵機や何十隻もの敵艦を撃破していく中、バーコフ分隊には一切、対空砲火は当たらなかった。

 シュンも同様であるが、彼の小隊属する他の分隊は被弾して散って行く。

 

『被弾した! 被弾…』

 

「あいつ等、不死身か?」

 

 他の分隊が被害を出す中、バーコフ分隊だけが損害が無かった。

 これにシュンは不死身と驚く。事実、彼らは異能生存体の可能性があるとして集められた兵士たちだ。

 その分隊を配下に入れたシュンは、彼らの悪運のおかげか、持ち前の悪運なのか、一発も被弾することなく要塞へ取り付くことが出来た。

 降下すれば、部隊長から被害を報告しろと無線連絡が入る。彼らは立ち止まることなく、そのまま中央管制室へと突き進む。

 

『報告しろ! 何機やられた!?』

 

『十機が被弾! 二十一機が撃破されました!』

 

『バーコフ分隊は?』

 

「こちらの損害は、一個分隊は全滅し、一機が戦闘不能、二機が大破。バーコフ分隊は健在です」

 

 損害を報告すれば、部隊長はそのまま損害に構わず前進せよとの命令が出される。

 

『大した損害は無い。損害に構わずそのまま前進だ。ただし、ハッキング装置を詰んだバーコフ分隊は何としても死守せよ! 第七小隊、分かっているな!?』

 

「了解! 死んでも守ります! たくっ、俺たちは盾てっか」

 

 部隊長の命令を聞けば、シュンは悪態を付く。

 道中の抵抗は激しく、バララント側もかなりの迎撃機を出しているのか、数機以上が撃破された。

 少し損害が出たのか、部隊長からバーコフ分隊を前に出すように指示が出される。

 

『凄い抵抗だ! バーコフ分隊を前に出せ!』

 

「はっ! バーコフ分隊、コチャック機を残し、前に出ろ!」

 

 その指示に応じ、シュンは目に見える敵のATであるフロッガーを撃破しながらバーコフ分隊に指示を出した。

 

『了解! キリコ、ゴダン! 前に出るぞ! ザキ、コチャックを死んでも守れ!』

 

『了解した』

 

『分かったぜ!』

 

『デブの御守りは任せろ!』

 

『おい、デブって言うな!』

 

 指示に応じた分隊長であるバーコフが言えば、分隊の面々は返答する。

 大隊規模のISS部隊の前に出たバーコフ分隊は生存性の高さと悪運だけでなく、数々の地獄を生き延びた証である戦闘力を持ち合わせており、前面に展開してきたバララント軍のAT一個中隊に大損害を与える。

 瞬く間に敵AT一個小隊が壊滅状態となり、後続の部隊の攻撃で中隊は全滅させられる。

 その後、遭遇する敵部隊を片付けながら進む中、ゲートを破壊し、内部へと突入する。内部へ突入すれば、多数の敵が待ち受けていたが、バーコフ分隊を前面に出したISS部隊を止められず、中枢への侵入を許す。そのまま中枢へ続く穴へ降下した。

 

『あれだ。距離150、140、130!』

 

『十二時方向より敵部隊!』

 

『蹴散らせ!』

 

 敵は何が何でも食い止めようと、凄まじい弾幕を浴びせて来たが、バーコフ分隊とISS部隊に蹴散らされる。

 何機かが落とされたが、余り大した損害では無いので、任務を継続する。

 

『進路、確保!』

 

『よし、全機二分で通り抜けろ!』

 

 そのまま一気に中枢へと続く通路へと突き進んでいく。背後より追撃して来た敵部隊が攻撃を浴びせて来ており、背後に居た友軍機が何機か撃墜された。同時に前からも弾丸の嵐が来る。

 荷物を運んでいるコチャック機が被弾したが、戦闘に支障はない損傷である。だが、ザキと言う少年兵は激怒する。

 

『荷物を壊すな! そいつはコントローラーを占拠するための鍵だ!』

 

『分かってる小僧!!』

 

 コチャックの怒鳴り声が無線機から聞こえる中、シュンの機も通路へ入り込むことに成功した。

 

『う、うわあぁぁぁ!?』

 

『た、助けてくれ!』

 

 だが、うち数機は通路を通る前に激突して大破する。

 激突した機のパイロットの断末魔が無線機より聞こえたが、犠牲者に構わず中枢の管制室へと向かう。

 

『続け! 続け!!』

 

 先に着地したバーコフ分隊のゴダンがついてこいと無線機で言えば、分隊長のバーコフは目的地が近い事を知らせ、全力で自分たちを守るように指示を出す。

 

『後少しだ! 俺たちを守り切れ!!』

 

 そんな叫び声が聞こえる中、背後より敵の追撃隊がこちらを射程に捉え、直ぐにエネルギー弾の雨を浴びせ、数機を撃破する。

 

『追い付かれたぞ!』

 

『切り抜けろ!!』

 

『ゴダン、前だ!』

 

 全力で通路を走る数百機のAT集団が背後に視線を集中させる中、前からも防衛線を引いた敵部隊からの迎撃が来た。

 直ぐに敵の防衛線が見えれば、バーコフが知らせてヘビィマシンガンを連射して撃ち込む。

 

『あそこだ!』

 

『ぶっ潰せ!!』

 

 バリケードを破壊したゴダンが言えば、前面に居るシュン機を含めるAT部隊は弾幕を浴びせて強引に突破を試みる。

 バーコフ分隊を前に出しているおかげか、あっさりと敵の防衛線の突破に成功した。先に突破したのは前に立っているバーコフ分隊だ。後続の部隊は何機かがやられ、バリケードの梁に突き刺さった友軍機も居た。

 

「邪魔だ!」

 

 シュンは遅れたが、こちらに向けてライフルを撃ち込もうとするチャビーと言うバララント軍のフロッガーの発展型を右手のパイルバンカーで操縦席の辺りに突き刺し、操縦者を刺殺してから引き抜き、突破して残った敵機を掃討する一団に合流した。

 最後に動いている敵機をザキ機が仕留めれば、中枢のコントロールの確保に成功する。

 

『手こずらせやがって!』

 

『全機、ここを死守しろ。キリコ、ゴダン、コチャック、ザキ、コントロールを占拠しろ!』

 

 ザキの声が無線機から聞こえる中、バーコフは中枢の管制、コントロールの掌握を行うため、コチャック機が大事に抱えている装置を持ってくるように伝える。

 

『全機、バーコフ曹長の言う通りにしろ』

 

 部隊長が指示を出せば、ISS部隊はコントロールの選挙を行うバーコフ分隊を囲うように展開し、周囲を警戒する。

 

『こいつがモナドの全エネルギーと、システムのコントロールか…!』

 

 周囲の友軍部隊に守られながら、バーコフ分隊は装置が入った箱をコントロール中央へ置き、中に入っている筒を周囲に居る四機が持つ。

 

「薄気味悪い所だな、たくっ」

 

 シュンもバーコフ分隊が居るコントロールの青白く光る床板の上に機体を立たせ、周囲を見ながら薄気味悪い雰囲気を味わう。

 それを北南東西の中央に来る位置にあるパネルに設置してから一歩下がる。

 

『コントロール、占拠開始!』

 

 装置を起動させることが出来るバーコフは、それを起動させてコントロールの占拠を始めた。

 ハッキングが成功した証拠なのか、四角形のパネルが一瞬光った後、電気が切れた蛍光灯のように光を失っていき、やがて現在地の灯りが消えて真っ暗になった。

 

「成功か?」

 

 シュンが暗視装置を作動させてから周囲を見渡しながら言えば、バーコフ分隊の面々の歓声が無線機より聞こえて来る。

 

『やった! コントローラーを占拠! モナドを支配したぞ!』

 

『やったか!?』

 

『やった! 俺たちはやった!』

 

『ざまぁ見ろぉ!』

 

 キリコ以外の面々が歓喜する中、シュンを含める一同の足元のパネルが消滅した。

 

『うわぁぁぁ!?』

 

「ゆっ、床が!? うぁぁぁ!!」

 

 床の上に居たバーコフ分隊は、パネルが消滅して現れた穴へと落ちて行く。シュンもその場に居たがため、バーコフ分隊のATと共に穴へと落ちて行った。

 一体どこまで落ちて行くのだろうか?

 シュンとバーコフ分隊のATは無限に落ち続ける。機体の制御装置を起動させるが、全く意味は無く落ち続ける。

 この予期せぬ落とし穴を、シュンはネオ・ムガルの仕業と見たが、残念ながら、これはモナドに秘められている古代クメント文明の仕業に過ぎない。

 そればかりか、不気味な幻聴が一同を襲う。

 

『分隊長! どうなってんだ!?』

 

『こ、これは…一体何が…?』

 

『小隊長! あんた知ってたのか!?』

 

「そんなこと、俺が知るか!」

 

 何とか一同は着地が取れる落下姿勢を取った。だが、これで状況が解決したとは言えない。

 ゴダンが分隊長のバーコフに問うが、彼は幻覚が見ているらしく、問いにも答えない。次にゴダンが士官であるシュンに問うも、異世界の人間である彼がこの状況を知る由も無い。

 キリコ以外がこの無限に落ち続ける状況に混乱する中、コチャックは不安の声を出す。

 

『一体、どうなってんだ…?』

 

「ネオ・ムガルか…?」

 

『ネオ・ムガルってなんだよ小隊長!? 俺たち死んだんじゃないのか!?』

 

 コチャックの後に、シュンがネオ・ムガルの能力者による攻撃を受けたと思って口にすれば、混乱しているザキが問い掛けて来る。

 その直後に一同のATを謎の波動が襲い掛かり、彼らに幻聴を聞かせ始める。その幻聴は、赤ん坊の泣き声であった。

 

『あれは…!?』

 

「赤ん坊の泣き声…?」

 

『俺たちは幻覚に掛かったようだ』

 

『な、なんだってんだ? 誰か説明してくれ!』

 

 シュンとバーコフ分隊が混乱する中、キリコだけは冷静であった。そんな彼らを更に混乱させようと、新たな現象が襲い掛かる。

 突如となく機体の電源が落ちたのだ。電源は落ちたが、幻聴は未だに聞こえて来る。分隊長のバーコフは、幻聴のみならず、幻覚を見ているようで、混乱している。

 落ち続けること数分後、彼らはようやく抜け出すことが出来た。

 

 

 

「うわぁぁぁ! くそっ、何所に落ちた!?」

 

『何所だ…?』

 

 六機のATがモナドの何処かに落ちた後、シュンは機体を起き上がらせ、周囲を見渡す。

 そこは、敵地のど真ん中であった。どうやら、古代クメント文明に敵地へ転移させられたようだ。

 目前には、圧倒的な物量で迫るギルガメス軍の迎撃を行うフロッガーとチャビィーが見える。直ぐにザキが背後を見せる三機の敵機に向け、ヘビィマシンガンを撃ち込んで撃破した。

 

『どうやら敵地らしい』

 

 発砲でこちらに気付いた敵機を撃破したキリコが、冷静さを欠けずに言えば、ザキは背後に現れた敵機を撃ちながら問う。

 

『どうなってる!?』

 

『知るか!』

 

『無駄口叩いてる場合か!?』

 

 続々と現れる敵機を撃破したゴダンが言えば、コチャックはカービン型のヘビィマシンガンを乱射しながら全員に落ち着くように告げる。

 そんなコチャック機の側面から、敵機が近接用の火器で襲い掛かり、ゴダン機に向けて吹き飛ばす。

 

『邪魔だ!』

 

 コチャックの機体にぶつかり、バランスを崩したゴダン機は、直ぐに退けて立ち上がろうとしたが、敵機は空かさずに近接火器でとどめを刺しに来る。

 そこへキリコ機がローラーダッシュで一機に接近し、左腕の近接火器でとどめを刺そうとする敵機の胴体に薬莢を使うアームパンチを打ち込んで無力化する。

 一機目を倒した所で、キリコは次なる敵機に照準を向けたが、その敵部隊は背後からのレーザー攻撃や実弾攻撃を受けて次々と大破していく。

 

『本隊がここまで来たか!?』

 

『助かったぜ!』

 

『ここまで突破して来たか!』

 

『いや、ギルガメス軍にこれ程に大きいATは無い』

 

 バララント軍のATが次々と爆散していく様を見て、茫然としている分隊長や寡黙なキリコを除き、味方が来たと歓喜する三名であったが、バララント軍を襲った実弾やレーザーを使う謎の機動兵器の集団は、バーコフ分隊を攻撃し始める。

 キリコは、その謎の機動兵器集団が敵であると分かっていたようだ。

 

『う、撃って来たぞ!?』

 

『味方じゃないのか!?』

 

『何かの兵器実験か!?』

 

 歓喜していた三人は、突然攻撃されたことに慌てふためく。

 その機動兵器の集団、10m程の頭部がヘリのコックピットと言う外見を持つSPTやMF、外見が似ている肩に円形上のミサイルランチャーを装備した見知らぬ陸戦用機動兵器を運用する勢力を知るシュンは、数機の頭部に向けてヘビィマシンガンを単発で撃ち込んで無力化した。

 キリコも同じく、SPTや陸戦用機動兵器の頭部にエネルギー弾を撃ち込み、敵機を無力化していく。

 

『小隊長、知っているな?』

 

「あぁ、連中は敵だ。生き残りたきゃ、こいつ等を殺せ!」

 

 現れた謎のATとは違う機動兵器を使う勢力の正体を、シュンが知っていると踏んだキリコが問う中、それがネオ・ムガルと知っている小隊長であるシュンは、バーコフ分隊の面々に襲い掛かる謎の敵を殺せと指示を出した。

 

『言われなくたって!』

 

『またギルガメス浄化委員会の奴らか!?』

 

『殺される前に殺してやる!』

 

 ここで一同はシュンの言葉を信じ、襲い掛かるネオ・ムガルの機動兵器の排除を行った。

 

『う、うわぁぁぁ!!』

 

 一人、未だ幻聴と幻覚が見えているバーコフは、こんな時に限って錯乱し始める。

 

『ぶ、分隊長!』

 

『抑えろ!』

 

 錯乱したバーコフはハンガーの方まで向かい、外の底の見えない巨大な穴へ飛び込もうとする。

 そんな分隊長を止めるべく、三機掛かりで錯乱しているバーコフ機を止める中、一方でシュンとキリコはネオ・ムガルの機動兵器の排除を行う。

 外からもブレイバーやソロムコが複数来ており、四機のATに攻撃を仕掛けて来た。

 

『曹長、抑えてろ!』

 

『分かった』

 

 外からも敵機が来ていることに気付いたシュンは、外部から来る敵部隊の排除をキリコに任せ、バーコフ分隊の援護に回る。

 ローラーダッシュで分隊長機を中に引きずり込む三機のATの近くに近付き、右肩のミサイルとヘビィマシンガンで弾幕を張り、数機のソロムコを撃破し、一番危険なブレイバー数機を下がらせる。

 

『早く連れて行け!』

 

『わ、分かった! 早くしろ!』

 

 ヘビィマシンガンを乱射して弾幕を張り、外から押し寄せて来る敵機を追い払う中、シュンはバーコフ機を抑えている三機に下がるように指示を出す。これにゴダンが応じれば、三人は分隊長であるバーコフを中へ連れて行く。

 内部には地上戦用SPTであるドトールやMFのガンステイド、戦車にアメンボのような脚が四本生えた外見を持つ四脚戦車、ブレイバーやドトールと似たような外見を持つ10m級の人型兵器が数機ほど居たが、キリコの尋常では無い戦闘力や、バーコフ分隊の火力も入り、次々と撃破されていく。

 特にSPTと似たような外見の機動兵器は、装甲の脆さはガンステイド異常なのか、数発の被弾で火を噴いて大破した。

 

「クソッ、どんだけ投入してやがるんだ!」

 

 内部からやって来る敵を撃破し続けたが、シュンは外から続々と押し寄せて来るブレイバーやソロムコ、無人機のスカルガンナーを抑えきれないのか、内部へと退いてバーコフ分隊と合流する。分隊長のバーコフは未だに錯乱状態だ。

 包囲され、このまま集中砲火を浴びせられて粉々に吹き飛ばされると思ったが、キリコの異能生存体の力なのか、敵の流れ弾が足元に着弾し、爆発して床に穴が開き、シュンやキリコを含めるバーコフ分隊はその穴へと落ちて行った。

 

『うわぁぁぁ!』

 

 余りにも爆風が凄い所為か、ネオ・ムガルがこの世界へ送り込んだ刺客たちは、シュンとキリコたちを見失い、死体を探し始めた。




太陽の牙ダグラムに蒼き流星SPTレイズナーが、装甲騎兵ボトムズ ペールゼンファイルズの世界に参戦。

つっても、その世界に来たネオ・ムガルが投入してるだけだけど。

アビテートF44A クラブガンナー
 太陽の牙ダグラムに登場する機動兵器、コンバットアーマー、通称CBアーマーの第一世代機。戦車を四脚化したような外見を持ち、主に四本足と呼ばれる。
 戦車らしく装甲は厚いが、従来の戦車と同じく底が一番脆かったり、足一本を潰されて転倒するだけで爆散する。

ソツティックH8 ラウンドフェイサー
 第二世代のCBアーマー。九話までがこの機が主人公機だったが、ダグラムが出てからは敵側の機体として登場する。
 走っている最中に脚を潰されれば爆散する機体。

ブレイバー
 青き流星SPTレイズナーに登場するグラドスの機動兵器SPT。
 アニメでは敵側メカであるが、全くと言って良いほどやられていない量産機。

ドトール
 地上戦用のSPT。何故か後から出て来たこのSPTがやられ役。
 ATのようにローラーダッシュする。

ソロムコ
 空戦用のMF。戦闘ヘリに手足が生えたような外見をしている。
 こいつもやられ役である。

ガンステイド
 地上戦用のMF。重武装をしており、任意にパージが出来るが、装甲がCBアーマー並に脆い。故にやられ役である。

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