復讐異世界旅行記   作:ダス・ライヒ

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艦これ愛宕とアズレン愛宕のエロ短編書いてたら遅れたンゴ。


エクソダス

 セイバー戦闘機一個中隊とフリゲート艦サバンナの乗員たち、そしてノーブルチーム所属、唯一のスパルタンⅡであるジョージを犠牲でアッパーカット作戦は成功し、敵超巨大空母は味方のコルベットに仕掛けられたスリップスペースドライブを使った爆弾で中央部を発生した爆発の影響で発生したワープに食い千切られ、轟沈した。

 多数の犠牲を得て作戦は成功に見えた。そのはずだった…。

 

 敵超巨大ステルス空母を撃沈しても、戦況を覆して大逆転など出来なかったのだ。

 この超巨大ステルス空母を中心としたコヴナント艦隊は単なる斥候部隊であり、本隊は三百隻と言う恐ろしい数の大艦隊であった。

 その大艦隊の艦隊司令官は後のアービターであるセル・ヴァダム。

 UNSCに取って史上最大の難関にして最強の敵である。単独でもスパルタンⅡを上回る程の戦闘力を誇り、約歩兵一個大隊以上の戦闘力の推定、並外れた戦略と戦術を取る頭脳を持った最強のエリートだ。

 物量、装備、科学力、士気、統制、指揮力。そのどれもがセル・ヴァダムが率いる三百隻の大艦隊が上回っている。

 そんな敵を相手に、UNSCは増援艦隊を含める持てる戦力を全て持って対抗し、惑星住民を避難させながらの決死の撤退戦を行った。

 後にこの戦いは、人類史上最大の悲劇的な敗北であり、撤退戦であるリーチの戦いとして後世に語られる。

 

 

 

「生きてるか…?」

 

「あぁ、生きてる。あいつめ、なんてことをしてくれた…!」

 

 惑星リーチへと落下したシュンと6、先に落下したギルアズは目を覚まし、上空を見上げる。

 

「あれが敵の斥候だって言うのか。クソが。でっ、これが敵の本隊ってわけか」

 

 衛星軌道上に展開していた艦隊は恐ろしい物量で迫るコヴナント艦隊の猛攻には耐えられず、敵侵攻部隊の侵入を許し、リーチ全体が戦場となっていた。

 あれほどの犠牲を払って撃破した敵超巨大ステルス空母は、敵の斥候部隊であったことにシュンは腹を立てる。破壊した直後に現れたのが大艦隊こそが敵の本隊であったのだ。

 防衛戦を突破した複数の敵の艦艇がリーチに降下し、辺り一面に無差別爆撃を行い、大多数の地上部隊を地上へ降ろす空を飛び回る。

 この圧倒的な不利な状況を見たギルアズは、シュンや6にリーチからの脱出を提案する。

 

「なぁ、何処かで船を見付けてこの星から逃げないか? あんな数に勝てるわけが無い! 計算すれば、三時間も持たない!」

 

 脱出を持ち掛けたギルアズであったが、シュンと6は何も答えず、上空を飛び回るコヴナント艦を見るだけだ。

 6はジョージの認識票を握り締め、大気圏再突入用の装備の中にあった拳銃を取り、安全装置を解除してスライドを引き、初弾を薬室へ送り込む。亡き戦友の頼みを果たす為、勝ち目のない戦に挑むようだ。

かくいうシュンもそのつもりであり、唯一残った武器である大剣(スレイブ)を背中から抜き、刀身を右肩で担いで攻撃されている都市へ向かう6の後に続く。

 

「お、おい! 俺は無茶だとおもうぞ! あぁもう! どうにでもなれ!!」

 

 自分を放って味方の救援に向かうシュンと6に、ギルアズはしょうがないと思ってもう一丁の拳銃を拾い上げ、二人の後へ続いた。

 

 

 

 都市部は案の定、激戦区であった。

 そこら中から銃声や爆音、それに逃げ遅れた市民たちの悲鳴、決死の防衛戦を行う兵士達の怒号が聞こえて来る。

 上空を敵艦が我が物顔で飛び回り、次々と地上部隊を都市部に降下させ、無差別攻撃を行っているコヴナント軍に対し、UNSCは戦意を損失して市民を置いて逃げるかと思ったが、驚いたことに戦意を維持してこの強大な宇宙の軍隊に抵抗を続けている。

 逃げ遅れた市民の避難のために、彼らは勝ち目のない敵に挑んでいるのだ。彼らの勇気は軍隊の模範と言って良いくらいに。

 都市部から聞こえて来る銃声や爆音に、シュンはUNSCの敬意の多さに感服する。

 

「やれやれ。普通なら市民を置いて逃げ出すか、市民を戦わせて全員仲良く玉砕している所だが、まさか市民の逃げる時間を稼いでいるとは驚きだぜ」

 

「クソッ、これじゃあ逃げるにも逃げられないじゃないか…」

 

 シュンが既に息絶えた子供を守りながら死んでいるUNSC陸軍の兵士の亡骸を見て舌を巻く中、それを聞いたギルアズは逃げ出そうと提案したことで、自分が臆病者か卑怯者扱いされていると思い、逃げられない状況に陥る。

 尚、シュンはワザとギルアズに聞こえるように口にしている。これは彼が逃げ出さないようにするためだ。

 そんな三人が中心部へと向かう中、頭上をファルコンが通過し、都市部で抵抗を続けるUNSCのコマンドポストからなのか、無線連絡が聞こえて来る。

 

『こちらキロディスパッチ、全部隊、トラクサスタワーへ向かえ。避難を開始する』

 

 無線連絡が聞こえれば、別の無線連絡が聞こえて来る。その声は海兵隊員の上級曹長のようで、駐屯している海兵隊も出動しているようだ。

 

『了解だ、ディスパッチ。スターバッドの状況は!?』

 

『問題ない。今のうちに民間人を運ぼう。まずは彼らからだ』

 

『了解、4-0通信終了』

 

 やり取りが交わされた後で通信は切れた。

 

「トラクサスタワー…あれか。よし、そこで友軍と合流しよう。拳銃と大剣だけじゃ、大群相手に無謀だ」

 

 シュンは無線で言っていた集合地点をあのビルであると指差しながら一同に告げれば、自分が先陣を切って移動を始める。

 都市内はコヴナント軍の攻撃を受けて息絶えた市民や兵士の死体がそこら中に転がり、女性や子供の死体まで目立っている。

 

「こいつはひでぇ。女子供も見境無しか。爺さん婆さんも平等にぶっ殺してやがる」

 

 周囲に転がる死体に、シュンはワルキューレに従軍していた頃を思い出したが、既に呆れるほどに慣れてしまったので、気にせずに進む。ギルアズはこの光景に慣れていないらしく、ビクビクしながらシュンと6の後へと続いた。

 合流地点へと急ぐ中、シュンは前方に略奪を行っている複数のジャッカルを確認し、特殊部隊時代に習得したハンドサインで止まる様に指示を出せば、6はそれに応じて身を屈め、辺りを警戒する。技術者であるギルアズは何が何だか分からなかったが、6に頭を叩かれて意味を理解して警戒に当たった。

 敵が略奪に夢中でこちらに気付いていないと分かれば、直ぐにシュンは6やギルアズに無言で攻撃するとハンドサインで送り、大剣を抱えながら手近なジャッカルを叩き斬る。

 

「ぐぇ?」

 

 巨大な刀身が当たった音が響き、その音に気を取られたジャッカルたちは一斉にその方向へと振り返る。

 敵の視線がシュンの集中したところで、6とギルアズは物陰から飛び出し、射程範囲内に居る全てのジャッカルに銃弾を叩き込んだ。

 素早い奇襲を受けたジャッカルたちは反撃の間も無く全滅し、殺した人間たちの仲間入りを果たす。

 

「さて、急ぐか」

 

 敵が全滅したところで、シュンは落ちている拳銃を拾い上げ、残弾を確認してから先へ進んだ。

 他の部隊と合流できそうだと思い、一番近くのビルの内部へと入って合流地点へと目指そうとする。

 そんな時に、ヘルメットの無線から強力な敵の存在を知らせる連絡が入って来る。

 

『R中隊へ。コヴナントの自爆部隊が確認された』

 

『本当か?』

 

『事実だ…警戒しておくように』

 

 自爆部隊と聞いて、シュン等はここには居ないだろうと思っていたが、停電したビル内へと入れば、その件の自爆部隊のグラントが自分等を見付けるなり両手に爆弾を持って突っ込んで来る。

 

「か、カミカゼだ!!」

 

「優勢なのにカミカゼかよ!」

 

 自爆攻撃を仕掛けるグラントにギルアズが恐れおののく中、シュンは優勢なコヴナント軍が自爆攻撃をすることに理解できなかったが、自分等を殺しに来ることには変わりないので、振り回しづらい大剣から調達した拳銃で的確に急所を狙って倒していく。

 倒されたグラントは両手に持った手榴弾を落とし、他の自爆グラントを巻き込む。

 それからは爆発の連鎖反応が起き、一体を撃ち殺すか、手にしている手榴弾を撃ち込んで爆発させるだけで一発の銃弾で複数の自爆グラントを排除で来た。

 停電したビルの中を進む度に、ここが自爆部隊の本部にでも使われているのか、次々と両手に手榴弾を持ったグラントが現れ、手榴弾を作動させて突っ込んで来る。

 遭遇する自爆部隊を排除しながらビルの中を進んでいけば、ようやくの所で外へ出られた。

 外へと出れば、念願の味方の陸軍の部隊が敵と交戦している。歩兵部隊で避難中の民間人を護衛しながら戦っている。交戦相手はブルートであり、大柄な体格を生かして陸軍の歩兵部隊を圧倒していた。

 

「(アーマーを着ていない? まだ位が低いのか)」

 

 シュンが知るブルートは、シールド付きのアーマーを着ていたが、この時期のブルートにはシールド付きのアーマーは支給されておらず、中には半裸な者まで居る。

 突撃部隊のようだが、グラントやジャッカルと同じく消耗品扱いらしい。

 

「なに、あいつ等!?」

 

「ブルートだ! ドたまに銃弾を撃ち込め!!」

 

 ブルートの出現に、陸軍兵等はやや混乱したが、戦意を落とさずにブルートの部隊と交戦する。

 

「うわぁぁぁ!!」

 

 ブルートが陸軍兵の首を片手で掴み、絞め殺そうとする中、シュンは6とギルアズと共に拳銃を一斉に撃ち込み、そのブルートを排除した。

 

「あ、ありがとう…! っ!? スパルタン!?」

 

 自分を助けてくれたのが、スパルタンであると分かれば、驚いた声を上げる。

 他の将兵達も同様で、ブルートと交戦しながら何所から来たのかと口々に言い始める。

 

「スパルタンだ! スパルタンだぞ!」

 

「一体どこから来たの!?」

 

『何所でも良いだろう! それより武器を渡して戦闘に加わって貰うんだ!! スパルタン、援護を!』

 

 指揮官らしき声に、陸軍兵等は負傷したか、戦死した戦友が持っていた武器をやって来た三名のスパルタンに渡す。

 

「これを」

 

 一人の陸軍兵は、シュンにはバトルライフル、6にはマークスマンライフル、ギルアズにはアサルトライフルを渡す。

 

『避難チーム7、キロ2-6へ。トラクサスタワーを確認した』

 

『了解、避難援助に当たってくれ』

 

 一同が兵士から武器を渡されて武装すれば、無線機よりファルコンと本部(HQ)とのやり取りが聞こえて来る。

 それを聞きながら主戦場へと向かえば、避難民を襲うブルートの集団と出くわす。

 ここでも既に護衛部隊との交戦が始まっており、自分等が参戦しなければ、避難民も護衛の兵士達も全滅してしまうだろう。

 直ぐにスパルタンたちは加勢し、ブルートに向けて手にしている銃を撃ち込む。

 そこには逃げ遅れた避難民が居り、今にもブルート達に殺されそうだ。

 

「援護しろ!」

 

 銃を撃つよりもここは大剣で戦った方が良いと判断したシュンは、バルコニーから飛び降り、ライフルから大剣に切り替え、手近なブルートを叩き斬る。

 

「伏せろぉ!!」

 

 銃声にも負けないくらいの声量、それもスピーカーを使っての怒号に、市民たちは床へ伏せて頭を抱える。

 子供や老人も含める市民たちが一斉に伏せたことにより、シュンは戦いやすくなり、目に見えるブルートを大剣で斬り続けた。

 一体、また一体と彼が力一杯に振るう大剣で2m強の大柄なブルートは一瞬にして肉塊と化して行き、次々と生化を惨殺していくシュンに恐れおののくが、この時期のブルートは粗末な装備でも士気が高いのか、同じ大柄なハンマーを持って挑んで来る。それに専用の実弾の射撃武器で撃ってくる。

 射撃武器持ちに関しては、大口径のスナイパーライフルに切り替えた6が排除し、シュンを戦いやすいようにサポートする。

 他にも下へ降りた陸軍の兵士たちが来たので、シュンが振るわれたハンマーを大剣の刀身で受け切り、相手の腹に蹴りを入れ込んで怯ませたところで、大剣を振り落としてそのブルートを真っ二つにすれば、周囲に居たブルートは全滅した。

 

「よし。凄いスパルタンが居たが、これで安心だ。エレベーターを探そう!」

 

 周囲の敵を全滅させれば、スパルタンの避難民の護衛部隊は手前のビルに前進した。

 先にスパルタンが先行してビルへと入れば、そこに入った市民とその護衛の陸軍の兵士達が、ビル内に雪崩れ込んで来たコヴナント軍と交戦していた。

 外と同じくブルートを中心とした突撃部隊だ。グラントとジャッカルが随伴している。

 

「中にも居るぞ!!」

 

「撃て撃て!」

 

 目の前のグラントを始末してから陸軍の兵士が叫べば、シュンは前へ出てバトルライフルで周辺の敵を撃ちながら指示を出した。

 

「伏せろぉ! 伏せるんだ!!」

 

「床に伏せて! これから撃ちます!!」

 

 同じくビル内へ続いてなだれ込んだ兵士たちは、ビル内に居る市民たちに伏せる様に大声で叫んでから、銃撃を開始してブルートやグラント、ジャッカルに制圧射撃を加える。

 この凄まじい銃撃で突入した階に居た突撃部隊は全滅し、残りは上の階にいるブルート達だけだ。

 直ぐに突入部隊は上階へとあがり、残った敵の掃討を始める。上階にはエレベーターがあった。それを使って屋上まで避難民を運ぶ。

 エレベーター周辺の敵を制圧すれば、避難民らをエレベーター付近まで呼び寄せ、ボタンを押してエレベーターが来るまで待つ。

 

「敵の輸送機だ! 左右に展開するつもりだ! 全員備えろ!!」

 

 制圧したが、直ぐに敵は増援部隊を送り込んで来た。

 左右のバルコニーに敵の輸送機が着陸し、兵員を続々降ろして展開して来る。突撃して来るつもりだ。

 押し寄せて来る敵に対し、シュンは放棄された固定機関銃の機関銃を無理やり引き抜き、それを抱えながら右手へと向かう。

 

「お前らは左を頼む。おい、何名か俺を援護してくれ!」

 

「了解! ギルアズ、こっちへ回るぞ」

 

 シュンは機関銃を抱えながら指示を出せば、6はギルアズと数名の陸軍兵士等と共に左手から迫るコヴナント軍の対処に向かった。

 右手に向かったシュンの方に何名かの陸軍兵が回って来れば、突入して来ようとするコヴナント軍に機銃掃射を浴びせた。

 正面から現れたスパルタンと数名の兵士の銃撃を受けたブルートの突撃部隊は一瞬でハチの巣となり、遮蔽物に身を隠す間もなく次々と倒れて行く。

 そんな機銃掃射にも関わらず、ブルート等は無謀にも突っ込んで来る。これに少し焦るシュンを含めた兵士たちだが、落ち着けば良い的なので、一瞬にして死屍累々となる。

 

「右、制圧完了!」

 

 これで全滅したと思ったが、敵の輸送機は第二陣を展開しようとして来る。

 直ぐにシュンと兵士たちは輸送機から降りて来るコヴナント兵らに向けて銃弾を浴びせ、物言わぬ死体へと変えて行く。

 左側もそれなりの増援がやって来たが、6の活躍により、敵はこのビルの制圧を諦める。

 敵が来ないことが分かれば、シュンは弾切れになった機関銃を捨てた。

 

「敵は諦めたようだな。スパルタン、民間人と共に上に、いや、屋上は既に駄目だ。下に行ってくれ。一人を同行させる」

 

 敵が諦めたのを確認すれば、下士官の陸軍兵は民間人たちと共にエレベーターで下の階に行くように指示を出した。

 これに応じ、シュンと6、ギルアズは民間人と一人の案内人と共にエレベーターへ乗り込み、目的の階まで下がる。

 目的の階に着けば、民間人と共に降りて辺りを見渡す。辺りには負傷した民間人や負傷兵が衛生兵に軍医、協力している医療関係者らから治療を受けている。

 ここで一息つこうとした時、一人の陸軍兵士たちが協力してくれと頼んで来た。戦闘が続く限り、スパルタンたちに休息は無い様子だ。

 

「おい、来てくれ! ODSTがあんた達を呼んでくる!」

 

 着いて早々に援護を頼まれたので、一同はそこへと向かった。

 待っていたのはヘル・ジャンパーとの異名を持つ降下軌道兵、ODSTの隊員達だ。背中にはジェットパックを付けており、向こう側のビルへと飛び移るつもりだろう。

 そんなODSTの隊員達は、援護にやって来たシュンや6、ギルアズらを歓迎する。

 

「無線じゃ有名だぜ、あんた。それよりもようこそ、ブルフロッグへ! 予備のジェットパックはそこにある。背中に引っ付けてついて来てくれ」

 

 歓迎されたシュン達はジェットパックを背負い、先に飛んで行くODSTの隊員等に続こうとする。

 

「ジェットパックは初めてなんだがな…」

 

「簡単さ。カエルが跳ぶのをイメージすると良い。さぁ、3、2、1、飛べ!」

 

 ジェットパックなどを付けて飛んだことは無いシュンであったが、ODSTの隊員がイメージを教えてくれれば、バリアジャケットを身に纏って戦っていたことを思い出し、ジェットパックで向こう側の連絡橋まで飛んで行くODSTに続いた。

 すんなりと上手く連絡橋に着地することが出来れば、一人の隊員がプランをスパルタンたちに説明する。

 

「向こうのランニングパッドを確保し、避難船が降りれるようにする。ついてこいよ、スパルタン!」

 

 近場の足場に着地しつつ、隊員は手前のビルのランニングパッドを確保して避難船が降りられるようにすると説明してから再び飛んだ。

 ジェットパックで飛んで行くODST隊員たちの後を、シュン達もジェットパックを吹かしながらついて行く。

 

「コンタクト!」

 

「コヴナント共だ!!」

 

 向こう側のビルへと飛び移れば、ビルを占拠していたコヴナント軍が迎撃に来た。

 そのビルもブルートの突撃部隊に占拠されていたらしく、実弾火器を持ったブルート達がグラントやジャッカルを引き連れて雨あられと撃ってくる。

 流石は敵陣、それも危険地帯に真先に降下することもあって、ODSTの隊員達の対応は素早く、的確にブルートの頭部に銃弾を撃ち込み、進路を確保していく。

 シュンと6、ギルアズも負けずに手にしている銃でグラントやジャッカルを撃ち殺し、周囲を警戒しつつ、前進しながら敵を倒す。

 迎撃に来た敵が少ないのか、それともブルフロッグとスパルタンたちが強過ぎたのか、迎撃部隊は全滅し、彼らはビルへと入った。

 入って早々に複数の民間人を連れた陸軍の歩兵部隊と合流、そのまま彼らと共にトラクサスタワーのパッドを目指す。

 

『あれがパッドだ。タワーの東側の奥にある。向こうだ! 向こう! 入り口は向こう側にある!』

 

 陸軍の兵士が無線機で知らせれば、シュン達とODSTらは目標へと向かう。

 パッドがある場所は既に敵の制圧下にあるのか、出入り口から続々とブルートやグラント、ジャッカルが出て来る。

 そんな抵抗にも構わず、シュン達と兵士らは敵を倒しながら前進する。

 ODSTの隊員は二階へとジェットパックで上がり、そこから前進する面々の援護に回る。見事な連携であり、僅かな時間で周囲の敵を制圧し、後はパッド周辺の敵の掃討だけである。

 

「パッドを制圧しろ! スパルタン!」

 

 パッド付近まで前進したスパルタンとODSTの混合チームは、パッドにホバリングして増援を降ろす敵輸送機を増援ごと破壊しつつ、配置された二基の対空砲に集中砲火を浴びせる。

 陸軍の兵士等もパッド付近に到着したので、パッドに陣取っていた敵部隊は全滅し、避難船を降ろせるほどの安全な着陸地点を確保できた。

 

『ヤンキー9よりエコーへ。ランニングパッドを確保。避難船を送り込め』

 

『了解、船を送る』

 

 制圧したので、指揮官は避難船を要請する。

 これに応じ、避難船となるペリカン降下艇がパッドへと飛んでくる。

 その前に、避難船の護衛を務める二機のファルコンが着陸して来た。どうやら、避難船の護衛をやって貰いたいらしい。

 

「ここは俺たちが守る。楽しかったぜ、スパルタン」

 

 ここでODSTのブルフロッグの面々と別れる事となる。

 彼らはシュンや6達に敬礼した後、着陸している二機のファルコンへと向かう。直ぐにパイロットからの催促の無線連絡が来た。

 

『乗ってスパルタン! 直ちに救助が必要な民間人が居るわ!』

 

「早く乗りな」

 

 ODSTの隊員に催促される形で、一同はファルコンに乗り込んだ。6は一番機に乗り込み、シュンとギルアズは二番機のファルコンに乗り込む。各々が銃座に着けば、二基のファルコンは離陸し始める。

 離陸途中で、パイロットが撤退開始前の出来事を話し始める。

 

『ここ五日間、街は包囲されてた。包囲を解いて敵を制圧したと思ったら、エイリアンのコルベットたちのご登場よ。私たちの艦隊は後退したわ』

 

 自分が属する艦隊が敵の大艦隊に敗走したことを告げた瞬間に、先のパッドにペリカンが着陸し、避難民を乗せ始める。

 

『避難命令もあったし、中には任務を半ばに終えて嫌な人がいるみたいだけど』

 

 任務を放棄せざるおえない兵士たちの悔しさもあった事も告げるパイロットが喋り終えた後、輸送機のパイロットより無線連絡が入って来る。

 

『避難船デルタ1-5よりディスパッチ、避難民収容完了。出発準備良し!』

 

『こちらディスパッチ、注意して離陸せよ。制空権は不安定だ。いつ敵機に攻撃されるか分からん。敵対空砲にも注意しろ』

 

『ミッドタウン上空は危険ね。別の飛行ルートに行く!』

 

 そんな無線を聞きながら、銃座で眼に見える敵に警戒する中、先の避難船のパイロットから悲痛の叫び声が聞こえて来る。

 

『うわぁぁぁ! こちらデルタ1-5! 後方よりバンシー部隊だ! 攻撃されてる!!』

 

『ディスパッチ、今すぐ別の…』

 

 本部が言い終える前に、あの避難船はバンシー部隊の猛攻を受けてエンジンに被弾し、飛行不能となる。

 

『左舷エンジンに被弾! 駄目だ! 不時着を試みる!!』

 

 避難船は被弾して不時着すると言う無線を最後に聞こえなくなった。

 その瞬間に周囲のビルの屋上やバルコニーから次々とコヴナントの歩兵部隊が現れ、こちらにプラズマ弾を浴びせて来る。

 これに対し、シュン達は目に見える敵に向けて機銃掃射を浴びせる。ビルには孤立した味方が居り、彼らの援護も出来た。

 敵の掃討を続ける中、海兵隊がフリゲート艦に敵のコルベット艦を攻撃するように要請する無線連絡が入って来る。

 

『フォックスアクチュラルよりフリゲート艦スタルワート・ゾーンへ。至急、スターフォードの敵コルベットに攻撃を願う』

 

『フォックスアクチュラル、ロングソードは全部出払ってる。予備も出撃した。オーバー』

 

 フリゲートが攻撃要請を却下すれば、今度は民間機の避難船が出発すると言う無線連絡が入る。敵に追い込まれているのだろうか、声色は切羽詰まった状況だ。

 この状況にも、シュン達は機銃で上空を飛ぶバンシーや地上の敵に向けて機銃掃射を浴びせる。

 

『こちら民間輸送船6エコー2! 上級曹長、離陸します!!』

 

『待て、エコー2! とにかく民間人を街の外へ運び出さなきゃならない。今すぐ直援が必要だ』

 

『諦めれば最優先でそちらに…』

 

『それではだめだ!』

 

 上級曹長とフリゲートの艦長は口論を始めようとした矢先、民間の避難船は彼らの許可も得ずに発進した。

 

『六百人は乗せているんですよ!? これ以上は待てない! 離陸します!』

 

『止せエコー2! 援護がない! 撃ち落とされるぞ!』

 

 彼の言うことも聞かず、民間の避難船は離陸し、全体が戦場となったリーチより脱出を試みようとした。

 だが、上空より来た艦砲射撃で左エンジンが破壊され、避難船は海面に向けて墜落し始める。

 

『そんな…!』

 

「見境無しだな…あいつ等、戦闘規則を知らないのか?」

 

 パイロットが言葉を失う中、シュンはコヴナント軍が無差別に攻撃を行うことに疑問を抱く。

 何所の軍隊もルールを設けており、民間人や民間機の攻撃は禁止されている筈だが、エイリアンの軍隊で、巨大な宗教の軍隊であるコヴナント軍には、敵側の民間人や民間機の攻撃を禁じる規則は無いようだ。

 そのまま民間船は海面に墜落し、数秒足らずで沈んでいく。あれに乗っていた避難民たちはもう助からないだろう。

 

『なんてこと…耐えられない…!』

 

 ファルコンのパイロットは、沈みゆく避難船にコヴナントに対する怒りが込み上げて来る。

 沈む避難船を本部は見ていたのか、捜索隊と救出隊を送るかどうか問う。

 

『こちらディスパッチ、捜索隊は必要か?』

 

『いや、もう意味は無い…』

 

 同じく見ていた海兵隊の上級曹長は、避難船が完全に沈み切った後で必要ないと答えた。

 残りの避難船を守るべく、UNSC全軍は圧倒的な物量と火力を誇るコヴナント軍相手に奮闘する。

 地上の敵に機銃掃射を浴びせる中、地上に居る海兵隊員から援護要請が来た。

 

『スパルタン、こっちだ! 至急、ミサイル砲台の周辺に居る敵の掃討を手伝ってもらいたい!』

 

「パイロット、地上へ降ろしてくれ!」

 

『分かったわ!』

 

 地上で戦っているのは、無線の上級曹長だ。彼の要請に従い、6はファルコンのパイロットに地上へ降ろしてくれるように頼めば、彼女はその要請を受け入れてシュンや6、ギルアズを地上へと降ろした。

 

「良く応じてくれたスパルタン、ディバル上級曹長だ。これ以上、状況が悪くならないように祭損を尽くそう。早速だが、避難船を発進させるには、上のコルベットをどうにかしなければいかん」

 

 その上級曹長は、降りて来たスパルタンの面々に、敵コルベットの対処法を伝える。

 

「対処法は、あの二つのミサイル発射台を起動させ、中央ターミナルの制御装置から撃ってくれ。無論、敵は群がってる、連中を一掃してからな。五千人の避難民がベイで待機中だ。コルベットには泣かされた。奴らに地獄を見せてやってくれ」

 

「応よ。任せな、マリーンズ」

 

「よし、その意気だ! おい、顎割れ野郎共をビーチから追い払うぞ!!」

 

 地に足を着けたシュンは、上級曹長の頼みに応じた後、彼は陸軍と海兵隊員たちを鼓舞させ、多目的ロケットランチャーを担いでワートホグに飛び乗った。シュンはマングースの後部座席に乗り込み、そこから上級曹長と同じロケットランチャーを構え、上空から撃ってくるバンシーに向けてロケット弾を放つ。

 発射されたロケット弾は、照準器に収められた標的に向かって飛んで行き、やがて命中してそのバンシーを撃墜する。

 ある程度の距離が取れていれば、この二発も発射できるロケットランチャーは対空機能があるのだ。

 

「運ちゃん、あっちだ! あのレイスへ向かえ!」

 

「お前、俺を殺す気か? それに気は確かか?」

 

「いいから向かえ。その前にお前を殺すぞ」

 

 バンシーを撃墜した後、シュンはドライバーにレイスへ突っ込むように指示を出した。

 これにドライバーはシュンに気は確かであるかを問われるが、彼は左手で抜いた拳銃を突き付けながら脅し、彼に6やギルアズ達に気を取られているレイスに向かう。

 こちらに気付かないうちに、シュンはロケット弾をレイス全部の機銃座に撃ち込んで機銃手をプラズマ機銃ごと吹き飛ばし、背中の大剣に切り替え、それで方向転換して砲塔でこちらを吹き飛ばそうとするレイスに構えた。

 

「行け!」

 

「クソッ! 死んでも恨むなよ!!」

 

 シュンが大声を出しながら指示を出せば、ドライバーはアクセル全開でレイスに突っ込む。

 レイスの真横に着いた瞬間にシュンは大剣を真横に振るい、レイスを真っ二つに切り裂く。

 

「すげぇ! まるでアニメの世界みたいだ!」

 

 レイスが大剣で真っ二つに裂かれたのを見て、上級曹長が現実とは思えない光景をアニメで表した。

 一両目のレイスを破壊した後、6とギルアズはロケットランチャーで二両目のレイスを破壊し、下車してシュンと共に近い距離の北側にあるミサイル砲台に群がる敵の掃討を始める。

 そこにエリートは一人もおらず、居るのは突撃部隊のブルートやグラント、ジャッカル程度だ。

 近接武器を持つブルートも居るが、シュンの剣術と熟練兵の動きについてこられるはずも無く、バタバタと薙ぎ倒されていく。それに単独で反乱軍の部隊を壊滅させる戦闘力を持つ6と、戦場のコツを学んできたギルアズの活躍もあり、北側のミサイル砲台の奪還に成功した。

 

「北側はオンライン! 次は南側だ!」

 

 上級曹長が降りてミサイル砲台を起動させれば、次は南側の制圧に向かう。

 そこにも敵は群がっていたが、驚異的な戦闘力を誇る二名のスパルタンに敵うはずが無く、大剣で切り裂かれるか、銃弾を撃ち込まれ、そこにいたコヴナントの部隊は全滅する。

 南側のミサイル砲台を起動させ、オンラインにした後、中央ターミナルにある制御装置に突撃した。

 

『コヴナントがこっちに侵入してきました! まだですか!?』

 

「エコー6! もう少しだ! もう少しで出られるぞ!」

 

 その間に避難船より催促の無線連絡が入ったが、上級曹長は慌てることなく答え、部下たちを引き連れて中央ターミナルへ突撃する。

 ここにも敵が占拠しており、抵抗を続けているようだが、生まれながらのスパルタン、スパルタンⅡ並の戦闘力を誇るスパルタンⅢ、怒りに燃えるUNSC軍の猛攻を受け、抵抗していたコヴナントの部隊は残らず皆殺しにされた。

 

「よし、スパルタン。ミサイルを起動させてくれ。照準は上空の敵コルベットだ!」

 

 上級曹長の命令で6はミサイル制御装置を起動させ、上空を飛び交うコルベット艦に照準を定めれば、発射ボタンを押した。

 起動済みのミサイル発射台は上に発射口を向け、即座に上空を飛んでいるコルベット艦に向けてミサイルを発射する。

 これと同時に上級曹長はベイに待機中の全避難船に出発命令を出す。

 

『ミサイル防衛オンライン! 全避難船、離陸せよ! 早く行け!!』

 

 ミサイルが発射される中、全ての避難船は離陸し、戦場となっている惑星リーチより脱出した。

 発射されたミサイルが敵コルベット艦の艦首に命中、敵が慌てて回避行動を取り、避難船を追わず、この空域から離脱し始める。

 

「避難船、離脱完了! 良くやってくれたスパルタン! 大勢の命が救われた! 感謝する!」

 

 そのお礼の言葉の後に、陸軍と海兵隊の合同部隊はまだ残って居る戦友たちを救いに街へと戻った。

 この戦列にスパルタンも加わるべきだが、合同部隊に断られ、次なる救援要請に応えるために残る。

 そんな時に、キャットから無線連絡が入った。

 

『…応答せよ、こちらノーブル2…ノーブル5、ノーブル6、ノーブル7、ノーブル8、応答せよ…』

 

「こちらノーブル6、ノーブル2、どうぞ」

 

 雑音が混じっていたが、確かにキャットの声である。直ぐに6が応じる。無線連絡の雑音は無くなり、鮮明となる。

 

『良かった。シグナルが一時間前に受信したけど、交信しなかった。コヴナントに傍受される恐れがあったから。ジョージの消息は不明よ。何所ではぐれたの?』

 

 無線連絡が通じなかった訳をキャットは告げれば、次にジョージが何所へ行ったのかを問うた。

 その問いにジョージの最期を知る一同はヘルメット越しで表情は分からないが、暗い表情を浮かべ、6が代表して彼の最期をキャットに告げる。

 

「残念ながら…」

 

『了解…』

 

 6の声でジョージが死んだことを察したキャットは、気を取り直してシュン達が居る状況をどうなのかを問う。

 

『スターボートの状況はどうなの?』

 

「最後の避難船が出ました」

 

『了解、こっちに戻って来て』

 

 6が一段落したことを伝えれば、キャットはこっちに戻ってくるように指示を出した。

 それが聞こえていたシュンは赤い発煙筒に火を点け、ランディングゾーンに使える広い場所へ投げ込めば、迎えが来るのを6とギルアズと共に待った。




次回から後のアービターとなるセル・ヴァダムとシュンを戦わせてみようかと思う。

つってもあの公式ハイスペックチート…仮面ライダーブラックと互角にやり合えそうだし…

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