復讐異世界旅行記   作:ダス・ライヒ

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柴犬アニメの第一話っす。

実は俺、原作見てないんだよな…
アニメのうろ覚えでやってます。おかしな点がありますので、どうぞ何なりとツッコんでください(パラガス風味に


五人目の補充兵

 ドイツ民主共和国、国家人民地上軍の最強の戦術機部隊である第666戦術機中隊、通称シュヴァルツェ・マルケンに補充兵としてやって来たシュンは、部隊のやり方を身体で染み込まされ、隊の任務を行える技量まで持つことは出来た。

 ようやく出来るようになった所で、シュンに取って戦術機のデビュー戦を迎える。

 デビュー戦は隊の主任務である光線級吶喊(レーザーヤークト)。BETA群の猛攻を受けている防衛線の維持による砲撃の妨げとなっている対空兵のレーザー級を駆逐する任務だ。

 シミュレーションで十度ほどレーザーヤークトをやったが、十回中、八回戦死し、二回ほどでレーザー級を仕留めることが出来た。

 これでは実戦に参加できないとされていたが、事態は急を要するのか、シュンは出撃メンバーに加えられた。

 

「やっぱりこれ着なきゃいけねぇのか」

 

 レビュー戦を控えるシュンは、更衣室で身に着けた戦術機のパイロットスーツ、衛士強化装備を身に着けた後、体のラインが映るボディスーツに羞恥心を覚えた。

 今までは散々半裸の状態で戦って来たシュンだが、このパイロットスーツは流石に気が引けるようだ。

 

「何をしている? 行くぞ!」

 

「良くあんなのが着れるな。恥ずかしくないのかよ」

 

 その場で立っていると、アイリスディーナに注意される。

 自分と同じ衛士強化装備を身に着けた魅力的な女性陣の姿を見て、シュンは恥ずかしくないのかと思ったが、慣れ切った様子であり、羞恥心など当に忘れたようだ。

 そんな女性陣に負けていられず、シュンは護身用の拳銃と、この極寒の地に必要な物であるウォッカが入ったスキットルを持って自分の機体へと駆け込む。

 

「おい、飲酒運転が厳禁だぞ!」

 

「生き残ったらビールを奢ってやるよ、爺さん!」

 

「あっ、おい! たくっ、生きていたからだぞ!」

 

 整備班長である初老の整備兵に、コックピットに酒を持ち込んでいることがばれたが、シュンは生き残ればビールを奢ると言って飛び込み、自分のMiG-21に搭乗した。これに整備班長は呆れつつ、シュン機から離れる。

 

『全機、出撃準備完了!』

 

『よし、全機出撃せよ!』

 

 全員の出撃準備が完了すれば、中隊長であるアイリスディーナは全機に出撃を命じてから、滑走路を使って先陣を切って出撃した。

 最初に先陣を切って出撃したアイリスディーナ機に続き、続々と中隊に属するバラライカが出撃して行く。

 

「ほぅ、この世界じゃあぁやって出撃するのか」

 

 滑走路を背中や脚のスラスターを吹かしながら出撃する戦術機の出撃方法を知らなかったシュンは、関心の声を上げた。シュンが知っているワルキューレの戦術機の出撃方法とは、滑走路など使わず、推進剤を節約するために歩いて出撃するのだ。

 初めて見るこの世界の戦術機の出撃方法に、シュンは珍しく眺めていると、自分の番が来たのか、最後のアルバニア人から通信で注意を受ける。

 

『おい! お前の番だ!!』

 

「おっ、俺の番か」

 

 注意を受けたシュンは、中隊のやっていた滑走路での出撃方法を真似て、滑走路について僚機と同じように地獄のような戦地へと出撃した。

 

 

 

「マシンの中に乗って前線へ向かったのは、戦車の装填手をやらされた時以降だな」

 

 コックピット内のモニターから見える冬の景色を見て、シュンはワルキューレに従軍していた頃に、一時期戦車の装填手として戦車に乗って出撃した頃を思い出す。

 

「冷えるな。やっぱり冬はこいつだ」

 

 過ぎて行く冬景色をモニター越しに眺めていた時、薄い衛士強化装備は暖房機能が無いのか、寒気を覚え、左に吊るしてあるスキットルを手に取り、中に入ってあるウォッカを一口飲んだ。

 俗に言う飲酒運転であるが、誰も気にしてはいないのか、通信越しでシュンが飲酒を行っていることを注意しなかった。

 

『総員傾注! まもなく光線級の射程距離に入る。各機、高度を下げ、レーザーヤークトを敢行せよ!』

 

 そんな時に部隊の優先排除標的であるレーザー級の射程距離まで迫ったのか、中隊長のアイリスディーナからの警告が入る。

 

「資料で見たが、あの目玉見てぇな奴がそんなにヤベェのか」

 

 その警告を聞いて、シュンは実物を見たことが無いレーザー級がそれほど危険な物なのかと疑い始め、再びスキットルに手を伸ばして中の飲料を口にする。

 

『シュヴァルツェ11(エルフ)、身体を温めるのは良いが、余り飲み過ぎるなよ? 酔われては困る』

 

「おっと、済まねぇ。こんな薄着じゃ寒くてしょうがない」

 

『き、貴様! 作戦行動中に飲酒など!』

 

 飲んでいる所を目撃されたのか、アイリスディーナからの注意を受けた。更に部隊の政治将校、グレーテルが任務中の飲酒を知って激怒した。

 

『だが、今は任務中だ…! 後で覚えておけ!』

 

「これから死にに行くんだ。一杯くらいやらせろよ」

 

 今から処罰などは行えば、何か問題が起こる事は間違いないので、ここは敢えて堪える。これにシュンは悪態を付いて目前のモニターに集中した。

 

『シュヴァルツェ10(ツェーン)、高度が高いぞ!』

 

『しかし、これ以上高度を下げたら…』

 

 もう少しで射程内であるため、アイリスディーナはアルバニア人が乗るバラライカの既定の高度よりも高過ぎることを見逃さなかった。

 標的にされないように高度を下げるように注意したが、その直後に彼が乗るバラライカは凄まじい速度で来たレーザーに撃ち落とされ、火を噴きながら雪原の上に墜落する。

 

『ツェーンが喰われた!』

 

『総員、高度を下げろ! レーザー級の射程内だ!!』

 

「目ん玉はヤベェな!」

 

 友軍機、それも僚機が落ちたところで一気にシュンの緊張感が高まる。

 レーザーは初撃から僅か数秒足らずで、雨あられのように放たれ始める。アルバニア人の機体と同じ高度を飛んでいれば、彼の跡を追うことになるだろう。

先の撃ち落とされた僚機を見て、シュンは中隊機と同じ高度を取って後へ続く。

 

「これがレーザーヤークト、目玉焼きって奴か!」

 

 機体の頭を掠める凄まじい速さで迫り来るレーザーをモニター越しに見て、シュンは初陣の頃に味わった恐怖を思い出す。

 あの時のシュンは十二歳であり、恐怖で余り身体が動かず、一人しか殺せなかった。

 人を傷つけたことは幾度かあったが、初めて手を掛けた、それも殺した時は精神的ショックを受けたが、何度か最前線で捨て駒同然で投入されていく内、自分が生き残るための物だと言い聞かせれば、自然と何も感じなくなり、最終的に命をやり取りする戦いこそが自分の天職だと感じた。

 今はBETAと言う宇宙から来た化け物を殺す機械の中で、初陣の時を思い出している。

 前の世界のMSの中とは違って、遠くに見える無数に蠢く化け物の集団が怖くなってくる。

 

「(こんな感覚を思い出しちまうとはな)」

 

 シュンは心の中で初めて戦場に出た少年の頃を思い出し、両手に握る操縦桿を強く握った。

 

『十二時後方より多数のBETA確認! 損害に構わずレーザー級のみを排除せよ! 他の雑魚は邪魔になるなら突破しろ!』

 

『む、無茶だ! あんな大群を突っ切れなんて…! 俺は嫌だ! 死にたくない!!』

 

『お、おい! ここで逃げ出しても…あぁ、言わんこっちゃない』

 

 モニターからはレーザー級を守るための障壁か、トリケラトプスのような化け物やサソリのような化け物たちが壁を張っている。前衛には無数の赤くて小さいのが居た。

 そんな集団を見て恐れをなしたのか、ルーマニア人が逃げ出そうと機体の高度を上げてしまう。彼の事を自分の職務らしく注意したグレーテルだが、レーザーに撃ち落とされたのを見て呆れ返る。

 この様子からして、彼のように恐れをなしてレーザー級に撃ち落とされた者達を見てきたようだ。シュンもああならないように、気をしっかり持って中隊について行く。

 

『戦車級が射程内に入った!』

 

『よし、各機、火器の安全装置解除! 進路上の邪魔となる物は排除せよ!』

 

 前衛からの知らせが入れば、アイリスディーナは射撃命令を出した。

 これに合わせ、中隊は進路上の邪魔となるBETAに向け、戦術機サイズの突撃銃である突撃砲を撃ち込む。

 コックピット内から出は分からないが、戦車の主砲以上の弾丸が恐ろしい音を立てて連続して放たれ、モニター越しに見える赤い無数の化け物が、その弾丸を受けて肉塊へと変わっていくのが見える。人間であれば、原形を留めていないことだろう。

 赤い肉の壁を剥していく内に、トリケラトプスのようなBETA、突撃級が群れをなして突っ込んで来る。

 

『高度を上げろ!』

 

 中隊長の指示で、中隊機は一斉に飛び上がった。シュンも僚機がやっているレーザー級の攻撃を受けないギリギリの高度を保ち、追い掛けるようについていく。

 

『ま、待ってくれ! グアァァァ!!』

 

 だが、ユーゴスラビア人が乗る機はレーザー級の攻撃を受けるのではないかと怯え、指示を聞かずにそのままの高度を保ち、やがて来た突撃級の体当たりを受けて雪原の上に叩き付けられる。

 

『だ、誰か助けてくれ! 誰か…! う、うわぁぁぁ!! ママァァァ!!』

 

「誰も助けないのか…まぁ、当然だな」

 

 通常、突撃級の突進を正面から受ければ即死は間違いないが、彼は奇跡的に生きていた。

 しかし、BETA達は瀕死の彼に慈悲を掛けることなく、動かない機体に群がって、彼を惨たらしく食い殺した。

 その様子が無線から聞こえ、ますますシュンは恐怖心で失禁しそうになったが、宇宙空間で味わったスリルを思い出して恐怖心を誤魔化す。

 こうして、戦車級と突撃級の肉の壁を突破した中隊だが、最後の障壁であるサソリのようなBETA、要撃級が待ち構えていた。

 歴戦の衛士曰く、BETA戦争で尤も多く出会うお友達であり、ヨーロッパではタコ助と言う愛称で呼ばれている。

 このBETAも、戦車級や突撃級、光線級と同様にかなり危険な種類である。

 瞬く間に三機もの僚機を失った中隊は、損害に構わず主任務である光線級排除を行うべく、突撃砲を撃ちながら光線級が居る地区まで前進する。

 

「(みんな乱射してるな。俺は皺くちゃの尻尾を狙うがね)」

 

 中隊の全員が突撃砲を連射しながら前進しているのを見たシュンは、この世界に来る前に、ガイドルフが用意したBETAの資料を目に通しており、各種のBETAの弱点を頭に叩き込んでいた。

 そこでシュンは牽制射撃を止め、単発で尻尾の部分を撃つ。すると、尻尾を撃ち抜かれた要撃級は何やら混乱を始めた。

 

「(あれが器官って所か。脚を狙った方が早そうだ)」

 

 尻尾が器官らしいと判断したが、足を根立った方が早かったので、三発での脚を狙う戦法に切り替える。

 この方法が高速戦闘で効率的であった。脚を撃たれて動きが止まったBETAに対し、味方のBETAは踏み潰すところを踏み潰さず、仲間を傷つけないように避けてこちらを殺しに来ている。前の世界で戦った同盟軍のパイロットとは、戦闘力を含めてえらい違いだ。

 

「感動的だな」

 

『何を言っている!? 集中しろ!!』

 

「へいへい」

 

 仲間を傷つけず、尚且つ誤射もしないBETAを見て冗談を口にするシュンに対し、グレーテルは戦闘をしながら注意した。

 これにシュンは生返事をしつつ、自機のコースの邪魔となるBETAの脚のみを撃って標的である光線級の元へ向かう。

 

『レーザー級を視認! シュヴァルツェ各機は最優先でレーザー級を排除せよ! 制空権が取れれば戦闘爆撃機と後続が残りを叩いてくれる! 雑魚に構うな!!』

 

 先陣を切るアイリスディーナ機より、光線級を視認できる距離までの接近に成功したとの報告が無線機より入った。突撃砲の射程内に居るので、先頭の機体は他のBETAを無視して光線級のみに的を絞る。近接戦闘が得意なテオドールとシルヴィアは機体の左手で抜いた戦術機サイズのナイフで斬れるBETAのみを排除し、光線級への射線を開く。

 

「目玉焼きだ! 目玉野郎!!」

 

 照準に捉えた光線級へ向け、シュンは自分が勝手に付けた蔑称で呼びつつ、その二つの巨大な眼球を持つ敵性生命体に向けて突撃砲を三発ほど撃ち込んだ。

 三発の前大戦時代の戦車並の砲弾を受けた光線級は見るも無残な肉塊と化し、先ほどまで立っていた雪原を血で真っ赤に染め上げる。

 全ての光線級を排除する勢いで撃ち続ければ、残って居るBETAは光線級を除く赤蜘蛛のような戦車級と要撃級、突撃級のみとなった。

 

『レーザー級殲滅を確認! 制空権を確保! 航空支援要請、我が隊の背後より迫るBETA群の排除を頼む!!』

 

『了解した。五分耐えろ』

 

「目ん玉は皆殺しにしたが、そこまで持つか…?」

 

『シュヴァルツェ活気に通達、防衛隊形を組み、戦闘爆撃機が来るまで持ち堪えろ』

 

 光線級吶喊を成功させ、制空権を確保したので、アイリスディーナは直ちに航空支援を要請した。

 だが、こちらに来るまでは五分以上は掛かるので、その無線連絡を聞いていたシュンは周囲に居るBETAを見て、五分を過ぎるまで生きているかどうか不安になって来る。

 そんな不安になりながらも、生き残るために指示に応じて防衛隊形を組み、必死に操縦桿を動かし、五、六体以上を突撃砲やナイフで始末する。背後より迫るBETAも居たが、テオドールがナイフ投げで排除してくれた。

 

『ぼさっとするな! モンゴルゴリラ!!』

 

「ちっ、イラつく餓鬼だな!!」

 

 テオドールの罵倒混じりに戦闘の興奮状態の影響で苛立ちを覚えたのか、モンゴル語で悪態を付きつつ、突進を掛けて来る突撃級の足元を撃って転ばせ、続けて接近して来る要撃級の脚を撃って胴体に数発ほど食らわせた。

 

『BETAは殺さなきゃ…!』

 

「おい、餓鬼! 何所へ行く気だ!?」

 

『ほっとけ! 隊形を維持しろ!!』

 

 戦闘爆撃機が来るまでこちらを殺しに来るBETAを排除する中、戦争神経症を患っているアネットは隊形を離れ、単独でBETAに突っ込もうとしていた。それを注意したシュンであるが、勝手な行動を取るアネットの事など気にも留めないテオドールは、放っておけと言って自分に襲い掛かるBETAを突撃砲で葬る。

 

『アネット! 危ない!!』

 

『お前も隊形を離れるな!』

 

 古株とも言えるテオドールは単独でBETAを殺そうとするアネットを放っておいたが、彼女のフォローを担当するイングヒルトは助けようと思って前に出た。

 グレーテルは注意したが、彼女も聞く耳を持たず、アネットの側面より襲い掛かる突撃級を排除してから戻るように無線で告げる。

 

『アネット! 勝手に前に出ちゃ駄目だって!』

 

『煩い! BETAは、BETAはみんなのために全部殺さなくちゃいけないんだ!!』

 

『ちっ、そんな奴、ほっとけば良いのに』

 

 自分の戦友を殺し続けたBETAへの復讐に燃え、単独で前に出た中半錯乱状態のアネットを戻そうと説得するイングヒルトの無線連絡は全員に聞こえていたのか、それを聞いていたテオドールは苛立っていた。

 そんなアネットを引き戻そうと援護も無しに隊形を出たイングヒルトも油断していたのか、側面より来た要撃級の攻撃を受ける。

 

『い、イングヒルト!?』

 

『ちっ、言わんこったねぇ。そんな奴に構うからだ!』

 

 イングヒルト機がやられた瞬間、アネットは正気を取り戻し、戦友を傷付けた要撃級を背中に着けている戦術機用の長刀で斬り倒して雪原の上に倒れ込んだ彼女のバラライカに寄り添った。

 

『やっとか! 後一分早く来てくれていれば!!』

 

 それと同時に戦闘爆撃機の編隊が到着し、周囲のBETAに向けて対地ミサイルや小型爆弾を浴びせる。後続の他の戦術機部隊も増援として到着して、第666中隊に群がっていたBETAを殲滅させようと突撃砲を浴びせる。援軍の到着が遅かったことで、古参の部下が傷付いたことにアイリスディーナは味方に悪態を付いた。

 ともあれ周囲の安全が確保できたので、中隊長である彼女は損傷を受けた機体に取り残されている部下の元へ向かい、機体より降りてイングヒルトの安否を確認する。

 

「中隊長、嬢ちゃんは無事か?」

 

『期待に応えられないな。彼女はもう駄目だ…運び込んだとしても、救護所までは間に合いそうも無い…』

 

 周囲警戒を指示無しでする中、シュンはイングヒルトが無事かどうかをアイリスディーナに問えば、機体に取り残されている彼女はもう助からない状態であった。

 そんな上官に対し、イングヒルトは楽にしてくれるようまだ動く口で頼み込む。その悲痛な声はオープンチャンネルなのか、シュンが搭乗する機体にも聞こえて来る。自分の勝手な行動で彼女を苦しめてしまったアネットには、精神的に凄まじい苦痛だろう。

 

『た、隊長…もう私は助かりません…それに足の感覚も腕の感覚が無いんです…撃ってください…苦しくてもう我慢できません…お願い、私を撃って…!』

 

『…分かった。なるべく一瞬で逝かせてやる…済まなかったな』

 

『いえ、あれは私が悪いんです…もっと、上手くできていれば…アネットも、私も…』

 

『大丈夫だ、誰も悪くない…だからもう、おやすみ…』

 

 そのやり取りから数秒後、アイリスディーナが引き抜いた拳銃の銃声が聞こえた。

 銃声が響いた後に酷く損壊したイングヒルト機からアイリスディーナが飛び出て、自分の機体へと戻ってコックピットの中へと戻る。

 

『中隊長、そのまま帰投しますか?』

 

『いや、先ほどの救援信号を出した部隊の救出に向かう。私と(アハト)11(エルフ)だけだ。残りは予備弾倉を残して帰投しろ』

 

『なに!? 俺は!』

 

了解(ヤヴォール)。予備弾倉のある物は中隊長と8と11に渡せ。残りは帰投する!』

 

 そんな部下の苦しみを解放した彼女に対し、補佐役のクリューガーは第二派が来る前に帰投するかどうかを部隊長であるアイリスディーナに問うが、彼女は先の救援信号を出した部隊の救出に向かうと返した。テオドールが救出部隊のメンバーに加えられたことに腹を立てているが、アイリスディーナは彼の意見などに耳を傾けない。同じ隊員たち同様に。

 連れて行くのはテオドールの補充兵のシュンのみとし、残りは予備の弾倉を渡してから基地へ帰投する。

 その命を受けたクリューガーは、予備弾倉を持っている隊員にそれを救出に向かう隊長機と二機の随伴機に渡すように指示した。

 

『持っていきな、デカ猿』

 

「荒っぽいな、おい」

 

 補佐役のクリューガーの指示を受けたシルヴィアは、余っている予備弾倉をシュンのバラライカに向けて投げた。

 飛んできた巨大な弾倉を何とか操縦桿を動かして受け取ることに成功したシュンは、モニター越しにシルヴィアを睨み付けたが、彼女はそれに何の反応もせず、部隊でのナンバー2の実力と指揮力を持つファム機の後へ続いて基地へと帰投する。

 

『各機、残弾をチェック。百以上を切っていたら新しいのに取り換えろ。再装填を終え次第、救出に向かう』

 

『生存者が居ればな』

 

 二機を指揮下に残して救出に向かう中隊長は、残弾を確認するように指示を出した。

 弾数が百を切っている場合、渡された予備弾倉に切り替えるように言えば、テオドールとシュンの双方とも弾切れ間近だったのか、突撃砲の弾倉を外し、新しい物を取り付ける。

 この際、付き合わされたテオドールが悪態を付いていたが、彼女は聞かずに隊員等の再装填が終わったのを確認すれば、自分の突撃砲の再装填を素早く終わらせ、スラスターを吹かせて救出へと向かった。

 

『よし、行くぞ!』

 

 先に彼女の指揮官機用のバラライカが戦闘を取れば、二機の標準仕様のバラライカも後へ続いた。

 

 

 

『この辺りだ。各機、BETAはまだ残って居る。レーダーに映らなくとも油断するな』

 

 帰りの推進剤を考えつつ、救援信号が出された範囲を飛びながら調べる中、アイリスディーナはBETAが付近に潜んでいるかもしれないと、随伴機の二機に告げる。

 

「あいつ等が群がってる場所に居るんじゃねぇか?」

 

『それならとっくに死んでる』

 

 注意を聞いて、シュンはBETAが群がっている方に生存者が居るのではないかと中隊長に意見を告げたが、それならテオドールは既に死んでいると異論を唱える。

 このテオドールにシュンは苛立ちを覚えていたが、物の数秒後でまだ生存者が居る証拠である信号がレーダーに映り、警報がけたたましく鳴る。

 

『居たぞ! 数十体のBETAにやられている! 西ドイツ軍だ!!』

 

『向こう側か? ちっ、苦労掛けやがる!』

 

 同じく信号を受けたアイリスディーナが、救難信号を出したのが西ドイツ、ドイツ連邦共和国の戦術機部隊であると知らせれば、またテオドールは悪態を付く。部隊が居た場所はBETAの侵攻で滅茶苦茶に破壊された村だ。

 三機は直ぐに生存者を狩ろうと倒れているドイツ連邦軍が運用するF-5戦術機に群がるBETAに向け、突撃砲を浴びせて排除する。

 先に仕留めた赤蜘蛛の戦車級を含め、突撃級に要撃級のいつもの突撃してくるBETAの混成部隊だ。余り数は居ないが、油断すれば包囲されて惨殺される。

 信号を出している機体に群がっていたBETAを一掃すれば、アイリスディーナは残りの信号をレーダーで探した。シュンも同じように、BETAを排除しつつまだ生存者が居ないか、家屋の中を赤外線カメラで確認した。

 

「信号を出しているのはそいつだけだ。残りはみんな化け物に食われちまったようだ」

 

『シュヴァルツェ11、ご苦労だ。シュヴァルツェ8、信号を出している西ドイツ機より生存者を救出しろ。機体はもう動かん。衛士のみを連れて行け。援護する』

 

 生存者が信号を出している行動不能なほどの損壊を負ったF-5のみであるとシュンが告げれば、アイリスディーナは労いの言葉を掛け、テオドールに生存者の救出を命じた。

 

『ちっ、そこのゴリラにやらせれば良いだろうが!』

 

『四の五の言わずにやれ! 部隊の中で足が速いのはお前だけだ!』

 

『クッ、了解した! 生存者を救出する!』

 

 自分に危険な任務を命じる中隊長に対し、テオドールは反攻するが、一喝で黙らされ、泣く泣く機体から降りて生身での生存者救出を行う。その際に彼は、護身用の拳銃一挺とコックピットのハッチを抉じ開けるためのバールを持って、行動不能のF-5へと取り付く。

 

『11! 私は周囲を排除する! お前は8の援護を!!』

 

「了解だ! 赤蜘蛛を払っておく!」

 

 テオドールが信号を出している機体へ生身でよじ登り、コックピットのハッチをバールで必死に抉じ開ける中、アイリスディーナからの指示を受けたシュンは、彼とその機体へ群がろうとする戦車級の排除に勤めた。

 

『この…!』

 

 近付いてくる赤蜘蛛のようなBETAを排除して行く中、ようやくハッチを抉じ開けることに成功したのか、テオドールは乗っている衛士を引きずり出してくるのがモニター越しに見えた。

 彼が抱えているのは西ドイツ軍の衛士は、アネットとそれほど変わらない少女だ。西もどうやらかなりの戦力を動員して被害を被っているのか、志願者であれば十代後半の少年少女も前線に投入するほどに兵員が不足しているようだ。

 

『こちらシュヴァルツェ8、生存者救出!』

 

『よし、全機帰投だ! 飛べ!!』

 

「やっとか!」

 

 テオドールが生存者の少女を抱えながら自分の機体へ駆け込み、無線でそれを報告すれば、アイリスディーナは随伴している二機に帰投命令を出し、突撃砲の下部に付いている120mm滑走砲を全て撃ち込んでから飛び立つ。

 シュンも同様に足にへばり付いている戦車級を空いている足で蹴り落としてから、飛躍ユニットで飛んでから120m砲を撃ち込んで先に帰投するアイリスディーナ機へ続く。生存者を載せたテオドール機も、基地へと帰投する二機の後へ続いた。

 

『戦闘態勢解除…ここまで来れば安心だ。ご苦労だったな』

 

「終わったか…」

 

 戦闘地区を全速で離れた後、アイリスディーナは戦闘態勢の解除を命じ、付いて来た二人に労いの言葉を掛けた。

 これにシュンは一息つき、吊るしてあるスキットルを手に取ってウォッカを一口飲んで心を落ち着かせる。

 こうして、シュンの初となるBETA戦が終わった。初めてとなる生身では無い戦術機による怪物との戦闘に、シュンは生きている喜びと、この世界の全ての衛士が味わう恐怖を自分の身を持って知った。

 次もこのような戦いが待っていることだろう。

 そう思うと、少し不安な気持ちになったが、幾度も生身で生きた人間との地獄のような戦いを繰り広げている。

 だが、その内にそれらの戦いのように慣れて来るだろう。

 前向きに考えたシュンは、基地へ帰投する二機の後へ続いた。

 

 

 

 基地へと帰投して少しの休憩を挟んで数時間余り、先のレーザーヤークトで補充兵三名と隊員一人を含む四名が戦死し、定数の十二機からまた八機編成の中隊へと戻ったシュヴァルツェ・マルケンだが、ここに来て思わぬ五人目の補充兵が現れた。

 その補充兵とは、共産主義陣営の敗残兵でも迷子兵でも無い、西側、すなわち資本主義陣営の敗残兵であるカティア・ヴァルトハイムがこの中隊に補充兵として志願したのだ。

 カティアは先の戦闘でテオドールが身の危険も顧みずに必死で援護する上官と同僚と共に救出した西ドイツ、ドイツ連邦共和国の陸軍の人間だ。

 そんな彼女が東側の国家人民地上軍に入れるはずが無い。

 だが、彼女は東ドイツにある目的があって来たのか、一同が度肝を抜く行動で東ドイツ最強の戦術機部隊であるシュヴァルツェ・マルケンに入ったのだ。

 すなわち共産圏への亡命である。数々のプロパガンダで共産圏への酷さは知っている筈だが、驚いたことに、ほぼ西側のプロパガンダのようなこのドイツ民主共和国に亡命すると言ったのだ。

 最初、西側で赤色テロを起こす赤軍や共産ゲリラ、レーニンの社会主義思想に影響され、亡命して来たのではないかと、皆は疑ったが、カティアにはそんな様子は無かった。

 わざわざこんなBETAの最前線にされ、第二次世界大戦下の旧ナチス・ドイツのように地獄の釜のような東ドイツに亡命したのは、もっと単純な理由があるようだ。

 そうと睨んだシュンは、亡命を受け入れられ、機種転換の訓練を受けようと、荷づくりをするカティアに、亡命の理由とその目的を問うため、彼女を人気の無い場所へと誘い出そうとする。

 

「おい、譲ちゃん。こっちへ来い」

 

「あ、貴方は…確か…」

 

「お前より一日前にこの中隊に入った先輩だ。この基地は盗聴器まみれだ、俺に付いて来い」

 

 何故、人気の無い場所では無いといけないのかと疑問に思うカティアであるが、この国は国家保安局、通称シュタージの徹底的な監視下に置かれ、誰もが互いを監視している。国家人民軍も同様で、基地内の至る所に盗聴器が仕掛けられている。会話を盗聴されないようにするには、近くの廃墟でするしか無い。

 それを言わないシュンは、半ば強引にカティアを近くの廃墟まで連れて行き、何故、危険な東ドイツに亡命したのかを問う。

 

「寒い場所に連れて来て悪かった。でっ、なんでこんなおっかない国に亡命したんだ?」

 

「それは、マルクス・レーニン主義に影響されて…」

 

「そいつは嘘だな。嬢ちゃんは俺よりも頭が良い方だ。それに正直者で、嘘は余り上手くない方だ。本当の事を言いな」

 

 シュンの問いに対し、カティアは誤魔化そうとしたが、歴戦練磨の戦士に嘘だと見破られてしまう。亡命理由が嘘だと見破られたので、カティアは本当の理由を明かした。

 

「…実は、私、お父さんを探すために来たんです」

 

 ただ東に居ると思う父に会いたい。単純な理由で亡命してきたカティアに、シュンは呆れ返り、直ぐに説教して西へ帰るように告げる。

 

「なるほど、父ちゃんを探しに…止めとけ、お前の父ちゃんが何をやったか知らねぇが、お前を西に逃がすため、体張って殺されたか強制労働所に入れられたんだ。お前はわざわざお縄になるために来たのか? 馬鹿げてるぜ。大人しくお家へ帰りな」

 

 東ドイツに居るお前の父親は粛清され、生きていても廃人同然だ。お前が亡命してきた意味は無い。早く家へ帰れ。

 そう西ドイツへ戻そうと、カティアに説教したが、彼女は頑固な性格であり、目的があると反論する。

 

「なら、私は東西のドイツを統一させます! この国はさっきの亡命の手続きや基地中に仕掛けられた盗聴器でおかしいです! こんな国じゃBETAとの戦いに集中できない! 滅ぼされるのがオチです! だから私はこの国の人達を…」

 

 カティアはこのドイツ民主共和国、東ドイツの異常性を僅か数時間で感じ取り、先の否定もあって感情的になってこの国は間違っていると訴えた。

 彼女が言っていることは間違いない。

 いずれこの共産主義陣営の大本であるソビエト連邦に抜き取られた東ドイツは、BETAに滅ぼされるだろう。殆どの者はそれを知っているが、旧ナチス政権のゲシュタポ以上に恐れるシュタージに見付かるのを恐れ、あるいは誰かに密告されるのを恐れて誰も口にしないのだ。

 言えば、銃殺されるか、死ぬまで強制労働、もしくは前線への弾除けとして使われる。

 誰もがBETAではなく、人間の組織であるシュタージを恐れて言えないのだ。カティアはそれを知らないから言える。共産圏の正直者は、長生きできないのだ。

 BETAへの防波堤とされた東ドイツに来て、社会主義政権への異常性を直ぐに長年の感で気付いたシュンは、正直者であるカティアの口を慌てて塞ぎ、誰も居ないか確認した。

 誰も居ないことを確認すれば、口から手を離して睨み付ける彼女にそれを堂々と人前で言わないように注意する。

 

「な、何を…!?」

 

「それを余り人前で言うなよ! 言えば、お前は粛清だ! 分かったな!?」

 

「…わ、分かりました…では、私は機種転換の訓練があるので…」

 

 確かにそのことを堂々と言えば、粛清は免れない。

 シュンに警告されたカティアであるが、彼女は自分を曲げようとはしなかった。敢えて分かったふりをして、廃墟を出て元の基地へと戻る。

 

「ありゃ、頑固者だな」

 

 なんとしてもカティアを西へと戻そうとしていたシュンだが、あれは聞いてないと見破って廃墟にあった椅子に腰かけ、忍ばせているスキットルを手に取り、濃度の高いウォッカを一口飲む。

 監視の届かない廃墟の中で酒を一杯やる中、背後から気配を感じ、腰のホルスターに手を伸ばして誰なのかと問う。

 

「見てたのは分かってるぞ。出てこい」

 

 シュンが警告すれば、物陰より思わぬ人物が姿を現した。

 

「その動き、ただの迷子兵では無さそうだな」

 

「あんたは…!?」

 

 その人物は、自分が属する中隊の長を務めるアイリスディーナだ。いつ来ていたかは分からないが、彼女は兄を密告して軍の階級を得たとの噂をテオドールやシルヴィアより聞いたので、拳銃をいつでもとれるように立つ。

 

「そんなに警戒するな。さっきの話を密告するつもりは無い。むしろ、お前を‟同志‟に迎えたいほどだ」

 

「同志…? ハハハ、なんだ、革命でも起こして、アカ共を皆殺しにして第四帝国の総統にでもなるつもりか?」

 

 近付いてくるアイリスディーナは、殺気を見せるシュンに臆することも無く、彼が言ったナチス関連の冗談に笑みを浮かべながら答える。

 

「いや、私はナチスでも無い。旧大戦時の退役軍人や元親衛隊の者達は私の事をアーリア人の顔だと言うが、ヒトラーの思想には反対だ。社会主義政権もな」

 

「そうかい。でっ、一緒に革命しましょうかってか? 革命ごっこはあんた等だけでやってくれ。俺はそれほど暇じゃないんでな」

 

 そんな彼女の答えに、シュンは自分を勧誘しに来たのなら間違いであると告げる。

 

「ほぅ、そう返すか。彼女、カティアの言っていることは間違ってない。BETAと戦うに、政治イデオロギーで対立していては、いずれは共倒れだ。だからこそ、共に手を取って戦う必要がある」

 

 政治的イデオロギーで対立していては、BETAには勝てない。人類が生き残るには、共に協力して戦うべきだ。

 勧誘した相手が断った後に、食い付かせようとカティアと同じ持論を展開するアイリスディーナであったが、シュンはカティアを政治に利用しようと考え、否定的な意見で返す。

 

「なるほど、みんな協力して悪い宇宙人と戦いましょうか。理想を語るのはそれくらいにしておけ。あんたが幾ら正しい事言ったって、お上の連中はやろうともしないさ。本当にそんな日が来るのは、逃げ場所が無くなって滅亡寸前になってからだ。それまで待つんだな」

 

 ガイドルフが用意したこの世界の資料を読んでいたシュンは、完全に死地に立たされない限り、人類は手を取り合わない。滅亡寸前になるまで待て。

 そんな意見で返して帰ろうとしたシュンだが、アイリスディーナはある条件を持ち込む。

 

「確かに一理ある。まだ人類には安全地帯が残って居る。それらが無くならぬ限り、指導者たちは手を取り合わないだろう。では、こうしよう。私がお前の目的を果てしてやろう。お前はモンゴル軍の兵士じゃないんだろ? 何者だ?」

 

「っ!?」

 

 東西の指導者たちを知るアイリスディーナは言い返せなかったが、先の戦闘で見せたシュンの戦闘力の高さに、モンゴル軍からの迷子兵で無いことを見抜いた彼女は、何者であるかを彼に問うた。

 これに過剰に反応したシュンは、思わず拳銃を引き抜き、アイリスディーナに体格から想像もつかない目にも止まらぬ速さで迫り、押し倒して馬乗りとなって額に銃口を突き付ける。

 前の世界のマリの件もあり、金髪碧眼の美女には警戒すべきとシュンの辞書には書き足されたのだ。故に、シュンにハニートラップは無効だと言える。

 押し倒した瞬間、彼女の護衛役の者達、それも中隊のメンバーは手にしている銃火器をシュンに向けた。

 だが、本丸は抑えている。周囲を警戒しながらネオ・ムガルの者ではないかと問い詰める。

 

「何者だ、このアマ。まさか俺を殺しに来た刺客か?」

 

「こいつ、やっぱり! 多分国家保安局(シュタージ)の…!」

 

「黙っていろアネット! 私はお前の言う刺客では無い…」

 

 問い詰めて来るシュンに、シュタージが送り込んだ刺客ではないかと疑うアネットは、思わず銃の安全装置を外して撃ちそうになったが、アイリスディーナに黙らされて引き下がる。

 そうと聞けば、シュンは警戒を解き、彼女を立たせて周囲に味方であると示した。

 

「なんだ、俺の早とちりか…で、条件は呑むか?」

 

「あぁ、どんな目標か分からんが、大尉の権限でこなせるものならなんでも受けよう」

 

「カマ掛けたか。それじゃあ、あんたと一発やらせてくれ」

 

 人民地上軍大尉の権限でこなせる物は出来るだけこなす。

 目的を達成するなら手段を択ばないシュンは、同志になると彼女に告げれば、冗談で彼女に頼み込む。

 無論、とてつもなく無礼な頼みだ。それを聞いてか、テオドールを除く中隊メンバー達は手にしている銃を再びシュンに向ける。

 

「こいつ、最低だ」

 

「私も同感、さっさっと殺そう」

 

「最低…まさかそんな人だなんて…」

 

 口々に罵倒され、蔑むような視線を感じたシュンは、先ほどの事は冗談であると何の悪気も無しに訴えてから、懐より地図を出して銃を向けているアイリスディーナに渡す。

 

「今のは冗談だ。俺はここを目指している。来るのはいつになるか分からんがな」

 

「ポーランドとの国境付近、それも北東の城跡か。旧プロイセン王国時代の物だな。ここに来る方法を探るか…近々、国連軍によるポーランド奪還作戦があるな。それに加えて貰うように、上層部に掛け合ってみよう」

 

 その地図を手に取り、シュンの目的地を理解したアイリスディーナは、全員に銃口を下げるようにハンドサインで指示を出した後、一同と共にこの廃墟を後にした。

 

「いてっ!?」

 

馬鹿野郎(ドゥムコップフ)

 

 シュンも同じく基地へと帰ろうとしたが、背後から来たクリューガーに頭を叩かれた。

 頭、それも後頭部を叩かれたシュンは、後頭部を抑えながら中隊の後へ続いた。




次回は確か…シュタージの武装警察の戦術機戦闘団が来て、来ないと言う話だったかな…?

もう一回、見直すか…

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