復讐異世界旅行記   作:ダス・ライヒ

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約三カ月ぶりの更新です、はい。


富士原亭討ち入り

 惑星同盟軍の介入によって乱戦状態となった武偵高校の学園島の端にある弾薬庫における激戦より数日後、この世界に駐屯するワルキューレの部隊に大きな動きがあった。

 

「ねぇ、あれって…」

 

「他所の部隊ね。しかも、この世界の兵器を買い取って使ってる。凄い予算あるわね」

 

 小さい民間軍事会社として日本に居るワルキューレの駐屯部隊の基地に、正規軍並みの装備をした大部隊が入って来た。

 基地を警備する女性の警備兵らは、それらをこの世界で買い込んだ物であると見る。

 彼女らが見抜いたのは、それらの装備が全て前線に行き渡っている所為だろう。故にこの基地には、馬か自転車くらいしか無い。それに特に大した敵勢力も居ないので、満足に銃火器も配備などされていないのだ。

 基地の演習場に集合した最新鋭のハンヴィー軍用車両は、まるで正規軍の車両部隊の如く綺麗に駐車し、そこから現行歩兵装備に似合う歩兵部隊が下車して綺麗に整列する。

 手にしている小火器はAR15系アサルトライフルのクローンモデルばかりで、その全てに様々なカスタマイズが施され、先進国の軍隊の歩兵がするような最新装備を身に着けている。

 そんな先進国の軍隊のような部隊、それも師団規模に近い数を見た一人の将校が、隣に立つやや薄い桃色の髪を持つ女性指揮官に向けて関心の声を上げる。

 

「ほほぅ、良くもまぁこれだけ揃えたもんだぎゃ。ちょいと高くついたんじゃありまへんかね? 幾ら大幅な軍資金が揃えられてるからって。赤字とちゃいます?」

 

「ふん、まだ黒字だ。私の財産も使っている。それに最初に与えられた装備が貧弱過ぎる。戦車はまだしても、殆どボルトアクション式の小銃で、それに移動手段は馬と自転車、古い装甲車両ばかりだ。これの何所がこの世界を遥かに上回る装備を持つ軍隊と戦えと言う事か」

 

 関西弁を話す副官に対し、女性指揮官は最初に与えられた装備に不満があり、それが理由で戦車以外の物を全て買い換えたと答えた。

 これには自分の財産も使ったらしく、そのおかげか、師団に属する全部隊に先進国の軍対並みの装備を施すことが出来た。

 

「さて、これからどうなさいますか? 演習ですか? それとも瀬戸シュンでもとっ捕まえに行きますか?」

 

「いや、演習代わりにこの国に巣くうテロリスト共を一掃する」

 

 これだけの装備を揃えて、何をするのかを女性指揮官に問えば、彼女はこの世界の日本の安全を脅かす新大日本帝国や新日本赤軍を一掃すると答えた。

 それを聞いた副官は、何かの冗談だと思ってもう一度問う。

 

「はぁ? 今なんと? 小官には、洒落た冗談だと思いましたが…」

 

「新大日本帝国や新日本赤軍と言ったか? そのテロリスト共を一掃すると私は言ったのだ。部隊を二個旅団の戦闘団に編成させ、東と西に分けて行く。所持している二個戦車大隊は、支援として東と西に分ける。M24軽戦車でも十分すぎる任務だ」

 

「あんた、正気かいね。んなもん、二個師団が居なけりゃ駄目じゃ。第一、補給はどないすんね」

 

「それはここに駐屯している部隊に運ばせておけば良い。その分の補給トラックも買ってある」

 

「そりゃあ、無駄遣いじゃないかね。ほーんと、若けぇ奴は向こう見ずだにぃ」

 

 師団の二個旅団編成の戦闘団に分け、東と西に別れさせて驚異のテロ組織を壊滅させると、大それたことを言う女性指揮官に対し、敬語を忘れて副官は碌な物ではないと言ったが、彼女はやる気のようだ。

 

「よし、演習が終わり次第、直ぐに作戦実行だ。お前に心配されずとも、弾薬の備蓄と補給網の完成は済んでる」

 

「んだと良いけどな。ユリアナ・エーベルハルト閣下殿」

 

 そう作戦に向けての演習を行う女性指揮官に対し、副官は彼女の名を言いながらその後へと続いた。

 

 

 

 それから後日、演習を終えたユリアナ・エーベルハルト率いるワルキューレ陸軍の新設師団は、東と西で巣くうテロ組織の排除に当たった。

 本来、それは日本国の陸上自衛隊や治安維持組織がやるべき仕事だが、経済や政治状況の関係上、かなり難しい物であるため、彼女らが代わってやっている。

 そのやり方は人道的な物でなく、まるで大戦中にドイツ軍などが共産ゲリラ等に行った残虐な制圧であった。

 容赦なく携帯式や戦車に搭載されている火炎放射器で建物に立て籠もるテロリストらを焼き殺し、悲鳴を上げながら出て来た者達に対しては、容赦なく突撃銃や機関銃の弾丸を浴びせて射殺する。

 手を挙げて投降してきた者達に対しては、ある程度の情報を手に入れれば、既に用済みなのか、身元が分かる物を取ってから掘った穴の前に並ばせ、銃殺刑に処して殺害した。

 これには流石に、付近一帯の封鎖を担当している警察官たちからの抗議が出た。

 

「あ、あんた等ここを何だと思ってるんだ!? ここは日本だぞ! これじゃあまるで戦争じゃないか!」

 

「まぁまぁ、落ち着きなさいな。我々がやっつけてるのは、残虐非道な悪党共だ。それにお巡りさんらの仲間を何人も殺してる連中じゃないですか。因果応報って奴ですよ」

 

 本部まで抗議してきた警察官の代表に対し、ユリアナの副官は他人事のように対応した。だが、いい加減な態度で対応したので、警察官を怒らせてしまう。

 

「ふざけるな! ここは日本国だ! お前らみたいな外国から来た戦争屋共が好き勝手する場所じゃない!!」

 

「好き勝手だと…? では、なぜ貴様らはテロリスト殲滅をやらなかった? 弱腰の政府の指示か? それとも臆病なだけか? ふん、どちらにせよ、今の貴様らでは、この短期間に置いての殲滅は不可能だ。例えよく訓練された自衛隊とやらでもな。実戦を知る我々にしか、これ程の速さは出せんよ」

 

「くぅ…!」

 

 目前の女性指揮官に対し、怒りをぶつける警察官であったが、脅威に対して何も出来なかった自分等の事を言われ、何も言い返せず、悔しがるしか無かった。

 そんな警官隊の代表が本部から出て来たのを、前線の様子を確認しに来たカナリスが気付き、近くに居る副官に、ユリアナについて問う。

 

「警官が悔しながら出て来ている。普通なら脅されて出て来るものだが…彼女は何者だ? あの様子からして、ファシズムや共産主義が流行っている世界から来た様子だが?」

 

「はい、それについてですが、全部当たってますが、何所の世界の出身かは知りません。何分、彼女に対しての情報が全軍情報部に無い物でして。でも、有名な話があります。軍歴も浅く、二カ月前まで少尉でしたが、負けなしの武勲を上げまくっていきなり少将に格上されている凄い女性らしいです」

 

「プロフィールが無い? それにわずか二カ月で? 新記録だな。軍事に対してのかなりの才能をお持ちのようだ」

 

 カナリスがユリアナについて問えば、副官は昇進記録を塗り替えた才女と表す。

 

「一体何所にそんな凄い人を隠して来たのやら。情報部の友人も、彼女の経歴を知って机から転げ落ちたそうですよ」

 

「救世主ならぬ救いの女神と言う訳か。それにしても、滅茶苦茶だな。まるで自分の庭のように害虫を駆除してる。あれでは付近の住民を怖がらせてしまう。ここは植民地では無いぞ」

 

「私もそう思いますよ。あれじゃあ、抗議の一つや二つ、来てもおかしくない。そこのところは横暴な指揮官とは変わりないようです」

 

 アジトの制圧の様子を見て、カナリスが抗議されてもおかしくないと言えば、副官は自分の知る限りの貴族階級出身の横暴な指揮官たちと、ユリアナは変わりないと答えた。

 そんな二人の元に、伝令兵が自分等とは違う西の制圧に向かった部隊の情報を知らせようと知らせに来る。

 

「タールベルク大佐殿、西部方面に向かった戦闘団からの報告です! パルチザンは敵にあらず! 欠伸が出る程に弱いとの事です!」

 

「なーに、我々プロからすれば、奴らは鉄砲を持った素人共です。撃ち方を習っても、戦闘のやり方を覚えてなくちゃね。それにしても早いな。普通なら、一個師団でもまる三日以上は掛かるのに」

 

「ほぅ、わずか二日で西日本を制覇か。戦争なら、歴史の教科書に載ってもおかしくない戦果だ。だが、相手はド素人の集まりだ。軍隊相手なら、四カ月は掛かってる」

 

 伝令兵から西日本に居る新日本赤軍の壊滅の報を聞き、戦争なら歴史に残る戦史であるとカナリスは評した。だが、相手は素人の集まりで戦争をしてないので、歴史に残る物ではないと言う。

 

「ここの新大日本帝国の最後の砦も陥落間近なようですな。投降者が続出してる」

 

「やれやれ、不幸だな。我々が陸上自衛隊であれば、手厚い保護を受けれたのに。我々を恨むんじゃ無くて、我々にやらせた日本政府を恨んでくれ」

 

 副官からの報告で、東にある新大日本帝国の最後の砦から出て来る投降者たちを見て、カナリスは気の毒だと思い、これから殺される運命の彼らに向けて自分等を恨まないように告げた。

 

 

 

「なんと滅茶苦茶な! これが政府のやる事か!!」

 

 このワルキューレの強引な制圧活動は、泰田の耳に知れ渡り、彼は怒りの声を上げた。

 

「まぁ、怒んなよ。ようやくお偉いさん方が重い腰を上げたんだ。これで少しは平和になるだろうて」

 

「馬鹿者! あんなやり方をする民間軍事会社など聞いたことが無いわ! 火炎放射器が付いた戦車を使っておるのだぞ! それに派手に火を放って人間を丸焼きにしておる! 我が日本国で勝手我儘に暴れ回りよってからに! もう許せん! わしは政府に抗議する!!」

 

 怒りの声を上げる泰田に対し、シュンはまるで他人事のように、自分の面倒が減ったことを喜んでいた。

 そんなシュンに対し、泰田はワルキューレが自国内での横暴な行動が許せないため、それを許した政府に抗議すると怒鳴り返した。

 

「言って何しようってなんだ? どうせうるさい奴だって思われるだけだぜ」

 

「お前のような奴には分からんが、これは我が日本国を守る物に取って許せん行為だ! それを許可した政府も許せん! だから抗議するのだ!」

 

「けっ、ご苦労なこって。じゃあ、俺は少しばかり体を慣らしに…」

 

「大変です! 都内中央で武装した暴徒が!!」

 

 無駄な行動だと言うシュンに対し、泰田は言い返して出掛ける準備を始める。

 それを聞いたシュンは、日課の素振りをしようと、準備をしに行こうとした時、東京都内の武装した暴徒が出現したとの情報が知らされた。

 その知らせを聞いてか、泰田は直ちにシュンに出動を命じる。

 

「よし、怠け者! 仕事だ!」

 

「うっす! さて、肩慣らしと行くか!」

 

 治療後のリハビリと言わんばかりに、シュンは自分の大剣「スレイブ」が収めてある倉庫まで張り切って向かった。

 先にタクティカルベストを身に着け、それから大剣を背負える自作ラックを上から着ければ、AK-103突撃銃の銃紐を掛け、その予備弾倉をポーチなどに収めれば、大剣をラックにセットして準備が整えれば外へ出る。

 準備を終えたシュンは、待機していた乗用車に乗り込み、武装した暴徒が出現した現場まで急行した。

 

 

 

 東京都内中央某区、そこに武装した凶悪な暴徒たちが暴れ回っていた。

 彼らは恐らく密造品である突撃銃を乱射し、周囲に居る市民らを傷付け、止めに来た警官を含む数十名を射殺した。

 これに警察は機動隊を出したが、密造された軍用銃を持った暴徒などに彼らの持つ盾が適うはずが無い。

 それに暴徒の様子もおかしく、昼間なのに目が不気味に赤く光ってまるで怪物のようだった。髪も白髪で不気味な笑い声を上げ、死体の血を貪っている。

 そんな暴徒たちに圧倒される機動隊の元へ、幾多の戦場を駆け抜けて来たシュンが到着する。

 

「おいおい、昭和の動乱期で市民の安全を守って来た機動隊はどうしたんだ? まぁ、軍用銃をぶっ放すアホ共相手には、その装備じゃキツイしな。さて、こっからは戦争屋の出番だ」

 

 そう撤退する機動隊に向けて仕方ないと遠回しに言った後、シュンは銃の安全装置を外し、こちらに気付かず薄気味悪い声を上げながら周囲に銃を乱射する暴徒の胸に単発で銃弾を撃ち込んだ。

 

「っ!? ヤクでもやってんのか!」

 

 通常、胸をライフル弾などで撃たれれば、悶え苦しむか、即死するはずだが、撃たれた男はその様子を見せず、痛みを感じずにこちらへ向けて手にしている銃を撃ってくる。

 これにシュンは何らかの麻薬を使用していると判断したが、暴徒は片手で突撃銃を乱射しており、身体能力を格段に強化する薬物など聞いたことが無い。

 空かさず頭に銃弾を撃ち込めば、普通の人間のように死んだ。

 

「弱点は頭ってことか」

 

 頭を撃って死んだのを確認すれば、他の暴徒の頭に向けて銃弾を撃ち込む。

 思った通り次々と死んでいくが、暴徒の数が多く、突撃銃の弾が無くなれば、相手に狙いを定まらせないようにするためか、まるで狼のように素早くこちらに素手で殺しに向かって来る。

 

「ちっ、犬みてぇに四つん這いになりやがって」

 

 ライフルでは対処できないと判断したシュンは、背中の大剣を抜いて飛び掛かって来た一体をタイミングよく巨大な刀身を振ってバラバラにした。

 ズタズタにされた暴徒の肉片と血が辺りに飛び散る中、シュンは続けて来る暴徒を斬り続ける。

 首と胴体が無事な暴徒は、這いずりながらもシュンを殺しに来たが、頭を強く踏まれて即死する。

 僅か数秒ほどで、東京都内の中央某区は肉片と血に塗れた地獄絵図と化したが、暴徒たちは怯むことなく口に血を含みながらシュンに襲い掛かる。

 

「本当に日本か? ここぁ」

 

 現実では決してみられない謎の吸血衝動に駆られ、超人的な身体能力と治癒能力を持つ暴徒たちを相手に、シュンはあたかもここを別世界だと思ったが、時々痛むこの復讐を始めてからの傷の痛みで夢ではないと悟り、ひたすら大剣を振り回して暴徒を惨く殺す。

 途中、一体に大剣の刃を避けられ、左腕を噛まれたが、強力な頭突きを相手の頭に食らわせて怯ませた後、大剣の刀身を叩き込んでバラバラにする。

 返り血が自分の衣服に付着する中、それを気にせずに迫り来る敵を切り裂き続けた。

 

「よし、後は十匹ばかり…」

 

 あと暴徒が十人になった所で、シュンは左手を動かして背中に掛けてある銃を取ろうとしたが、望んでも居ない味方の増援と言うべきか、それが現れ、残る十人の暴徒を数秒で皆殺しにした。

 

「まだこんな物が残っていたのか…我が祖先が既に根絶やしにしたと思っていたが」

 

「てめぇ、あの時の…!」

 

 いきなり現れて暴徒たちを皆殺しにしたのは、この日本の環境省の秘密組織である超常現象対策課に属する鬼、萩枝沙慈だ。

 彼は今し方皆殺しにした暴徒たちを知っているらしく、それを口ずさんでしまう。

 思わぬ援軍を見たシュンは、即座に大剣の刃を沙慈に向け、何をしに来たと問い詰める。

 

「オイこら、何しに来やがった? また俺をしょっぴきに来たか?」

 

「お前を捕まえる? フン、そんなことはいつでも出来る。それと今はお前と遊んでいる暇は無い」

 

「待てよ。テメェはそいつ等を知ってそうだが」

 

「お前などに話すことなど無い」

 

「ちっ、勝手な野郎だ」

 

 直ぐに立ち去ろうとする沙慈に対し、シュンは呼び止めてこの暴徒が何なのかを問う。

 だが、沙慈は質問に答えることなく、他にやるべきことがあるのか、早々にこの場を立ち去った。

 

「さて、後はおっさん共が掃除でもすんだろ。俺もねぐらへ帰るか」

 

 先ほど殺し回っていた暴徒たちに対しての情報を得られなかったが、任務は全うしたので帰ろうとした時、周囲に巻き上がる煙が止まっていることに気付いた。

 

「なんだ。管理局か青ベレー共が殺しにでも来たか?」

 

 煙が止まっているのを見て、直ぐに時が止まっていることに気付き、管理局が統制機構の襲撃と判断したシュンは、周囲を警戒したが、それらしき人物は襲撃してこない。

 

「やぁ、驚かせて済まなかったね。君に用件があってね。ここの時間を止めさせてもらった」

 

「っ!?」

 

 警戒している間に、自分に向けて声を掛けて来たので、直ぐにシュンは声がした方向に向けて大剣の刃を向けた。

 そこに居た人物とは、沙夜と共にどんな理由か知らないが、自分を助けた謎の青年、ルーサーだ。

 何の経緯で自分に訪ねて来たかは知らないが、何かよからぬことを考えていると判断して、シュンは警戒しながら近付いてくるルーサーに刀身を向け続ける。

 

「おいおい、僕にそんな物騒な物を向けないでくれ。僕は君と戦いに来たんじゃない。戦うきながら、とっくに殺しているがね。瀬戸シュン君」

 

「なんで俺の名を知ってる? それに何しに来た?」

 

「ほぅ、面白い。実に予想通りな行動をしてくれる。調べ尽した甲斐はあったようだ。何しに来たと言えば、君に依頼をしに来た。これを読んで依頼内容を確認してくれ」

 

 戦いに来たわけじゃないと告げ、言ってないのに自分の名を知っているルーサーに対し、更に警戒を強めるシュンであるが、彼は戦意すら見せず、依頼をしに来たと言って書類を渡す。

 それを警戒しながら左手で取ったシュンは、大剣を背中に戻し、腰の拳銃を引き抜き、いつでも撃てるようにルーサーに銃口を向けながら左手に手にしている書類を読む。

 

「殺しの依頼か。だったらお断りだ。何分、俺に寝床をくれてるおっさんが許可するわけが…ぐっ!?」

 

 それを読み上げ、殺しの依頼だと分かれば、泰田が許可するはずが無いと返して書類を捨てて依頼を断るが、首を何らかの力で締め上げられる感覚を覚え、シュンは苦しみ始める。

 

「君に拒否権と言う回答は無い。君の答えはこうだ。依頼を受諾する。それ以外の解は不要だ。さぁ、Yesなら首を縦に、Noなら首を横に。もっとも、僕は前者をお勧めするがね」

 

 どうやら拒否権は無い様子だ。ここでルーサーに殺されたは元も子もないので、シュンは首を縦に振って依頼を受ける。

 

「それで良い。では、その書類に暗殺対象を詳細が詳しく記載されている。では、頼んだよ」

 

 無理矢理依頼を受けさせた後、ルーサーは周囲の時を元に戻し、懐から出した本を読みながらその場を去る。

 呼吸の息を取り戻したシュンは、直ぐにでも左手に握られているFNハイパワー自動拳銃を向けようとしたが、銃口を向けた先にルーサーは居なかった。

 

「ちっ、あの野郎、最初から断らせる気がねぇじゃねぇか」

 

 居ないので、安全装置を付けてから直ぐに拳銃を元のホルスターに戻し、落ちている書類を拾って暗殺対象がどんな人物が再度確認した。

 

「富士原宰三、ドラ息子の親父か。あの野郎が依頼しに来たって事は、相当頭に来たことをしでかしたってわけだな。そんで、自らの手で汚さずに、俺にやって来いってことか。クソが、いつかぶっ殺してやるか」

 

 暗殺対象が大物議員である富士原宰三と分かれば、彼がルーサーに対して相当な恨みを抱く行為をしたと予想して、自分にそれをやらせるには面倒臭いと判断する。

 いつか殺してやろうと思い、暗殺の準備をするために自分の寝床へと戻った。

 個人からの依頼のことは、上司とも言える泰田や松方には内緒だ。故に大剣以外の装備は持たず、依頼を遂行するしかない。彼らに気付かれないように、シュンはその準備をした。

 

 

 

 夜までに準備を済ませたシュンは、「素振りをした後に女とやりに行く」と言う適当な理由を言って夜間外出し、富士原亭まで徒歩で向かった。

 途中、用心深い泰田の差し金か、尾行が付いていたが、繁華街に行って尾行を撒くことに成功し、富士原亭まで到着することに成功する。

 富士原亭は自国の警備会社では無く、外国の民間軍事会社(PMC)から派遣された傭兵たちによって警備されており、彼らの手には自費購入か改造されたAK系統の小火器が握られていた。

 

「けったいな鉄砲を持ってやがるな。潜入できそうなのは、あそこか」

 

 その様子をポケットに忍び込ませていた小さな双眼鏡で確認したシュンは、戦場で培って来た自分の勘で潜入ルートを見付ける。

 そこへ監視塔のサーチライトの光を避けつつ、富士原邸内へと見事に潜入した。

 これ程の容易に潜入できたのは、警備を担当しているPMCのオペレーターのやる気の無さのおかげであろう。

 

「軍隊ならシバかれてる所だな。まっ、感謝するがな」

 

 そんなオペレーターたちに感謝しつつ、シュンは警備システムを無力化するため、その電力をまかなっている発電機を壊しに向かう。

 邸内にも警備のオペレーターが居たが、面倒くさそうに歩き回るだけで、更に音楽を聞きながら業務を行う者まで居る。

 これを雇い主の富士原などに見られれば、怒鳴られること間違いなしだ。

 だが、シュンに取っては好都合であり、彼は難なく発電機まで忍ぶことに成功し、近くで壁にもたれながら警備しているオペレーターを気絶させるだけで、発電機まで近付くことが出来た。

 

「直されると困るしな。ぶっ壊すか」

 

 ただ電源を落とすだけでは、点けられてしまうので、シュンは背中の大剣を引き抜いて破壊することにした。

 少々力を込め、巨大な刀身を発電機へ向けて振り下ろせば、発電機は修理が困難な程の状態と化す。

 

『灯りが消えたぞ!?』

 

『システムがダウンした! 誰か暗視装置を!』

 

『んなもん持ってねぇよ!』

 

『懐中電灯点けろ!』

 

「慌ててやがるな」

 

 発電機を豪快にスクラップにすれば、邸内の電気は全て消え、セキュリティシステムはダウンし、警備しているオペレーターたちは慌て始めた。

 それを良い事に、シュンは闇夜に紛れて標的の居る部屋まで足音をなるべく立てずに向かう。

 

「ん、誰だ?」

 

 途中、勘の良い男がシュンの存在に気付き、そちらに懐中電灯の明かりを当てたが、そこに彼の姿は無かった。

 異常が無いと思って立ち去ろうとすれば、シュンは気を逸らすために近くにある石を適当な場所に投げ込んで、注意をそちらに向けさせる。

 

「なんだ!?」

 

 石が落ちた方向へ向け、懐中電灯の明かりを向けたのを確認すれば、シュンは即座に身を隠している場所から飛び出し、邸内へと入った。

 邸内は灯りが消えたおかげで真っ暗であるが、その暗さに慣れているシュンは敵の目を掻い潜りつつ標的の居る部屋へと目指す。

 

「特殊部隊に入って良かったな」

 

 部屋に向かう中、一人のオペレーターの首を絞めて気絶させた後、ワルキューレに居た頃に特殊部隊に入って良かったと改めて思い、気絶させた男を人目につかない場所に放り込んでから、富士原議員の居る部屋へと再び向かう。

 頭に叩き込んだ地図のおかげか、難なく標的の居る部屋の目と鼻の先まで着くことに成功する。

 扉の左右には銃を持っている警備の男が二人居たが、シュンに瞬きする間に静かに倒され、鍵まで奪われる。

 

「楽勝だな」

 

 倒れているオペレーターに向けて小さく吐けば、ドアの鍵を開けて部屋に突入する。

 入ったら入ったで、殺す対象である富士原議員が身の危機を感じて喚き始めた。

 この場に護衛のSPやオペレーターが居ないからだろう。机の引き出しから何かを取り出してから椅子から転げ落ち、周囲に聞こえるくらいの大声で助けを呼ぶ。

 

「だ、誰だお前は!? おーい! 誰か来てくれ! 侵入者だ!!」

 

「あの野郎にどんなことをしたか知らねぇが、まぁ、色々とやってそうなおっさんだからな。そんじゃ、ここで大人しく死んでくれや」

 

 助けを呼ぶ富士原議員に対し、シュンは自分の仕業と見られないため、途中で拾って鋭利な刃物へ変えた木の枝で彼を殺すために素早い速さで近付く。

 これで呆気なく終わるだろうと、シュンは思っていたが、結果は予想をはるかに上回る物となる。

 木の枝を首元に突き刺そうとした瞬間、富士原議員は何らかの液体が入っている注射器を自分の左腕に突き刺した。

 このまま木の枝が首に突き刺さろうとした矢先、富士原議員の身体は不気味な姿へと変貌したのだ。木の枝は刺さらず、その場で折れて富士原議員の膨張する身体でシュンは吹き飛ばされる。

 

「おい、何なんだこりゃあ!?」

 

 吹き飛ばされたシュンは即座に体勢を立て直し、背中の大剣を引き抜いて人ならざる者へと変貌した富士原議員に警戒する。

 そんな時に、騒ぎを聞き付けたオペレーターたちが駆け付けて来た。

 

「一体なんです!? うわぁ! なんだこいつは!?」

 

 入った隊長が変貌した富士原議員の姿を見れば、当然の如く彼は驚きの声を上げる。

 その変わり果てた富士原議員の姿は、月を見て変身する狼人間に近かったが、顔は粗悪な化け物であり、昼間の暴徒のように二つの眼が赤く不気味に光り、全身は白い毛で覆われていた。

 

「化け物だ! 撃ち殺せ!!」

 

 気を取り戻したオペレーターが直ぐに全員に変貌した富士原議員に向けて手にしている銃を撃つように指示を出せば、全員がそれに応じて目前に居る侵入者であるシュンごと一斉射撃を浴びせた。

 

「クソッ!」

 

 これにシュンは即座に床に伏せ、一斉射撃から身を守る。

 雨のような弾幕が化け物となった富士原議員に浴びせられたが、彼は全く痛みを感じず、まだ自我が残っているのか、自分に向けて銃弾を撃ち込んだオペレーターに自分の凄さを語り始める。

 

『そんなおもちゃでこのわしは倒せんぞ! フッハッハッハ!! さぁ、このわしを内心馬鹿にしているお前たちで試させて貰うぞ!』

 

「う、うわぁ…!」

 

 自分の凄さを自慢した後、銃弾が効かずに怯むオペレーターたちに、両手にある鋭利な爪で襲い掛かった。

 即座にPMCの男達は手にしているAK系統の改造銃で撃ちまくるが、銃弾が効かず、鋭利な爪で男の一人を切り裂く。切り裂かれた男は上半身と下半身に別れ、肉塊と化す。

 

「ひぃ!?」

 

『凄いぞぉ! 一振りでバラバラだぁ!! このままわしの屋敷に居る全員バラバラにしてやるぞぉ!!』

 

 自分の爪と怪力の凄さを知った富士原議員は、血の匂いで更に興奮し、恐怖するPMCのオペレーターたちを次々と爪で切り裂き始める。

 銃声に混じって悲鳴と断末魔、それに肉が裂ける音が聞こえ、僅か数秒ほどで辺り一面が血の海と化し、肉片に塗れる。

 

「こいつはヤバそうだな」

 

 飛び散った血をもろに浴びていたシュンは、飛んでも無い事になったと思い、大剣を握りながら超人的な力を手に入れて殺戮の宴に酔いしれる富士原議員を追う。

 彼が通った後にはバラバラにされた死体で溢れており、それがパン屑のように何所へ向かったか分かり、追跡は容易だった。それに分かり易いように悲鳴や断末魔に銃声が聞こえて来る。

 

『キャァァァ!!』

 

「あっちか!」

 

 若い女の悲鳴が聞こえた方向へ向かえば、下半身を露出してその悲鳴の主を犯している富士原議員(バケモノ)の姿があった。

 

『おぅ、お前か! 殺し忘れてたな。どうだ、お前も混じるか?』

 

「けっ、どうせ殺してるだろう」

 

『まぁ、他に女は幾らでも居る。もっと良い女がな! ブッハッハッハッ!!』

 

 犯していた若い女の首を圧し折って殺害した後、興奮しきっている化け物はシュンを見ながら混じるかと言えば、胸糞の悪い物を見せ付けられた彼は苛立ちながら断り、大剣の刀身を向ける。

 これに化け物は、高笑いしながらシュンに自慢の爪と怪力で斬り掛かって来る。

凄い速さであるが、これよりも凄い物と戦った経験のあるシュンはその一撃を避け、巨大な刀身で背中を斬る。

 

『グワァァァ!?』

 

「軽いな」

 

 斬られた個所から凄まじく血が噴き出すが、浅かったらしく、化け物は怒りの反撃を繰り出してくる。

 

『死ねぇぇぇ!!』

 

 この凄まじい攻撃をシュンは全て大剣の刀身で防御しながら次なる隙を見付けようとする。

 

「(この手の相手は何度か経験したことがある。つっても、こいつはもう脳味噌の髄まで獣となっちまって少々予想が付かねぇが)」

 

 恐ろしい連撃の速さに、シュンは今まで戦って来た化け物染みた者達の事を思い出すが、攻撃は早く、反撃の隙を見付けるのが難しい。

 

『逃げるのかぁ!? 待てぇ!!』

 

 防御していても勝てないので、シュンは一度距離を取ってから近くの壁を破壊して外へ出る。それを追って来る化け物から逃げつつ、何処か別の場所へ身を隠し、隙を窺う。

 

『何所だぁ!? 何所に隠れたぁ!?』

 

 相手が自分に背中を見せて探す中、シュンはその隙を逃すことなく、身を隠している場所からなるべく足音を立てずに飛び出して、大剣で化け物の両足を斬ろうと近付く。

 気付いてないのを確認すれば、思いっきり力を込めて相手の両脚を大剣で切断した。

 

『グアァァァ!? あ、足がぁぁぁ!?』

 

 両足を斬られた化け物は地面へ倒れ、凄まじい痛覚で絶叫する。

 

『こ、この野郎ぅ…! 俺の足を! 俺の足をォォォ!!』

 

「ぐぅ!?」

 

 このままとどめを刺そうと近付いた瞬間、怒りに燃える化け物の強力な振り払いを受け、近くの家屋の壁まで吹き飛ばされる。

 その威力は壁を突き破る程であり、背中を強打したシュンは吐血し、芝生の上に倒れ込む。

 そんなシュンを殺そうと、化け物が両手を使って迫ってくる。

 

『殺してやるぅぅぅ!!』

 

「両足を叩き斬った所で死なねぇか…!」

 

 近付いてくる脅威に対してシュンは、重い身体を何とか大剣を杖代わりにして立ち上がり、迫る敵に備える。

 

『死ねェェェ!!』

 

 相手が飛び掛かったのを見計らえば、シュンはそれに合わせて大剣を振るい、左半身を斬り落とした。

 

『グワァァァ! い、痛い! 死んでしまう…!』

 

「すげぇな、まだ生きてやがる」

 

 左半身を大剣で斬られてもまだ息のある化け物を見て、シュンは関心の声を上げた。

 凄まじい痛覚を感じて化け物が悶え苦しむ中、シュンはなんで富士原議員が暗殺対象になったのかを問うため、悶え苦しんでいる相手に何か殺される理由が無いかどうか聞く。

 

「おい、ちょいと尋ねるが。あんた何やらかしたんだ? 色々と想像つくが…」

 

『う、うぅ…わしは国会議員になってからは、裏で数えきれないほどの違法行為はしてきたが、これはあんまりだぁ! 頼むからわしを、わしを元に戻してくれ! こんな化け物の状態になったまま死ぬのは嫌だ!』

 

「あぁ、そうか。じゃあ、戻してやっからよ。それより化け物になるための薬は何所で手に入れた?」

 

 悶え苦しむ富士原議員だった化け物に問えば、彼は理性でも取り戻したのか、自分の罪を悔いていた。だが、怪物の姿のまま死ぬのは嫌だと喚き始める。

 そんな哀れな男に、シュンは戻してやると嘘をついてその姿になる為の薬は何所で手に入れたのかを問う。

 

『さ、小夜鳴徹(さよなきとおる)と言う男だ! 確かそう言っていたような気がする…。暗殺者に襲われた場合に左腕の欠陥に刺せと言われた。一時的に力が増幅すると言っていたが、まさか化け物にされるなんて…!』

 

「そうか。で、俺に殺しを依頼した奴になんか心当たりでもあるか?」

 

 化け物になる薬を渡した人物の名が分かれば、次に自分の暗殺を依頼した人物の心当たりを問う。

 無論、これはルーサーであるが、富士原議員は自分が暗殺される理由が全く分からない様子のようだ。

 

『わしは暗殺されるほどの理由は無い! わしを殺しに来るとすれば、バカな極右テロリスト共か、コミュニスト共だけだ! でも、そんな連中は二日前の何所かも知らぬPMCの掃討作戦で壊滅状態だ!』

 

「へぇ、そうかい。んじゃ、なんか人をイラつかせるような行動とか、何日か前にやったことあっか?」

 

『な、何日か前だって…? そう言えば、若い男にぶつかった際に、少し苛立った物だからその男が持っていた本をワザと踏んづけたような気が…』

 

「…それが理由か」

 

 自分を殺すのは極右テロリストか、赤色テロリストだけであると答えた。

 次にシュンは何日か前に人を不愉快な気持ちにさせるような行動をしたのかを、富士原議員に問うた。

 問われた本人は、本を持って歩いていた若い男の肩にぶつかって、腹いせに持っていた本を踏んでから立ち去ったと答えた。

 この答えを聞いたシュンは、ルーサーが富士原議員を自分に殺させたのは、その程度の理由であった事と知り、依頼主に怒りを覚える。

 

「畜生が、一発ぶん殴りてぇな」

 

『お、おい! お前の質問には答えたぞ! 早くわしを助けてくれ!』

 

「悪いが。気が変わった。それと俺は治せねぇ」

 

『う、嘘をついたのか!? ゆ、許さん…! かくなるうえは…! かくなるうえ…』

 

 腹いせに富士原議員を見捨ててその場から去ろうとすれば、彼はまだ嘘を信じているようであったが、シュンが本当の事を告げた。

 それを聞いた富士原議員は、残る力を持ってシュンを道連れにしようとしたが、無慈悲に振り下ろされた大剣の巨大な刀身を頭に叩き込まれ、一瞬の内で地獄へと送られる。

 暗殺を成功させたシュンは、この程度の理由で危険な暗殺を無理やり依頼してきたルーサーを殴るべく、集合場所へ向かおうとしたが、その必要は無く、直接本人が邸内にまで現れ、対象が死んでいるかどうかを確認する。

 

「ほぅ、相手は怪物か何かに変貌して抵抗したようだが、見事に殺したようだな」

 

「てめぇ…! こいつの後を追わせて…ぐっ!?」

 

 激昂したシュンは、ルーサーの姿を見るなり大剣で殺しにかかったが、直後に首を絞められて止められる。

 

「おっと、これは失礼した。だが、君にとっては些細な事だが、僕にとっては屈辱的な物なのさ。君にも分かるだろう? いや、単純思考の君には、特に拘る理由が無さそうだが…」

 

 首を絞めてシュンの動きを止めつつ、ルーサーは富士原議員を殺す理由を述べる。

 

「では、少し手こずった様子だが、お礼として報酬を上げよう」

 

 殺す理由を述べた後、姿かたちは変わった富士原議員を本人だと認識しつつ、ルーサーはシュンに報酬を与えた。

 その報酬とは、シュンが今まで負って来た数々の傷の治療と、何処かで手に入れた報酬金だ。それと同時に彼の自由にして、あることも伝える。

 

「さて、君が今まで負って来た傷の数々を治療させて貰った。これで生きてるなんて、凄いね。だが、僕にとっては既知だがね。報酬金と二回目の無礼のお詫びとして、ある情報を授けよう。僕の主とも言えるルリ・カポディストリアスが、この世界の仲間たちと共にある物を盗もうとしている。それはこの紙に書いてある。行くのも行かないのも、君の自由だ」

 

 そう紙をシュンに渡してから告げると、ルーサーは颯爽とこの場を去った。

 一人死臭で溢れる邸内に残されたシュンは、傷が治った後でも彼を追うことなく、渡された紙に目を通し、書かれた内容を知ると、警察などが来る前に、速やかにその場から撤収した。




~後書きコーナー~

ダス・ライヒ「ふぅ、ようやく更新で来たわいな。延べ三カ月ってところだな」

アストロトレイン「この怠けもんが。テメェが色々とやってる所為で遅れたんだろうが。おかげでこのアストロトレイン様のご登場が大分伸びちまったじゃねぇか」

ラムジェット「そうだぜ。地球の俺たちの真似をしているバルキリーをスクラップにする場面もねぇ」

スラスト「ついでに18mの屑鉄共もだ。デカくて偉そうな面構えをしているのがムカつくぜ。早くぶっ壊したくてたまらねぇ」

ラージ「あの馬鹿デカいスーパーロボットって言うのも壊しがいがありそうだ」

ダス・ライヒ「えっ? 何故こんな所にデストロン軍団が?」

アストロ「テメェは黙って書いてろぃ! それより俺たちの登場は何所だ? いや、こっちにあるな」

ダス・ライヒ「あっ!? なんでそれを!?」

ラムジェット「へっへっへっ、この銀河最強のジェットファイターであるラムジェット様は、人間からメモを盗むなど朝飯前よ」

スラスト「お、おい! 俺にも見せろ! 俺たちは、どの場面で登場予定だ!」

ラージ「そうだぜ! 早く見せろ!」

ラムジェット「まぁ、落ち着け。なになに、ん? 俺たちが人間が乗るロボットにボコられるだと? 畜生! 気に入らねぇぜ! 俺たちを馬鹿にしてるな!」

アストロ「ラムジェット! 何しやがる! 俺の出番が分からねぇじゃねぇか!」

ラムジェット「うるせぇ! あの野郎、俺たちを咬ませ犬にしようとしてやがるぞ!」

アストロ「な、なんだと!? あのチビめぇ…! 何所だ!? 何所へ行った!?」

スラスト「クソッ、いつの間に逃げたんだ!?」

ラージ「探してぶっ殺してやるぜ! トランスフォーム!」

一同『トランスフォーム!」

ダス・ライヒ「行ったな…さぁ、続きでも書くか」

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