復讐異世界旅行記   作:ダス・ライヒ

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~今週のネタバレ~

「こいつの肩は赤く塗らねぇのか?」

「貴様、塗りたいのか!」


戦友達

 暗闇の坑道の中に落ちたシュンは、連邦軍の追跡から逃れるべく、前の世界で入手したダークビジョンで暗闇の世界の中を歩いていた。

 坑道は前の話で述べた通り長らく放置され、何らかの強い衝撃でも与えれば崩落しかねない。

 そんな爆弾のような狭い坑道の中を、シュンは暗闇でも見通せる目を使って出口を目指す。鼠は自分等が通れる穴を通るので、余りあてにはならない。同じ小さな生物たちも同様だ。

 

『畜生、なんでこんな所に落ちやがるんだ!』

 

『黙ってろ! お前の大声の所為で崩れたらどうする?』

 

 背後からは、追跡して来る連邦軍の歩兵部隊の喋り声が聞こえて来る。シュンはその声の音量で距離を測る。

 

「(声の大きさからして、まだ距離があるな。急ぐか)」

 

 声量からして、自分に追い付いてないと確認すれば、音を立てないように出口まで急ぐ。

 暗い坑道の中をダークビジョンの視線を頼りに進む中、先の方に自分と同じ坑道を進む熱源を発見した。数は一人であり、自分を追跡する連邦兵では無い。

 近付いて問い詰めてやろうとしたが、ダークビジョンは魔力を使うのか、腰にしている待機状態のバリアジャケットが警告して来る。

 

『魔力切れが近い。節約しろ』

 

「ちっ、ガス欠か」

 

 直ぐにダークビジョンを解き、元の視線に戻せば、真っ暗でほぼ見えない。灯りを付ければ、追跡の連邦兵に見付かる。

 背後から聞こえて来る声で追跡隊の距離を測りつつ、慎重に前を進む中、何者かに口を抑えられ、横にあった穴に引きずり込まれた。

 

「声を出すな。殺されたいか?」

 

 自分を引きずり込んだ男は、シュンの喉元にナイフを突き立てて黙らせた。抵抗しようとしたが、迂闊に動けば喉を切り裂かれない。ここは言う事を聞いておくことにする。

 

「それで良い、ここじゃあ見付かる。下がるぞ」

 

 自分にナイフを突き立てる何者かの指示に従い、その者と共に真っ暗な暗闇の中へと消えた。

 暫くナイフを突き立てながら坑道の中を進む中、月の光が差し込んだ出入り口を見付けた。どうやら坑道の中に落ちた間に、日が沈んだようだ。

 月の光で、自分にナイフを突き立てていた人物の正体が分かる。

 

「お前は…まさか瀬戸シュン、瀬戸シュンか!?」

 

「ん、あん時のハゲか!」

 

 シュンは男の外見を見て、誰かを思い出したが、肝心の名前が分からなかった。

 

「誰だったか…」

 

「ブルズーンだ。覚えとけよ」

 

「済まねぇ。でっ、こんな所で何やってる?」

 

 相手が名乗って、ワルキューレに属していた時期に、共に戦ったブルズーンであると分かれば、シュンはこんな所で何をしているのかを問う。これにブルズーンは得物を鞘に仕舞ってから、何をしているのかを答える。

 

「何って、復讐だよ」

 

「復讐? 誰だ?」

 

 復讐だと答えるブルズーンに、シュンは幾度か心当たりがあるので、誰に復讐をするのかを問えば、スキンヘッドの大柄の男は拳を強く握りながら答えた。

 

「放射線の壁に守られた基地に居る裏切り者だ。俺たちは奴に戦友達を殺された」

 

 案の定、ブルズーン、それも仲間たちが居り、彼らの復讐の対象は偶然なのか、シュンが目指すファルゲン基地に居た。

 これにシュンはアウトサイダーがブルズーン等を用意したのでは無いのかと思ったが、単なる偶然であったらしい。

 単独での正規軍の基地への攻撃は厳しいので、復讐を目的とする彼らと共に攻撃した方が良いと考え、シュンは復讐に手を貸すと伝える。

シュンもまた、ネオ・ムガルに対して復讐を誓っているからだ。それに彼らは戦友だ。除隊してから数年は経っているので、ブルズーン一人かもしれないが。

 

「あのファルゲン基地か…俺もそこに用がある」

 

「おぉ、伝説の切り込み隊長殿が俺たちに協力してくれるのか! こりゃ百人力だぜ!」

 

「昔の話は止してくれ。それと、俺たちと言ったな? 何人いるんだ?」

 

「ズールにホト、チヌ、アルゴーン、ンメと俺を含めて六人だ」

 

「殆ど俺の戦友じゃねぇか…」

 

 シュンが協力を申し出て、仲間が何人いるかを問えば、ブルズーンは今いる仲間たちの名前を告げる。殆どがシュンと共に戦った者で、これは思わず声に出してしまう。

 

「まるで同窓会みてぇだろう。まぁ、宴は無いがな! ハハハ!」

 

 これにブルズーンが反応して、同窓会の様だと高笑いする。

 

「でっ、元切り込み隊長殿はこんな所で何をしてんだ? 観光でも無けりゃ、職探しでも無さそうだが」

 

 その後、ブルズーンはシュンに何をしているのかと聞いてくる。

 彼もまた復讐の旅をしている身であるが、復讐の対象がワルキューレのみならず、連邦や同盟を騒がせているネオ・ムガルであることは隠し、依頼でこの場に来ていると嘘をつく。

 

「あぁ、依頼で来てるんだ。雇い主が、ファルゲン基地のある物を盗んでこいとな」

 

「なるほど、瀬戸らしい。やっぱり、お前は戦場で大剣をぶん回しているのが似合う。傭兵はお前の天職だ、胸を張って誇れ」

 

「あぁ。そうだな、その方が俺らしい…」

 

 嘘をつけば、昔の戦友はお前に取って傭兵は天職だと言って、胸を張って誇るように告げる。

 これにシュンは孤児院を経営していた事を隠しつつ、乗りに乗って戦っている方が自分らしいと本音に従う。

 次にブルズーンは、裏切らないかどうかを聞いてくる。

 

「それとな。お前、裏切らないよな?」

 

「何言ってる? 俺がスパイに見えるのか?」

 

「いや、冗談だよ。お前がスパイなんて出来るわけが無い」

 

「性質の悪い冗談だ」

 

「ヘヘヘ、済まないな。それじゃあ、俺たちのアジトへご案内しよう」

 

 違うと言えば、ブルズーンは冗談であると言って、シュンを自分等のアジトへ案内した。

 

 

 

 アジトへと向かう最中に服を着替えたシュンは、そのままブルズーンの後へ続いてアジトへと到着した。

 

「っ? このスクラップ場がお前らのアジトか?」

 

「そうだとも。基地に乗り込むためのATを拵えている」

 

 案内された場所は、様々な機器や兵器が捨てられているスクラップ場であった。

 ここが本当にアジトであると問えば、ブルズーンはファルケン基地に乗り込むためのATを作るためにここをアジトにしていると答える。

 倉庫の方へと入れば、ズールにホト、チヌ、アルゴーン、ンメの五名が自分等の乗るためのATを、スクラップ場の捨てられた部品から作っている。既に五機分の製作が完了し、試運転をしつつ、六機目の製作に入っている。機種はスコープドックだ。兵装は連邦軍の横流し品を使っているようだ。

 

「よぅ、帰ったかブルズーン。てっ、誰だ、そいつは!?」

 

 シュンを案内して戻って来たブルズーンに、彼を知らないラテン系の男であるチヌは、腰のホルスターに差し込んである自動拳銃を引き抜き、銃口を向ける。

 そんなチヌを安心させるため、シュンを知るアジア系の男であるズールにホトを呼んで敵ではないと告げる。

 

「おい、止めろ! こいつは俺たちの戦友だよ!」

 

「なに、戦友? あっ! お前は…! 斬り込み隊長のシュンだな!? 死んだって聞いたぞ!」

 

「馬鹿野郎が。あいつがあっさりと死ぬタマか? こうしてピンピンしてるぜ!」

 

 呼び止めたズールが言えば、チヌはシュンが死んだと思い込んだようだが、共に地獄を渡り歩いたことがあるホトは、シュンがその程度で死なないと告げる。

 

「所で、誰にも後をつけられてねぇだろうな?」

 

「尾行は無いさ。それよりこの斬り込み隊長殿が、俺たちの復讐に協力してくれるぞ!」

 

 尾行が居ないかを問うチヌに対し、ブルズーンは居ないと答えれば、作業をしている全員にシュンが自分等に協力してくれると伝える。

 これを聞いてか、シュンと共に戦場を渡り歩いてきた者達は歓喜し、復讐は必ず成功すると確信する。

 

「なに? あの斬り込み隊長殿が? やったぜ! これで百人力だ!」

 

「あの瀬戸シュンが居れば、カムズルの野郎をぶち殺せるぜ!」

 

「また戦えるなんて、光栄だ…!」

 

「奴の命もこれまでだ」

 

 シュンが協力すると聞いて、作業をしていたアラブ系のアルゴーンにアフリカ系の黒人ンメの二人はその手を止め、成功を確信した。

 標的を知らないシュンは、そのカムズルが何者かであることをブルズーンに聞く。

 

「でっ、カムズルって誰だ? 俺は知らんぞ」

 

「あぁ、そう言えば言ってなかったな。カムズルは一個師団を率いる将軍だ。そんな奴が、ワルキューレを裏切り、連邦軍に寝返った。俺たちの部隊は、カムズルが忠誠心を示すために生贄にされた。それだけじゃねぇ、元側近のチヌの家族まで皆殺しだ。チヌは資料を家に保管してあったからな。それを知っていたカムズルは、チヌの家族ごと資料を消したってわけよ」

 

 カムズルが元ワルキューレの将軍であり、亡命の見返りに師団に属していたブルズーン等を連邦軍に全滅させたようだ。

 亡命はかなり前から計画していたようで、側近で師団本部付きの下士官だったチヌに資料の保管を所持するように命じていた。無論、チヌは中身を知らず、見ることも無くあろうことか自宅へ保管していた。尚、資料はパスワードを入力しなければ閲覧できない仕様になっている。

 当然、カムズルはチヌ諸とも資料を消す気であり、自宅に保管していると聞くと、師団全部隊が出動してから、自分が雇った刺客にチヌの自宅の襲撃を命じ、彼の家族を資料諸とも消したと分かれば、亡命計画を実行した。

 予定では、自分の師団の全部隊を連邦軍に引き渡そうとしていたらしいが、カムズルの連邦軍に寝返れとの指示を師団の誰もが聞くはずが無く、凄まじい抵抗を受け、ようやく終わった頃には、連邦軍の三個師団が壊滅していた。

 師団の生き残りたちは復讐を誓い、連邦に亡命したカムズルの命を何度も狙った。

 幾度か護衛のおかげで撃退できたが、ワルキューレの情報部や諜報部が裏切り者である自分の始末に協力しているらしく、更には軍閥であるアガサ騎士団やメイソン騎士団も命を狙っているので、遂に周りを放射能で囲まれたファルゲン基地に逃げ込んだ。

 カムズルは安心しきっているようだが、ブルズーン等は既に居場所を突き止めており、ファルゲン基地に乗り込む準備をしているとは、知らないらしい。

 それでも、正規軍レベルによる攻撃は知っているらしく、ファルゲン基地に一個師団相当の戦力を集結させている様子だ。

 

「まぁ、連邦の奴らは喋らせるのに手を焼いているらしくてな。増援に二級戦部隊に送り付けたようだ。俺たちなら、瞬きする間に皆殺しに出来るぜ。更にお前さんが加われば、直ぐに終わるだろう。もしくは、奴が有益な情報を喋って、連邦の情報部に消されるかだ」

 

 連邦に取って有益な情報だけ引き抜けば、カムズルは用済みな筈だが、彼がまだ生きてファルゲン基地に移送されたと言う事は、まだその情報を喋っていないと言う事だろう。亡命して来た彼は、殺されまいと喋ろうともせず、連邦の情報部は手を焼いているようだ。

 ブルズーン等に復讐のチャンスはまだある。もっとも、連邦が殺してくれれば楽なことこの上ないが、それでは自分達がここに来た意味は無い。

 復讐を手伝ってくれるワルキューレに取っては、ブルズーン等がカムズルを殺してくれることを願っているだろう。

 

「さて、カムズルの事は分かったな。だが、新しい問題が出来ちまった。七機目のATをどうやって拵えるかだ。しかも部品は六機分しか無いと来た」

 

 シュンを復讐に加えたブルズーン等であったが、彼が入ったことで問題は発生する。

 それは、七機目の重武装のスコープドックを作る部品がもう無いのだ。元から六機でやる予定を、ブルズーンがシュンを連れて来たために七機目を作らなければならなくなった。

 だが、もう六機分の製作で部品は残りわずかだ。

 

「当たり前だ。元々俺たち六人でやる予定を、お前がそいつを連れて来た所為でそうなったんだ! どうやって調達するつもりだ?」

 

「あぁ、それはだな…そうだ!」

 

「いや、俺にATは…」

 

 チヌにそのことを咎められ、ブルズーンがスキンヘッドの頭を抱えて解決策を考える中、シュンは生身で参加すると言おうとしたが、先に彼が解決策を思い付いてしまった。

 

「この付近に連邦の物資集積所があった! そこから頂戴しよう!」

 

「馬鹿! 足がつく!」

 

「いや、問題は無い。ここを何所だと思ってる? 安全な後方だぞ、警備も緩い」

 

 その解決策とは、連邦軍の物資集積所から部品を失敬すると言う物であった。

 これにチヌは反対するが、ブルズーンはここが後方だから警備が緩いと口にするが、一騒動を起こしたシュンは、言えずにいた。

 騒動を起こした張本人であるシュンが口を開く前に、ブルズーンは早速盗みに出掛けようと彼の肩を叩く。

 

「早い方が良い。行くぞ、瀬戸」

 

「あっ、あぁ」

 

「待て。まだ信用ならねぇ。監視のために俺も行くぞ」

 

「いいとも。腰抜かすなよ」

 

 シュンはブルズーンの誘いに断ることなく従う。まだ信用できないチヌは、監視のためについて行くと言えば、ブルズーンは同意して物資集積所へと向かった。

 

 

 

「ふむ、警備は緩いが、前より何人か増えているな」

 

 数十分後、部品を詰め込むためのトラックと共に連邦軍の物資集積所を見渡せる丘に着いた三名は、前より警備兵の数が増えていることを疑問に思い始める。

 警備を増員させた要因であるシュンが隣に居るのだが、ブルズーンとチヌはまだ気付いていない。

 だが、集積所を警備する兵士らは、ここまでシュンが来るはずが無いと思っているらしく、雑談を交わしている始末だ。

 情報を得るために指向性マイクを向けると、連邦兵等の呑気な雑談が聞こえて来る。

 

『ログ基地からスパイが逃亡したようだ』

 

『でっ、そのスパイは?』

 

『この辺に逃げたと言ってたが、昔の坑道に落っこちたようだ』

 

『なら安心だな。今ごろは、坑道の中で迷って、落石でくたばってるだろう』

 

『そうだと良いが。一応は、警戒しとかないと。軍曹に怒られる』

 

『ついでに少尉殿にもな。月給処分なんて御免だぜ』

 

 一応は警戒しているようだが、シュンを死んだ物と仮定している。

 

「何所の馬鹿だが知らねぇが、余計な事をしてくれたもんだ。楽な仕事だと思ったのに」

 

 このブルズーンの言葉に、シュンは自分が騒ぎを起こしたことを黙っておくことにした。

 集積所を観察すれば、少々の騒ぎを起こせば物資を盗むチャンスが生まれるかもしれないので、複数の爆発型の手榴弾を取り出し、適当な場所へ投げ込もうと思った。

 

「なら、迫撃砲に見せ掛けるか」

 

「良いね。なら、早速やろう。チヌ、車を頼むぞ」

 

「あぁ、分かった。ヘマはするなよ?」

 

「分かってる」

 

 シュンが迫撃砲の砲撃に偽装した騒ぎを起こすことを提案すれば、ブルズーンは賛同してチヌに物資を積むためのトラックを運転するように命じた。

 これにチヌは、シュンにヘマをしないように忠告すれば、彼は頷いて手榴弾を投げ込みに向かった。

 適当な場所に投げ込むことを決めれば、持っている手榴弾の安全ピンを外し、そこへ向けて一つ投げ込む。爆発すれば、警備兵の叫び声が聞こえた。

 

『迫撃砲だ! 伏せろ!!』

 

『退避だ! 吹き飛ばされるぞ!!』

 

 その叫び声が聞こえれば、もう一つ投げて爆発させ、更に幾つか投げ込んで迫撃砲の砲撃を受けている様に、警備兵らを錯覚させる。

 この隙にブルズーンたちはトラックを物資集積所へ回し、持てるだけの物資、主にATの部品を盗んでいく。

 十分に盗めれば、ブルズーンがシュンに事前に渡しておいた無線機で、もう良いと伝える。

 

『よし、十分に詰め込んだ! 適当に投げて、早いとこズラかれ! 奴ら、臨戦態勢に入ったぞ!』

 

 その連絡が来れば、シュンは全部の手榴弾を投げ込んでから逃げた。

 

『クソッ、砲撃手は何所だ!? 探せ!!』

 

 身軽になって逃げる最中、背後より捜索隊の隊長の声が聞こえて来たが、シュンは見付かることなく逃げることに成功した。

 

 

 

 一時間後、連邦軍の追跡を受けることなくアジトのスクラップ場へと辿り着いたシュン達は、さっそく盗んだ物資からATのパーツだけを取って、七機目の製作に移っていた。

 六機目はシュン等が集積所から物資を失敬している間に製作が完了しており、後は七機目を製作するだけであった。

 盗んだ物資の中には、何処かのAT乗り(ボトムズ)専用なのか、パイルバンカーが入っていた。

 

「ほぅ、珍しい。パイルバンカーだ」

 

「今時こんなのを使ってるのが居るとは。何所の最低野郎(ボトムズ)だ?」

 

「まぁ、斬り込み隊長殿にぴったりだな」

 

「なら七機目に着けるか」

 

 ズールが先に言えば、パイルバンカーはシュンにぴったりだとホトが言って七機目に着けることに決める。

 七機目が形になれば、試運転を行って異常がない事を確認し、盗んだ物資の武装を取り付けて行く。パイルバンカーの方が左腕に装着し、自分等が登場するスコープドック・フルカスタムと同じようにする。

 これで、七機のスコープドック・フルカスタムが完成した。全機が重武装を施されており、その戦闘力は一個中隊分だ。

 標準型をスクラップから製作して、更に純正の部品を組み合わせた物であり、製作を指揮した者曰く、あてにならないパーツがあるとのこと。

 

「こんなスクラップで大丈夫か?」

 

「大丈夫だ、相手は精鋭じゃない」

 

 製作を指揮した本人であるズールが言えば、ブルズーンは相手が精鋭で無いと口にする。

 彼らはワルキューレの情報部からファルゲン基地の情報を得ており、それに基地は元々ワルキューレの物だ。基地内の構造は既に熟知している。後はカムズルに復讐する為、基地を襲撃するだけだ。

 

「さて、準備は整った。ATを詰み込め!」

 

 自分等が居る痕跡を消した後、一同は専用トレーラーに自作したATを詰み込み、自分等のアジトであるスクラップ場を後にした。

 トレーラーに乗り込んだ後、運転を自動運転に切り替え、いつでもATに乗り込めるように、AT専用のパイロットスーツである耐圧服を着る。

 

「強化装備より着心地が良いな」

 

 耐圧服を着たシュンは、戦術機用の強化装備よりも着心地が良いと呟く。この耐圧服とATが誕生した世界でも、初めて着た時は少し着心地が良かった。そのまま待機室に入り、目的地であるファルゲン基地に着くまで仮眠した。




次回はラストレッドショルダーです。

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