自分はミッシングリンクとGジェネの方しかやってないけど、プレイ動画を参考に執筆してます。
他のSSはガンダムとか出して無双し始めるけど、俺の方はアナザーの量産型しか出さないよ。
つか、どいつもこいつもMSの性能差に頼り過ぎ。
MSの性能差が、戦力の決定的な差ではない事を教えてやる!
レインボー・バレー
宇宙世紀0079、一月。
独立運動で地球連邦政府より経済制裁を受けていたスペースコロニー群の一つ、サイド3は宇宙国家ジオン公国を名乗り、地球連邦政府に対し独立戦争を仕掛けた。
圧倒的な物量を誇る地球連邦軍に対し、ジオン公国軍は新型兵器、モビルスーツを投入して従来の兵器を主力とする連邦軍の宇宙艦隊を圧倒する。
長期戦に耐えられるほどの資源を持って居ないジオン軍は、回線と同時に早期終結の為にブリティッシュ作戦を決行。その作戦は、宇宙移民の住まいで大地であるスペースコロニーを 南米にある地球連邦軍本部、ジャブローへ落下させる物であった。これに連邦宇宙軍は総力を挙げたが、コロニー落下は防げず、コロニーは地球へと落下した。
しかし、コロニーは大気圏突入後、アラビア海上空で三つに分解、先端の大部分はオーストラリアの首都シドニーへと直撃し、街を巨大な湾へと変貌させた。この影響で、オーストラリア大陸の三分の一が壊滅する。
戦争は長期戦へと突入の兆しを見せ、コロニー国家であるジオンは長期戦に耐えられる資源を持たないため、ブリティッシュ作戦の失敗の一カ月後あまりに資源確保のために地球降下作戦を開始。MSを主力とした電撃的侵攻で地球の三分の一を支配下に置くことに成功する。
ブリティッシュ作戦の最大の被害を受けたオーストラリア大陸も、豊富化地下資源でジオンの標的にされた。壊滅的打撃を受けたオーストラリアの地球連邦軍部隊は成す術もなく、壊滅した。
開戦から十一カ月の十一月。連邦軍はヨーロッパにおいて大規模な反攻作戦「オデッサ」作戦を決行し、これに勝利。
地上のミリタリーバランスは一気に連邦側に傾き、世界各地で次々と反攻作戦が実行される。
そして、ブリティッシュ作戦の最大の被害地であるオーストラリア大陸でも、反攻作戦が開始されようとしていた。
アウトサイダーの手により、宇宙世紀0079の十一月二十二日の世界へと転移したシュンは、連邦軍のオーストラリア方面軍の遊撃部隊、
更にその遊撃部隊はMS小隊であり、シュンは正史には存在しない四番機のパイロットとして、新しい戦友達と共にオーストラリアの大地を駆け回る。
水晶の場所は、ジオン軍のオーストラリア方面軍の総司令部があるヒューエンデンにあると言う。
自分一人で潜入して水晶を奪えば良い物だが、アウトサイダーよりその手は禁じられた。理由は一切不明であるが、彼の意に反すれば、神と悪魔が混合した存在は何をするか分からないので、修行の一環と頼んでも無いのに助けてくれた礼だと思って大人しく従うことにする。
して、シュンが搭乗する機体は、RGM-79G陸戦型ジムだ。主兵装はホワイト・ディンゴが主力とする100mmマシンガン。
ホワイト・ディンゴはRGM-79ジム二機と、支援機であるRGC-80ジムキャノン一機であるが、新たにシュンの陸戦型ジムが加わったことにより、四機編成の小隊として編成された。
シュンことバートル曹長はMSの運用が開始されてからのベテランパイロットと言う設定であり、実戦経験が乏しいホワイト・ディンゴのパイロット達をサポートするために、オーストラリア方面軍司令官であるスタンリー・ホーキンスより送られたと言う。
事実、シュンはMSに登場した経験がある。ジムタイプは初めてであるが。
ホワイト・ディンゴと言う宇宙世紀の世界のオーストラリアでは高名と知られた部隊に属することになったシュンは、部隊の面々と挨拶を交わす。
「バートル・バーウガェ曹長です」
「遊撃MS小隊ホワイト・ディンゴの隊長、マスター・ピース・レイヤー中尉だ。我々よりMSの熟練者であり、四番目のパイロットである君を歓迎する」
金髪の白人男性、レイヤーは偽名を名乗るシュンを部隊に歓迎してから握手を交わす。
この時、彼の手を握ったレイヤーは、ただ者ではないと判断する。
「バートル曹長、MSのパイロットになる前は?」
「歩兵です、中尉殿」
「歩兵? おいおい、軍楽隊出身の俺より変わってるじゃないか」
シュンの正体を調べるため、レイヤーはMSのパイロットになる前の所属を問えば、彼は歩兵と答えた。事実、ワルキューレに属していた頃のシュンは歩兵だった。
元の所属を聞いたホワイト・ディンゴの隊員でパイロットの一人である男が、自分が元々属していた軍楽隊よりも変わっている経歴だと言い始める。
「俺はマイク、じゃなかった。マクシミリアン・バーガーだ。マイクと呼んでくれ」
その男はシュンに自分の名を名乗り、シュンと握手を交わす。それから自分が聴いているラジオのDJのファンなのかを問うてくる。
「なぁ、ジャクリーンちゃんのファンか?」
「あっ? 娼婦か?」
「この野郎! 俺のジャクリーンちゃんをそんな風に呼ぶなんて…! 許さねぇ!!」
無論、シュンはラジオなど全く聴かないので、娼館の方だと勘違いする。これにマイクは激昂して胸倉を掴もうとする。
そんな彼を、黒髪の男が両腕を掴んで静止する。
「よせ、マイク! オーストラリアに来たばかりで知らないんだ。俺はレオン、レオン・リーフェイだ。戦車兵出身。歩兵出身か、良く五体満足で生き残れたな。歩兵にとっては地獄だと聞いているぞ」
マイクを止めたレオンは自己紹介を始め、シュンが歩兵出身と聞いてか、MSが出て来る戦場で、五体満足で生き残れたことに驚く。事実、シュンはそのような戦場を経験している。
「あぁ、きつかったな」
「本当に驚きだ。こんなガタイをしていて、良くMSの適性検査に受かれたもんだな」
「俺も不思議に思っている」
レオンの問いに、シュンは自分が経験していることを明かせば、彼は目前のアジア系の大男がどう適性検査をパス出来たのかが疑問に思う。
「それじゃあ、次は私ね。アニタ・ジュリアン。軍曹よ。ホバートラック、オアシスで貴方たちパイロットをサポートしてる。私が出している情報は、聞き逃さないようにね」
そんなレオンの次に、ホワイト・ディンゴのバックアップを務める女性の下士官が自己紹介を始める。
アニタはホワイト・ディンゴの戦術と連携の要であり、バックアップも務めており、電子戦や情報戦に長けた才女だ。彼女の意見を蔑ろにするのは、命取りになる可能性が高いので、シュンは彼女に敬意を表す。
「あぁ、聞き逃さないようにする」
「それでよろしい」
シュンが敬意を表したので、アニタは胸を張って自慢げに頷く。
「次は俺の番だな。ボブ・ロックだ。階級はお前さんと同じ曹長。ホワイト・ディンゴのMSの整備班長だ。お前さんの先行量産型のジムに触れるのは、一か月ぶりだな。まぁ、俺がきっちりと整備してやるから、安心して乗ってくれ。ただし、壊すんじゃねぇぞ」
「あんたが整備するなら、安心して戦えるな」
「よせよせ、照れるっての」
アニタの次に名乗ったのは、ホワイト・ディンゴの整備班長の初老の男性、ボブ・ロックだ。
整備班長に抜擢されることにあって、腕前は職人レベルであり、兵器知識も豊富、彼が整備したMSに乗るホワイト・ディンゴのパイロット達は、安心して戦えるのだ。
彼にも敬意を表せば、ボブは照れながらシュンと握手を交わした。
自己紹介が終わった所で、レイヤーは自分達がこのオーストラリアにおける初陣の場所を知らせる。
「さて、自己紹介はここまでにして、俺たちがオーストラリアで初めて戦う場所の説明と行こう。スタンリー大佐がブリーフィングで言った通り、俺たちが向かう場所は大陸中央のアリス・スプリングスだ。レッドポッサムと一緒にここのジオンの駐屯基地を叩くのが任務だ」
レイヤーがボードに張った地図に差し棒を当てながら説明すれば、一同の視線がボードに集中する。
ホワイト・ディンゴは遊撃部隊なので、レッドポッサム本隊がアリス・スプリングスに入る前に先行して空中降下し、本隊の進路上の露払いをする。
進路上の敵を全て片付ければ、レッドポッサムの支援に回り、敵MSと航空機に脅威な対空設備の破壊を行う。
「まずは先行して進路上の邪魔になる敵の掃討だ。MSに関しては敵の方が俺たちより扱いが慣れている。敵MSは二機一隊となって対処するんだ」
一連の作戦の説明を終えれば、次にレイヤーはジオンの方がMSに慣れているので、単独で攻撃せず、二機一隊で対処するように注意する。
「さて、そろそろ時間だ。全員、持ち場に着け! 出撃するぞ!!」
『了解!』
それが終われば、レイヤーは出撃の指示を飛ばした。
輸送機のミデアに搭乗機を載せ、前線基地より出撃したホワイト・ディンゴは、敵の警戒エリア前に降下した。
四機のMSと一台のホバートラックがオーストラリアの乾燥した大地へと降下すれば、一気に敵地へ突入せず、その場でコールサインの確認を行う。
『ここでコールサインの確認をします。私のホバートラックがオアシス。隊長がファング1です』
『コールサイン確認。よし』
レイヤーが乗る隊長機のジムがファング1だ。それを確認したレイヤーが返答すれば、アニタはレオンに無線連絡を送る。
『ファング2はレオン』
『ファング2、確認した』
『ファング3はマイク、貴方よ』
『ファング3、了―解!』
レオンがファング2でマイクがファング3となれば、それぞれが返答を送る。
次にアニタはシュンが乗る陸戦型ジムの無線機に、四番目のコールサインを名乗るように告げる。
『バートル、貴方はファング4』
「確認した」
『これで終わりね』
『にしても、隊長。出撃の度に思うんですけど、オーストラリアって砂漠しかないんですか?』
シュンがコールサインを確認すれば、マイクは自分達が降りた場所が砂漠地帯であることに疑問を抱く。
『マイク、砂漠は気に入らないのか? 戦闘には好都合じゃないか』
『そうよマイク。マクシミリアン・バーガー少尉は後腐れなく、派手に暴れるのが好みじゃないの?』
隊の中で唯一オーストラリア大陸出身のレイヤーが、戦闘では暴れるのが好みのマイクが何故そのようなことを言うのかを問う。続けてアニタも問う。
『隊長もアニタも。俺が言いたいのは、こう殺風景なのが続くのが、やりきれないってことですよ!』
どうやら殺風景な光景が続くことにやりきれない様子だ。
それに反応したのか、アニタはオーストラリアにコロニーを落としたジオンに文句を言うように告げる。
『あら、文句があるならジオンに言えば? スペースコロニーを落として、オーストラリアを荒野にしたのはあいつ等なんだから』
『でも、オーストラリアは元々砂漠が多かったじゃないか』
『えっ!? そうなの?』
これにレオンが食い付いたのか、オーストラリアはコロニーが落ちる前から砂漠が多かったと言えば、アニタは初めてオーストラリアの地形を知ったのか、驚きの声を上げる。
『あぁ、レオンの言う通りだ。元々オーストラリアには砂漠が多い。もっとも、コロニー落下以降は砂漠化が急速に進んだのは確かだが』
『そうなんですか…知りませんでした、隊長』
出身者のレイヤーより改めてオーストラリアの状況を知れば、アニタは申し訳なさそうに返す。
『おいおい、頼むぜ。作戦地域の気候を知らないで情報支援が出来るのか? アニタお嬢さん』
『煩いわね! 昔が砂漠かどうかなんて関係ないでしょ! とにかく、オーストラリアが砂漠だってことさえ分かれば、それでいいの!』
『おっと、こりゃ失礼。殺すような場所に行かせないでくれよ? それじゃあ隊長、この地で散った人々の仇を取りましょう!』
情報支援担当者がオーストラリアの気候を知らないことをマイクが茶化せば、担当のアニタは頭に来て怒鳴り返した。
これに少々の恐怖でも覚えたのか、マイクはアニタに謝った後、レイヤーにこのオーストラリアの地で死んだ人々の仇を取ろうと告げる。
『まぁ、ジオンは眠れる獅子を起こしたわけだが、俺たちは犬だがな』
「それで、行くのか? 隊長」
『よし、マイクの言う通りにジオンに攻撃を仕掛ける! 全機、警戒態勢のまま前進! 単機で行動するな!』
これにレイヤーは乗って眠れる獅子を起こしたと言ったが、自分たちは犬の名前を使っているので、獅子とは違うと口にする。それから警戒態勢を維持したままの前進命令を出す。
『了解!』
「了解!」
この命令に応じ、ホワイト・ディンゴは敵の警戒エリアへと入った。
『こちらファング1、オアシス、索敵開始。妨害電波が出されているか、ミノスキー粒子が濃いかでレーダーが機能しない』
『オアシス、了解。索敵開始!』
警戒エリアに入れば、レーダーが余り機能しないので、索敵機能を持つオアシスに索敵を行わせた。
オアシスは地表に杭を打ち込み、地面を伝わる振動で敵MSの位置を確認する。
四機の味方機の位置は既に把握済みであり、それ以外のMSの反応はジオンのMS-06ザクである。
『索敵完了! 敵MSの数は八機です。重いのが一機、おそらくキャノンタイプです』
『八機? 随分と少ないな。せっかく暴れてやろうかと思ったのに』
『敵が二十機も居れば、俺たちはたちまちハチの巣だぞ。乗っているのはガンダムじゃない』
『うっ、分かっているさ…俺が乗っているのはジムだし…』
アニタが索敵で出た敵機の数を報告すれば、マイクは自分が思っていた数より少ない事を残念がる。
これにレオンが即座に注意する。無論、倍の数のMSを相手にすれば、こちらに正気がない事は確かなので、マイクは馬鹿な発言をしたと思って口ごもる。
話を戻し、電子マップに敵機の位置が表示されれば、敵機がどれも単独で動いているのが分かる。
『分散しているな。しかも単独行動が多い、自分の腕を過信しているな。二機一隊に分散し、各個撃破だ。ファング2は3と共に東へ。俺とファング4は西へ進む』
『了解!』
電子マップを見て敵機の位置を確認したレイヤーは、四機の正体を二機一隊の二つに分け、西と東に別れて各個撃破を行うことにし、指示を出す。
返答の後に、レイヤーの指示通りに二機一隊となって西と東に別れたホワイト・ディンゴは、まず目についた単独で行動しているザクを攻撃する。
『敵機発見! 一時の方向! 他の敵機と合流する前に撃破だ!』
「了解!」
先にレイヤーが単独で行動しているザクを見付ければ、シュンに指示を出してから自機の主兵装である100mmマシンガンで攻撃する。シュンもこれに続き、二機の敵MSを見て味方と合流しようとするザクに集中砲火を浴びせる。
主に狙うのは足だ。このMSが誕生して間もない宇宙世紀の世界では、空を自由に飛べるMSの数は一機くらいしか居ない。故にMSが地上で足をやられれば、動けない砲台となるだけだ。
集中砲火を受けて足をやられたザクは転倒し、手にしているザクマシンガンで反撃しようとしたが、胴体にも二機のMSによる集中攻撃を受け、機能を停止する。
『こちらファング1、敵機沈黙を確認。共同撃破だ。次へ行くぞ』
「了解」
敵機の機能が停止したのを確認すれば、レイヤーは次に行くと指示を出せば、シュンはその後へ続く。
東の方でも戦闘が始まり、銃声と爆発音が聞こえて来る。ファング2と3は敵機と会敵して交戦を始めたらしい。
『こちらファング2、敵機撃破! 行くぞ、ファング3』
『あれは俺が撃破したのにな。へいへい』
『マイク、先に撃破したのはレオンよ』
『次は譲らねぇからな!』
爆発音が聞こえれば、レオンが撃破したとの無線連絡が入った。そこでマイクは自分が先に撃破したと言ったが、アニタはレオンが先に撃破したと答える。
一方でレイヤー機の後へ続くシュンの方にも、味方の反応の消失に気付いたザクが二機ほど現れる。
『合流したか! 俺は左を抑える! ファング4は右を抑えろ!』
「よし、分かった!」
二機の敵機に遭遇したが、レイヤーは予想外の展開にも慌てることなく対応を指示し、左の両足にミサイルを付けたザクに攻撃を仕掛ける。
右のザクの対処を指示されたシュンは、距離を取りつつマシンガンを撃って敵を遮蔽物まで下がらせる。残弾を確認しつつ、ザクを遮蔽物に抑えながらそこまで前進する。
「うぉ!?」
遮蔽物まで近付き、回り込んでハチの巣にしようとしたシュンであるが、投げられたマシンガンを当てられ、怯んでしまう。
メインカメラの映像が一瞬乱れる中、ザクのパイロットはこの瞬間を逃さず、左腰に付けているヒートホークを抜いて斬り掛かって来る。
流石は自分よりMS慣れはしていると言って良いだろう。現在の連邦や同盟のパイロットとは大違いである。
「くそっ!」
振るわれたヒートホークを躱してからマシンガンを撃とうとしたシュンであるが、敵のパイロットは左手で銃身を掴んで銃口を上に向けさせる。
上に向いた銃口から弾丸が発射されるが、当然ながらザクには当たらず、射撃武器を封じられて動けない敵に、ザクのパイロットは胴体にヒートホークを叩き込もうとしたが、シュンは直ぐに左腕の短いシールドで高熱の刃を防いだ。
「おら!」
ヒートホークが突き刺さった盾を強制排除してマシンガンを手放し、右足の脹脛から出たビームサーベルを取り、敵機に対応を取られる前にビームの刃を出してザクの胴体に突き刺す。
ビームの刃はコックピットに突き刺されたのか、ザクの一つ目の光が消え、ビームを引き抜けば前のめりに倒れ込む。
「ファング4、敵機撃破!」
『よし、撃墜したか! こちらも、撃墜したところだ』
目前のザクを撃破したことを知らせれば、レイヤーもザクを撃破したところだった。
こちらが盾にヒートホークを突き刺されて使い物にならなくなったのに対し、レイヤーの方は殆ど無傷であった。
『こちらファング3、やったぞ! 俺がやった!!』
『ファング3、やるじゃないの!』
『喜んでないで警戒しろ。敵機が集まって来るぞ』
『分かっているとも。索敵行動にシフトします』
向こうでも敵機を撃墜したのか、マイクがやっと撃破したと大いに喜んでいた。これにアニタが褒める中、レオンは直ぐに警戒するように告げる。マイクは分かっていたようで、直ぐに索敵行動を取る。
こちらも索敵行動を取り、敵機の掃討を続行する。
これで残り四機でこちらと同じ数になった。だが、まだ油断は出来ない。索敵を行っていたオアシスから無線連絡が入る。
『オアシスより各機へ。隊長とファング4が交戦した二機と同じく、集まろうとしています。合流される前に叩いてください!』
『まとまるだって? わざわざ出向かなくても済むな』
『確かに集まってくれれば、探さずに済むな。だが、敵に連携を取られれば厄介だ。合流される前に叩こう』
『じ、自分もそう思っていました隊長!』
『嘘だな』
オアシスから敵機が集まっていることを知らされれば、マイクは探さずに済むと軽口を叩く。
これにレイヤーが集まった敵が厄介だと注意する。注意されたマイクは自分達ならやれると思っていたらしく、このレイヤーの冷静な判断で自分が間違っていたと考えてから分かり、自分もそう思っていたと嘘をつく。
僚機のレオンよりツッコミがあったが、何事も無く、射程に捉えた敵機に向けてキャノンを撃ち込む。
シュンも拾い上げたマシンガンで、レイヤー機と共に合流しようと背中のスラスターを吹かせるザクを攻撃する。無論、狙うのは足である。
『敵機撃破! これで二機目だ!』
「あっ!」
『くそっ、逃げられた 全機集合!』
マイクが撃墜したことを無線機で知らせたが、レイヤーとシュンはザクの右腕を犠牲にして二機の友軍機と合流した。
『隊長が取り逃がしてしまうなんて、珍しいですね』
『感心している場合か! 隊長と合流するぞ』
『分かってるって! 隊長のミスは、俺たちが補うってね!』
あのレイヤーが敵機を取り逃がすと言うミスを犯したので、マイクは珍しがるが、またもレオンに注意されたので、隊長のミスは自分たち部下が補う者と言って、レイヤーたちと合流する。
四機となったホワイト・ディンゴは、手負いのザク一機と指揮官型のザク、MS-06Kザク・キャノンの三機と交戦を始める。
最初に撃って来たのはジオンのMS小隊の方だ。ザク・キャノンが背中のキャノン砲を放ち、二手に散会した連邦軍のMS小隊に向け、MMP-80マシンガンを持つ頭に角のアンテナを付けた指揮官型のザクと、その指揮官機より渡された予備のマシンガンを持つ手負いのザクが撃ち始める。
凄まじい攻撃が来る中、盾で攻撃を防ぎながら遮蔽物へ隠れ、そこから反撃する。
敵も馬鹿では無いので、直ぐに攻撃が当たらない方へ下がる。
下がろうとする三機のザクに対し、シュンの陸戦型ジムはハンドグレネードを投げ、手負いのザクを小破させれば、そこから一気に二機のレイヤーとレオンのジムがスラスターを吹かせて近付き、残りの二機にマシンガンの雨を浴びせる。
『うわぁぁぁ!? こ、降伏する! 撃たないでくれ!』
『了解した。全機、撃ち方止め! 敵は投降した!!』
『降参かよ。やれやれ、エースパイロットへの道は遠いや』
何発も浴びせれば、敵機は自分がまだ生きている内に投降を呼び掛ける連絡を取り、自機の武器を捨て、両腕を上げてホワイト・ディンゴに投降の意思を見せた。小破したザクからもパイロットが飛び出し、こちらへ向けて手を挙げている。
これを確認したレイヤーは部下たちに発砲を止めさせ、不審な真似をすればいつでも撃てるような体勢を取りつつ、捕虜を連れて行くレッドポッサム本隊を待つ。
残りの三機が投降してしまい、撃墜スコアを増やせなかったレオンは悔しがる。
『隊長、その三機で最後のようです。索敵しましたが、増援の気配もありません。捕虜はレッドポッサムの護送部隊に任せましょう』
『まっ、俺たちに掛かれば、こんなもんさ』
『そうか? 防衛部隊にしては、いささか数が少なかったが…』
他にも敵が居ないかアニタは索敵をしたが、アリス・スプリングス郊外の防衛部隊は交戦したザク八機のみだったようだ。
これにレイヤーが疑問を抱く中、レオンも同じく疑問を抱いており、陽動ではないかと考え始める。
『気に入らないな。陽動の可能性があるんじゃないか?』
『考え過ぎだろう。取り敢えず、次の指令があるまで休もうぜ。ジャクリーンちゃんのラジオ放送もある事だしな』
『マイク、お前と言う奴は…』
少なすぎる防衛部隊に陽動の可能性を出したが、マイクは考え過ぎだと言って、今は休みたいと口にする。
それと同時にレッドポッサム本隊の航空部隊が、ホワイト・ディンゴの頭上を通過した。
地上からもMSを含めるレッドポッサム本隊が続々とアリス・スプリングスに入ろうと前進している。
『まぁ、マイクの言う通りに次の指示があるまで休息を取ろう。これから厳しくなることは確実だ』
『流石は隊長だ! 話が分かる!』
『遅かれ早かれ、そうなることは確実ですからね。今は休める時に休んでおきましょう』
『えぇ、私たちは遊撃部隊ですからね』
「俺も同意見です。このまま戦闘継続は死にそうだ」
レイヤーもマイクに同意見であり、これからのことを考えて休息を取ると言えば、隊員たちはそれに賛同する。シュンも賛同し、ホワイト・ディンゴは次の指示があるまで、レッドポッサム本隊が設営した野営地で休息を取ることにした。
オリジナルを入れつつ、原作基準でやる予定です。