ロリータ・コンプレックス   作:茶々

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第三十四Q 手が痛いです

 

7月18日。

 

祝日である海の日に合わせて、慧心学園ではこの月曜日から夏季休暇へと突入する。

連日のカリキュラムや放課後の部活から解放された児童達が、大会等に向けた自主錬などで各々研鑽に励む時間を大々的に確保出来ると同時に、私立故に、という訳でもなかろうがそれなりに多く用意された課題に辟易とする児童の数も結構なものである。

 

とはいえ、夏休み。

この単語に胸を躍らせないのは、余程内部進学に拘る極々一部の人間だけだろう。

 

「―――ッ!!」

「水崎!」

 

そう。

 

「そこっ!!」

「真帆っ!バックアップ!!」

 

例えば、こんな風に。

 

「ハッ!」

「ッ!?」

 

―――キュキキキキィ!!!

 

――――――パスッ

 

自主錬(マイペース)に精を出す類の人間には、特に。

 

 

 

 

 

 

5月に行われた男女対抗戦を以て、男バスと女バスの練習日はそれぞれ三日ずつと割り振られた。とは言え、男バスは6月から7月にかけて地区大会と県大会という大きな大会にぶつかった関係で多少の融通を受け、女バスは女バスで男バスが練習する前の体育館で軽く練習した後、コーチである昂や顧問の美星の引率の元、学外の野良コートを利用したりするなどして練習時間を上手く活用しあう事で双方が協力関係を築いていた。

 

その影響からなのか、それとも個々人の内縁関係なのかはさておいて、男バスキャプテンの夏陽と男バスエース格の進は、県大会終了後から度々ではあるが女バスの練習に招かれる様になっていた。

内容的には試合を想定した『仮想敵』として、智花を始めとした女バスの面々のレベル及びスキルアップを目的としており、マンツーマンの場面における対応やより高いレベルの敵とぶつかった際の攻略法などを実戦形式で叩き込む…………というのは美星指導の元に昂が苦心して捻りだしたでっち上げの『表向き』の理由。

 

表があれば、当然裏もあるわけで。

 

女バスは現在の5人のままでは公式試合に参加する事は出来ない。この事実は真帆や紗季などの初心者組には未だに明かされておらず、部外者である所の進や夏陽は空気を読んだのか当人達の問題なのだからと静観を決め込んでいる。

 

そうなると、これまでの様に『VS男バス』や『球技大会』といった大きな目標がなく、かといって先日の県大会で随分と対外試合意欲が刺激されてしまった慧心学園の打ち上げ花火こと真帆が毎日の様に二言目には「試合、試合」と急かす為、その場しのぎの苦肉の策として打ち出したのが今回の進と夏陽の招聘である。

美星の目論みは以前の対球技大会用強化合宿の時と同様『水崎進友人計画ver.Ⅱ』であり、昂の打算は『レベルアップに託けた時間稼ぎ』だ。

ミニバスの試合は24分、既に終了しているが夏季大会だと中高生クラス同様の40分。これだけの時間を最後まで戦い抜くにはもっともっとレベルアップが必要だ―――と語って聞かせた昂の言葉をそのまま呑み込んだ真帆達は、僅かばかりの良心の呵責を噛み締める昂を余所に練習に打ち込んだ。

 

実はこの二人以外にも今回の招聘について思う所のある人物が女バスの中にいるのだが、それが誰なのかは推して知るべし。

 

で、招聘。

 

男バスの練習のない日だというのに態々バッシュその他一式を持ってきた進と夏陽、それに昂や智花といったバスケ経験組の少数徹底指導によって、この二週間足らずで女バスの面々の実力は見違える程に上達していた。

その勢いたるや、美星をして「メタル○ングでも狩り漁ったのか?」と言わしめた程である。

 

そんな事をしている内に日は巡り、間もなく夏休みへと突入しようかという日の、その放課後。

 

「おーっい、ずっちー」

 

半日授業を終え、今日は男バスも女バスも練習日ではなく、更に夏陽の自主錬すらもないというないない尽くしで午後の予定がぽっかり空いていた進がどうしようかと考えを巡らせていた時、やけに間延びした猫っぽい声が背中に届いた。

 

振り向いて見ると其処には何故か真帆と紗季が居て、何やら用事があるらしく呼んだ「ずっちー」なる呼称が誰のモノであるのかと視線を巡らせて、しかし廊下に自分と彼女達以外誰もいない所を考えるにそれは自分の呼称なのかと思い至り返事を返そうと思った時には既にずずいっと顔を寄せた真帆の顔が其処にあって思わず進は後ずさった。

 

夏陽とセットの時には度々見かけるし声もかけられる事の多い真帆でも、こうして自分が一人だけの時に声をかけられるというのは割とレアなケースで、そう言えば今日は夏陽の奴随分と慌てて帰ったけどどうしたんだろ、と友人のここ数日の妙にそわそわした雰囲気を回顧して訝しむ様に疑問符を浮かべていると、真帆が「むーっ」と何故か脹れっ面を浮かべながら口を開いた。

 

「こらずっちー、あたしの話聞いてんの?」

「真帆、顔寄せ過ぎ。水崎が少しひいちゃってるじゃない」

 

呆れたような声を洩らす、真帆のお目付け役兼手綱握り兼女房役の紗季。この組み合わせは毎日の様に目にしている。

異質なのは、その二人が進『だけ』に声をかけた事だった。

 

進の友人である夏陽とこの二人が幼馴染である、という話は以前進も聞いた。それ故に遠慮のない真帆と夏陽は何かと張り合い、その度に紗季が調停に入るというのは最早恒常化しているといっても過言ではなく、だからこそその夏陽がいない時にこうして声をかけられるというのは進にしてみれば意外以外の何物でもなかった。

 

「どうしたの?」

「この間話したでしょ?夏休み始まったら、真帆の家の別荘に遊びにいかないかって」

 

言われて、記憶を探って…………と、そう言えばこの間の合同練習の終わりに三沢がそんな事言ってたっけ、と思い起こした進が得心した様な表情を浮かべると「やっぱり忘れてたか……」とでも言いたげに胡乱な目つきで紗季が溜息を洩らした。

 

「それで、それがどうしたの?」

「『どうしたの?』じゃなくて!だから、今日の放課後はその時に必要になりそうなモノをみんなで買いに行こうって言ったでしょう!?何で何時まで経っても来ないのよ!?心配して探しに来ちゃったじゃない!!」

「そーだぞずっちー!ナツヒがいないから携帯の連絡先も分からないし、大変だったんだぞーっ!?」

「え、と…………ごめんなさい?」

 

はて、そんな約束しただろうか。

記憶を探ってみても自分がそういった類の約束事に了承の意を伝えた覚えはまるでなく、とはいえどうやら彼女達はその約束を律儀に守っていたが為に何らかの不都合が生じてしまった様だから取りあえず謝っておこう、と進は軽く頭を下げた。

 

と、下げた頭よりやや遠い進の腕を取って真帆が急かす。

 

「んな事いーから、ほら!さっさと行っちゃおうよ!」

「待ちなさい真帆。水崎、取りあえず携帯出して」

「どうして?」

「あのねぇ……今回みたいな事にならない様に、今後はちゃんと連絡取れるようにしとかないと不味いから言ってんのよ!ほら、携帯出して!」

 

半ばひったくる様にして進の鞄から携帯を取り出した紗季は、しかし案の定というか当然の予防というか起動画面のパスワードロックで止まってしまい、進の鼻先に突き付けて「さっさと開けろ」と無言の要求をし、律儀にもそれに応えた進が手早く暗証番号を打ち込むと再び紗季の手元に携帯が渡る。

 

と、ふと好奇心に駆られた紗季が、未だ進の腕を引っ張る様にして急かす真帆とそれにたたらを踏みながらもついていく進を余所に、悪いとは思いながらも『連絡帳』を開いた。

開いて、しまった。

 

「………………………………」

 

登録件数とその登録先を見て、暫し硬直。心なしか瞬間的に愛用の眼鏡にピシリと亀裂が入る様な幻聴が聞こえた。

その様子のおかしさに気づいた真帆と進が「どうしたの?」と問い掛けるが、紗季は答えない。答えられない。

 

ややあって、先程までの明朗快活なまでの喋りっぷりからは到底かけ離れた重々しい声音で、

 

「…………水崎」

「何?」

「…………うん、あれよね。やっぱ何かあった時の為に、ね?一応女バスのみんなのアドレス入れておこうと思うのよ。うん、きっとみんなも良いよって言ってくれる筈だから、ね?だから私が代わりにみんなの分入れといてあげるから、真帆と一緒にちょっと先に行ってて貰える?」

「……うん、いいけど」

「んぁ?どったの紗季、顔色悪いよ」

「えっ!?べ、べべ別にだだ、大丈夫よ!?そ、そうよ!わた、私は、ち、ちっともおかしくも、な、なんともないから!うん!!」

 

怪しさ爆発にも程があるが、こういう時の彼女に深入りすると後が怖い。というか面倒くさい、という事実を経験則から知る真帆は暫し考え込む様な表情を見せるが、やがて納得したのか進を引き連れて廊下の向こうに消えていく。

その背を眺めつつ、改めて紗季は手元の携帯に目を映した。

 

「……………………」

 

登録件数と、登録先を、改めて見やる。

そうして、深い深い溜息を洩らす。

 

「…………うん。ちゃんとみんなに確認取ってから入れて、グループ分けぐらいしといてあげとかないと」

 

永塚紗季。

本人の意図せぬ所で生じる生来のお節介好きと律儀さと、やたら強い好奇心が巡り巡って彼女を苦労人に追い込む、何とも残念というか自業自得的な体質を持つ小学6年生であった。

 

 

 

 

 

女三人寄れば姦しい、というのは昔時の言葉だが、では女が四人五人寄ればどうなるのだろうか。

新しい漢字や慣用句を創作する意欲も取り立てて沸かない進は、隣で苦笑気味な顔を浮かべつつ自分と同じく荷物持ちに甘んじている昂の方を見やって、先程からあれこれ思いついたモノを買いあさる様な女子達を見やって、肩を竦めた様な息を洩らした。

 

買い物に来たのは女バスの五人と進、そして引率を担当する昂と来賓の葵、計八名。

内六人は女子であり、比率的に二割五分を占める男子は何時の間にか荷物持ちとなる事が決定し、気が付くと進は両手に満員ラッシュ時のつり革もかくやと言わんばかりに荷物をぶら下げていた。

 

何でこんなことに、と進は思う。

 

しかし此処で何か意見を言えば、必然的に皺寄せは残り一人の男子となる昂に向かう。そして既に歩く事すら覚束ない程に荷物を持たされている昂に「そんな事しないよな?お前は裏切らないよな?」とでも言いたげな切実な視線を向けられてしまえば、根がお人好しで善人というより苦労人気質な進が言う言葉を失うのは当然で、結局女子達が楽しく仲良く買い物に勤しんでいる間、進はずっと黙然と荷物持ちに甘んじていた。

ただ、その間も雲海の如く増え続ける買い物の量に昂が愕然とした表情を浮かべ、流石に普段から表情の変化が富んでいると言い難い進ですらも、それ程露わではないにしてもやや引き攣った様な笑みを湛えた。

 

道中、申し訳なさそうな顔を浮かべていた智花や愛莉には昂が軽く笑んで「大丈夫」と言って安心させたが、それを見て妙に不機嫌になった様な葵のどっさり買い込んだ荷物を積み上げられて、一瞬にしてそのスマイルが凍ったのは言うまでもない。

そしてその余波を受ける格好となった進が冷や汗を浮かべたのも言うまでもない。

 

 

 

「手が痛いです」

 

なので帰り路をたまたま一緒にした折、隣を歩く昂にぼやく様に言った進を責める謂れは、当然ながら昂にはなかった。

 

「ハハ……まぁ、その分明後日からの旅行を楽しめばいいじゃないか?」

 

言うが、先程から両腕を擦る様な動作を見せる昂の顔も若干引き攣っていた。

 

「明日一日空けたのは、その準備の為ですか」

「ああ。何でも明日はみんなが水着を買いに行くとか言ってたけど…………」

「誘われたんですか?」

「誘われた、けど断った」

 

乾いた笑みをたたえつつ、昂は回顧する。

「悩殺してやるぜっ!」とか意気込んでいる真帆の笑顔とか何やら怪しい笑みを浮かべている紗季とか見るからにテンパリまくっている智花とか愛莉とか良く分かっていなさそうなひなたといった純真無垢(?)な面々の実に魅力的な誘いではあったが、仁王立ちして阿修羅の形相を浮かべて背後に煉獄の炎を滾らせている幼馴染の姿を見止めた瞬間昂は顔を真っ青にしてブンブンと首を横に振った。

 

初めこそその返答に文句をぶー垂れていたり翻意を促そうと努力する者がいたりと、女の中に男が入って余計騒々しくなる場合果たしてどんな漢字が相応しいのだろうかと考えながらその様子を正しく他人事として傍観していた進は、最終的に「ま、明日はアタシもいないし仕方ないかっ」と珍しく先に折れた真帆の言葉を皮きりに押し切る格好でどうにか回避に成功した昂の苦労を優しく労わった。

 

(とはいえ……)

 

昂はふと、そんな進の様子を盗み見ながら記憶を揺り起こしていた。

 

思い返すのは、県大会終了直後。

昂が、新と最後に言葉を交わした瞬間だ。

 

 

 

 

 

 

コート上で互いに礼をする両陣営に惜しみない拍手が送られる中、つと新が踵を返すのを昂は横目で捉えた。

 

「水崎先輩っ!」

 

観客がその健闘を讃える会場を余所に、外へと繋がる連絡通路を歩く新の背を、昂は呼びとめる。

 

弟に、進に何か声をかけてあげないのか。

 

そう、問おうとして、しかしそれよりも先に新が口を開いた。

 

「……なぁ、長谷川」

「はい……」

「……もう少しだけ、進の事を頼む」

 

一瞬、昂が言葉に詰まった。

 

「やっぱりさ、このままじゃあアイツに合わせる顔がねぇんだよ。どんだけ情けなくて、カッコ悪くて、逃げてばっかりの卑怯者で、それが本当の俺なんだとしても……いや、本当の俺だからこそ、このままアイツに会う訳にはいかない。アイツが自分で自分の殻を破った様に、俺も変わらなくちゃいけないんだ。世界中を敵に回してもアイツを最後まで守りぬける『家族』として、どんな事があってもアイツが胸を張れる様な『兄貴』として、このままじゃいけない。いられないんだ」

 

「だからさ」と新は続ける。

 

「もう少しの間だけ、進の事を見てやっていて欲しい。随分遠回りしちまったけど、こっから先はもう逃げない。全部向き合って、ぶつかって、乗り越えて、必ず―――必ず、進を迎えに行く。アイツが帰って来れる場所を、俺達『家族』の居場所を、絶対に取り戻してくる」

「……その言葉、直接言ってやった方が喜ぶんじゃありませんか?」

「馬鹿言え、んな恥ずかしい真似が出来るか」

 

少しだけムキになった様な口調で新が言うと、昂にはその姿が拗ねた調子の進に良く似て見えた。

やがて新は向けていた半身を翻し、外へと歩いていく。

 

「……あぁ、そうだ。ついでに一つ、伝えといて貰えるか?」

「いいですよ。何ですか?」

「―――今度は一緒に、バスケしようぜ」

 

言われた瞬間、思わず昂は言葉を失った。

 

その台詞が進に向けてのものなのか、それとも――――――と、考えている間に新の背は遠くなる。

 

その背中は何処か大きく見え、本来あるべき強さと誇りに充ち溢れていて。

何時か憧れた『水崎新』の姿が、今の彼に重なって見えた。

 

 

 

後で合流した時、進や夏陽は何処となく目元が赤くなっている気がしたがそれについては敢えて触れず、昂は先の新の言葉をそのまま進に伝えた。

 

結果から言えばそれはタイミング的に完全無欠に失敗であり、恐らくは既に泣き腫らしていたのだろう進はその言葉を聞いた瞬間に色々と溜まっていたモノが溢れかえる様にぽろぽろと涙を再び零し始め、やがて人目を憚る事を忘れた様に嗚咽を洩らしてしまった。

それが屈辱の涙ではなく感涙の類であった事は明白であるとは言え、第三者視点から見れば年端もいかない敗者を高校生が詰って泣かせた様にしか見えず、事実その様に見えたのだろう遅れてきた美星がその光景を目にした瞬間に昂に踏み台なしでのシャイニングウィザードを叩き込んだ事は、ある意味当然の帰結と云えた。

 

そして罰として美星に荷物持ちを命じられた昂が諸々の重量を積載し、その前を歩いていた小学生達を見やって―――或いは、隣を歩いていた美星も同様の意見を抱いただろう。小さく笑みを湛えた。

真帆やひなたが賑やかに、愛莉と紗季が保護者の様にみんなを見守りながら、智花や夏陽と歩調を合わせて。

進は、これまで見た事もない様な穏やかな表情で帰り道を歩いていた。

 

 

それが、数週間前の話。

 

 

智花や美星から聞いた話では、あれから進はクラスの内外でも随分と打ち解ける様になったらしい。

これまでの斜に構えていた様な態度は徐々に緩和されて、少しずつではあるがこれまで全く面識のなかった相手とも会話が増えている、とは美星の弁だが、担当する生徒の事に関しては普段とかけ離れて真摯な叔母の言であれば疑う余地もなかった。

 

そして、それは彼の本来の姿なのだろう。

 

これまで進を縛りつけていた様々な事が、自分や智花、そして夏陽と関わる事で一つ一つ解かれていって、兄の言葉が彼の一番奥に根差していた楔を引っこ抜いた。

それは新にしても同様で、美星の言葉が、進の姿が、バスケに対する姿勢が新を自分自身と向き合わせた。

 

そうした幾重にも絡んだ人と人の縁が、時に人を追いこみ、そして成長させる。

 

ならば、きっと―――誰もが、変わらずにはいられない。

戻ろうと進もうと、変わる事を拒む事は出来ないのだ。

 

だから、

 

「……水崎」

「何ですか?」

「今度の旅行、楽しもうな」

 

一瞬キョトンとして、ややあって浮かべた笑みを噛み締める様な緩やかな表情が、

 

「……ええ、まぁ調整代わりに有意義に利用させて貰いますよ」

 

昂には何時かと違って、年相応に幼く見えた。

 


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