ロリータ・コンプレックス   作:茶々

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キャスト
シンデレラ:湊 智花
継母:永塚 紗季
姉その一:三沢 真帆
姉その二:香椎 愛莉
魔法使い:袴田 ひなた
王子様:長谷川 昂
侍従その一:竹中 夏陽
ナレーション及び侍従その二:水崎 進
その他諸々:6年C組一同

*本作品はフィクションであり一般的な『シンデレラ』及び現実世界における個人、団体、企業とは一切関係ありません。
また本作品をご覧になった上での社会的、個人的損失の一切につきましては当方では責任を負いかねますので予めご了承頂きますようお願い申し上げます。

作中全個所においてグダグダ感がMaxな上原作及びオリジナルキャラの崩壊が激しいです。それでもよいという方はお進み下さい。よくないという方は注意してお進み下さい。どっちでもない方はとりあえずお進み下さい。





幕間
タイムアウト 慧心学園初等部6年C組劇場 題目『シンデレラ』


―――昔々という程昔でもないけど、別に19世紀とか20世紀とかに起きた話でもないので一応『昔々』という冠詞をつける程度には昔という前提でのお話です。

イギリスだがフランスだか知りませんが、まぁその辺りのヨーロッパ地方と思しき田園風景が判然と広がる光景をイメージすれば大体正解なある所に登場するのは物語の設定上日本ではないので当然お爺さんお婆さんではなく一人のお嬢さんでした。

 

「うんしょ……うんしょ……」

 

彼女の名前はシンデレラ。素材はいいのに纏っている服が何もかもを台無しにしている残念な少女……世間が五月蠅いので訂正、二十歳前後の女性と仮定して話を進めます。

見た目はどう見ても十五歳未満ですがまぁその辺りに突っ込んだら負けと考えて下さい。

 

…………つぅかタイトルが『6年C組劇場』なのに王子役も大概だよな。何でコーチが王子役なんだよ。竹中とかでよくないか?篁先生ー、やっぱこれおかしくないですかー?

 

「あ、あの……水崎君」

 

あ、失礼。

 

 

 

……コホン。

兎も角、そんなこんなでシンデレラは幸薄で可憐な『美』の冠詞が付く見た目少女な設定二十歳前後の女性なのです。誰が何と言おうと物語の進行上この点が改善される事はないので予めご了承ください。

 

シンデレラのお父さんは地元ではそこそこの地主的な立場の人ですが、シンデレラを生んだお母さんはシンデレラが小さい頃に亡くなってしまいました。お父さんは間もなく再婚しましたが、そのお母さんはお父さんよりお金持ちな家の未亡人で二人の娘がいました。

どうやってお父さんを垂らしこんだのかお父さんが逆玉を成功させたのか、その一切は物語の進行には何ら関係ないのでこの点も解明される事はないまま話は進んでいきます。

 

「シンデレラ!掃除は終わったのかしら?」

 

……えらく役にハマっているな焼却ゴミ信望者。もとい、継母。

 

「はぁっ!?だから、お好み焼きは関西風の方が優れているってあの後何度も!!」

「さ、紗季……お話が進まないから」

「はっ!?……お、おほん!それでシンデレラ?掃除は終わったのかしら?」

「は、はいっ」

「へぇ……これで?」

 

窓枠をつつぅっ、となぞって埃を目ざとく見つける継母もとい焼却ゴミ信者。

 

「……っ、も、もっとちゃんとなさいな!次は洗濯とゴミ出しと、他にもまだまだやることはあああるんだからね!?」

 

とかなんとか、一見すると負け犬の遠吠え的な言葉を吐き捨てて継母退場。ってうわっ!?こら何する止め「うっさいわね!?あんたのせいでしょうが!!大体お好み焼きはお手軽で誰でも出来る関西風の方が優れているって何度も何度も言ってるのにいい加減理解しなさいよ!?というかさっきからアンタのナレ適当過ぎるのよ!!ああもう台本貸しなさい!私がやるから!!」「ざっけんな!これなくなったら俺の役『侍従その二』とか適当な上に相当後半になんねぇと出てこねぇんだぞ!?ええいくそっ!その手を離しやがれ焼却ゴミの分際で小生意気な!!」「何ですってぇ!?大体聞いていればさっきから焼却ゴミ焼却ゴミってアンタは!!」

 

 

 

「え、えっと……進めていいのかな……?」

 

―――暫くお待ちください。

 

 

 

 

 

 

「ああ楽しみ!今夜のぶどーかいでは王子様と踊れるのかしら?」

 

……舞踏会、よ。ちゃんと台本読んでおきなさいよ真帆。大体真帆にお嬢様っぽい喋り方っておかしくないかしら?

 

コホン。

シンデレラの継母の連れ子である二人の娘はシンデレラの姉として、毎日の様にシンデレラを小間使いの様にいびり倒していました。

 

「い、いびりっ!?そ、そんな事出来ないよぅ……」

「ダメだぞアイリーン、頑張んないとすばるんとダンスが出来なくなっちゃうじゃないか」

「ぅ、そ、それはそうだけどぉ……」

 

……ほら二人とも、早くしなさいよ。

 

「あ、あぅっ!?……し、シンデレラ!食器洗いは終わったのかしら!?」

「そーだぞもっかん、それが終わったら炊事も待ってるんだぞ!花嫁修業の道はけわしーんだ!!」

 

真帆!台詞中途半端にしか覚えていないからってアドリブみたいに適当な事言ってんじゃないわよっ!というか呼び方!

 

「えっ?あ、うー、えっと……シンデレラ、あー、そう!こんやわたしたちはぶどーかいでおうじさまとだんすにいくから……えー……あなたは一人で、そ……そー……え?そうじ?えっと、掃除でもしていなさいな」

「えっと……そ、そうですわ。お、おーっほっほっほっほ」

 

……愛莉?

 

「ひぅっ!?お、おーっほっほっほっほっ!?」

 

「……役者に圧力かけるナレーションとか前代未聞だなオイ」外野、うっさい。

 

 

 

 

 

「はぁ……お姉さま達は今頃、お城の舞踏会かぁ…………」

 

シンデレラは床を磨きながら、一人空を見つめました。

空には悲しく浮かぶ月が一つ、シンデレラを淡く照らしてその姿を幻想的に、儚げに映して…………嗚呼、何と言う事でしょうか!幼くして母を亡くし、不遇の中でも健気に心根を保ち続けた気高いシンデレラ!!だというのに天は!神は!!彼女を見捨てようというのでしょうか!?その様な事が、許されるとでもいうのでしょうか!?「えらい熱の入れようだな」「というか紗季、ナレーションが興奮してどうする……」「紗季は熱中すると周りが見えなくなるからなー」嗚呼可哀そうなシンデレラ!彼女はこのまま小間使いの様にこき使われて一生を終えてしまうのでしょうか!?嗚呼、嗚呼!!「……ん?そういえば袴田は?」「えっ?次ヒナの番だっけ?」「そうだよっ!あれ!?ひなちゃんは?」「って事は今までの全部紗季のアドリブかよ!?やべぇひなたは何処行った!?早く探せ!」……嗚呼!シンデレラ!どうか、どうか彼女に救いの手を差し伸べてくれる人は現れないのでしょうか!?「やべ、永塚のフォローがそろそろ限界だ」「てかホントにヒナは何処行った!?次ヒナの番だよ!」「ってあぁっ!あそこっ!!」

 

照明係!!ライトそっちじゃない!あっち!!

 

「おー、呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーん」

 

…………「ヒナ、流石にそれは古いんじゃないか?」「……ひなちゃん」「どうしたの竹中?ねぇ何で前かがみになってるの?ねぇ何で鼻を抑えているの?ねぇ、ねぇってば」「い、いや……ふ、深い意味は、ないぞ?」嗚呼何と言う事でしょうか!?健気なシンデレラの心根に応えて、見目麗しき魔女が彼女の前に現れました!!手には星程に眩い輝きを放つ杖を持ち、漆黒のローブから覗く白磁の肌と深く澄んだ瞳は妖しくも美しく、その姿は正に、天から舞い降りた天使!!「設定は魔法使いだけどな」「ひ、ひなちゃん……流石に裾が短くないかな?」「そぉか?この方がすばるんも喜ぶだろ」「ふぇっ!?」「なぁっ!?」

 

「あ、貴方は……?」

「おー、ひなはよい魔法使いです。だからあなたのがんばりをたたえて、ごほうびをあげます」

 

「……自称よい魔法使いって怪しすぎないか?お客さん疑問符だぞ?」「ていうかひなちゃん、台詞が殆ど違うんだけど……」「い、いいんじゃないか?俺はいいと思うぞ?」「ん?なんで夏陽前かがみになってんだ?何で鼻抑えてんだ?なぁ何で?何でだよ?」「う、うっせぇよばーかっ!」「んだとっ!?誰がバカだバカヤロー!!」ちょっと!いい加減裏方で暴れるの止めなさいよ!!

 

「……ご、ご褒美ですか?」

「おー、しゃらーん」

 

―――暫くお待ちください。

 

「……ぶー、もー一回。しゃらーん」

 

―――暫くお待ちください。

 

「ぶー!ちちんぷいぷい!ひらけーゴマ!アブラカタブラ!てくまくまやこん!びびでばびでぶー!」

「……さ、紗季!早く続き!続き!!」

 

えっ!?ご、ゴメンッ!今直ぐ二人を黙らせるからっ!!

 

―――ゴンッ!!ゴンッ!!

 

……コホン。

魔法使いが魔法の言葉を唱えるとあら不思議!たちまちシンデレラが光に包まれて、気が付くとその服は見る者を魅了する美しいドレスに!「……おい、あれおかしくないか?」え?

 

「……ふぇ?ふぇぇぇえぇえぇええぇえぇぇぇぇええぇっ!?」

 

ちょ、何でメイド服なの!?ドレスは!?衣装係!どうなってんのよ!?ちょ―――「っておい永塚!ナレ!!ナレすっぽかして行くな!!オイ!」

 

「な、何でメイド服!?ひ、ひなっ!?」

「おー、これでお兄ちゃんのハートもゲットだぜ」

「違うからねっ!?これ絶対違うからねっ!?そもそも昂さんはメイド服が好きとかそういった設定は一切ないからねっ!?これ舞踏会用の服じゃないからねっ!?」

「ぶー、ダメ?(キラキラ)」

「ふぇっ!?そ、その……だ、駄目って訳じゃないんだけど、でも流石にこれは……」

「じゃあこっちにします。しゃらーん」

 

「真帆!!アンタね元凶は!!」「えー、だってあっちの方が絶対すばるん喜ぶって」「いいからドレス!!さっさと出しなさいよ!!」「……なぁ三沢、参考までに聞くけど」「んぁ?」「まさかアレ以外に何か用意したのか?」「えーっと、確か……」

 

「す、スク水エプロン!?だ、駄目ッ!!これは絶対駄目ッ!」

「ぶー、じゃあ次。しゃらーん」

「ば、バニーさん!?む、無理無理ムリってあぁ前が捲れちゃう!!別のにしてっ!」

「ぶー、じゃあ次。しゃらーん」

「……何でセーラー服?」

「しゃらーん」

「あ、着物……これならまだ」

「しゃらーん」

「って何で替えるの!?しかも裸ワイシャツ!?……あ、昂さんの匂い」

「しゃらーん♪」

 

「……永塚、そろそろ三沢の頭が原型留めてないからタンコブ山築くの止めてさっさとドレス出させろ。何か袴田が「しゃらーん」にハマり始めて劇が湊の一人ドレスアップコンテストになってる」「ハァッ……!ハァッ……!さ、さぁ……!さっさとドレスを出しなさい!さぁさぁさぁっ!!」

 

「しゃらーん」

「あ……やっとドレスに」

「しゃらー―――」

「もう駄目ぇっ!?」

 

おぉっとシンデレラ!華麗なスティールで見事魔法使いの杖を奪取!!流石はシンデレラ!凄いぞシンデレラ!「杖がないと魔法使いは魔法が使えない、か。まぁありきたりな設定ではあるな」「…………しゃらーん。ふ……フヘヘ」「……そ、そろそろ進めないと不味いんじゃないかなぁ?」

 

―――暫くお待ちください。

 

 

 

 

 

 

……えー、コホン。

そんなこんなをしている内に魔法使いに汚い服をドレスに変えて貰い、次いでに今晩スープにしようとしていたかぼちゃを馬車に変えて貰ったシンデレラは舞踏会の開かれているお城へと向かいました。

 

「おーじさまの、おなーりー」

「……竹中、大根過ぎ」

「うっせ。ったく、何でアイツが王子様役なんだよ、大体これ6-Cの劇じゃねぇのかよ……」

「あ、アハハ……」

 

現在進行形で苦笑いを浮かべながら居心地悪そうにちびっ子オンリーで構成された舞踏会の客をモーゼの様に割って歩くのは我らが王子様であーる。年齢的にギリギリアウトな女バスのコーチは世を忍ぶ仮の姿、しかしてその正体は国を上げてお嫁さんを探して貰える程に超が七つくらい付くスーパーなリッチマンなのであーる。

……まぁ身長云々を言いだしたらどっかの次女が泣きそうなので割愛するが、兎も角王子様は現在お嫁さんを募集中なのであーる。

 

「……なぁ水崎、その語尾何とかなんないか?」

「これが私の口癖なのでありますなのであーる。だから侍従その二は語尾に常に「あーる」をつけないといけないのでありますなのであーる」

「お前の適当っぷりも大概だよな……」

「おーい!すーばーるーんっ!!」

「真帆!アンタはいい加減にしなさいよっ!」

「あはは……」

 

……コホン。兎も角、王子様はお嫁さん探しの為に舞踏会を開き、国中の女性達が我こそが玉の輿に乗ってやろうと息まいて舞踏会に乗り込みますが、そうした奴は大概厚化粧で似合いもしないドレスを着飾って上辺を飾る醜い連中な上、気合いの入り過ぎで香料がやたら厭味ったらしく臭いので王子様は相手にもしませんでした。

そんな連中を蠅を追い払う様に追っ払った……ほらいい加減三沢離れて!えーっと、兎も角王子様は、一人でお城の裏側にあるテラスを訪れました。

 

「ハァ……今夜も私の結婚相手となる女性は現れなかったか」

 

……上から目線の上にロリコン確定とか人間として終わってますね、コーチ。

 

「じゃあ水崎とか竹中がやればよかっただろ?何で俺なんだよ」

 

篁先生の推薦。

 

「…………ミホ姉」

 

ほら、湊早く早く。

 

「は、はいっ……え、えっと……アレ?どうするんだっけ」

 

そこの噴水の影からコーチを覗くんだよ。ねぶる様に、ストーカーの様に。

 

「わ、分かった……!よしっ……ジーーーーーー」

「……水崎」

 

ほらコーチも。いい加減尺がなくなってきたんだからチャキチャキお願いしますよ。

 

「……ハァ。んと…………おや?そこにいるのは何方ですか?」

「は、はひっ!?」

 

この後王子様は見ず知らずの少女もとい女性に一目惚れして噴水をバックにダンスを踊りテラスでいい雰囲気になりますが十二時の鐘がなって魔法が消えてしまう前に設定二十歳のシンデレラは慌てて姿を消しますが去り際に落ちたバッシュを手掛かりに王子様は女性を探す決意をするのでしたはい終わり!!

 

「ってえぇっ!?ダンスシーンとか全部カット!?」

「というか落としたのバッシュだったのっ!?普通ガラスの靴じゃないのっ!?」

 

知るか!!どっかの誰かがこれ以上は世の中的に不味いからって全部カットしたんだよ!察せそれぐらい!!

 

 

 

 

 

 

はい時間飛んで次の日!王子様ご一行が国中の女性の中にバッシュを履かせて昨夜の女性を探すフリをしつつそのおみ足を舐める様に見つめて興奮するという特殊な性癖を暴露しているシーン!ほらみんな適当に履きたいけど履けないフリ!足は半分くらい入れるか入らないフリすればいいからほら行って行って帰る!!こらそこの男子!お前らは行かなくていいからっ!そこら辺で見物人やっとけ!!

 

「俺にそんな性癖はない!」

「おーじさまあなたの性癖はどーでもいいのでこちらの家が最後ですからさっさと行きましょう」

「竹中もせめて弁解を手伝ってくれぇっ!?」

 

はい三人もぶかぶか、ぶかぶか、入らないで終わり!次湊、はいピッタリ大正解!!ほら尺ないんだからさっさと退場!コーチは湊をお姫様だっこで次の台詞!

 

「ちょっと水崎!!いい加減適当なナレ止めなさいよ!」

「そーだぞっ!だいたいアタシとすばるんのダンスシーンはどこいったーっ!?」

「ふぇえ……私だけ入らないよぉ……」

「ああくそっ!おぉ貴方が昨夜の御方でしたか!?どうか私と結婚して下さい!」

「は、はひっ!わわわた私も貴方のお嫁さんになりたいですっ!?あぅ……昂さんにこんな事……恥ずかしいよぉ…………」

 

こうして見事玉の輿に乗ったシンデレラは王子様とキャッキャウフフなお気楽ライフを送りながら幸せに暮らしましたとさはい終わり!袴田!

 

「おー、めでたしめでたし。チャンチャン♪」

 

「「「「ちっともめでたくなーいっ!!??」」」」

 


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