今回は検証回。ブルーフレームの真の力が明らかに!?
謹慎中の紅也が地下特別区画に連れていかれ、自身の本心と向き合ってから数時間後、昼休み。彼を除いた専用機持ちたちは昼食がてら食堂に集合し、昨日の戦いについて会話を交わしていた。もちろん、機密扱いとなった束がらみのあれこれは抜きにするくらいの分別はある。
なお、数少ない専用機持ち達が一堂に会していれば注目の的となることは避けられないものの、周囲は黛薫子をはじめとした新聞部の面々ががっちりと固めているため、話の内容が漏れることはないだろう。そのへんまだまだ甘いわねー、とは生徒会長のおねーさんの談である。
「FALKENのときからわかってたけどさあ……各国の最新技術、ちょっと盗まれ過ぎてない?……ちょっと葵、なんで目線を逸らすのよ」
「……ストライカーパックはGATシリーズの最後の一機、『ストライク』の装備。盗まれた他のGATシリーズの中にデータが入っていても、不思議じゃない……」
「データにないストライカーもいくつかあったね。お爺さん――ダンテの黒いストライカーと、エールの亜種のような水色ストライカー、それからバスターと同じ装備のストライカーと、大筒のストライカー」
「いや、あの黒いのは、N.G.Iで制作中だった新造ストライカーと同じだって、女狐が言ってた」
「女狐、ですの?」
「……それは、ともかく……アメリカには、まだ……亡国機業のスパイ、が……いるの?」
「アメリカだけではないだろう。おそらくは、世界中に奴らの手先がいるはずだ」
「もしかして、国連にもいるってのか?それじゃ、最悪IS学園が敵に回るってことかよ!」
「落ちつけ、一夏。そんなことができるのなら、とっくにやっているはずだ」
「何よ箒、あんたにしては冷静じゃない」
「……最悪、『例のあの人』に頼ればいい」
「『名前を言ってはいけないあの人』ですの!?いけませんわ箒さん、闇の勢力に魂を売っては!」
「ねえ、セシリアは何の話をしてるのさ?」
「……昔、流行した本の登場人物の、話……だと、思う」
まあ女子3人集まれば姦しいというが、ここに集っているのは3人どころではないので脱線必至。襲撃よりもむしろその後の束の出現に驚いた彼らは、幸か不幸か、事件について比較的冷静に語ることができるようになっていたが故のカオスである。
「……コホン、失礼いたしました。ともかく、わたくし達がすべきことは――」
「個々のスキルアップね!」
「ちょっと、鈴さん!私の話を遮らないでくださいません!?」
「俺みたいに、機体そのものを強化してもらう、っていうのはどうだ?」
「そういえば姉……ッフン!『あの人』が『白式』に使ったシステムを『白式弐式』にも追加したのだったな。慣らしはまだだろう?」
「それなら私も……改めてブルーフレームの単一仕様能力を検証したい。状況を再現したいんだけど、箒……付き合ってくれる?」
「ふむ……キマシタワー?」
「ちょっと!ラウラに変な言葉を教えたのは誰?」
「また、脱線……。……機体の改良なら、開発者に頼むのが一番。……閃いた」
「簪!アンタは自分の欲望を優先しない!」
「欲望って?」
「一夏には関係ないから気にするな。では放課後、第一アリーナあたりを押さえるとしよう。昨日の騒ぎのあと、すぐに使用する人は少ないだろう」
箒の鶴の一声で、今日の方針は決定した。
だいぶ広い視野を持つようになった彼女だが、その有能さを思い人の前で発揮する機会に恵まれないあたり、残念な少女である。
◆
箒の予想と異なり、アリーナには先客がいた。生徒会長、更識楯無である。
「じゃあ、今日からビシビシ特訓するわよ!」
「楯無さん……あなた、どこにでも現れますね」
「当然よ、生徒会長だもの」
IS学園の生徒会長に要求される能力は、人外の域に達しているようだった。
「真面目な話、相手はどこでも監視できるナノマシンを散布しているんでしょう?その点、この第一アリーナは協力者の手によって除菌済み。できる限りの防諜もしているから、秘密特訓には最適なのよ」
「う……流石は楯無先輩……」
「激落ち」扇子を持った楯無が語ったように、この第一アリーナは生徒会の手によって向こう一カ月ほど貸し切られていた。すべては狙われる可能性が高い(と思われている)一夏と箒を鍛え、かつ一人にしないためである。
「これから放課後はなるべくここに集合しましょう!敵の目的が何かはまだわからないけれど、大抵のことは強ければどうにかなるのよ」
「……お姉ちゃん、脳筋……」
「ともかく、まずは〈オーバーリミット〉の検証だ!葵、準備はいいか?」
「大丈夫。……行くわよ!」
アリーナの中央で展開された『ブルーフレームセカンドK』の胸に、蛇の紋章が燦然と輝く。単一仕様能力である〈オーバーリミット〉が発動した証だ。
「その状態で動いてみろ。どうだ?」
「変わらないわ!普段の発動時と同じ!全てが止まって見える」
「そうか……じゃ、箒」
「うむ、〈絢爛舞踏〉!」
次いで『紅椿』が黄金色の光を纏い、ブルーフレームへと手を伸ばす。すると絢爛舞踏の輝きは腕を伝い、ブルーフレームへと吸収されたが……期待していたような変化は無い。胸に輝く紋章は、依然として「1」と刻まれている。
「ただ触れただけではダメか」
「まあ、予想の範囲だぜ。葵、今度はあの時と同じ気持ちになって、やってみてくれ」
「あの時と……?」
紅也の言葉を受け、葵は前日の事件の最終局面を回想する。
そう、あのときは冷静さを失って、一度箒に頭を冷やされて、紅也の援護に向かうと告げた彼女に、感謝と祈りを……。
「……貴方に、力を……」
「こんなときにネタに走るなっ!」
「あ、成功しましたわ」
「嘘っ!?」
鈴とセシリアのコントを尻目に、力の譲渡はあっさりと成功した。翠の光に包まれた紅椿の胸部には、今しがたブルーフレームに宿っていた蛇の紋章が堂々と存在を主張していた。
「……そんなに見られていると、恥ずかしいのだが!?」
「おっと、スマン。これで能力の譲渡がブルーフレームの能力ってことが確定したな。……紅椿の能力じゃなくてよかったぜ」
「想像するしかないけど、虎の子の単一仕様能力を戦闘中に取られるとか、もう反則だろうからね」
単一仕様能力という現象そのものは、千冬の暮桜を始め十数機のISで確認されているものの、不明な獲得条件と希少性から秘匿されたり、切り札として運用されることが多い。もし絢爛舞踏にそのような力があるとすれば、各国のエースに対する文字通りのジョーカーとなる。
「じゃあ次は……ありゃ、もう発動したか」
「うん……」
紅也が再度の発動を促す前に、葵は能力の起動を終えていた。再び光を纏ったブルーフレームの胸に着いたマークは、蛇と数字の2。とりあえず、襲撃時と同じ状況が再現できることははっきりした。
「じゃあ今度は能力を解除してくれ」
「ん」
消えたのは、ブルーフレームの光のみ。紅椿には変わらず、蛇の紋章が宿り続けていた。
「箒、それ、自分の意思でどうにかできるか?」
「やってみる!……おっと、間違えた」
オーバーリミットを切ろうとした箒だったが、切れたのは絢爛舞踏の方だった。そもそも、ただでさえ
「むっ、エネルギーが減っている……けっこう早いな」
「ふむ……予想はしていたが、能力のコストはオーバーリミット適応中のISが払うことになるのだな」
「……紅椿の消費量、普段私が能力を使うときと同じくらい」
「なるほど、絢爛舞踏発動中はエネルギーが供給されているから、気付かなかったな。では改めて」
今度こそ蛇の紋章が消えた。
「よし、葵!オーバーリミット発動!」
「……できた」
「解除したら、最初から2番の方が使えるか、試してくれるか?」
「それも……オッケー。できるみたい」
「あ、ちょっと待って葵ちゃん。2番の能力も譲渡できるのかしら?あ、箒ちゃん、絢爛舞踏は無しよ」
「心得た」
楯無も気になることがあったのか、葵に指示を出す。再び葵と箒が手を取ると、紅椿の胸に2番の蛇の紋章が宿った。
「これは……エネルギー消費は少ないが、感覚の変化は無いぞ?一体、この能力の効果は何なんだ?」
「え?おかしいわね、私が使ったときは――」
「能力の検証は後よ。最後に、そのままブルーフレームを解除してくれない?」
ブルーフレームが粒子と共に空間に溶けるのと同時に、紅椿に宿った紋章も消滅した。どうやら本体が収納されると能力が消える、という原則は通常の単一仕様能力と同様らしい。
「最後は更識先輩に持っていかれちまったが、大体のことはわかったぜ」
「うん……。①1番、2番のどちらの能力も譲渡可能、②譲渡した能力は起動できない、③譲渡された能力は対象のISのエネルギーを使って発動する、④ブルーフレームが機能停止すると譲渡された能力も消える、この四つが……原則」
「簪って、こんなに長くしゃべれるんだな」
「……一夏、茶々入れないで」
「はいっ、すみません」
「あんたたち、いつの間に上下関係ができたのよ。それはともかく、オーバーリミットの本質は、機体性能の向上じゃなくて、チーム戦でこそ輝く力ってわけね」
「成程……葵は単独での戦闘が多いからな、気付かなかったぞ」
「そう考えると、通信能力とか空間把握能力を上げるような、指揮官向けの能力もありそうじゃない?葵ちゃん、他の数字は出せるかしら?」
「感覚的には、まだ先がありそう……。でも、ダメ。イメージできない」
「イメージ・インターフェース、第三世代機の限界ですわね」
「そもそも、まだ2番目の力の詳細もわからないんだよね」
これまでの実験をヒントに、能力の本質が明らかになったブルーフレームであったが、肝心の内容についてはまだ不明瞭だった。
「確認も込めて聞くが、オーバーリミットの……いや、そうだな、1番目の能力の効果はわかっているのか?」
「ラウラも知ってるでしょ……エネルギーを消費して、機体性能の向上、思考力の加速。それから、集中が高まると周りがスローに見えてきたりするし、その中でも通常速度で動ける」
「実際一度、デルタの本気の加速について来たからなぁ。シンプルゆえに強い、って感じだぜ」
ただ殺す、とかそんな口上が似合いそう、などと呆ける紅也は無視し。
「2番の方は、うーん……次にどうすればいいのかわかる、というか感覚――直感が鋭くなったような感じ。単純に強くなるのとは、何か違う」
「まさか、未来予知とか!?」
「予知、というほどはっきりしない……たまに簪がやってるゲームみたいに、複数の選択肢がパッと出てくるみたいな――モガッ」
「ちょ、ま、葵!イキナリ何を言ってるの!」
にわかに騒がしくなる乙女たちを尻目に、うじゃうじゃ殺す感じかな?などと勝手に納得した紅也は、パンッ!と拍手を打ち、場の注目を集めた。
「なんにせよ、あやふやなままじゃいざって時に困るからな。検証再開といこうか」
「賛成!絶対、賛成!ほら、葵……ISを、展開して。私、が……相手をする」
唐突に隠れた趣味を暴露された簪は、かつてないほどの気力を漲らせて「打鉄弐式」を展開し、アリーナの中央に立った。
「そういうことなら……はい」
一方の葵はというと、ブルーフレームを展開すると無防備に簪に歩み寄り、右手を差し出す。勝負の前の握手に困惑した簪は、それでも反射的に片手を差し出し――その瞬間、胸に宿った蛇の紋章に気付いた。
「葵、これは……?」
「……ハンデ?」
「ナメ、るな!」
近接戦闘では不利と知っている簪は即座に飛びのき、ミサイルを無誘導でバラ巻いた。それをある程度予想していた葵は地を蹴り、高度を上げるが、まるで待ち受けるかのようにばら撒かれていた速射荷電粒子弾の雨を受け、装甲を削られた。
「不意打ちとはいえ、あの葵に当てただと!?」
「当てた、というより読み切ったみたいね。さすが私の妹」
「思考力の加速……普段も考えながら戦っている簪さんとは、相性バツグンのようですわね」
「それだけじゃねえな。『クリムゾン』は、ある意味葵に対するメタみたいなもんだ」
「打鉄弐式」の動作を向上させるため、特に誘導システムが不完全だった〈山嵐〉をサポートするために紅也が組み込んだ戦闘支援AI『クリムゾン』。そこに入力された敵機機動予測データの大本は紅也と葵の模擬戦データであり、人格データは葵自身を参考に造っている。だからこそ、奇しくも先日のダンテVS葵のように、葵の癖を読んで攻撃することができるようになっていた。
なお余談だが、『クリムゾン』は完成直後に葵にボコボコにされたことをしっかりと記憶しており、再戦に向けて戦闘パターンを何通りも用意していたりする。負けず嫌いなところもまた、元となった少女とそっくりなのだった。
「なかなかやる……ッ!」
「甘い!」
ビームライフルから放たれた一射は外れ、直後に先程よりも出力の高い一撃がビームライフルを正確に射抜いた。溜めこんでいたエネルギーが融爆し生じた爆風をシールドで防いだブルーフレームだったが、その盾を貫通してさらにもう一射。出力を自在に調節できる荷電粒子砲〈春雷〉にかかれば、連射から貫通弾、照射まで変幻自在の攻撃が可能なのだ。
「げっ、アンチビームコーティングシールドを抜けるのかよ……強化しすぎたか」
「簪のやつ、速いわね」
「たぶん、銃口を見てから避けてると思うんだけど、それも打鉄弐式の機動性があってこそだね」
「むう……センサーが追いきれん。移動前の位置に機体があると誤認しているようだ」
「まるで、質量のある残像ね。やっぱり単一仕様能力はズルいわー」
「とはいえ、葵のエネルギーはまだ無傷だ。でも、簪は」
「ああ。オーバーリミットの発動に、あれだけの連射。長くは持たないぞ」
ブルーフレームはシールドを投げたが、既にその場に簪はいない。すぐにスラスターを吹かした葵だったが、移動先にミサイルが殺到する。そして、それを避けようとすれば、おそらく荷電粒子砲の餌食となるのだろう。
ならば――と彼女は、単一仕様能力を使用する。第二の能力が発動したことをきっかけに、葵の動きが目に見えて変わった。
『データにない動きです、マスター』
「飛翔形態で離脱するよ!」
弾幕の中に突っ込み、タクティカルアームズからガトリング弾をバラ撒いて強引に進路を開いた葵。普段の、極力被弾を避けるスタイルからは想像できない動きを見た簪は、追撃ではなく離脱を選択。機体を変形させると、緑の尾を引く流星と化した。
『マスター、前!』
「ッ、流石!」
しかし葵もさるもの、ミサイルの爆風を割くように放ったビームガトリングは簪の進路上に弾幕を張り、彼女の動きを制限する。しかし普段よりも機動力、思考力が一段階上がっている簪は、弾幕をものともせずにひらひらと機体を操作し、最小限の被害でそれを切りぬけてみせた。
直後、クリムゾンがブルーフレームの居場所をつかんだ。どうやらタクティカルアームズを射撃形態で自律稼働させ、本体はナイフを持って強襲をかけるつもりだったようだ。
普段の簪であれば通ったであろう、回避した場合のルート上に出現したブルーフレームの奇襲は失敗。盾を失い無防備な機体に向け、〈春雷〉が火を噴いた。
「やった……!」
『まだです、マスター』
確かに攻撃は直撃したが、葵はブルーフレームの装備の一つ、フルアーマーフェイズシフトを展開し攻撃を防ぐと同時に、カウンターでレーザーを発射。攻撃を受けながら反撃できるというこの武装の利点を最大限に生かしたこの一撃は、打鉄弐式から〈春雷〉を一門奪い取ることに成功した。
至近距離で発生した爆発で簪が機体の制御を手放した一瞬を見極めた葵は、FAPSをブースター形態に変形させ、瞬時加速で勝負を決めに行く。
だが、簪は一人で戦っているわけではない。『クリムゾン』の自己判断で残った〈春雷〉が唸りを上げ、最大出力の荷電粒子砲が放たれた。
「くっ……でも!」
両肩のスラスターを使い、バレルロールのような軌道でそれを避けようとした葵だったが、想定以上の出力の一撃で装甲が融解し、右腕および右肩のスラスターに深刻なダメージが残った。
ピンチを脱した簪も無事とは言い難い。今の砲撃で〈オーバーリミット〉の維持が困難になったのか、翠の光がかき消えた。
その瞬間――
「あっ、やっぱり……」
葵がつぶやくと同時に、ブルーフレームに浮かび上がっていた紋章もまた消失していた。
「葵の紋章も消えたぞ?」
「ああ。解除したにしては、タイミングが妙だぜ」
「それにしても、簪さん、このままでは勝ってしまうのではなくて?」
「いや、そう上手くはいかないみたいね」
直前まで有利に戦闘を運んでいた簪だったが、オーバーリミット終了に伴う出力ダウンに対応できず、旋回中にバランスを崩してしまった。
慌ててIS形態に変形し、姿勢制御する簪だったが――
『あっ』
その場にタクティカルアームズが飛来。わずかに剣先を開いた大剣は簪の細い胴を挟むように接近し、そのまま無防備な部分にガトリングを放った。
◆
「で、2番の能力はわかったか?」
「うん……多分、『格上との戦いで発動する、戦闘補助』ってことであってると思う」
盛り上がった癖に割とあっけなく決着がついた模擬戦の末、ブルーフレームの能力がわかってきた。
「だからこそ、〈オーバーリミット〉発動中の「打鉄弐式」に対しては発動し、能力が切れたときに〈2番の能力〉も止まったのだな」
「なるほどね。自分より強い相手を倒すための力……さしずめ〈英雄殺し〉ってところかしら」
「……それ、いい。採用」
楯無の何気ない一言により、この2番の能力は〈英雄殺し〉と名付けられた。
「〈オーバーリミット〉との使い分けは、状況次第だな。どっちの補正の方が大きいか、とかはまだはっきりわからないし」
「個人的な感想だと、動きや癖が読まれたときは〈英雄殺し〉の方が使えそう」
「見てる限りだと、〈英雄殺し〉の発動中は、ヒヤヒヤする戦法が多かったよ……」
「確かに、捨て身のような戦い方だったな。注意した方がいいかもしれん」
「……確かに。まだまだ練習が必要」
〈オーバーリミット〉のときは紙一重でかわし、敵の懐に飛び込むような戦い方が多いブルーフレームだったが、〈英雄殺し〉の場合は多少のダメージを覚悟の上で敵の意表を突くようなシーンが度々あった。どちらも一長一短と言えるため、今後運用するには適切な判断力を養う必要があるだろう。
「で、難しい話はここまでにして。葵、元々のブルーフレームの単一仕様能力――〈オーバーリミット〉と〈英雄殺し〉を発動する能力の名前はどうすんの?どっちもオーバーリミットじゃ、不便でしょ?」
「それは――もう、決めてある」
鈴の問いかけに対し、葵は既に答えを持っているようだった。固唾を飲んで見守る一同の視線を受けた彼女は少しばかりもじもじと、だがはっきりと、口に出した。
「蛇の紋章から取って――〈サーペントテール〉っていうのは、どう?」
と、いうわけで、ブルーフレームのワンオフアビリティーの真価は「チーム戦」にこそあったのだ!英雄殺しの元ネタは、当然ナンバー2のあの人です。ということは、残りの能力も……?