ISVD〜Infinite Stratos Verdict Day〜   作:高二病真っ盛り

7 / 88
誰でもいいからサブタイトルを考えるセンスをください。


02ー03 狂笑、部屋に響き

昼休み 食堂

SIDE:一夏

「悪い、待たせたな」

「…遅い。何をしに行ってた?」

 

食券でチキン南蛮定食を購入し、箒が取ってくれた席に着く。

生徒会長との話が思ったより長くなってしまったらしく、箒は苛立っていた。

 

「ゴメン、財布を忘れててさ」

「…それにしては長かったな」

「まさか机の中だとは思わなくってさぁ アハハ」

「フン、まぁいい」

 

割り箸を割り、ごはんを頬張る。

女子用の定食は男子にはいささか物足りない。例え、食堂のおばちゃんの厚意で特盛りになっててもだ。

 

「まったく、口を開けば姉さん姉さんと、私は姉さんの付属品ではない!」

 

デザートの一口ゼリーを口に放り込みながら箒が愚痴る。

どうやらご立腹の理由は俺だけではないらしい。

 

「ほひふへほふひ(落ち着け箒)」

「お前は飲み込め」

 

ごもっともです。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

放課後 一年一組

SIDE:一夏

「ああ、織斑君。まだ教室にいたんですね。よかったです」

 

授業が終わり、今日の復習用の教材を鞄に詰めていると山田先生に呼びかけられる。

 

なんだろうか?

 

山田先生の手にある紙とキーで察しはつくが。

 

「えっとですね、寮の部屋が決まりました」

「ああ、ありがとうございます。で、俺は何号室ですか?」

 

山田先生から紙とキーを貰う。

キーには『No.1025』とあった。

 

「お、驚かないんですね」

「はい、予測はしてましたから。ところで山田先生」

「はい?」

 

山田先生が俺を見上げる。やっぱちっちゃいなこの人。

 

「一度帰っていいですか?荷物を持ってこないとー「荷物なら今頃お前の部屋の中だろう」…織斑先生、勝手に人の荷物を持ってこないでくださいよ」

「よく言う。トランクケースは運びやすいように玄関に置いてあったし、ご丁寧に『いちかのにもつ』と書いた紙が貼ってあったぞ」

 

てへぺろ♪

 

「じゃあ、時間を見て部屋に行ってくださいね」

「風呂は部屋のを使え、大浴場はまだ使えん」

「はーい」

 

生徒会に挨拶してから行くか。

 

 

放課後 IS学園寮1025号室

SIDE:箒

ザァァァァ

剣道部で出した汗をシャワーで流す。部活棟にもシャワーはあるが、どうにもあっちだと落ち着かない。

 

(一夏……)

 

脳裏に六年ぶりの再会となる幼なじみの顔が浮かぶ。

 

姉さんの妹ということでIS学園に強制入学だった私にとって「世界初の男性IS操縦者 織斑一夏」というニュースは朗報に他ならなかった。

 

同じクラスとわかった時は飛び跳ねたいほど嬉しかった。

 

再会した時も、すぐに自分だと分かってくれた。それにーー

 

『こんな別嬪(べっぴん)さんになってるなんて』

 

「〜〜っ!」

 

思わず顔が赤くなる。少々シャワーを浴び過ぎたようだ、決して照れているわけではない。

のぼせる前に早く出なければ。

 

バスタオルを巻いて部屋に出る。その時、ガチャリとドアが鳴った。

 

(同室の者か?)

 

だとしたら挨拶をしなければ、勝手にシャワーを先に使ってしまった非も詫びるべきだろう。

 

「同室の者か?すまない、勝手だが先にシャワーを使っていた。私は篠ノ之ーー」

「…箒?」

 

入口にいたのは今日再会を果たした幼なじみだった。

 

「…ゴメンナサイ」

 

そう言い、幼なじみは静かにドアを閉めた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

夜 IS学園寮1025号室

SIDE:一夏

「すまない、ちょっと出かける」

「うん」

 

どういうわけか知らないが、箒が部屋を出る。それを確認しながらページをめくる。

文字を覚えるために始めた読書だが、今ではすっかり本の虜だ。

 

あの後、俺は着替えた箒に謝罪をして、彼女もそれを了承してくれた。

その後、ベッドの割り振りや風呂の使用時間などを取り決め、他愛もない会話をしていた。

 

だが、さっきの会話以降、箒はずっと怒っている。

 

『剣道を辞めた⁉︎どういうことだ一夏‼︎』

 

『ゴ、ゴメン箒。ちょっといろいろあってさ』

 

『いろいろとは何だ!』

 

『いろいろは…その…いろいろだよ』

 

『〜っ!ならいい。今すぐ剣道部に入れ!鍛え直す!』

 

『ゴメン。勉強と生徒会があるから…』

 

『なぜ生徒会には入った⁈』

 

『自分の身を守るためだよ!』

 

『もういい!、フン!』

 

うん怒って当然だな。箒の質問には全然答えてないし。

いつか箒にも話さないといけないな、俺を数年間を。

 

(まずは身を落ち着けないとな…)

 

生徒会に所属することで、学園での立場は出来た。

可能なら立場が保証されているこの三年間の間にファットマンの元に行く方法を見つけたい。だが日本政府の監視下でそれをするのは骨が折れることだろう。

 

そのためにも休息はしっかり取らなければ、そう思い本を閉じベッドに入ろうとした時だった。

 

『ハハハッ 見てたよ傭兵!それとも”イチカ”かな? ま、どっちでもいいよね!ギャハハハッ』

「っ!鳥野郎⁉︎」

 

右腕のACから声が発せられる。

評決の日(ヴァーディクトデイ)にて戦った鳥のようで悪魔のような特殊兵器”EXUSIA(エクスシア)”の声が。

 

「なんで…なんでテメエが…」

『アハハハッ アーハハハハハ‼︎』

 

狂笑が、部屋に響き渡る――――




感想欄に時々出てきたあの方の登場です。

(実は前回登場予定だった)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。