ISVD〜Infinite Stratos Verdict Day〜 作:高二病真っ盛り
まぁ今でもマドカの口調とかよくわかってないけど。
あ、お判りの通りですが前回から書き方変わりました。というかこれまでの書き方忘れました。
「……ようやく、人が掃けましたわね…」
「全く、叔父は見世物では…いや今は見世物だったな」
一方その頃、コスプレ喫茶と化した一年一組の教室ではようやく一息つける状態となっていた。
『世界唯一の男性操縦者にしてブリュンヒルデを倒した者』が接客していると内部外部問わず多数の客が押し寄せ、引いた店内には疲労しながらも笑顔で接客をこなす生徒と、そのサービスを楽しむ客の姿があった。
「しかしまぁ、一夏一夏とうるさいですねぇホント。
このイギリス代表候補生『セシリア・オルコット』を目当てにしてもよろしいのではなくって?」
「まぁそういうな、叔父はアレだ。
絶滅間近の山猫か、あるいは新種のチンパンジーみたいなものだからな。
それが檻の中で飼われていれば見にも来るだろうよ」
「……」
一時は心底恨んでいたとはいえ、叔父といっても血は繋がってないとはいえ、そして何より本当の事とはいえ、
まぁセシリアに至っては以前に、タッグマッチ戦の練習の時に本人に面と向かって珍獣呼びしたわけだが。
「2人ともお疲れ様。ごめんなさいね、シフト外なのにヘルプしちゃって」
衣装を脱ぎ、いつもの制服に戻った2人にメイド服を着た如月が駆け寄る。
普段面倒だとばかりに無造作な長髪はいつものボサボサっぷりが嘘のように纏められており、その変わりようにセシリアは「可愛くなるもんですわねぇ」と内心呟いた。
「構いませんわよ如月さん。ノブリスオブリージュ。貴族であり、代表たるわたくしにとっては当然の責務ですもの」
「私も構わん。むしろ貴様が一番疲れているだろう、あの指揮力は見事だったぞ。実家がそういう店なのか?」
「まさか…私には2人みたいなISの強みを持ってないもの、これぐらいの頑張りが無ければ置いてかれるわ」
カンカラと笑う如月。いつもこうやって身嗜みを整え、陽気に笑うのであらば彼女も他のグループに混じれたものだろうにとセシリアは思った。
暴言を吐いたり、喧嘩沙汰を起こしたセシリアやラウラが避けられるのは当然であるし、唯一の男性たる一夏やこの学園にとってあまりにもビックネームな姉を持つ箒も致し方ないだろう。
ただそれらに比べれば、彼女が避けられる理由は些事に過ぎない。そう――――
――――入学初期にパイルバンカーの素晴らしさを一時間講義したのである
些事なのか?無論些事だ。些事なのだ。 些 事 で あ る !
自業自得の自分や、どうやったって変えられない血や素質の一夏と違い、その後の対応さえ間違えて無ければ『ちょっと頭のおかしいパイルキチ』で溶け込めたろうと思うとセシリアは惜しく思わずはいられない。
まぁ一夏を初めとした専用機組とはそれなりに交流があるし、クラス代表の自分をよくサポートしてくれる良い友である。
……「イギリスってパイルつけないの?」と聞く以外には。つけて役に立つのだろうか……セシリアは訝しんだ。
「強みが無いなど謙遜するな。
AICを掻い潜りパイルを当てた貴様の手腕は自信を持ってよいものだぞ?」
「いいえアレは、あの一撃は、パイルの導きがあっての物。
導きに頼ってしまうままではいけないのよ」
「パイルの導き」
「パイルの神にもっと人間性を捧げなければね…」
「パイルの神」
ほらこの通り。ラウラが宇宙猫フェイスを晒している。
一般機で専用機に肉薄するあの努力と精神は尊敬はするが、憧れはしない。
……とそんな時セシリアは自らを見据える視線に気づいた。
「…さて、そろそろ私は自由時間とさしてもらいますわね。
ラウラさん、如月さん、気をつけて…」
「…?ええまぁ、怪我ないようにするけど…」
「……ああ」
会話を切り上げ、立ち去るセシリア。
それに対して如月はハテナマークを浮かべているが、ラウラはジロリと辺りを見渡し「ふむ」と小さく頷いた。
「如月、織斑先生は今どこにいるかわかるか?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「……」
カツカツと、靴音を立てながらセシリアはアリーナへの道を進む。
昼間の内はISを使った催しがあったが故に大層賑わっていたが、それが終わった今では人気がなくなってしまっている。
少なくとも、しばらくは誰も通りかからないだろう。
「どうした?こんな場所に自分から行くなんて、襲ってくれとでも言いたげだな」
「……我慢の足りない子ですわね。
そんなにこの文化祭で暴れたければアリーナに連れていって上げようと思ったのですのよ」
後ろからかかる声にセシリアは振り返らずに答える。
「一応聞いておくぞ。なぜ気づいた?」
「…その機体、サイレント・ゼフィルスでしょう?」
サイレント・ゼフィルス。
イギリスの第3世代型ISであり、以前イギリスから何者かの手により強奪された実験機体。
BT兵器搭載ISの2号機で、シールド・ビットを試験搭載しているセシリアのブルー・ティアーズの姉妹機ともいうべき機体。
後ろの女…マドカは、ソレを持っている。
盗った下手人と無関係などあり得ない。ましてやこの場にこうしてくるなど騒ぎを起こすと言っているようなものだ。
「……これは驚いた。感知されないように工夫してる筈なんだが…やはりあの噂は本当か」
「噂?人気者は辛いですわね」
「ああ全くの人気者だよ、イギリスが新しい次世代の機体を作ろうとしてるとな。貴様の様子を見せて貰ったがな、その鋭敏な感覚。何かあったと見えるぞ」
「さぁて、どうでしょう。わたくし個人としましては、純然な努力にそんなケチつけては欲しくは無いのですが」
どこからか漏れていた自国の機密情報に、ポンコツ共めと心中詰りながらセシリアはすっとぼける。
マドカは徐々に殺気を出しながら、口角を上げる。
「まぁいい。ここらで私は帰ろうと思うが…ソレを許すお前でもないだろう?遊んでやろう、そして思い知れ、どれほど足掻こうとお前は私の足元にも及ばない」
「安い挑発…ですが帰すつもりが無いのはその通りですわ。
乗って差しあげますわよ、その誘いに!」
2人の女は同時に己が
「ブルー・ティアーズ!」
「サイレント・ゼフィルス!」
二機のBT兵器搭載ISが向かい合う。
銃口も、ビットも、敵意を込めた視線もその全てが相手へと向けられた。
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「失礼しました。IS装備開発企業『みつるぎ』渉外担当・巻紙礼子と申します」
ふわりとしたロングヘアーが似合う美人、巻紙はにこにことした笑みを浮かべて自己紹介した。
「これはまたご丁寧に。織斑一夏です」
聞いたこともない企業の名に訝しみながらも、一夏はとりあえずの礼儀としてカツラを剥ぎ、座る姿勢を正してお辞儀する。
「それでまぁ、本日はどのような…」
「はい、織斑さんに是非我が社の装備を使っていただけないかなと思いまして」
ああ、なんだ。いつものか。
そう判断した一夏は警戒を解き、気怠げな視線を目の前の巻紙に向けた。
「せっかくお越しいただいた所悪いのですが、俺は今コイツの武装に不満は無いんですよ」
「そう言わずに!我が社の追加装甲や補助スラスターは他のどの製品よりも優れた性能をしていますので…それにもし壊れても我が社の優秀な社員により万全たるバックアップを保証致します!」
そうは言われてもな。
一夏としては、正直に意見を言わせて貰えばこれなのだ。
緊急時に使えないのは困ると、IS用の武装を元ACのこの機体で使えるかどうかのテストを行った事があるが、結果としては使えはするのだがまぁ察しろなものである。
動かすマニュアルは分かっているしそこまでのロストテクノロジーではないが、IS用の武装はACにとってはある意味でオーバードウェポンと同じなのだ。
ACは様々なアセンブルを組む事が出来る。
それはひとえに、それぞれのパーツの規格が統一されているからである。
だからこそ一夏のようにミッション毎にアセンブルを変えるといった、戦車から戦闘機に乗り換えるような真似も可能としているのだ。
当然だがIS用の武装はACの規格には合っていない。無論、オーバードウェポンと違い動く理屈や構造が明確なのでそこをマニュアル調節してやれば使えるのだが…
(正直、めんどくさいんだよなぁ…ソレ)
使えて損は無いのだろうが、利もない。
わざわざやるぐらいなら同じ系統のAC用武装を使った方が早いし、やりやすいし、正確にこなせるのだ。
……まぁAICとか龍砲とか使えるようになるとかであれば、検討したいが。ロマンだよね、うん。
(しかしまぁ諦めないなこの人は)
ベンチの隣に勝手に座りカタログを広げプレゼンを行う巻紙。
ここまで強引な押し売りをされると、逆に尊敬する。
そう思いながら一夏は一応程度にカタログを眺める。
(レーザーライフル…うーん、威力ならカラサワがあるしな……補助スラスター…今のジェネでも割と動けるしな…)
一応程度と言いながら、それでも性能の比較をしている辺り変な所で律儀な男である。
(なぁ、財団としてはどれか気になるものがあるか?……財団?)
(『……』)
語りかけても反応の無い財団を気にかける一夏。
「急に長々と申し訳ありません。よければこれジックリと見てください!」
そんな様子を売り時と引き時と見たのか巻紙はカタログを更に2冊ほど取り出し手渡そうとする。
「…ああはい。見るだけなら……」
そしてソレを受け取ろうとする一夏。そこへ――――
(『やはりか、離れたまえ!そこの女はISを持っている!』)
――――財団の叫びが飛んだ。
「!?」
「ハァァッ!」
受け取ろうとした腕を掴みねじり上げ、一夏をベンチに抑え込む巻紙。
その表情は先程までのものとはうってかわり残忍で獰猛、悪意に満ち溢れたものへと変貌した。
「ハハハ!なんだよ!最大限に警戒していけと言われたからそうしたら、ぜんっぜんチョレーじゃねぇか!!ハハハ!!」
「テメェ…グゥ!」
「動けるわけねーだろ、足掻いてんじゃねぇガキ!……んじゃお別れタイムだ、てめーのISとなァ!」
そう言って巻紙は四十センチ程の四本足の装置をコールする。
ニタリと笑いながら、それを一夏の右腕にある
取り付けられたそれは四本の足を器用に使い待機状態の黒い鳥に自身を固定し、起動する。
刹那、電流にも似たエネルギーが一夏の身体を流れる。
「グ……ア、ギ……!」
歯を食いしばり、痛みに耐える一夏。それを残虐な笑みで巻紙は見下ろしていた。
やがて電流は収まり、装置のロックも解除。痛みも収まり一夏は上の巻紙の顔を見る。
「なんだと…チィ、どうなってんだクソが!」
そこにいた巻紙の、あの悪人然とした笑顔も収まっていた。
代わりに出ていたのは焦り、動揺、困惑。事情はわからないが、一夏からしてみれば間違いなく好機だった。
(『オペレーティングシステム、緊急起動!』)
「オオァ!」
財団により右腕に黒い鳥を部分展開。無理矢理力付くで思い切り上の巻紙を振り払う。
2人揃ってベンチから転げ落ち、素早く体勢を立て直した一夏は狙いをつけるが早く、腕部と一緒に展開した
ワンテンポ遅く体勢を立て直した巻紙は避けようと右に飛ぶ。瞬間、巻紙の左上腕部が弾け飛んだ。
「ギ―――ガァッ―――――!!??」
痛みに声を上げながらも決して倒れない巻紙。ガサッと肘から下の腕が地面に落ちた。
元より鋼鉄の機動兵器たるACを機体によっては撃ち抜ける武装、IS化によって多少威力は落ちていようと人間に向けるには余りにもオーバーな破壊力を持っている。
「……
「アッラ…グ、ネ゙ェ゙ッ゙!!」
お互い同時にISを完全展開。
焼け焦げた戦地、あるいは死を啄む鴉を思わせる黒色。外見の特徴が定まらないことが特徴の機体『
操縦者の一夏は、左腕で銃を構え、ダラリと右腕を下げた。
黄色と黒という毒々しさを感じさせる警戒色。背中から伸びた八つの装甲脚が特徴の機体『アラクネ』
操縦者のオータムは、既にない左腕を抑えていた右腕に、銃を展開した。
もはや話し合いに、交渉に、言葉など既に意味をなさない。
眼前の、己が瞳に映る存在に殺意を向け、構える。
【メインシステム 戦闘モードを起動します】
現在の一夏
HEAD:Hd-R-E06
CORE:CB-209(法界坊)
ARMS:AE-118
LEGS:L2MB-122
R ARM UNIT:hand gun(AM/HGA-121)
L ARM UNIT:battle rifle(Au-C-B07)
SHOULDER UNIT:KE missile(SL/KMB-118H)
R HUNGER UNIT:pulse machinegun(HATSUKARI mdl.1)
L HUNGER UNIT:laser blade(KAGIROI mdl.3)
次回、一夏vsオータム
誤字脱字が遠慮なく言ってくだぁさぁい
近況報告:仮面ライダーエグゼイドトリロジーと劇場版ウルトラマンジードを見てきました。