ISVD〜Infinite Stratos Verdict Day〜 作:高二病真っ盛り
02ー01 自己紹介
IS学園 一年一組教室
SIDE:一夏
「こんにちは!織斑一夏です!趣味は読書、嫌いなのは不味い料理。男性ながらISが動かせたことにより、この学園に入学しました。ですが、ISに対する知識や学力そのものに乏しいので教えていただければ幸いです。一年間、よろしくお願いします!」
パチパチパチパチパチパチ
(よし、第一印象はバッチリだ)
自己紹介と共に頭を下げる、起こった拍手を聞きながら椅子に座り次の人の自己紹介を聴き流す。
入学試験から早二週間、俺はIS学園入学式を終え自分の所属する一年一組にてとびきりの営業スマイルで自己紹介をしていた。
「あふぅ…ん」
あくびを噛み堪えようとして失敗する。今の俺はとても眠い。
筆記試験の様子を見かねた千冬姉が、参考書を買ってくれたので、ISの勉強と並行して、徹夜でやっていたからだ。
教室のドアが開いて、千冬姉が入ってきた。まさかの千冬姉が担任である。
「すまない、会議が長くなった。今どこまでいった?」
「あ、織斑先生。いま如月さんが自己紹介を終えたところです」
「ああ、山田君。クラスへの挨拶を押しつけてすまなかったな」
「い、いえ。副担任ですから当然です」
どうした山田先生。織斑先生を見る目が熱っぽいぞ。
人の趣向をとやかく言う趣味はないが、多分織斑先生はノーマルだぞ?
「諸君、私が織斑千冬だ。君たち新人を一年で使い物の操縦者に育てるのが仕事だ。私の言うことはよく聴き、よく理解しろ。出来ない者には出来るまで指導してやる。逆らってもいいが、私の言うことは聞け。いいな」
なんという暴力発言。ここヴェニデだっけ?
俺の疑問と共に、黄色い声援が響く。
「キャーーーーーーー!千冬様、本物の千冬様よ!」
「ずっとファンでした!」
「私、お姉様に憧れてこの学園に来たんです!北九州から!」
「あの千冬様にご指導頂けるなんて嬉しいです!」
「私、お姉様のためなら死ねます!」
声援ならぬ騒音に対して耳を塞ぐ、人の趣味に口を出さないと前述したがこれはひどい。
「……毎年、よくもこれだけ馬鹿者が集まるものだ。感心させられる。それとも何か?私のクラスにだけ馬鹿者を集中させてるのか?」
心中お察しします織斑先生。というか毎年これなのか、日本始まってるな。
「きゃあああああっ!お姉様!もっと叱って!罵って!」
「でも時には優しくして!」
「そしてつけあがらないように躾をして〜!」
ゴメン日本終わってた。と同時にチャイムが鳴る。
「さあ
せんせー、如月さん以降の自己紹介が終わってませーん。
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一時間目終了後
「……ちょっといいか」
瞼をこすりながら終えた一時間目の教材を片付けていると、(こちら基準で)六年ぶりの再会になる
「どうした箒?」
「…話がある」
「廊下でいい?」
「ああ」
そうして廊下に出たのはいいが箒は一向に話し出さない。仕方ないのでこっちから切り出す。
「久しぶり、六年ぶりだっけ?」
「ああ、久しぶりだな」
「「……」」
なんかこう色々と気まずい雰囲気になった。
頼むよ箒、俺もコミュ力はないんだ。
「…よ、よく私だとわかったな。六年ぶりなのに」
「いや、殆ど直感だよ。こんな別嬪さんになってるなんてすごく驚いたさ」
容姿を褒めると箒が顔を赤らめる。
薄々気づいていたが、箒は俺に惚れているらしい。
しかし、箒の思いには答えられない。俺が愛しているのは
キーンコーンカーンコーン
二時間目の開始を告げるチャイムが鳴る。時間切れか。
「戻ろうぜ」
「わ、わかってる」
チクチクチクチク良心が痛む。
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二時間目
「ーーであるからして、ISの基本的な運用は国家の認証が必要であり、逸脱したIS運用をした場合は、刑法によって罰せられーー」
山田先生がすらすらと教科書を読んでいく。俺の徹夜は無駄ではなかったらしくすんなり理解出来る。
「ここまでで何かわからないことはありますか?……お、織斑君は大丈夫かな?」
怯えた調子で山田先生が尋ねてくる。
どうやら顔面
「いえ、大丈夫です。わかりやすくて助かります」
「そ、そうですか!…よかった〜」
俺の返答に対して安堵する先生。恐怖心からの解放に対してか、自分の授業の出来に対してか。…前者だったら本当にゴメンナサイ!
「ちょっと、よろしくて?」
二時間目終了後の休み時間、一時間目終了後と似た文句がかけられた。
違う所は幼なじみじゃない
「えっと…何の用かな?」
「まあ!なんですの、そのお返事。わたくしに話しかけられるだけでも光栄なのですから、それ相応の態度というものがあるんではないかしら?」
そういい欧米金髪ロール(イッピー命名)は憤慨する。
いやホントに誰だよあんた。昔の知り合いか?
自己紹介は如月さんで終わってしまったので、それ以降の人なのは確かだが。
「失礼ですが、どなたでしょうか?」
「わたくしを知らない?このセシリア・オルコットを?イギリスの代表候補生にして、入試主席のこのわたくしを⁉︎」
知り合いですらなかったよ。
大方、国の方から
「で、オルコットさんは
「わたくしは優秀ですから、あなたのような人間にも優しくしてあげようと思いましてね。ISのことでわからないことがあれば、まあ……泣いて頼まれたら教えて差し上げてもよくってよ。何せわたくし、入試で唯一教官を倒したエリートですから」
予想通りの答えが返ってくる。
「いえいえ、オルコットさんのお手を煩わせる必要はありません。わからないことは教師に教えを乞いますよ。教師は、生徒を教えるのが仕事ですから」
用意した言葉を返す。
織斑先生も「出来ない者には出来るまで指導する」といっていた。その発言に素直に甘えよう。
ちなみに俺も教官を倒したが、ここでいって問題を大きくするつもりはない。沈黙は金、雄弁は銀だ。
もっとも、今の彼女には雄弁の方が有り難かっただろうが。何故かって?
バァン‼︎
次の授業は織斑先生が教壇に立つからだ。しかもとっくに開始のチャイムは鳴っていたのだ。オルコットの脳天に出席簿が決まり、オルコットは頭をおさえた。
「席に戻れ。オルコット」
「はい…」
セシリア・オルコットが涙目でこちらを睨みつけてくる。
こっち見んな、自業自得だ。
(大丈夫かねぇ、俺)
女尊男卑の根は深い。女子だらけのこの学園で自分はこの先生きのこれるのやら。
シャーペンを取り出しながら大きく溜め息を吐いた。
次回
みんな大好きあの方登場(予定)