ISVD〜Infinite Stratos Verdict Day〜 作:高二病真っ盛り
ええ、言い訳は致しませんとも。
07ー01 慌ただしい初日
二学期初日 黒い鳥内
SIDE:財団
「おーい、久し振りだねぇ。アイザッ……財団」
(絶対わざと間違えたな)
どう考えていても笑いを堪えたかのような声で彼の通信が響く。
はっきり言えば聞きたくないが、気まぐれとはいえ傭兵のコア人格をやると決めたのだから無視はできない。
「……で、何の用だい?傭兵は今、朝の準備に忙しい訳だけど」
「ああうん。ぶっちゃけちゃえばさ〜暇だったから息抜きn「用があれば行ってくれ、では」ギャハハハハ!!冗談冗談!割とマジなお知らせだ」
通信を切ろうとした瞬間に本題を出す主任。なるほど、傭兵が鳥野郎と言いたくなるわけだ。
「……で、今度こそなんだい?」
「えーっとさあ、まずあの傭兵くんはタワー内の装置でこっちとそっちを往き来したわけじゃない?」
「ああうん。一科学者としては大変興味深いね」
一つの分岐を起点とした並行世界ではなく、条理も道理も異なる異世界に人や物を転送する装置。
一体、どういう原理でどういう動力でどういう理論であるかなどの全てを解析仕切るのにかかる時間はゆうに100年単位となろう機械だ。
「その装置を調べていたらさぁ。実は彼だけじゃなかったんだよ」
「……?なにがだい?」
「その世界に行ってたの黒い鳥だけじゃなくって、
「……」
「えっ」
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二学期初日 教室
SIDE:一夏
「さて一夏さん。放課後の予定は詰まってますまよねぇ?セシリアとの特訓とか、オルコットとの特訓とか、わたくしとの特訓とか」
「全部お前じゃねぇか」
始業式を終えて教室に戻った途端に変なことをのたまい始める
何があったし。
「それは…勿論、貴方でなければBT兵器稼働率が上がらないからですわ」
「……本国の皆さんは?」
「AEOSの前に沈めましたわ。……得られたのは、僅か5%しか伸びない稼働率と次期代表の座ですが」
「充分じゃないかなそれ?」
ぶっちゃけ、セシリアに渡した
「“卒業後”じゃダメなのですわ」
「なんでさ」
「卒業までがタイムリミットですもの」
貴方と戦える、最後の期限が。とセシリアは付け足す。どうやら夏休みの間に自分の事を目標にしたらしい。
いや、いいんだけどさ(よくない)。
「まぁいいよ。放課後
「あら、本当によろしいんですの?」
「ん」
(なーんか、今日は財団が静かだしなぁ)
授業中にでもお構いなく通信してくる奴が、朝からずっと黙っているのだ。「おはよう」の挨拶は返したので生きているのは確定なのだが。
「……で、アリーナは借りてんの?」
「えぇ、そこに抜かりはなくてよ」
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「さて、君のいうとおり。織斑一夏に接触する機会を作ったが––––」
『––––ええ、彼にとって生半可どころか大抵の嘘は見破れます。その癖して自分が嘘を吐くのは上手いからタチがわるいです』
東京の夜景を眺めながら1人の男が電話で話す。
彼の名はガルシルド・ガーダイン。
世界有数の企業家であり、IS委員会の委員の1人である彼は女尊男卑の世情の中でも強大な権力を保持している。
「嘘……か、ある程度なら私も見破れるのだがね」
『ガーダイン様のような経験則ではなく直感のような形で彼は見抜くんです。卑怯ですよね、僕もヒヤッとしましたもの』
電話口の相手は徐々に崩れてゆく敬語で織斑一夏について言及する。
しかしどうやら、その声色には僅かに喜色が見え隠れしている。
「さて、もう寝るに良い時間だ。“百聞は一見に如かず”とこの国ではいうが、その言葉が正解か否かは実際に会って検証させてもらおうか――――
――――――デュノア君」
『はい、おやすみなさい。ガーダイン様』