ISVD〜Infinite Stratos Verdict Day〜 作:高二病真っ盛り
夏休み朝 織斑邸
SIDE:一夏
「お〜れ〜は〜い〜ちか〜♪」
夏休みのとある日曜。
学園寮が改装と補修で一日使えないので、今日一日家で誰かと遊ぼうと思ったのだが、
『すまん一夏。その日は教員としての研修会なんだ』by千冬姉
『叔父よ、すまない。その日は黒ウサギ隊の皆と浦安ネズミの国に行くんだ』byラウラ
『すまないな。久しぶりに両親と会うんだ。姉さんも来てくれるかな…』by箒
『ごめんなさい。その日からはイギリスに帰省しますの』byセシリア
『ごめんなさいね。その日は更識の家の大事な話があるの…』by会長
『あー悪い一夏。その日は用事があってさ…』by弾
『ごめんなさいね、織斑君。このチケット二人用なの』by如月さん
『ごめんね。両親を復縁させる為に中国に行くんだ』by鈴
このザマである。
……寂しくなんかないんだからな!
「ゲーセン行こ…」
久しぶりにお面野郎触ろうかな…。
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夏休み 研修会
SIDE:千冬
「ようやく、終わりましたね〜」
「ああ、全くだ」
隣の山田君の愚痴に賛意を示しつつ、ため息を吐く。
どうにも、こういったものは苦手だ。特に、『ブリュンヒルデから見てどうか』と言う質問など苦手通り越してウンザリだ。
「全く、どうしてこの研修会はこうも長いのだ?」
「今日はIS委員会の重鎮が来てますからねぇ。長くなりますよ」
「迷惑なものだ」
「すまないね。君達に迷惑をかけて」
「「⁉︎」」
背中に掛けられた声に振り向く。
「ジ、ジギル委員…」
ジギル・
齢二十と言う若輩でありながら、IS委員会の委員の一人。
有名大学を飛び級で卒業し、その天才的な手腕と技術で、現在のISの解析の九割を行った『束に並ぶかもしれない者』。
その性質上、多かれ少なかれ黒い噂があるIS委員会の委員の中でも異端な程に噂が少ない人物。
だが、私はコイツに良い感情を抱いていない。
優しい目付きも、穏やかな声も、女と見紛う容姿も、上品な歩き方も、どこか私に『コレジャナイ』と感じさせるのだ。
「……」
「…やだなぁ。そんなに睨まないでよ」
「…用はなんだ?」
「察しがいいね。ブリュンヒルデ」
そう言いジギルは続ける。
「この前ロシアのとある研究所が破壊されてね、大っぴらには言えないけどそこは違法研究所だったんだ。
まぁそこは重要じゃなくってさ。大事なのは、なにで破壊されたかなんだ」
続く言葉に、私は耳を疑った。
「
「⁉︎」
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夏休み昼 浦安ネズミの国
SIDE:ラウラ
「その時曹長が言ったんです『親切=犯罪なら、思いやりの少ない時代=犯罪の少ない時代!』って!」
「えーっ!どういう意味ー?」
「なんでも、泣いてる子を助けたら通報されたらしいんです!」
楽しそうに談笑する黒ウサギ隊の皆を見て思わず顔がほころぶ。
「……ん?」
やはりここに連れてきて良かった。
そう思った時、ふとある一組のカップルが目に付いた。
あれは…叔父の友達の五反田弾に、生徒会の布仏虚…?
「……」ニヤァ
思わず顔がほころぶ。
そうか。これが前にアニメで見た『愉悦』か。
「全員に告ぐ。緊急ミッションだ」
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夏休み 篠ノ之神社
SIDE:箒
「驚いたぞ箒。あんなに髪を切ることを嫌がってたらしいのに」
「良くある失恋だ、父さん」
「あら…一夏君に振られちゃったの?」
三人でちゃぶ台を囲み、近況を話す。
ありふれながらも自分に無かった日常が心地よい。
(姉さんも…来て欲しかったな……)
あの臨海学校以来、全く姉さんとの連絡がつかないのだ。
「まぁそんな感じだよ。…テレビつけようか」
気を紛らわせるためにリモコンを取る。
確か今日は、映画『HER○』がやっていたはず––––
『番組の途中ですが、速報をお伝えします』
『ISメーカー、デュノア社の社長。アルベルト・デュノア氏が退任し、次女のシャルロット・デュノア氏が新たな社長に就任いたしました』