ISVD〜Infinite Stratos Verdict Day〜 作:高二病真っ盛り
「あ!伏線を張って無かった!」と気付き、書き直したらこんな感じに…
??? ????
SIDE:??
「眩しい風のなかで〜♪描くよ 君の笑顔〜♪」
〜〜♪
部屋の中で一人心地良く歌っていると、スマホが鳴る。
…確か、この着メロは。
「…もしもし」
『ああ、君かね?朝早くすまない』
「やはり、”アナタ”か。用はなんだ?」
『お礼だ。織斑一夏の活動データを送ってくれた事のな』
心にも無い事を良く言う。
利用しようとしている僕が言えたことではないが。
「礼はいい。……そうだ、一つ聞きたい事がある」
『なんだ?』
「以前”M”に『織斑千冬は到達点にならない』と言ったな。あれはどういう意味だ?」
『ああ、あれか…。ふむ、良い機会だ。教えよう』
「……」
僕はこいつが苦手だ。
変に理屈っぽいのもそうだが、一番の理由は男なのか女なのかはっきりしない見た目と声だ。
『とはいえ、そう複雑な事ではない。織斑千冬の『強さ』は、ライオンやヒグマの『強さ』と同じ。
それだけだ』
「…相変わらず、訳がわからないな。”アナタ”は」
『そうかね?』
「ああ、ではな」
『ああ。……君の活躍を期待するよ、”T”』
ピッ ギシッ
通信を切り、ベットに寝転がる。
悪いな、織斑一夏。お前の事は、友達としては好きだ。
でも、
『またね、ーー!』
ごめん、ーー。
『私の!生徒から!出ていけぇぇーっ!』
僕は決めたんだ。
この世界を守るって。
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夏休みの昼 五反田食堂
SIDE:一夏
「と、言う訳なんだ…」
「「「……」」」
夏休み序盤。
俺は、五反田一家と御手洗数馬に自分の事情を説明した。
「えっと…冗談だよ…な……?」
「残念ながら、本当だ」
弾の言葉に千冬姉が答える。
「え…え……え…?」
「あー…目を覚ましなさい…」
放心する蘭に鈴が呼びかける。
「…あの、どちら様?」
「織斑ラウラ、織斑千冬の義理の娘だ」
うん、その質問は話す前にしようか数馬。
「「「……」」」
「んで?ボウズは結局、どうすんだ?」
困惑に包まれた空気を厳さんの一言が吹き飛ばした。
「行きます。あの世界に」
「…嬢ちゃんは?」
「私は、認めました…」
「…そうかい」
そう言うと厳さんは、厨房に入っていった。
「今日は俺の奢りだ。あっちに行くのを後悔するぐれぇの飯食わしてやる」
「厳さん…」
その日の昼食は、涙か出るほど美味しかった。
無論、決意を鈍らせはしなかったが。
◇
夏休みの夜 織斑邸
SIDE:一夏
『なぁ一夏。本当に行くのか?』
食事も話も終わり、家でくつろいでいた時。
弾が俺に電話で話しかける。
「ああ。本当だ」
『お前さ…おかしいよ…』
″イカれてるよ、お前″
「……
結局の所、俺もあいつらとそう変わらないのだ。
戦いに取り憑かれ、戦場で命を燃やす。
『俺の墓標に名はいらぬ。死すならば、戦いの荒野で』と言えば聞こえはいいが、詰まる所は唯の命知らずの戦闘狂だ。
千冬姉や弾を責めることは誰も出来ない。俺の方が間違っているのだから。
『一夏…お前…』
「話は変わるがお前。虚さんとの仲はどうだ?」
『なっ、ちょ⁉︎今は関係無いだろ‼︎』
ちなみにこの男と虚さん。
二人の共通の知り合いが俺なので、よく『これを聞いてくれないか』と頼まれる。
弾から『虚さんの好きそうな物ってなにかな?』と言うメールの後に、虚さんから『弾君の好きそうな物って知ってる』と言うメールが来た時には壁ドンならぬ壁グラ(壁にグラインドブレード)をやってやろうかと思った。
…無論財団からの制止が入ったが。
「関係無い…ねぇ。丁度、うちのラウラがのほほんさんを家に招いているのだけど…」
『申し訳ございませんでした。織斑一夏
「俺何者だよ」
伊邪那岐と伊邪那美の性別が産まれる前の最高神じゃねーか。
「まぁいいさ。良ければのほほんさんに代わるぜ?」
『ああ。…そうだ、一夏』
「あん?」
『……死ぬなよ』
「…ああ」
電話を置き、のほほんさんを呼びに行く。
ありがとよ、親友。
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夏休み夜 五反田家
SIDE:弾
「ありがとうのほほんさん」
『うん〜。お姉ちゃんの〜事〜よろしく〜』
ガチャン
「…ふぅ」
電話を置き、一息吐く。
これで、今度の日曜日は大丈夫だ。
「…あ」
一つ伝え忘れた事があった。
最近、巷で流行っている『世界各地にもう一人の織斑一夏の姿がある』と言う噂だ。
「大丈夫かな、アイツ…」
今までは唯の噂と一蹴していたけど、今日の話でどうしても無関係とは思えないのだ。
「後でメールしよ…」
とはいえ夜も遅い。
ひとまず俺は布団に入った。
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夏休み ロシア違法研究所跡地
「なるほど…これは酷いね…」
もうもうと煙を上げている研究所跡地の上空で一機の黄色いISが滞空していた。
「でも、確信は得られた。
黄色いISのパイロットは誰もいない空で一人呟く。
「あ、お父さん?うん、今から帰るね」
黄色いIS、ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡの操縦者。
シャルロット・デュノアは、そのまま飛び去った。
「『白』に『黒』か。まるでどこかのお話みたいだ。
…再会が楽しみだよ。イッピー」
その目は、愉悦の二文字を映していた。