ISVD〜Infinite Stratos Verdict Day〜   作:高二病真っ盛り

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超展開から第六章に突入!


MISSON06 One Summer
06ー01 姉弟喧嘩


SHR前 一年一組

SIDE:如月

「……て訳なんだけど…」

「わかった。受けよう」

「悪いね箒」

 

教室のドアを開けると、織斑一夏と篠ノ之箒がなにやら話していた。

 

「おはよう。二人とも。何話してたのかしら?」

「おはよう如月さん。えっとね……内緒♪」

 

口に人差し指を当てウインクをしながら織斑一夏が答える。

……ウゼェ。

 

「一夏、如月。席に座ろう。そろそろSHRだ」

「おう」

「ええ、…ところで織斑君。()()()は本当なの?」

「あの噂?」

「二週間後の終業式の日に貴方達姉弟が闘うって噂よ」

「ああ。本当さ」

「……そう」

 

しかし、あのシスコンの織斑一夏が織斑千冬と闘うとはねぇ…。

 

もしかして()()織斑一夏は––––

 

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六時限目 一年一組

SIDE:一夏

「と言う訳で。この総合の時間を使って、文化祭の出し物を決めたいと思いますわ。

何か案のある人!」

 

六時限目。その総合の時間に夏休み明けに行われる文化祭についての意見会が開かれた。

本来は夏休み明けに決めるらしいが、夏休みを使って準備出来るように今決めるらしい。

 

「はい!」

 

そんな中、元気に手が挙がった。

 

「はい、大西さん」

「織斑君との握手会が良いと思うじぇ!」

 

久々に机に突っ伏す。

そういやお前、クラス代表の時も俺を挙げてなかった?

人を勝手に話題のタネにしないでほしい。

 

「却下ですわ」

「ええ〜なんじぇ〜!」

 

そして、当然の如くセシリアに却下された。残当。

 

「あのですねぇ…。一夏さんもこのクラスの一員ですのよ?

そんな出し物。一夏さんの自由時間はないと言っているようなものじゃありませんか

それとも…まさか『織斑一夏は一組の所有物』とでも言うつもりですの?」

「ほう…私の弟を『所有物』とな…」

「ご、ごめんなさいだじぇ!」

 

セシリアと千冬姉の眼光に案を出した生徒は慌てて謝る。

……本気で俺はなんだと思われてんだ?

 

「それに…そんな案を採用したらこの人はバックレるに決まってるじゃありませんか」

 

ヤダナー。ソノ日ダケ体調ガ悪クナルダケダヨー。

まぁマジレスすると生徒会の仕事もあるしね。時間が必要だよ。

 

「はい」

「はい、篠ノ之さん」

「喫茶店などはどうだ?この広い学園だ。休憩所は需要があると思うが…」

 

箒からかなりまともな意見が出た。

確かに需要がありそうだ。

 

「そうですわね…とりあえず喫茶店は書きましょう」

 

そう言いセシリアは電子黒板に『喫茶店』と書く。

 

「さて、他に案は––––」

 

その後、紆余曲折を経て結論は『コスプレ喫茶』になった。

ちなみに俺は、鎌に変身する白髪のキャラのコスプレをする事になった。

 

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終業式後 第一アリーナ管制室

SIDE:楯無

「凄い人の多さですね。お嬢様」

「当然よ。なにせ、世界唯一(織斑君)世界最強(織斑先生)が闘うのだからね…」

「……どうして、あの二人が闘うの?お姉ちゃん」

「ノーコメントよ」

 

管制室で観客席を眺めながら簪ちゃんや虚と話を続ける。

織斑君の過去は、私は他の人に話していない。

『別にのほほんさんとかには話して良い』と言われはしたが、話して利があるかと言われれば疑問がある話題だからだ。

 

情報はいつどこから漏れるかはわからない。

なら、いらない混乱を与えるよりも前に情報を出さなければいいのだ。

 

「ノーコメントって…お姉ちゃんのケチ」

「かんちゃん〜拗ねちゃメ!だよ〜」

 

話を試合に移そう。

そもそもこの姉弟が闘う理由は『意見の相違』だ。

 

織斑君はあちらの世界に行きたい。

織斑先生はあちらの世界に行かせたくない。

 

まったく逆の意見は、話し合いで擦り合わさることなく、この日を招いた。

『勝った方の意見を優先する』その結論を持って。

 

なんで私がこの事情を知ってるかって?

私は織斑君の味方として対織斑千冬の作戦を織斑君やオルコットさん達と一緒に考えていたからよ。

 

「簪様、最近すっかりお嬢様にベッタリですね…」

「べ、別にお姉ちゃんが好きな訳じゃないんだからね!」

 

しかし、私みたいに事情を知らない人から見ればいきなり起こった大イベントだ。

どこから嗅ぎつけたのか知らないが、何台ものテレビ局のカメラが回っているし、各国のIS関連の主要人物が大勢VIP席に座っている状態だ。

……許可?学園長が出したわ。

 

「……頑張って、織斑君…」

 

個人的には織斑君の方を私は応援している。

織斑君のあの眼は戦場に取り憑かれた人の眼だ。

ならば、せめてその墓標は戦場に建てられるべきだろう。

 

「……お姉ちゃんって、もしかして織斑一夏の事が好きなの?」

 

あ、それは無い。絶対に無い。

 

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終業式後 第一アリーナ

SIDE:一夏

『さあ、これから始まるのは織斑一夏対織斑千冬のドリィィイムマッチィィィ!

実況はわたくし、アルテミスがお送りしまぁぁぁぁす!』

 

喧しい実況を無視して目の前の白式を纏った千冬姉を見据える。

 

『…凄い人だな』

「そうだね」

 

どうやら千冬姉も辟易しているようだ。

まったく、どこから俺たち姉弟の姉弟喧嘩を嗅ぎつけたのかやら。

 

『…一夏。もう一度聞く。どうしてもあの世界に行くのだな?』

 

なんて千冬姉らしからぬ愚問だ。

答えは、決まっているのに。

 

「ああ。俺は、あの世界に行く」

『何故だ。お前があの世界を、殺し合いを求める理由は一体なんなんだ』

 

「……それは」

『それは……』

 

理由なんていくらでもある。

好きな人がいたから。父親と呼べる人と約束したから。宿敵に義務を言い渡されたから。

そして傭兵として依頼を受けたから。

だけど––––

 

「俺が傭兵だから。これ以外に俺の”答え”は無い」

 

コア・ネットワーク通信を使い千冬姉に言葉を続ける。

 

「確かに千冬姉の言うことには賛成だよ。

でも、その道を選んで諦めたら、俺はきっと壊れちゃう」

 

″私は…私は、ずっと諦めたふりをしていた″

 

「ああそうだよ。俺がおかしくて、千冬姉が正しいのだなんてよくわかってるさ。

でもね、だからって曲げたくない事があるんだ。言わなきゃいけない事があるんだ」

 

″私の魂は、ずっと戦いに惹かれていたくせに″

 

「あそこが!」

 

″ここが!″

 

「あの世界が!」

 

″この戦場が!″

 

「俺の魂の場所だ!」

 

″私の魂の場所よ!″

 

『……わかった一夏。お前の答えは、確かに受け取った。だから私も言うぞ。

父さんもいなくなって、母さんもいなくなった私に唯一残されたのはお前だった。

こんなことを言う資格は無いだろう。だが、私は、私はもう失いたくないだけだ。誰も、何も』

 

『始めよう。倒すぞ、お前を』

 

 

『メインシステム、戦闘モードを起動します』


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