ISVD〜Infinite Stratos Verdict Day〜   作:高二病真っ盛り

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新章突入!


MISSON05 Dark Raven
05ー01 奪われた白式


臨海学校一日目 バス内

SIDE:一夏

「海っ!見えたぁっ!」

「……」ペラ

 

クラスの女子の叫びを聞き流しページをめくる。

 

『白式は、貴方の要望で引き取ったって…』

 

会長の件の後、俺は白式を解体してもらうよう倉持技研に連絡を入れたらこんな返答が返ってきた。

無論、俺は白式を引き取ってなどいない。

 

『ホントに俺だったんですか?』

『はい、貴方の声で引き取りたいと…』

 

「……」ペラ

「––かさん!」

 

俺の声を使って、誰が一体こんな事を…

 

「一夏さん!」ガシッ

「ウワッ⁉︎……セシリア?」

 

読みながら考えているとセシリアに肩を揺すられる。

耳元で叫ぶな。

 

「…何?」

「何もって…そろそろ降りる準備をなさい」

「あ…悪い」

 

本を閉じ、荷物をまとめる。

ちなみにこの本はこちらの世界に戻る時に読んでいたものだ。

『ガレージ』を漁ってみたらあったので取り出したのだ。

……残念ながら、あの『暴力』は無かったが。

 

「そろそろ目的地に着く。全員ちゃんと座れ」

「「「ハーイ」」」

 

これから楽しい臨海学校だ。無粋な事など今は置いとこう。

 

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臨海学校一日目 海岸

SIDE:セシリア

「……鈴さん。何を言いますの」

「いや、一夏が好きな人ってセシリアかなーって」

 

一日目が自由行動オンリーなのをいいことに砂浜で遊んでいると、鈴さんが理解不能な事を言った。

 

「ねーですわよ。絶対にねーですわよ」

「あれだけ仲良いんなら、あるかなーって」

「ムカつくんでその語尾やめてくださる?」

 

そんなことは絶対にない。

一夏さんはわたくしを友達と思っているし、わたくしも一夏さんを友達と思っている。

あの、よく見ると、露骨にもほどがある男が、自分を好くわけがない。

 

「……ないの?」

「ありませんわよ」

 

鈴さんの他にも何人かに聞かれたが、返す言葉は常に同じだ。

それにあの距離感が気持ちいいのだ。

 

「…む。叔父がきたぞ」

「……よう」

 

ラウラさんの言葉に振り向く。

そこにいた一夏さんはパーカーを羽織り、脇に本を抱えたスタイルだった。

 

「じゃ…楽しめよ」

 

わたくし達に一言言ってビーチパラソルの下で座り込む。

一カ月一緒にすごしてわかりましたが、この人用事が無いと引きこもりに走りますわね…。

 

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臨海学校一日目 大広間

SIDE:箒

「グオォォォ……」プルプル

「……正座が無理なら椅子席に行けよ」

「叔父の言う通りだぞ、セシリア」

「一夏さんはともかく、なぜラウラさんは平気そうですの…」

 

楽しそうに話す三人を見る。

 

「フッ…義母の国の文化だ。学んだに決まっている」

「最近、図書室に入り浸っていると思ったら…」

「そういうことでしたの…」

 

「……」ギリッ…

 

思わず歯ぎしりが漏れる。

悔しい、あそこに加われないのが。

 

「…ともかく。話し相手はあなた達しかいないんですの。

この席から離れる気はありませんわ」

「悲しい事を言うなよ…」

「知ってるぞ、叔父よ。これを『ぼっち』と言うのだな」

「「お黙り」」

 

「……」ガタッ

「あれ、篠ノ之さん。まだ残ってるわよ?」

「…いらない」

「…そ、そう」

 

胸の黒い感情を抱え、部屋に戻る。

嫌な奴だな、私。

 

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臨海学校一日目 教員室

SIDE:ラウラ

ジョインジョインジョインジャギィデデデデザタイムオブレトビューションバトーワンデッサイダデステニーヒャッハーペシッペシッペシッペシッペシッペシッペシッペシッペシッヒャッハー ヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒ ヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒヒーッヒヒK.O. カテバイイ

バトートゥーデッサイダデステニー ペシッヒャッハーバカメ ペシッホクトセンジュサツコイツハドウダァホクトセンジュサツコノオレノカオヨリミニククヤケタダレロ ヘェッヘヘドウダクヤシイカ ハハハハハ

FATAL K.O. マダマダヒヨッコダァ ウィーンジャギィ (パーフェクト) 

 

「まだ…勝てないんですの…」

「百年早いぜ。お前が、コレで俺に勝つのは」

 

仕上がっている叔父にセシリアが屠られていくのを一瞥し、布団に座る。

 

叔父は唯一の男の為、部屋は義母(かあ)さんとの相部屋になっている。

そして、義母(かあ)さんが黙っているのをいいことにテレビゲームをしているのだ。

 

「クゥッ…なら!」ジョインジョイントキィ

「無駄だ」ジョインジョインジョインジャギィ

 

しかし、これで十三戦目か。

どういうわけか、叔父はレバー操作のゲームに滅法強いのだ。

これについて叔父は一言『練習だ』と答えた。

…どこのムーミン谷の白い悪魔だ。

 

「…そろそろ就寝時間だ。部屋に戻れ」

「待ってください!今度こそ、勝てそうですの!」

「……」ペシーン

「ぴにゃぁぁぁ」

 

あの日、義母(かあ)さんの娘になって以降。織斑先生が指導に使うのが出席簿からハリセンになった。

 

理由は『さすがに痛過ぎるだろう』との事だ。

痛みでしか解決できない事もあるとは思うが、これはこれでいいことなのだろう。常識人の叔父が喜んでいたし。

 

「お前も戻れ。ボーデヴィッヒ」

「ハイ先生。おやすみなさい」

 

さて、明日は訓練か…。


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