ISVD〜Infinite Stratos Verdict Day〜 作:高二病真っ盛り
休日 レゾナンス
SIDE:一夏
「ふぅ…お腹いっぱいですわ♪」
「…ホントにスイパラで良かったの?」
日曜日。
俺はセシリアの誘いでショッピングモール、『レゾナンス』に出かけていた。
約束していた、『スイーツ版の満漢全席』は当人の意向で『スイーツパラダイス』に変わった。
「ゴメン一夏。あたしたちまで奢って貰って」
「叔父よ。本当にすまない」
鈴もラウラも、セシリアに誘われたらしい。
…何故かセシリアの意図が見えた。
「ああ!お店に忘れ物をしてしまいましたわ!ラウラさん。一緒に来てくださいまし!」
「なぜだ?」
「いいから!」
わざとらしくセシリアが慌てる。
おい、演技しろよ。
「さ、行きますわよ!」
「あっ、おい!引っ張るな!」
「「……」」
鈴と二人、連れて行かれるラウラを見つめる。
「え、えっと…行こう…一夏」
「…そうだな」
二人きりの状況に赤面する鈴。
お前が勝手に仕組んだのかよ、セシリア。
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ゲームセンター
「ねぇ一夏。これ撮ろう!」
「プリクラ?別にいいけど」
『ハイ、チーズ♪』
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映画館
「映画を見るの?」
「いや、めぼしい物の確認」
「あれなんかどう?『劇場版 熱血硬派かにおくん』」
「んなもんあるんだ…」
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ゲームコーナー
「こ、これは…『ISTD《インフィニット・ストラトス・ザ・デストラクション》』!」
「そ、そんなに凄いものなの?」
「あまりのクソゲーっぷりに『ISTD《いかんそいつには手を出すな》』って言われた伝説のゲームだよ」
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水着売り場
「ね、ねぇ…これ…似合う…?」
「中々、でもこっちもいいんじゃない?」
「そ、そう…?」
「別嬪さんなんだから、そりゃ似合うさ」
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夕方 レゾナンス入口の物陰
SIDE:セシリア
「あー遊んだなー」
「そうだね…」
ショッピングモールの出入口から二人が出てきたのを確認する。
鈴さんにアピールするチャンスを作るために演技をしたが、一体どうなったのだろうか。
「ねぇ一夏」
「ん?」
「やっぱりあたし。あんたの事が好き」
鈴さんからのまっすぐな告白。
だが、一夏さんのあの眼はもう迷わないと決めた眼だ。
「鈴」
「うん」
「俺は、お前と付き合う気は無い」
「そっか…」
口では平気そうだが、目には涙を浮かべる鈴さん。
「……一発良い?」
「おう」
バチィン
ラウラさん。更識さん。と防がれ、躱されたビンタは、三度目の鈴さんによって当たった。
「…またね」
「ああ」
走り去る鈴さん。
それを見るだけの一夏さんの背中は、少し寂しく見えた。
◇
SIDE:一夏
「一夏さん」
「セシリア」
どこかで隠れていたであろうセシリアが俺に話しかける。
「派手にやられましたわね」
「まぁな」
今日一日のデートで再確認したが、やはり俺は鈴に恋愛感情をこれっぽっちも持ち合わせていない。
「振り方も少し考えてくださる?鈴さんを慰めるのはわたくしですのよ」
思えば、セシリアには頼りっぱなしだな。
「悪いな」
「帰りましょう。そろそろ門限ですわ」
「ああ」
セシリアと共に帰路につく。
こうして、鳳鈴音の恋は終わった。
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夜 IS学園寮
SIDE:箒
「……」
部屋の中でスマートフォンの画面を見つめる。
『篠ノ之束』
「……」〜〜♪
表示された姉の名前に『通話』をタップする。
『やあやあやあ!久しぶりだねぇ!
ずっとずーーーっと待ってたよ!』
「……姉さん」
電話口から響く姉の声を聞き、返事を返す。
『うんうん。用件はわかっているよ。欲しいんだよね?
君だけのオンリーワン、
「ああ」
『えーと…互いに専用機持ちだから』
専用機が無いから置いていかれるのも、
『篠ノ之箒 シールドエネルギー エンプティ!』
専用機が無いからついていけないのも、
『セシリア…ありがとう』
一夏の隣を盗られるのももう沢山だ。
「専用機…あるの……?」
『モチロン用意してあるよ。
その名は––––』
『紅椿』
[MISSON04 COMPLETE]
次回、臨海学校開始