ISVD〜Infinite Stratos Verdict Day〜   作:高二病真っ盛り

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MISSON04 Change Relation
04ー01 変わる関係


放課後 医務室

SIDE:セシリア

「お見舞いに来ましたわ…あら?」

「よう」

「…む」

「イギリス代表候補か」

 

医務室に入るとちょうど一夏さんと織斑先生が部屋を出る所だった。

 

「じゃーな、ラウラ」

「……!」

 

一夏さんがボーデヴィッヒさんの事を名前呼びしている。

何かあったのだろうか?

 

「何かあったんですの?ドイツ代表候補」

「…私は、もうドイツ代表候補ではない」

「……降ろされましたの?」

「『ラウラ・ボーデヴィッヒなる者は我がドイツに存在しない。

VTシステム?それはボーデヴィッヒが勝手につけたものだろう』だ、そうだ」

 

トカゲの尻尾切りですか。

どうせ、同じ欧州のわたくしに手が出た時点で手遅れなのですが。

 

「はいこれ」

「何だ?」

「ファッション誌ですの。聞いた限り貴女、お洒落したことないでしょう?」

 

パラパラとページに目を通しボーデヴィッヒさんは近くの机にファッション誌を置いた。

 

「……すまなかった。あんな事を言って…」

「随分と毒気が抜けましたわねぇ」

「笑いたくば笑え」

 

一体、何があればこんな風になるのでしょうね?

 

「誰が笑いますか。それで、国籍無しでどうするつもりで?」

「……織斑先生が、私を養子縁組にするらしい」

 

養子縁組。ということは

 

「貴方、一夏さんの姪になるんですの?」

「まぁ…そう言うことだ」

 

初日からビンタをかましたクラスメートが、いきなり姪になった一夏さんの心境はいかに。

 

「まぁそんなことよりも、絶対に許しませんわよ」

「当然だ。あれだけお前の国をバカにしたのだからな」

 

一夏さんからボーデヴィッヒさんの出自を聞いて思った事は『少し似ている』だった。

 

『男がクラス代表だなんていい恥さらしですわ!』

 

出自から生まれた黒い感情に突き動かされた事、

 

『あんなに自身満々な代表候補生様がいるんですもの』

 

それが原因で失った物があるという事、

 

『代表候補生としての力、頼りにしてるぜ』

『いつかつけようね。セシリア』

 

でも、わたくしにはそれでも一緒にいてくれる友達がいた。

 

「ええ、絶対に許しませんから。

罰として、わたくしと、友達になりましょう?」

「え…?」

 

今度は、自分が誰かと一緒にいる番だ。

そう思ったのだが、

 

「フ、フハハハハ!」

 

盛大に笑われた。

 

「何がおかしいですの?」

「いや…織斑一夏に…叔父にさっきこう言われてな」

 

『絶対に許さない。

許して欲しけりゃ、ちゃんと()()()しろ』

 

…一夏さん。

暗にラウラさんを家族と認めた発言ですわね。

 

「てか。決め台詞が盗られましたわ!」

「フ、フフ、フハハハハ!」

「ええい。笑わないでくださいまし!」

 

というかよく考えたら、かなり恥ずかしい台詞でしたわね。

 

「…で。どうするんですの?」

「ああ、その罰を受けよう」

「では、よろしく。ラウラさん」

「ああ、よろしく。セシリア」

 

握手を交わすわたくしとラウラさん。

 

新たな友の誕生に乾杯。


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