ISVD〜Infinite Stratos Verdict Day〜 作:高二病真っ盛り
トーナメント七日目 第三アリーナ
その日、その場所、その時間を見た人は全員固まった。
方や、明らかに全盛期の
方や、全盛期の最強から衰えた
機体差を含めれば余りにも絶望的な状況が、
『はあああぁぁぁぁ!』
ひっくり返されてた。
◇
SIDE:千冬
「はあああぁぁぁぁ!」
振られた一撃をいなし、カウンターを決める。
「甘い!」
自分の斬撃だ。
どこから、どうやって、どのタイミングで振るのはわかっている。
「無駄だッ!」
『雪片』を弾き、偽暮桜を守勢に追い込む。
これで終わりだ。
「私の!」
偽暮桜のガードを上から強引に押し潰す。
「生徒から!」
体勢が崩れた所を狙い、『雪片』を弾き飛ばす。
「出ていけぇぇーっ!」
偽暮桜に唐竹割りを決める。
すると、
「ラウラ⁉︎」
黒い闇の中からラウラの身体が見えた。
刀を放り、その身体を掴む。
「ラウラ!しっかりしろ!」
身体の方に傷はなさそうだが、早く医務室に運ばなければ!
ドロォ…
「クッ…」
しかし、ラウラを取り込んでいた闇が、再度取り込もうとこちらを取り囲む。
マズイ。武器はさっき捨ててしまったし、そもそも両手が塞がっている。
ドロォ…
「……」
ギャウッ
カァオッ
『早く逃げて!』
『千冬姉ぇ!』
どうしようかと思っていた時、二本のレーザーが闇を貫いた。
穴の中からは、一夏とオルコットがレーザーライフルを構え、避難を促す。
「すまない!」
二人が作った穴から脱出し、ラウラを教師部隊の一人に渡す。
向き直ると教師部隊の一斉射によって崩れていく闇があった。
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トーナメント七日目 医務室
SIDE:ラウラ
「う、ぁ………」
ぼやっとした光が降りているのを感じて目を覚ます。
「気がついたか」
敬愛してやまない教官の声を聞き、思わず飛び起きようとする。
「グッ…」
「全身に無理な負荷がかかったことで筋肉疲労と打撲がある。
しばらくは動けん。無理をするな」
どうして私はここに…
『より強い力を欲するか……?』
思い出した。
あの声に全てをくれてやったのと同時に意識を失ったのだ。
「何が……起きたのですか……?」
痛みを堪え上半身を起こし、教官を見つめる。
「重要機密なのだが…VTシステムは知ってるな?」
「はい…」
VTシステム。
正式名称はヴァルキリー・トレース・システム。
過去のモンド・グロッソの
だが、VTシステムはIS条約で現在どの国家、組織、企業において研究、開発、使用の全てが禁止されていたはずだ。
「そのVTシステムがお前のISに積まれていた。巧妙に隠されてな」
「…………」
言葉が出ない。
自分に語りかけて来たのはそのシステムだったとは。
「操縦者の精神状態、機体の蓄積ダメージ、そして何より操縦者の意志……いや、願望か。
それらが揃うと発動するようになっていたらしい」
ああなるほど。
あの時の私は織斑一夏を潰すことを心から望んだ。その結果か。
「…ボーデヴィッヒ」
「…はい」
教官が神妙な表情で口を開く。
「すまなかった」
「え……?」
出てきたのは、謝罪だった。
「今回のお前の一件は、お前に”暴力”だけを教え込んだ私の責任だ。
謝らせてくれ」
目に涙を浮かべながら私に頭を下げる教官。
違う。私は、あなたを、
「ち、ちが…」
「ボーデヴィッヒ」
「教官…」
自分の否定も呼びかけに遮られる。
「”教官”として最後の命令だ」
「……」
「
「教…官…」
「
「はい…ごめん……なさい…
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トーナメント七日目 医務室前
SIDE:一夏
「はい…ごめん……なさい…
「……」
医務室の中の様子を見てドアを閉める。
この場に自分が行くと言うのは、余りにも無粋だ。
「入らないの?」
「あ、会長」
時間を持て余し、ボーッとしていると前から会長がやってきた。
「それで、どうでした?」
「…『ラウラ・ボーデヴィッヒなる者は我がドイツに存在しない。
VTシステム?それはボーデヴィッヒが勝手につけたものだろう』ですって…」
「ふーむ」
トカゲの尻尾切りか。まぁ珍しい事でもあるまい。
「……その割には随分と嬉しそうな顔じゃない」
「…あれ見てくださいよ。いい顔してるじゃないですか」カララ
「…そうね」
医務室の中には互いに泣きながら笑う千冬姉とボーデヴィッヒがいた。
「姉が成長して嬉しくない訳ありませんよ」
「ッ!……そう、ね」
「……?」
『姉』と言う単語を聞いた瞬間、会長の声が震えるの感じた。
『織斑一夏…私はあなたを許さない…』
(もしかして…)
なにかが、繋がった気がする。
後で、のほほんさんに聞いてみよう。
[MISSON03 COMPLETE]
次回、新章突入