ISVD〜Infinite Stratos Verdict Day〜 作:高二病真っ盛り
織斑邸
SIDE:一夏
「えっと、ISの世代毎の違いは…」
帰宅から3日後、俺はISの事を勉強していた。
あれから色々あった。それこそ千冬姉が散らかした家の掃除より大変なことが。
『一夏、その腕輪は何だ?』
『気づいたら付けてた』
この世界に帰って来た時に付けてた謎の腕輪。外せないので調べてもらうとISの類いだとわかり、それと同時に俺にIS適性があることが判明した。
謎のISと世界初の男性操縦者、科学者達はこぞって調べようとしたが、『深く調べようとしたり、外そうとしたら一夏ごと死ぬ(意訳)』というメッセージが謎のISに表示されたため断念された。
千冬姉は俺の身を守るためにIS学園への入学を提案、俺はそれを承諾し、そして明日の入学試験のために現在ISの事を勉強している。
千冬姉は『政府は知識を期待していない、男性操縦者と謎のISのデータを取りたいのだろう』と言ったが学んで損はあるまい。
(ACよりは安全そうだな)
そもそもIS(正式名称「インフィニット・ストラトス」)とは「宇宙空間での活動を想定し、開発されたマルチフォーム・スーツで開発当初は注目されなかったが、「白騎士事件」によって従来の兵器を凌駕する圧倒的な性能が世界中に知れ渡ることとなり、宇宙進出よりも飛行パワードスーツとして軍事転用が始まり、各国の抑止力の要に移っていったものである。間違っても背後にジェネレーターが付いてたりするような動く棺桶ではない。
(そして最大の特徴にして欠陥がこれか…)
前述したISには兵器としてはあってはならない二つの欠陥がある。
まず一つは『女にしか動かせない』である。これにより各国は女性優遇制度を導入、女尊男卑の世界が生まれた。操縦者を選ぶ兵器は代替性に欠け、戦場に配備するのに躊躇いが生じる。それでは本末転倒だ。無論、数十機で国家を解体できるなら別だが…ん?
(何で数十機とか国家解体とか浮かんだんだ?)
まあいいか、もう一つの欠陥は『量産出来ない』である。これはもう言うまでもあるまい。現在ISの核たるコアの総数は467個、俺のを含めりゃ468個。これだけだ。
その他の詳しいことはブラックボックスになっており、解析は進んでないらしい。よくまあ使おうと思ったな。
(いや、
俺が戦った時代でこそ財団の解析で量産されてたが、それより前は発掘品をそのまま使ってたらしい。発掘品の癖に整備で動くのは聞いて驚いた…あふぅ。
(クソ眠い…寝よう)
明日からはルートを間違えればモルモットかホルマリンのデスゲーム(リセット不可)である。生きねば。
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試験会場への道中
「お〜れ〜は〜い〜ちか♪」
行方不明になっていた間のことは千冬姉には整理がついてから話そうと思う。
そもそも異世界に言ってた等どう話せばいいのかわからない。
その旨を千冬姉に伝えたら、了承してくれた。ゴメン千冬姉、心配かけたのに。
「ぶ〜ん♪ぶ〜ん♪…ん?」
「織斑一夏さんですね?案内します」
「はーい」
係員に案内されてピットに到着。
男性用の特注ISスーツに着替え謎のISを展開…どうやって?
「背中を預けるように、座る感じで良い」
見送りに来てくれた千冬姉の忠告に従ってみる……うんともすんとも言わない。
薄々感じていた心当たりを試してみる。
(オペレーティングシステム、起動準備)
【おはようございます。メインシステム、パイロットデータの認証を開始】
【メインシステム、通常モードを起動 作戦行動を開始】
【あなたの帰還を歓迎します】
思わず頭を抱える。
そうじゃないかとは思ってた、帰って来た時に周りになかったし。
だがどうして信じられよう、
ACが、ISになっていると。
「どうした一夏、気持ち悪いのか?」
「いや…大丈夫」
(装着)
【了解しました】
謎のIS、いやACを装着する。
教科書には感覚がリンクするとあったが、思ったよりその感覚がない。
「
真っ白な機体を眺めた研究者が呟く。たしか全身装甲が採用されてるのは大分初期か軍用くらいだっけ。
「一夏」
「何? 千冬姉」
「アリーナにいるのは元代表候補生でIS学園の教師だ。負けても悔やむことはない」
「……」
動かしたばかりの素人と元とはいえ国家代表候補クラスの玄人、勝敗は明確だろう。
「分かった、負けるつもりで行ってみる」
「バカモン、勝ちに行け」
「ハーイ♪」
苦笑する千冬姉を尻目にカタパルトに着く。
入学試験が、始まった。