ISVD〜Infinite Stratos Verdict Day〜 作:高二病真っ盛り
『最近気付いたが、量子変換されてるお陰か、ハンガーの重量を気にしなくてもいいのだ』
トーナメント七日目 第三アリーナ
『それでは、バトルスタート!』
『織斑…一夏ァァーーッ!』
キーン
試合開始のアナウンスとほぼ同時にラウラがレールカノンを放つ。
それを躱した一夏とセシリアは互いに目配せして二手に分かれる。
◇
SIDE:箒
「セシリア…オルコット…」
『怖い目で睨まないでくださる?』
ボーデヴィッヒが一夏を追うのを見て自分も追おうとするとオルコットが立ち塞がる。
「……」ギリッ…
刀を正眼に構える。
昨日の戦いで、コイツの目立った弱点は全て無くなったのは知っている。
だが、それで戦い方をホイホイ変えられる程、私は器用ではない。
『準備はよろしくて?』
近付いて、斬る。
それだけだ。他はいらない。
「ああ、いいぞ」
さぁどこから撃ってくる?
『それっ!』
プシュ〜
「!煙幕⁉︎」
身構えていると、オルコットが煙幕弾を投げた。
消える視界に一瞬焦るがすぐに平静を取り戻す。
(落ち着け…どこから撃ってくる…)
『デュランダル!』
「そこか‼︎」
ビュン‼︎
展開時の掛け声がした方向に斬撃を放つ。
しかしー
ギャウッ
『かかりましたわね!』
「グウッ⁉︎」
実際に声が飛んできたのは、後方だった。
どういう訳だと斬った方向を見るとそこには
「な…」
思わず絶句する。
自分の武器にそんな細工をするなんて。
『終わりですわ』
「クッ…」
オルコットがレーザーライフルを構える。
多方からのレーザーを避ける術も無く、私は撃墜された。
◇
SIDE:一夏
『どうしたぁ!教官の弟だと言うなら、撃ってこい‼︎』
ボーデヴィッヒの言葉を無視して、回避行動を続ける。
さて、そろそろかな?
『篠ノ之箒 シールドエネルギー エンプティ!
残るはラウラ・ボーデヴィッヒ一人となりました!』
『待たせましたわね』
ようやく、セシリアのご登場だ。
敵方の動きが止まったので、左手の
『ああ、それと…二度とセロテープは使いませんわ』
えー、いい作戦だと思ったんだけどな、録音機作戦。
『…貴様に用は無い。失せろ』
『あら?タッグ戦で相方を助けるのは当然ですわよ?』
さて、これで二対一だ。
『そうか…ならば、貴様も潰してやる‼︎』
キーン
放たれたレールカノンを避け、すれ違う形で
『無駄だっ!』
ボーデヴィッヒに当たりはしたが、気にすることなくワイヤーブレードを放ってくる。
だが、その武装は準決勝で見せている。ハイブーストを繰り返し全て避ける。
『おーっとぉ、これは
いえ、只の連続ハイブーストです。
『ハッ、そんな曲芸でAICが躱せるか!』
俺をAICで捕らえんとボーデヴィッヒがこちらに向かってくる。
『デュランダル!』
『無駄だ!』
セシリアが双剣の一本をボーデヴィッヒに向かって投げるが、片手間のAICで止められる。
だが、
ドガァァン
『グアッ⁉︎』
同時に飛んできた『
『ハアァァァ!』
落ちていく剣を掴み、双剣でセシリアが斬りかかる。
斬撃を両手のレーザーブレードで受け止めるボーデヴィッヒ。
『今ですの!』
セシリアの合図を受けてフルチャージして置いた
セシリアは
『グウウゥッ!』
『まだ終わりではありませんわ!』
左手を再度プラズマガンに切り替える。
セシリアの『スターブレイズ』と『ブルー・ティアーズ』が、
俺の『
『貴様…』
(! セシリア!)
手負いの獣になってきたのに気づき、セシリアにコア・ネットワーク通信で指示を出す。
(なんですの?)
(今から、俺の言うタイミングで撃って)
(わかりましたわ)
快く了承するセシリア。
ホント、いい友達を持ったものだ。
『きぃぃさぁまぁぁぁぁ!』
(今だ!)
レーザーブレードを構え、こちらに
瞬間、ボーデヴィッヒの顔は驚愕に染まった。
それもそのはず、
それはつまり、加速に使うのは外部のエネルギーでもいいということだ。
そしてセシリアは、俺の言うタイミング通りボーデヴィッヒの後部スラスター翼に
今のボーデヴィッヒは10のつもりで力を入れたら15の力が出ている状態だ。
無論、想定していた飛距離も速度も飛び越しただろう。
ガィィン
そして、軽二の軽さを補って余りある相対速度を纏い、
派手に吹っ飛んだボーデヴィッヒはアリーナの壁に叩きつけられた。
『けっちゃぁーく! ラウラ・ボーデヴィッヒ、シールドエネルギーエンプティ!
学年別トーナメント一年生の部。優勝は
ワアアアァァァァ!!
『…やりましたわね。わたくし達』
「…ああ。俺たちの勝利だ」
これで、あの噂も効力を失った。
セシリアも代表候補生の地位を守れた。
「…セシリア」
『なんですの?』
「ありがとう」
『…こちらも、ですわ』
次回、お察しのアレ登場。