ISVD〜Infinite Stratos Verdict Day〜   作:高二病真っ盛り

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無銘を出すと言ったな?
あれは嘘だ。

現在の一夏
HEAD:Rafale Revive
CORE:Rafale Revive
ARMS:Rafale Revive
LEGS:Rafale Revive
R ARM UNIT:IS blade
L ARM UNIT:
HUNGER UNIT:heat pile


03ー09 慈悲なきパイル

トーナメント六日目 第三アリーナ

 

『さぁお待たせしました。学年別トーナメント一年生の部、決勝トーナメントを開始します!』

 

ワアアアァァァァ!!

 

『それでは、決勝トーナメントのルールを説明します』

『各ブロックの優勝組と準優勝組を二グループに分けてのトーナメント戦を行い、それぞれのグループ優勝組同士で決勝戦を行います』

『グループ分けは、ACブロック優勝組とBDブロック準優勝組がAグループ。

BDブロック優勝組とACブロック準優勝組がBグループとなります』

『尚、試合時間はトーナメントは四十分、決勝戦と三位決定戦は六十分です』

 

ワアアアァァァァ!!!

 

『今までの激戦を勝ち抜いてきた猛者たちは、はたしてどのような試合運びを見せるのか!まもなく、バトルスタートです‼︎』

 

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トーナメント六日目 アリーナ廊下

SIDE:一夏

ワアアアァァァァ!!!

「やっぱこの歓声には慣れないなぁ…」

「あれだけ暴れて何を言うんですの」

 

十分後に試合を控えた俺たちはピットに向かっていた。

 

「あ…オリムー…」

「あ、のほほんさん」

 

歩いていると次の対戦相手ののほほんさんに出くわした。

様子から見て、トイレの中の相方待ちなのだろう。

 

「次の試合、お手柔らかに頼むよ」

「あ、うん…」

「「……?」」

 

どうにものほほんさんの様子がおかしい。

セシリアも気づいたようだ。

 

「なんかあったんですの?」

「う、ううん。なんでもないよ!」

 

おかしい。のほほんさんが語尾を伸ばさない。

 

「ホントに大丈夫?保健室行く?」

「だ、だから平気だって…」

 

ガチャ

 

「ゴメンネ本音。待たせちゃっ…て…」

 

そんな時、のほほんさんの相方がトイレから出てきた。

更識簪。会長の妹にして日本の代表候補生、そして四組のクラス代表だ。

 

「織斑…一夏…」

 

彼女の眼が俺を捉え、丸くする。

そして、その眼はすぐに憎悪に染まった。

 

「ッ!」ビュン

「っ!」タンッ

 

彼女のビンタをバックステップで躱す。

え、何?どういうこと?

 

「……」

「かんちゃん…」

「織斑一夏…私はあなたを許さない…」

「かんちゃん!」

「行こう、本音」

「…うん。ゴメンネ、オリムー」

 

立ち去る二人を俺たちは、ただ呆然と見送るしかなかった。

 

「なんでしたの…今の…」

「わからねぇ…」

 

更識は『許さない』と言った。

だが、俺に心当たりがない。

 

「……」

「一夏さん」

「ん?」

「次の試合。作戦がありますわ」

 

考え込んでいるとセシリアが提案してきた。

 

「わかった、聞くよ」

 

とりあえず、今は試合に集中だ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

トーナメント六日目 生徒会室

SIDE:楯無

『それでは!ピットインをお願いします!』

 

画面の中のアリーナに入場する二組を見て複雑な気持ちになる。

 

「簪ちゃん…」

 

口から漏れた言葉は虚しく空気と消えた。

 

『それでは!バトルスタートです‼︎』

 

自分の気持ちの整理もつかぬまま、試合が始まった。

 

『おーっとぉ!一夏の特攻だー!』

 

相も変わらずラファールの織斑君が右手の近接ブレード一本で簪ちゃんに突撃を仕掛ける。

 

あまりにもミエミエな突撃に、簪ちゃん呆れながら構えたその瞬間だった。

 

ギャイン

『っ!』

 

なんということか。

今の今まで静観を決め込んでいたオルコットさんが、簪ちゃんにレーザーを放ったのだ。

 

『くっ…』

 

なんとか避けた簪ちゃん。

だが、瞬間加速(イグニッションブースト)を使ったであろう織斑君が、いつの間にか左手に展開したパイルバンカーと共に簪ちゃんの懐に潜り込んだ。

 

『あっ…』

 

無論、避けられる訳も無く土手っ腹にパイルバンカーを打ち込まれる。

 

『か、簪。シールドエネルギーエンプティ!』

 

この間僅か三秒。

たった三秒で国家代表候補生を二人は堕とした。

 

『さぁ残った本音!ここからどう出る?』

 

「……」

 

その後、逆転劇など無く、本音も堕とされた。

私は、呆然とするしかなかった。

妹の負け姿も、悪魔のような織斑君も全部夢だと思いたかった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

トーナメント六日目 控え室

SIDE:一夏

「お前って、意外と容赦無いよな…」

「今さらですの」

 

着替えたセシリアと控え室で談笑する。

今回の容赦無い作戦はセシリア立案だ。

以下、立案風景。

 

『今までの試合で少なくとも一夏さんがラファールの時には、わたくしは手を出さないと思われてますわ』

『今回はここを突きますの。

まず、一夏さんが近接武器で突撃、身構えた相手にわたくしがレーザーを放ちますわ』

『そうして動揺した相手をパイルバンカーで屠りますの。

最低一機、良ければ二機とも堕としてくださいまし』

 

以上。いやーエグいエグい。

 

「ところで、一夏さん。どうしますの?」

「何が?」

「更識簪のことですわよ。貴方、何をしたんですの?」

「何をって…何もしてねーよ」

 

そもそも、面識に関しても今日初対面の相手なのだ。

どこで恨みを買ったんだ?

 

「まぁ、後で会長に聞くさ。それよりも…」

「それよりも?」

「鈴を倒すための作戦会議だ。次は無銘(ノーネーム)を使う」

 

次の対戦相手は鈴だ。

これは気を引き締めなくっちゃな。




次回、ホントのホントに無銘起動。

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