ISVD〜Infinite Stratos Verdict Day〜   作:高二病真っ盛り

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03ー07 交錯する真想

放課後 廊下

SIDE:一夏

「あっさり〜しっじみ〜メッガロドン〜♪」

 

放課後、俺は職員室で所用を済ませてアリーナに向かっていた。

 

「なぜこんなところで教師など!」

「やれやれ…」

 

…曲がり角の先から織斑先生とボーデヴィッヒの声が聞こえてくる。

 

「何度も言わせるな。私には教師としての役目がある。それだけだ」

「このような極東の地で何の役目があると言うのですか!」

 

ボーデヴィッヒが織斑先生に文句を言い放つ。

 

「お願いです、教官。我がドイツで再びご指導を。ここではあなたの能力は半分も生かせません」

「ほう」

「大体、この学園の生徒など教官が教えるにたる人間ではありません」

「なぜだ?」

「意識が低く、危機感に疎く、ISをファッションか何かと勘違いしている。そのような程度の低いものたちに教官が時間を割かれるなどー」

「ーそこまでにしておけよ、小娘」

「っ………!」

 

織斑先生の怒気に気圧されてボーデヴィッヒが後ずさる。

しかし、まぁ、よくもここまで千冬姉に執着するものだ。

 

「少し見ない間に随分と偉くなったな。十五歳でもう選ばれた人間気取りとは恐れ入る」

「わ、私は…」

 

家を掃除した時にわかったけど、千冬姉の好みはアー○ルド・シュワルツェ○ッガーだ。

もし千冬姉を貰ってくれるシ○ワちゃんがいたら、一報入れて欲しい。

 

「さて、この話はここで終わりだ。下がれ」

「…………」

 

しょーもない事を考えていると、ボーデヴィッヒが無言で立ち去った。

さて、俺もアリーナに行きますかね。

 

「…いるのだろう?一夏」

「さらっと気配感知しないでよ。千冬姉」

 

こちらも立ち去ろうとしたら、千冬姉から制止の呼びかけが入った。

 

「なあ、少し時間いいか?」

「まぁ、十分ぐらいなら」

 

 

「と、いうわけなんだ」

「ふーん」

 

千冬姉の口から語られたのはボーデヴィッヒの出自だった。

 

・ラウラ・ボーデヴィッヒは遺伝子強化試験体(アドヴァンスト)として生み出された試験管ベイビー。

 

・最強の軍人として君臨していたが、IS適合率を高めるために移植したナノマシン『越界の瞳(ヴォータン・オージェ)』との適合に失敗。以後、最強の立ち位置から堕ちる。

 

・しかし、ドイツで教官を行った千冬姉の教導で再び最強の軍人に君臨する。

 

「その後、自分を最強に戻した千冬姉に心酔して現在に至る…と?」

「ああ」

 

驚かなかった訳ではない。

ぶっちゃけ、もっと()()なモノを見てきたので感動が薄いのだ。

 

『恐れるな、死ぬ時間が来ただけだ』

『その予定はキャンセルだ。傭兵』

『これが使命だからな』

『ンッフッフッフッ』

 

おうお前らだよ。わかってんじゃねーよ。

 

「で?千冬姉はそれを俺に話してどうするの?」

「一夏、お前にラウラを助けて欲しい」

 

……だろうね。予測はしてた。

 

「あいつは、『最強(むかし)の私』に囚われている。

きっと、『教師(いま)の私』の言葉に耳を貸してはくれないだろう」

「……」

「身勝手なのは重々承知だ。だが…」

「千冬姉、」

「ん?」

「悪いけど、その頼みは聞けない」

 

俺に受ける気など、ない。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

二週間半後 第三アリーナ

 

『皆様!大変長らくお待たせしました!』

『これより!学年別トーナメント、一年生の部を開始します!』

 

ワアアアァァァァ!!

 

アナウンスの軽快な声にアリーナの観客席全てが沸き立つ。

IS学園の副収入源『抽選制の観戦チケット』に幸運にも当たった各国の人々の声だ。

 

『それでは、今大会のルールを説明します』

『百二十人、六十組を四つのブロックに分け、五日間で予選トーナメントを行います』

『その後、各ブロックの優勝組と準優勝組。総勢八組で二日間の決勝トーナメントを行います』

『試合時間は予選は三十分、決勝トーナメントは四十分、決勝戦と三位決定戦は六十分となっております』

『申し遅れました。わたくし、放送部二年生のアルテミスです!』

 

ワアアアァァァァ!!

キャーアルテミスセンパーイ

 

そうして、各々の思いと願いが詰め込まれたトーナメントが開催された。

 

「フン、篠ノ之といったか?期待はしとらん、精々足掻け」

「ボーデヴィッヒ…貴様…」

 

ある者は、今日決められたペアと組み。

 

「頑張ろうね、鈴!」

「優勝するわよ。ティナ!」

 

ある者は、ルームメイトと共に優勝を夢見て。

 

「織斑一夏…私の打鉄を奪った人…」

「か、かんちゃん…」

 

ある者は、憎悪を燃やし。

 

「如月…私達勝てるのかしら?」

「やるっきゃないわよ。鷹月」

 

ある者は、不安を抑え。

 

願望も切望も、希望も絶望も、自信も不安も等しく飲み込まれていく中、主人公チーム(一夏とセシリア)はというと…

 

 

アナウンス中 ラウンジ

 

「お〜い、セシリア。こっちこっち。で、何番だった?」

「Cブロックの七番ですわ」

「ラッキーセブンに上品(Chic)とはまさに俺たちだな」

「貴方は災厄(Calamity)でしょう」

 

仲良く茶をしばいていた。

 

「…それで、本当にやるんですの?」

「そりゃやるさ。そうじゃないと意味がない」

 

呆れた様に苦笑するセシリア。

そんなことを構わずに一夏は笑っている。

 

「正気とは思えませんわ。対専用機以外で、無銘(ノーネーム)を使わずにラファールを使うだなんて」

「でも、効果は抜群だろ?」

「はあぁぁ…」

 

なんというアホだろう。

この男は『自分は専用機に頼らずとも強い』事を見せるために対専用機戦以外では自身の専用機を使わないというのだ。

 

「ま、危なくなったら援護射撃程度はしてさしあげますわ」

「援”誤”射撃は止めろよ?」

「誰がしますか」

 

『それでは!Aブロック一回戦と、Bブロック一回戦を行いたいと思います!』

 

「……始まるな」

「ええ」

 

二人が観るモニターに映し出されているのはBブロック一回戦のラウラ&箒とルーシー&ジェニーの光景だった。

 

『『世に平和のあらんことを』』

 

「「なんだこいつら…」」

『『なんだこいつら…』』

 

偶然にも倒すべき敵と感想が被った。

 

『それでは!バトルスタートです‼︎』




全国のルーシー&ジェニーさんごめんなさい。

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