ISVD〜Infinite Stratos Verdict Day〜   作:高二病真っ盛り

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構想当初のセッシー

セシリア「さすが一夏さん!」

構想当初の山田先生

真耶「ふふ、千冬さん。千冬さん。千冬さん―」


どうしてでしょうね?


03ー06 目標を定めて

早朝 第二アリーナ

SIDE:一夏

カタカタカタカタ

 

「うーん。やっぱり、改良点は多いな」

「…たった二時間の模擬戦でわかる改良点というのもどうかと思いますわ」

 

ボーデヴィッヒとの騒動の翌日。

俺とセシリアは早朝からアリーナを借りてAEOSの試運転をしていた。

 

俺が開発した自動子機管制システム、AEOSの主な目的は『オルコットの負担を減らす』ことにある。

 

聞くにセシリアはブルー・ティアーズのビットを始めから全部制御するように訓練していたらしい。

これを日常に例えるなら、『自転車を補助輪無しで練習する』に等しい事だ。

だからこそ、俺は補助輪(AEOS)を用意した。自らのアーキテクトとしての知識と経験を生かして。

 

「とりあえず、応用オペレーションの目処は立ったな」

「ですわね。あら?もうすぐ、八時ですわ」

 

とはいえ、AEOSもまだ万能ではない。そもそも、ビットとUNACでは基本が違う。

いってしまえばAEOSは、『対一人用』『対近接用』『対軽量機用』などのオペレーションをセシリアが使い分けるだけのものだ。

当然、使い物にするためにはこれから何戦も行い、データを集めて成長させなくてはならない。

 

「時間ないし、食堂行こうぜ」

「ええ、行きましょう」

 

しかし、セシリアはAEOSの成長の為に色々なタイプと戦いたいし、俺は色々なアセンを使って慣らしたい。

何戦も戦う事にデメリットは無いのだ。

 

「そういや、セシリア。大会終了後の甘い物、何が良い?」

「スイーツ版の満漢全席を所望しますわ」

「…太るよ?」

「ご心配なく。全部胸に行きますわ」

 

打倒、ラウラ・ボーデヴィッヒ。

目標の日まで、残り二週間半。

 

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朝 一年一組

SIDE:箒

「……」

 

現在午前八時二十分。私は誰よりも早く午前六時から教室で待機していた。

理由は一夏に自分とトーナメントのタッグを組んでくれるようにお願いするためだ。

昨日はシャルロッ・デュノアの件で話せなかったのだ。

 

(どう話を切り出そう…)

 

あの告白以来、一夏との距離は離れてばかりだ。

そして、その一夏にした告白が巡り巡って『優勝すれば一夏と付き合える』という噂にまで発展してしまっているのだ。

これはマズイと思い、こうして誘おうと思っているのだがー

 

「遅い…」

 

それにしても遅い。

いつもの一夏ならば、七時半には教室で駄弁っているはずなのに。

 

「あ〜オリムー。遅いよ〜」

「おはよう、のほほんさん」

 

来た。意を決して立ち上がる。

 

「一夏。ちょっと…」

 

言葉を言いかけて止まる。

別に臆した訳ではない。一夏の隣にいるセシリア・オルコットに止まったのだ。

 

「おはよう箒。なにか用?」

「……一夏。何故オルコットと一緒なのだ?」

「何故って…今度のトーナメントでタッグを組んだから、二人で朝練してたんだよ」

 

朝練?オルコットと?二人で?

なんで?何で?ナンデ?

 

「わたくしの諸事情と一夏さんの諸事情がかみ合った結果ですわ」

 

何故お前は一夏を下の名前で呼んでいる?そんなに仲良くなったのか?

 

「諸事情とは…なんだ?」

「話すと長くなるからえーと…互いに専用機持ちだから」

「っ!…そう、なのか…」

「えっとさ…その…ペア探し、頑張ってね」

 

同情にも似た視線を一夏が投げかける。

違う。()()()()()で私は悩んでるんじゃない!

 

「ちが…」

「お前ら、そろそろ座れ。SHRの時間だ」

 

しかし、言葉は千冬さんによって遮られた。

仕方がないので席に着く。

 

『互いに専用機持ちだから』

 

脳内に響くのはさっきの一夏の言葉。

専用機があれば、私はお前の隣に入れたのか?

 

「おい」

「……」

 

バァッン

 

「〜っ!」

「SHRは一日の予定を知らせる大事なものだ。真面目に聞け」

「…ハイ」

 

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昼休み 廊下

SIDE:セシリア

「セシリア‼︎」

「…なんですの?鈴さん」

 

後ろからの鈴さんの呼びかけに応える。

今の自分は、さぞウンザリした顔だろう。

 

「アンタ、一夏と組んだってホント⁉︎」

 

理由はこの鈴さんの質問だ。

一夏さんと組んだ事が周囲に知られた途端に根掘り葉掘りこういう風に聞かれ続ければ、返事もおざなりになる。

 

「本当ですわよ…でも、ちゃんと理由がありますわ」

「何⁉︎」

「…わたくしは代表候補生の地位、一夏さんは噂の阻止のために組んだだけですわ」

 

いったい、わたくし達に何を求めているのだろう。

自分と一夏さんはなんてことのない友達だ。そんなことを期待されても困る。

 

「そ、そっか…よかった〜」

「それに、友達の貴女が一夏さんのことが好きなのに、それを裏切る訳無いでしょう?」

「アハハ…」

 

大体、昔馴染みの鈴さんや篠ノ之さんならともかく、出会って二ヶ月でよく知らない相手(一夏さん)とどうして付き合おうと思えるのだろう。

 

「おーい、セシリアー。鈴ー。食堂行こうぜー」

「今行きますわー」

「うん、今行くー」

 

まったく関係ないですけど、一夏さん、ずっとチキン南蛮しか食べてないですの?

 

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五時間目 一年一組

SIDE:ラウラ

「目玉焼きには、醤油派ですか?ソース派ですか? ハイ、織斑君!」

「どちらでもいいんじゃないかと」

「その通り!どちらでもよろしい!」

 

(下らん…何故教官はこのような場所に…)

 

まったくもっての疑問だ。

ISをファッションか何かと勘違いしている生徒、生温い実力の教師、平和ボケした空気、どれをとっても教官に相応しくない。

 

「…先生。授業してください」

 

そして、織斑一夏。

教官の…弟。

 

『私はお前の思うような強い人間じゃない。弟一人守れないちっぽけな女だ』

 

否!断じて違う‼︎

 

教官にあのような顔をさせるものなど、教官の弟であっていいはずがない。

 

(今日の放課後にでも、教官を説得するしかあるまい)

 

教官の進むべき道は私が知っている。

ならば、教官に伝えなくてはならない。

 

それが、教官のためにもなるのだから。




アンケートをいつかしたいなあ。

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