ISVD〜Infinite Stratos Verdict Day〜   作:高二病真っ盛り

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この話の中の小ネタがわかる人いるかなぁ。


03ー03 学園案内

放課後 食堂

SIDE:一夏

「「ごちそうさまでした」」

 

食後の挨拶をして、食器を回収口に入れる。

ちなみに俺はチキン南蛮定食、デュノアは焼きうどんセットだ。

 

「説明するまでもありませんが、ここが食堂です。

メニューは4000種程ありますので、今度来る時は予め頼む物を決めておいた方がよろしいかと」

「アハハ…ゴ、ゴメン」

 

どうしてデュノアが謝っているのかというとメニュー決めに時間がかかり、後ろから文句を言われたからだ。

 

「いえ、伝えなかった私が悪いのです。まぁ過ぎた事ですし、学園案内、始めましょうか」

「うん!」

 

こうしてロマンもロマンスも無いデートが始まった。

しかし…これはデートになるのだろうか?

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

放課後 学園内

SIDE:シャルロット

「こちらが第一グラウンド、現在サッカー部とソフトボール部が使用してますね」

「凄い…」

「ただし注意事項があります。

IS学園の部活動は公式大会に出場できません。理由はお分かりですね?」

「IS学園の生徒が全員日本の所属になるから、でしょ」

「素晴らしい!正解です。この学園は法律上、南極と同じ無所属の土地ですからね」

 

高いテンションと丁寧な口調でクイズ混じりに説明するイッピー。

右手の資料を一切見ずにペラペラと喋る姿はまさに立て板に水だ。

 

「ですからー…ん?」

「あ、副会長!ボールを取って下さ〜い」

「やれやれ、運動は専門外なのですがねぇ。ヨイショ‼︎」

 

口では文句を言いながらも、ニコニコとボールを返すイッピー。

ありがとーとサッカー部の上級生は言葉を返した。

 

「時間もありませんし、次に行きましょう」

「うん」

 

 

「ここが剣道場です。おや、これはこれはジェリーフィッシュ部長」

「お〜う。ハンサムボーイ」

「誰?」

「この剣道部の部長、ジェニー・ジェリーフィッシュさんですよ。」

「箒の奴が、そそくさと部室に戻ったと思ったらお前さんかい」

「ええ、私ですよ。ああこちらは噂の男性操縦者です」

「……今日のハンサムボーイはずいぶん と、気持ち悪いじゃあないか」

「もしも〜し?私も、傷つく心はあるんですよ〜」

 

 

「ここが整備室です。ISに関する大体の事がここで行えます」

「イチカか…ほう、それが噂の」

「ああ、クローバー整備主任。ええ、噂の男性操縦者ですよ」

「よ、よろしくお願いします」

(何で仮面被ってるんだろう)

「ふむ…なるほど、興味深い。ところでイチカ」

「はい、なんです?」

「頭でも打ったか?」

「その反応は酷くありませんかね、レリアスさん」

 

 

「ここがカフェです。食堂がガッツリならこちらは小腹を、といったところです」

「は〜い。カフェへようこそ!二名様ですね。キャハ☆」

「……今日も、壮絶にフリッフリッですねぇ、奈々さん」

「ハイ!奈々はナウでヤングな十七歳ですから‼︎」

「…とりあえず、今日は案内なので入りませんよ」

「あの、副会長。そんなキャラを作って、体調が悪いんですか?」

「……奈々さん」

「ハイ?」

「ダッダーン」

「ボヨヨンボヨヨン……ハッ⁉︎」

「ではシャル。次に行きましょう」

「ま、待って下さい〜!奈々は永遠の十七歳です〜!」

 

放課後 廊下

SIDE:シャルロット

 

「……その敬語。キャラだったんだ…」

「ええ、作ったキャラですよ。ご不満ですか?」

 

正直に言えば不満だ。

なにか、誤魔化されている感じがして。

 

「誤解の無い様に言っておきますが、別に貴方を騙そうと思っていた訳ではありません。

ただ、私は貴方を警戒しなくてはいけない立場なもので」

 

その意見にはグゥの音も出ない。

だって、その警戒される目的を僕は持っているのだから。

 

(なにがキャラを作られて不満だ)

 

キャラを作って相手を騙すのは、僕自身が、彼に現在進行形でやっていることじゃないか。

身勝手にも程がある。

 

「…ゴメン」

「いえいえ、構いませんよ」

「「……」」

 

沈黙。会話が途切れてしまった。

 

「あ、副会長」

 

沈黙したまま廊下を歩いていると前方の上級生からイッピーに声がかかる。

 

「おや、どうしました渋谷(しぶたに)先輩」

「今度、部室に新しい花を買おうと思ってるんだけど、なにがいいかな?」

「う〜ん。生憎と花は詳しくないんですよ」

「そう…残念。その子は?」

「ああ、噂の子ですよ」

「ふーん。あんたが転校生?私は渋谷凛。よろしくね」

「よ、よろしく」

「じゃあね、副会長。そのキャラ、似合ってないよ」

「余計なお世話ですよ」

 

まただ。

彼がどこかに行くたびに、そこの上級生が決まって声をかける。

そして、その全員が彼に対しかなり友好的なのだ。

 

「皆と、仲がいいんだね」

「…今でこそ仲がいいですが、初めは私一人だったんです」

「えっ?」

「少し、語ってもよろしいですか?」

 

彼が、イッピーが語り始めたのは入学してから今までの経緯だった。

イジメを越えて犯罪そのものをぶつけてくる女尊男卑派。

自分を珍獣か何かのように見てくるミーハーな女子。

一部を除き、無いに等しいクラス内の居場所。

それでもめげずに副会長として人と関わり続け、ようやく得られた上級生達からの信用と信頼。

それでもなお、得られない同級生の友好的な感情。

 

「人は一人では生きられません。無論、私もです。

だから、私は、人との関わりを求めるのです。いざという時に助けてもらえるように。

いざという時に誰かを助けられるように」

 

ああそうか。

僕がイッピーを見た時に何故か惹かれた理由がわかった。

彼もまた、()()()()()()のだ。

 

偶々、妾の子に生まれた僕。

偶々、世界唯一になった彼。

僕達は、この学園に来る事を拒めなかった。

 

「同級生の子はどうするの?」

「仲良くなるのは諦めます。なので、今月末のトーナメントで優勝して、力を認めさせます」

 

だけど、彼は違う。

人脈を作り、実力をつけて現実(女尊男卑)に立ち向かおうとしている。

 

「……」

「どうしました?もうすぐ屋上ですよ」

「あ、うん…」

 

こんな気持ち言える筈が無い。

立ち向かえる君に、立ち向かえない僕が嫉妬しているだなんて。

 

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夕方 屋上

SIDE:一夏

「ここが屋上です。この学園一の告白スポットとして有名です」

「う、うん…」

「……」

 

(作戦その一。成功だな)

 

この学園の魅力を伝え「通いたい」と思わせること。

自分のやっていることは「罪深いもの」と思わせること。

 

当初予定していた事項のクリアを確認し、デュノアの方を向く。

 

「…シャル」

「何?イッピー」

「いえ、少しお話が」

 

さて、ここからが作戦そのニだ。

失敗は許されない。

 

「社長令嬢でありながら、妾の子として蔑まれる男装女子のお話です」

「⁉︎」

 

俺の言葉にデュノアが凍る。

 

さぁ、始めよう。




Q&A

Q上級生に常識人多すぎない?

A一年のうちに女尊男卑は矯正されますし、今年度はいっくんという起爆剤があるせいで事件が起こりまくってるだけです。

Q無銘どこにいった。

Aシャル編が終われば、過労死するレベルで戦ってもらいます。

QIS学園に告白スポットって…あっ(察し)

Aまぁ、そういうことです。

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