ISVD〜Infinite Stratos Verdict Day〜 作:高二病真っ盛り
SHR後 一年一組
SIDE:シャルロット
「と、言う訳で。こちらですデュノアさん」
「ハ、ハイ!」
目の前の
なにせ目の前にいるのは、世界唯一の男性操縦者であり、ついさっきまでドイツ軍人と睨み合いをしていた男なのだ。単純に怖い。
「ああ、そう硬くならないでくださいね。同じ男子同士、気楽に気楽に」
「う、うん…」
ニコリと音のしそうな笑顔でこちらの緊張をほぐす織斑一夏。
データ通りの優しいお人好しらしく、声色はとても優しい。
「では急ぎましょうか。男子の更衣室は、少々特殊なもので」
「わかった、僕の事はシャルって呼んでよ」
「わかりましたよ、シャル。ならば私の事はイッピーとお呼びください」
「イ、イッピー?」
……どうやら、データよりはかなりフランクな性格らしい。
しかし、自分が女だと怪しまれてはいないようだ。
重要な第一段階を無事クリアした事に心の中で胸を撫で下ろす。
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昼休み 食堂
SIDE:一夏
「あ〜疲れた〜」
「あんな気持ちの悪いキャラを作っていたら、疲れるに決まってますわよ」
午前の授業が終わり、デュノアと別れた後。俺は食堂でチキン南蛮定食を購入し、オルコットと鈴の三人で机を囲んでいた。箒?照れて何処か行ったよ。
ちなみにオルコットは日替わりBセット、鈴はチャーハンセットだ。
「気持ち悪いってどんな感じよ?」
「『おやおやオルコットさん。いかがなさいました?』こんな感じでしたわよ」
「待て、弁解させろオルコット。「気付いてますよ」ってアピールするためのあのキャラだったんだ」
だから気付かないあっちが悪いんだ。
我ながら気持ち悪いのはわかっている。
「うわぁ……」
「やめろ鈴。幼なじみに蔑まれて悦ぶ趣味はない」
クラス対抗戦の事件の縁でオルコットは鈴と仲良くなったらしく、その関係で俺とも交友を持った。
……やめろ。俺もオルコットもクラスで浮いている同士とか言うな。
「しかし、二人もデュノアの事を知らされてたなんてねぇ」
「ハッ、当たり前ですわ!我が英国の情報収集能力を舐めていらして?」
「だって、英国代表候補生が俺の入学試験の事を知らなかったんだもん…」
「あ、あれはですねぇ‼︎」
というか、告白の件でギクシャクした俺と鈴の中を取り直してくれたのがオルコットだ。
それになんだかんだコイツをいじるのは予想以上に楽しい。
「どうどう。そういや今日の模擬戦、良い連携だったじゃん」
「あー…あれね…」
「ハァ…」
今日の模擬戦とは、午前の授業で行われた山田先生VS鈴&オルコットの試合だ。
俺が半ば運ゲーで倒した相手を二人は連携で、余裕を持って倒したのだ。
それにしてはなにやら嬉しくなさそうだが。
「あのねぇ。私達は専用機持ち、量産機は圧倒しなきゃいけないの」
「そういうもん?」
「そういうものですわ…」
専用機>量産機のこの考えは、俺には理解出きない。
カタログスペックで勝敗が決まるのなら、俺は何回も死んでいるからだ。
大体ISの兵器としての歳は若いのだ。ならば、多数の人が乗る量産機の方が、自分で強くなる道を見つけなければいけない専用機の方より強くなりやすいのは当然だ。
キーンコーンカーンコーン
「あら、そろそろ昼休みも終わりですわね」
「うん…気を付けてね一夏」
「ああ」
鈴が心配そうな声で注意を促す。
……さて、どうするかね。
(確か箒や如月さん、それに上級生の人達も気付いていたな…)
あのスパイは近くに何処かの国が仕留めるだろうが、それでは遅い。
よっぽどのアホならともかく自分を狙うスパイと部屋が一緒なのは俺は嫌だ。
会長も、自分の伝手でデュノアの事を調べている。
一日で進展があるとは思えないが相談がてら聞きに行くのもいいだろう。
(あとはドイツ軍人か……)
デュノアの方が危険度は上だが、苛立たせ度はボーデヴィッヒの方が上だ。
とはいえ身元ははっきりしているので「何かあったら抗議」程度でいいだろう。
やはり目下の障害はデュノアか。
(最悪殺すか)
本当に”最悪”の時だが。
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夜 IS学園寮 1025号室
SIDE:シャルロット
「ハァ…」
部屋の中で一人ため息を吐く。
イッピー…じゃなくて織斑一夏は僕に部屋番号と注意事項を伝えて生徒会の方に行ってしまいずっと一人なのだ。
『たった二人の男同士、仲良くしましょう』
「…っ!」
悪意の無い笑顔で友好の言葉を述べる任務対象を思い出しズキリと胸が痛む。
あの優しい人を騙して、尚且つ危害を加える予定なのだ。痛まないほうがおかしい。
『いいか。絶対に織斑一夏の操縦者データか
『でも、あのISは外したら死ぬって…』
『フン、ハッタリに決まっている』
いや、危害を加えるどころじゃない。
最悪、彼を殺すのだ。
自分が殺人者になるかもしれない。
その予感は身震いを抑えることを許さなかった。
「ハァ…」
再度ため息。
行けど地獄、行かずとも地獄のこの状況でどうすればいいのだろう。
(助けて…母さん…)
ガチャ
「ああシャル。起きていましたか」
天国の母さんに助けを求めていると、イッピーが帰ってきた。
「おかえりイッピー、遅かったね」
「ええ。これでも私、副会長ですから」
まだまだ仕事があるのだろう。脇には大量の書類が抱えられている。
「ところでシャル。明日、なにかご予定は?」
「ううん無いよ」
「ああ、ならちょうどいいです」
「?」
ちょうどいい?何が?
「いえいえ、明日の半日授業を利用して学園を案内しようと思いましてね」
「えっ⁉︎」
「おや、迷惑でしたか?」
「ううん、嬉しいよ‼︎…ありがとうイッピー」
これは幸運だ。
あちらの方から交流を深める機会を作ってくれた。
「ふふ、喜んでいただけてなによりですよ。では、明日は食堂で」
「うん、おやすみ」
「ええ、おやすみ」
机に向かうイッピーに挨拶をしてベッドに入る。
(明日のチャンス、物にしなくっちゃ)
僕の意識は闇に沈んだ。
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夜 IS学園寮 1025号室
「フゥ…やっと終わったか」
織斑一夏は机の上の書類を片付けながら呟いた。
「…フフ」
そして、ベッドの中のシャルロット・デュノアを見て妖しげに笑った。
「まったく、憐れと言いますか、不幸と言いますか」
事情を知らない人からすれば意味不明の言葉を言いながらファイルに書類をしまう。
「ま、貴方が上手くやれば、明日にでも全て終わりますよ。
本来なら知らない筈の名前を口にしつつ、織斑一夏は自分のベッドに入った。
唐突なQ&A
Q原作じゃあ二人に警告されてなかったよ?
A普通に考えたらこうかな?と思った。
Qシャルがハードモード過ぎィ‼︎
Aガイアが俺に囁いたんです。だからガイアに言ってください(責任逃れ)
Qえっセッシー改心?
A改心経緯は後ほど、前にも言ったとうりヒロイン化はありません。