ISVD〜Infinite Stratos Verdict Day〜   作:高二病真っ盛り

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高二病「いっくんの精神衛生がヤベェ」

妹「いっそ闇堕ちで」

高二病「ダメに決まってんだろ」

今回の話は自分の文才のなさが良く現れています。


02ー12 自覚した罰

六月頭 五反田食堂

SIDE:一夏

「すいませーん」

 

そんなこんなで久しぶりの休日、別世界の黒い鳥からの挑戦状が届くこともなく、俺は親友の五反田弾(ごたんだだん)の実家『五反田食堂(ごたんだしょくどう)』を訪れていた。

 

「いらっしゃい……ボウズか」

「お久しぶりです。厳さん」

 

出迎えてくれたのは弾の祖父であり、『五反田食堂』の大将でもある五反田厳(ごたんだげん)さんだ。

 

「厳さん、ご心配かけてすみませんでした」

「その言葉は弾や蘭にいってやれ……ボウズ、お前いままでどこに行ってた?」

「すみません、それはちょっと…」

「…そうか」

 

また『それは言えない』か。

つくづく秘密の多い男だな俺は。秘密を羽織った所で、何になるわけでもないのに。

 

「座んな、ここは食堂だ」

「ハーイ。あ、これ家族でどうぞ」

「……お前ホントにあのボウズか?」

 

心配をかけたお詫びの品である煎餅を渡したら怪訝そうな顔をされた。

失礼だな厳さん。俺だって迷惑かけた人にお詫びするぐらいの礼儀は持ってる。

 

「なんにすんだ?」

「えっと…じゃあ『業火野菜炒め』を」

「あいよ」

 

注文して席に着く。厳さんがリズム良く野菜を切る音をBGMに店を見渡す。

お昼にはまだ早いようで、店内の客は俺一人だった。

 

懐かしいな…弾と一緒にバカやって千冬姉と厳さんにゲンコツ貰ったっけ…。

 

「なぁボウズ」

「はい?」

 

回想に浸っていると厨房の厳さんから声がかかる。

何だろうか?

 

「お前さん、何を悩んでんだ?」

「……!」

 

年の功、と言うのだろうか。

ファットマンや厳さんみたいに歳と一緒に苦労を重ねてきた人特有の雰囲気が俺に話さざるを得ない空気を作る。

 

いや、これはむしろちょうどいい。

もともとこの気持ちを一人で抱えない為にここにきたのだ。

吐き出すだけでも楽になるだろう。

 

「実は…」

 

 

「…なるほど、今ボウズは幼なじみ二人に告白されて且つ二人ともフリたいと言う訳か…」

「ハイ」

 

結論から言えば吐き出しても楽にはなれなかった。

今まで犯してきた事を”自覚した”罰なのだろうか、話せば話すほどに自分自身が最低な男だと再認識していく。

 

「ボウズ、どうしてお前は彼女や恋人を作っちゃいけないんだ?」

 

厳さんが質問する。

そんなの簡単だ。

 

「俺は世界唯一の男性操縦者です。そんな俺の彼女となると世界中から狙われます。

だからって、別れたとしてもその人はずっとその人じゃなくて『織斑一夏の元カノ』としてしか見られませんし。それに……」

「それに?」

 

延々述べたがこの次が一番の理由だ。

 

「俺、好きな人がいるんですよ。だから…その…」

「ぶっちゃけ困ると」

「…ハイ」

 

身も蓋も無いです。厳さん。

 

「なぁボウズ」

「ハイ?」

「お前さん、何か勘違いしてないか?」

 

勘違い?俺がなにを?

 

「お前さん『自分がフったから相手が泣いている』と思ってるんだろ?」

 

そんなの当然だ。

俺だってマギーがヘリを降りた時は悲しかった。

 

「あのなボウズ、誰が誰に惚れるのなんてそいつの勝手だ」

 

んなこと分かってる。

だから俺は鈴をフったんだ。

 

「いやわかってねぇ。『自分が惚れさせちまった』そういう思いでお前さんは全部背追い込もうとしている」

「……」

 

否定は出来ない。

確かに俺は全部背追い込もうとしていた。

だけどそれは惚れさせてしまった者としての当然のーー

 

「……あれ?」

 

自分の思考が矛盾している事に気付いた。

惚れた()の勝手なら、どうして惚れられた()が責任を感じてるんだ?

 

「今のお前さんは、他人の分まで責任をお負うとしてるだけだ。んなの贖罪通り越して自己満足でしかねえ」

 

鈴や箒が俺に惚れたのは二人の勝手で、俺は悩む必要なんてないのか?

 

「厳さん」

「なんだ?」

「俺は…悪くないんですか…?」

 

俺は罪悪感を抱える必要はないのか?

 

「まぁ良いとは言わねぇ。だがな、責任の大体は惚れた奴に有ると思うぜ」

「……」

 

結論が、出た。

いや、最初から出ていたのだ。

 

「何悩んでんでしょうね、俺」

「よくある修羅場だろ」

 

つまり、惚れた鈴や箒にこそ責任があって俺は気にする必要はない、ということ、織斑一夏です。

あと厳さん。修羅場がよくあっても困る。

 

「ただいま…‼︎一夏⁉︎」

「あ、弾」

「いいい一夏さんんん⁉︎」

「蘭、お久しぶり」

 

タイミング良く二人が帰って来た。

…そういや最初は弾に相談しようとしてたな。

 

「お、お前。生きてたのは知ってたけどなんで⁉︎」

「飯が食いたくなった」

「ホントに…ホントに生きてた…ウワァァァン」

「ちょ、蘭⁉︎」

 

なんかこうさっきまでの雰囲気が一気に消し飛んだ。

でも日常ならこんなんでいいんだと思う。

 

後から考えてみると次から次へと色んな事がありすぎて俺自身が限界だったのだろう。

 

突然の異世界からの帰還、突然の世界唯一の男性操縦者になる、突然の幼なじみとの再会、突然の保身に回らなければ生きられない環境。

 

色んな”突然”が積み重なってきたものが”突然の”鈴の告白で一気に崩れてきたのだろう。

 

(ただいま)

 

心の中で日常との再会を祝った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

夜 織斑邸への道

SIDE:一夏

「お〜れ〜は〜い〜ちか♪」

 

外泊許可を貰ってあるので家に帰ろうと道を歩く。

不思議と一歩が軽く、口から自然と歌が出る。

 

『おう、また食いに来い』

『絶対!IS学園に行きますから‼︎』

『また来てね〜』

『今度は鈴や数馬も呼ぼうぜ!』

 

帰り際に言われた言葉が頭の中に響く。

 

(寂しかったんだろーなー。俺)

 

自分を自分(織斑一夏)として見てくれる人が、こんなにもいた。

自分の心からの味方が、いた。

 

(思えば、()()()では孤独とは無縁だったなぁ)

 

常にそばにはファットマンやマギーがいた。

やはり俺には孤独がなによりの毒なのだ。

 

「ん?」

 

気配を感じ後ろを見やる。

 

「…!」

 

瞬時に構える。

覆面を被った誰かが右手のナイフと共に突進してきたのだ。

 

「死ね、織斑一夏‼︎」

 

言葉通りに死んでやる義理は無い。

あまりにも単調な銀光を躱す。

さて一体どこの手先だ?

 

「男のくせに…おとなしく死になさいよ‼︎」

 

正解発表ありがとう。 なるほど、女尊男卑の過激派か。

しかも声と体型から同年代。…もしかして同級生か?

 

「避けんじゃないわよ!」

 

嫌どす。(AA略

思えばこいつら(女尊男卑派)も俺のストレスの原因だったな。

……丁度良い。

 

「ヤァァァ‼︎」

 

大振りな一撃に合わせて脚を振り上げる。

瞬間、危険物(ナイフ)は過激派の手から飛んだ。

 

「えっ⁉︎ギャフッ‼︎」

 

呆然とした過激派の顔面にストレートを決める。

ふらついた過激派の髪を掴み、そのまま地面に叩きつける。

 

「グハッ」

「このまま帰って仲間に伝えろ」

 

こいつらと争えば問題になるからと思い、逃走だけで反撃はしなかったが、もう我慢の限界だ。

 

()()()()()()()()

 

殺す気なんだ、殺される気でもいろ。

男一人殺すぐらい()()なら楽勝だろ?

 

「ッ⁉︎」

「あばよ」

 

まったく、一つ解決したと思ったら次から次へと(One After Another)

気に入らないのなら来なきゃ良いのに。

 

 

 

 

[MISSON02 COMPLETE]




結論:一夏は開き直った。

そして第二章完!
やっとあの二人が出てきます!

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