ISVD〜Infinite Stratos Verdict Day〜   作:高二病真っ盛り

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書いている時の妹との会話


妹「財団とか主任のsiriボイスが欲しい」

高二病「『お前は人間じゃないのか』に『人間だよ?昔はねぇ』って返すsiri?」

妹「そうそう」


02ー09 お呼びじゃない

試合当日 第二アリーナ

SIDE:一夏

(流石の満席だな……)

 

英国と中国の代表候補生同士の戦いとあって、アリーナは全席満員。通路には、まばらに生徒が立って見ている事態である。

 

そんな最中、俺はドア付近で立ち見を決め込んでいた。

クラス席があるのに立ち見をしている理由は二つある。

 

「やっぱ……オルコットさん……ゃなくて…」

「織斑く……方……有名…」

 

一つは、あのギスギスした一組の空間に居たくないのだ。同じ理由で、のほほんさんや如月さんも立ち見だ。

恨むなオルコット、むしろ俺は止めた方だ。

 

【システム スキャンモード】

 

そしてもう一つは無銘(ノーネーム)の展開をあまり見られないためだ。頭部のみの部分展開とはいえ見られていいものではない。

 

何せ俺からすれば初めて生で観るIS同士の試合なのだ。見て盗み取れる事は多い、落ち着いて全てを観る為にこうして後方を陣取っているのだ。

 

(さて、まずオルコットのデータは……)

 

NAME:Blue Tears

KE:1134

CE:1326

TE:1287

R ARM UNIT:laser rifle(TE)

L ARM UNIT:

UNIQUE UNIT:blue tears(TE)

UNIQUE UNIT:blue tears(CE)

 

どうやら性能は前に実習で見た時と同じらしい。

オルコットの専用IS、ブルー・ティアーズの特徴的な点は、機体と名を同じくする第三世代型兵器『ブルー・ティアーズ』である。

 

『ブルー・ティアーズ』とは四機の自立起動型と二機の弾道型からなるビット状のそれを第三世代特有のイメージインターフェースを利用し、それぞれ別の動きと射撃を可能にするというものだ。攻撃属性はTEオンリー、イギリスはレーザー好きなのか?

 

(…んで。鈴の方は、っと……)

 

NAME:Syenron

KE:998

CE:1475

TE:1113

R ARM UNIT:blade(KE)

L ARM UNIT:blade(KE)

SHOULDER UNIT:ryuho(−−)

 

(龍咆?)

 

鈴のISは甲龍(シェンロン)というようだが、俺の関心は肩部武装の『龍咆(りゅうほう)』に向いていた。

無銘(ノーネーム)の解析によると、空間自体に圧力をかけて砲身を生成し、余剰で生じる衝撃自体を砲弾化して撃ち出す無属性の第三世代型兵器だそうだ。

 

これには驚愕した。何せハイパーセンサー等があるISにさえ有効な不可視性なのだ。目視に頼りがちなAC戦に十分な威力で持ってこられたら堪らない一品だ。

 

ちなみにまったく関係無いが、今解析を行ったスキャンモード、IS化によって対人性がアップしたらしく相手のバイタルや身長に体重、さらにはB(バスト)W(ウエスト)H(ヒップ)までスキャン出来るらしい。……最後のいるのかなぁ。

 

「隣をいいか?」

「ん?…いいよ」

 

くだらん思考にふけっていると隣に箒がやってきた。

立ち見に隣も何も無いとは思うが。

 

「どしたの?」

「いや……あの空気がな…」

 

どうやら箒もあの空間に居たくないらしい。ぶっちゃけるなら一組のクラス席の半分に他のクラスの女子が座っている。

日本に思い入れの無い外国人生徒や俺のような一部の日本人生徒はあの空気を嫌い立ち見をしているのだ。

 

「なぁ一夏」

「何?箒」

「今のお前、すごく間抜けだぞ?」

「……」

 

今展開しているHEADパーツはスキャン性能が高いKAGERO mdl.1だ。

つまり今の俺は、側から見れば人の頭の上にちょこんとアンテナが立っているという感じだ。

……うん、間抜けだ。

 

【システム 通常モード】

 

解析は終わったので無銘を待機状態に戻す。それと同時にアナウンスが響いた。

 

『両者、試合を開始してください』

 

合図のブザーと共に二人が動く。やはり先手を撃ったのはオルコットの方だ。

 

『踊りなさい!』

 

四機のビットを繰り、鈴に射撃を繰り出すオルコット。だが俺はここであることに気付いた。

 

(本体が動いてない…?)

 

ビットで鈴の動きを抑えてる間に本体であるオルコットが射撃をすれば、かなり有利なはずなのにそれをしない。

舐めプレイの可能性も考えたが、同じ代表候補生の鈴にするとは考えにくい。

 

つまりオルコットの『ブルー・ティアーズ』は本体とビットの同時攻撃が出来ないのだ。まぁ試作機だしね。

 

『負けるかぁ‼︎』

 

負けじと鈴も反撃に転じる。ほぼ無制限の射角を利用しアリーナを飛び回って回避と攻撃を同時に行っている。

 

だが、やはり鈴にも付け入る隙があった。

 

(攻撃する場所を見てるな……)

 

『龍咆』もまた射撃武器だ、着弾点を目視するのは当然だろう。だが、隠密性が売りの『龍咆』に着弾点を予想されるのはあまりにも痛い。

 

「つまり、お前が言いたいのはーー」

「どちらがより早くペースを握るか」

 

オルコットが鈴の弱点を見抜くが早いか、鈴がオルコットの弱点を見抜くが早いか。

 

オルコットが先に見抜けば、『龍咆』しか遠距離攻撃の無い鈴はただの的になる。

 

鈴が先に見抜けば、『龍咆』で思考を荒らし、オルコットをただの木偶に出来る。

 

「! 一夏!」

「!」

 

オオッと観客が沸き立ち、箒の言葉に俺は現実に引き戻される。

鈴が被弾覚悟で突っ込み、オルコットの苦手なショートレンジに潜り込んだのだ。

 

『イ、インターセプt』

『させない!』

 

オルコットのショートブレードを鈴が双剣で弾き飛ばす。最後の切り札である弾道型もこの至近距離では使えない。

 

『逃がすかぁー!』

『くっ』

 

鈴がここぞとばかりに双剣でラッシュを仕掛ける。レーザーライフルで攻撃を受けるが、オルコットの顔には苦悶の二文字があった。

 

「…決まったな」

「どこに行くつもりだ?」

「帰る」

「そうか」

 

生徒証をコンソールにかざしドアを開ける。

魅力的だったんだけどなぁ、デザートフリーパス。まぁ参考になったしいっか。

 

ズドォォォン

「「⁉︎」」

 

出口が混む前に帰ろうとした時、アリーナ全体に衝撃が走った。

それと同時に開いたドアが閉まり、ガチャリとロックがなされる。

 

「なんだ⁉︎」

『き、緊急事態です!生徒の皆さんは今すぐ避難してください‼︎』

 

アナウンスと同時にアリーナと観客席を隔てるシールドに物理障壁が張られる。

何が起こったのか知りたいが、山田先生のアナウンスに従い再度、生徒証をコンソールにかざす。

……が、反応は無い。

 

(アセンブルを変更。HEADをKAGERO mdl.1(スキャン重視)からH12 Swallowtail(ハック速度重視)に!)

 

HEADパーツを変更しコンソールに無銘(ノーネーム)をかざす。

ドアのロックを解除しようしているとコア・ネットワーク通信が入った。

 

『織斑、聞こえるか⁉︎今どこにいる!』

「三番ドア!今ハックして開けようとしている‼︎」

『開けれそうか?』

「勿論!」

『そうか、避難場所は体育館だ。そこに行くよう言ってくれ』

「了解!」

 

コンソールにかざしながら、後ろに振り向き叫ぶ。

 

「避難場所は体育館!(押さない)(駆けない)(喋らない)(戻らない)を守って逃げて!」

 

H12 Swallowtailがドアをロックしていたウイルスプログラムを発見し、破壊。

生徒証をコンソールにかざすと今度こそドアは開いた。

 

「待て、一夏!」

 

我先にと逃げようとする生徒をかわし出口とは別方向に向かう俺を箒が止めた。

 

「どこに行く気だ⁉︎」

「見回り。生徒会役員だしね」

「なら私も!」

「箒は逃げて!遮断シールドを突き破るんだよ、アイツ‼︎」

「だが…」

「いいから!」

「〜っ!わかった……」

 

箒が避難する生徒の波に入ったのを確認し、走る。

 

生徒がいなくなったのを確認して別ゲートから観客席に戻る。

目的は何が来たのか、それを探るためだ。

 

『システム、スキャンモード』

 

物理障壁で阻まれた視界をスキャンモードで見通す。アリーナの中にいたのは鈴とオルコットともう一機。

 

NAME:GolemⅠ

KE:500

CE:500

TE:500

R ARM UNIT:

L ARM UNIT:

W ARM UNIT:GolemⅠ(TE)

 

「ゴー…レム……?」

 

謎の未確認機が、そこにいた。




なんか、文がどんどん長くなってる……

次回、VSゴーレム

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