ISVD〜Infinite Stratos Verdict Day〜   作:高二病真っ盛り

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後編。ようやく書けた…


02ー08 華人娘襲来(後編)

SHR後 一年一組

SIDE:一夏

「どういうことよ!」

 

その後すぐにSHRということで鈴は教室に帰っていった。

そして、SHRが終わり次第再度乗りこんできた訳である。尚、何故か俺が怒られているが。

 

「どうしてあんたがクラス代表じゃないのよ!」

「どうしてって……自薦者がいたから譲ったんだよ…」

 

クイっとオルコットの方を指す。ギロリと睨み返された。おおコワイコワイ。

 

「自信も実力もあって、更には入学試験で教官を倒した実績付きだぜ?俺だって推薦するよ」

「あんただって教官倒してるって話じゃない。しかも初めて乗る初期状態の機体でっておまけ付きで」

「バッ、鈴⁉︎」

 

この状況では問題にしかならない発言が飛び出した。クラス内に波紋が生まれる。

あちこちで「やっぱり織斑君の方が…」とか「オルコットさんよりも…」とかがヒソヒソ聞こえる。嫌な空気だ。

 

「と、とりあえず続きは昼にしよう。食堂で待ち合わせでいいか?」

「? いいけど…」

「じゃあ一時間目の準備をするから、鈴も教室に戻ったら?」

「わ、わかったわよ……」

 

鈴が立ち去り、オルコットがこちらに来る。

 

「ちょっとーー」

「一夏、今のは誰だ?」

 

オルコットの言葉が箒に遮られる。ありがとう箒、なんか怒ってるけど。

 

「鳳鈴音、お前と入れ違いに転校してきた友達だよ」

「……友達の割にはずいぶんと嬉しそうだったな」

 

怒ってる原因はそれかい。俺はともかく、やきもち焼きは男に嫌われるぞ?

 

「そりゃまぁこの学園、知らない人だらけだからな。箒みたいに話せる知り合いってありがたいんだよ」

「そ、そうか……フフッ」

 

今度は頬を赤らめてる。この恋が失恋決定な事を考えると自分のイケメンフェイスが憎い。

 

(いったい俺はいくつのフラグを建てたんだ?)

 

Jでも主任でもいいから答えて欲しい。

 

『誰も彼も惚れさせる定めか……ンッフッフッフッ』

『いいじゃん、面白いよぉ〜ギャハハハハ!』

 

……(声的に)女のKやキャロルの方が適任かもしれない。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

昼休み 食堂

SIDE:一夏

「待ってたわよ、一夏!」

「悪いな鈴。授業が長引いた」

 

食券でチキン南蛮定食を買い、箒と共に鈴がとってくれた席に着く。ちなみに箒は焼き魚定食。鈴はラーメンセットだ。

 

「久しぶりだな。三年ぶりか。元気にしてた?」

「それはこっちのセリフよ。でも、元気みたいね……ところで」

 

鈴が箒をジッと見た。そして箒も見返す。

 

「一夏。この子、誰?」

「篠ノ之箒。ほら、お前と入れ違いに転校していった友達だよ」

「ふーん…よろしく」

「ああ」

「「……」」

 

何この修羅場。誰が作ったんだ?……俺か。

 

「……ねぇ一夏」

 

少し話すと鈴が耳を貸すようジェスチャーする。それに従い耳を貸す。

 

(何があったの?教えて)

 

当然、いなくなった三年間の事を聞かれた。

 

(……ゴメン。今ゴタゴタしてるからさ、整理がついたら千冬姉と一緒に話すよ)

(でも…!)

(お願い。頼むよ鈴)

(……わかったわよ)

「……話は終わったか?」

 

箒が少し悲しそうな眼で俺を見る。

 

千冬姉から行方不明の件を知らされている箒は俺達の様子で大体の事情を察したらしい。

 

「……食べようぜ。冷めるし」

「ああ」

「うん」

 

箸を割りごはんを頬張る。やはり、男子には少ない。

 

「「「……」」」

 

……会話が、続かない。

 

「そ、そうだ‼︎ 親父さん元気?日本に帰ってきたってことは料理屋を再開するのか? またあの料理を食べたいよ」

 

この微妙な沈黙をどうにかせねばと思い、やや早口で話題を出す。

しかし、

 

「あ……。うん、元気だとーー思う」

 

まさかの地雷を踏んだ。やっぱり俺にコミュ力無いわ。

 

「こっちからも、質問なんだけど」

「「?」」

 

俺のコミュ力の無さで拭えなかったどよんとした空気を変えるように鈴が話を切り出す。

 

「あのオルコット?って子。なんかクラスで疎まれてたけどさ、どういうこと?」

「あー。えっとな、教室で話した”自薦”が問題でさ…」

 

鈴に入学式の事を話した。

 

「うわぁ。そりゃ孤立するわよ」

「いじめられないだけ幸運じゃね?」

「わからんぞ一夏。女子のいじめは陰湿だからな」

「まじかよ」

 

難儀なもんだねと思う。会長によるとオルコットは先の発言の件で日本から抗議が飛び、英国政府からかなりきつく怒られたらしい。

 

「そんだけの大口叩ける実力なの?」

「わからん、オルコットが戦っている所を私達は見たことない」

「鈴の機体がどういうのかは知らないけど、戦うなら懐に潜り込めば楽だと思うよ」

「なんでよ」

「昨日の実習でさ、アイツ 近接武器を素人のやり方で出してたから」

 

無論、俺はしっかり無言で出せたが。

 

「ま、誰が相手でも明日の試合。あたし勝つから」

「おう頑張れ。明日は一組と当たらん限りは応援するぜ」

「健闘を祈る」

 

デザートの一口ゼリーを食べながら答える。個人的にはオルコットよりも鈴に勝ってほしい。

 

「で、でさ一夏」

「なんだよ」

「あ、あのさぁ。ISの操縦、見てあげてもいいけど?」

 

歯切れ悪く鈴が指南を申し出る。

 

「あー、うん。気持ちは嬉しいけど、間に合ってるんだよ」

「「え?」」

 

鈴と箒が驚く。そういえば箒にも話してなかったな。

 

「えっとな、ISの事は生徒会長から教わってるんだ。ほら、ロシア代表の更識楯無さん」

「そ、そう……なら、仕方ないわね…」

「な、ならば……仕方ない、な…」

 

納得してくれたようで何より。てかなんで箒まで残念がってんだ。

お前IS嫌いだろ!

 

「む?そろそろ昼休みが終わるぞ」

「そっか。じゃあ鈴!明日は頑張れよ」

「頑張る‼︎」

 

互いにビシッと決めて解散した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

翌日 生徒玄関前廊下

「フッ」

「どうした一夏。いきなり笑ったりして」

「いやなに箒。”運命”ってあるもんだなって、さ」

「確かにな」

 

生徒玄関前廊下に貼られた大きな紙。

 

『クラス対抗戦日程表』と書かれたそれによれば、一組の最初の相手はーー

 

鳳鈴音率いる二組だった。




次回 久々に無銘起動。

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