ISVD〜Infinite Stratos Verdict Day〜   作:高二病真っ盛り

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そんなこんなで伏線回。

別名場繋ぎ回。

ついでにこの回から独自色が強くなります。


02ー06 蠢くナニカ

??? ????

SIDE:???

「素晴らしい。それしか言いようが無い」

 

あのお方がモニターを見ながら呟く。

 

映っている映像は世界で唯一の男性IS操縦者 織斑一夏の入学試験のものだ。

 

「所詮はISを動かせるだけ…と思ったが、大きな間違いだ。間違い無い、彼こそ、彼こそが!我々の目指すべき”到達点”だ‼︎」

 

あのお方が感情を高ぶらせている。だが、私は認めたくない。

 

こんなポッと出があのお方に見初められるなど。私より認められるなど。

 

「”アイツ”よりも、”姉さん”の方が”到達点”だと私は思います」

 

だから私は反論する。

しかし返ってきた答えはーー

 

「いや違う。”織斑千冬”は”到達点”にはならないんだ。彼女は、()()()()

 

返ってきた答えは、否定だった。

 

織斑一夏、あのお方に見初められた男。認められた、男

 

認められない、認めたくない、認めてたまるものか‼︎

 

お前なんかに私の居場所をとられてたまるものか!!

 

(織斑一夏、私はお前を、お前を否定するーー!)

 

怒りを込めた私の握りこぶしから血がしたたり落ちた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

放課後 一年一組

SIDE:一夏

「え?俺に専用機⁉︎」

「ああ」

 

織斑先生から言われた言葉に思わず聞き返す。

 

入学式から一週間、とくに大きな問題もなくすごしてきた俺にその発言は少々衝撃的すぎた。

 

起こった事といっても、寮長室から帰ってきた箒に謝罪された事だったり、入学式翌日から前の発言(自業自得)でオルコットがクラスで孤立した事だったり、無銘(ノーネーム)の登録申請でゴタゴタした事だったり、捏造新聞部副部長(マスゴミ)をとっちめた事だったり、如月さんがパイルバンカーについて一時間講義した事だったり、etcetc

……あれ?意外と問題だらけ。

 

「聞いているのか?織斑」

「あっ、はい!でもなんでですか?」

 

俺のデータを取るために無銘(ノーネーム)が不向きだというのはわかる。

 

だがそれなら訓練機で問題はない。

わざわざ専用機を与える必要などないはずなのだ。

 

(おそらくだが、この件。”束”の奴の差し金だ)

(束さんが⁉︎)

 

織斑先生の耳打ちに驚愕する。

 

篠ノ之束、箒の姉でISの開発者で俺や千冬姉など限られた人しか「人間」と認識しない科学者。

 

そんな束さんが何故こんな事を?考えれば考えるほどわからない。

 

「…とにかく、今からアリーナに来い」

「すいません織斑先生、会長にメールしていいですか?”今日は生徒会を休む”って」

「構わん、早くやれ」

 

まぁ見せてもらおうじゃないか。その専用機とやらを。

 

 

アリーナ

SIDE:一夏

 

「あっ来ましたね、織斑くん」

「あれ?山田先生」

 

なんか姿が見えないと思ったら、準備していたのか。

 

「お疲れ様です。山田先生」

「だ、大丈夫、織斑くん!これも先生の仕事だから‼︎」

 

まだ俺の事が怖いらしい。

元々男子が苦手なのかな?

 

「山田君、準備は出来てるな?」

「はい!これが織斑くんの専用IS『白式(びゃくしき)』です‼︎」

 

ガコンッと重苦しい音と共に開いたピット搬入口にその『白式(びゃくしき)』はいた。

 

名前通りの純白の体で鎮座する白式。

見た事も無いはずのソレに俺はどこか”懐かしい”と感じた。

 

「第三世代機『白式』。製作は倉持技研です」

「武器は何を?」

「ええと…き、近接ブレード一本です…」

「ハァ⁉︎」

 

なんだその変態アセン⁉︎

まさか入学試験でレーザーブレード主体に戦ったからか⁉︎

それとも千冬姉(ブレオンの変態)の弟だからか⁉︎

 

「お、織斑先s「では、早速だが初期化(フォーマット)最適化処理(フィッティング)を行う。織斑、乗ってみろ」……はーい」

 

気は進まないが仕方がない。

織斑先生の言葉に従い、白式に近寄る。

 

「乗り方だが、無銘(ノーネーム)とそう変わらんだろう」

(それは無理だと思う)

 

絶対、起動方法が違うもの。心中苦笑しながら右手で白式に触れるーー

 

バチィッッッン

 

「グワァッッ⁉︎」

「織斑‼︎」

「織斑くん!!」

 

白式と俺の間に火花が散り、俺は吹っ飛ばされた。

先生二人が俺に駆け寄る。

 

「大丈夫ですか‼︎」

「〜ッッ!右手を、火傷しました」

「見せてみろ……この程度なら、冷やせば大丈夫だろう。…だが、何故、吹っ飛ばされた?」

「俺にも、わかりません……」

 

痛む右手を抑えながら立ち上がる。

どういう訳か知らないが、どうやら俺は白式には乗れないらしい。訓練機には乗れるのだが。

 

「ッ‼︎とりあえず、保健室に行ってきます」

「ああ、あとはこちらが調査する」

 

フラフラと保健室に向かう。ズキズキと右手が痛む。

 

まったく、恨むぞ束さんーー

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

五分後『我輩は猫である~名前はまだない~』

 

「あれれ?あれれれれれ?」

 

多種多様な装置の前でウサミミをつけた女が一人、(うな)っていた。

 

「おかしいなぁ。もう白式からいっくんのデータが送られてくる時間なんだけどなぁ」

 

その女の名は()()()()。「天才」ならぬ「天災」である。

 

「な〜んでなのかな〜、カタタタカッターン♪…………ふぅん」

 

織斑一夏に『白式(びゃくしき)』を送った張本人である束は手元の端末を操作し、不機嫌そうに顔をしかめる。

 

「”アレ”が”白式”を拒絶…ねぇ。どこの誰とも知らないけど、どうして束さんの邪魔をするかなぁ」

 

ゾッとするほど冷たい声と共に束は一夏の右腕の無銘(ノーネーム)を睨みつけた。

 

「名無しのゴンベェだかなんだか知らないけどさ。”アレ”、やっぱいつかぶっ壊してやる」

 

だっていっくんには必要ないもん♪と彼女は続けた。

決意と共に束は装置に向き直る。

 

「キミもそれを望んでるよね〜紅椿(あかつばき)?」

 

装置の中には赤い、紅い、朱いISが鎮座していた。




次回、中華娘登場?

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