ISVD〜Infinite Stratos Verdict Day〜   作:高二病真っ盛り

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MISSON01 Hole In One
01ー01 プロローグ


SIDE:一夏

『お〜れ〜はファットマン♪戦場の〜運び屋〜♪』

 

通信越しに聞こえる歌を聞き流しつつ、コクピットでページをめくる。本を読み進めながら沸いた疑問を口に出す。

 

「なあファットマン」

『ん?どうしたイチカ?』

「俺がアンタに拾われてからどれくらい経つ?」

『さてなぁ、結構前だが詳しくは覚えてねぇなぁ』

「そう…」

『どうした?』

「いや、ちょっと気になった」

『そうかい』

 

第二回モンド・グロッソで誘拐され、空中に開いた謎の穴に落ちた俺は傭兵としてこの世界で生き延びてきた。

ファットマンに拾われて、マギーにオペレートしてもらいながらたくさんの敵と戦った。

 

『行くぞおおぉぉお!!』

『こ、来いよ… あ、穴だらけにしてやる』

『さっさと黒焦げになりなさい!』

『悪いが、アンタが死んでくれると助かる』

『アタシは小細工ってのが苦手なんだよ』

『たかが知れてんだよ、実際は』

『せいぜい飛び跳ねろ、低脳が』

 

色々なAC乗りと戦った。

 

『いいか、焦りも恐れも無用だ』

『いつもどおり、やってみせるさ』

『おい、ホントに全開でいいんだな?』

『打ちまくれ』

『逃がすな、必ず殺せ』

『旦那と息子の仇討ちね。古風なこと』

『仕事ってのは辛いね』

『2人がかりでよく言う』

『いつもどおり、ご遠慮なく』

『アンタが死のうが、アタシどうでもいいから』

 

2対1の数の差も全て叩き潰した。

 

『ただ勝つだけでは意味がないこと、私が証を立てて見せよう。』

『勝った者が強者、所詮それが全てよ』

『戦いは頭脳と技能 AC同士なら、なおさらのこと』

『我もそなたも泡沫の夢に過ぎぬ』

『老骨を引きずり出した報い、その身で味わうが良かろう』

 

依頼で怪しい集団を蹴散らしたこともあった。

 

『長年戦場を生き延びた勘、どれほどのものか』

『あーでも、やっぱり死ぬのは困るな』

『嬉しいのか、私は』

『頼むから、避けんな…って言ってもダメだよな』

『ただの傭兵、そういう風にはもう生きられん時代か』

『それは他人が決めることじゃなかろうさ、生き死にと同じによ』

 

天才や歴戦と呼ばれる奴らを倒してきた。

 

『潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す‼︎』

『『世に平穏のあらんことを』』

 

この世界でもイカれてると呼べるのを葬ってきた。

 

『マジでいかねぇとな』

『お互い因果な生き方よな』

『何を失おうと止まれんのさ』

 

兄弟子と呼べる人や傭兵としての先輩を殺してもきた。

 

『恐れるな、死ぬ時間が来ただけだ』

『その予定はキャンセルだ、傭兵』

『それが使命だからな』

 

謎の部隊-死神部隊-と戦い勝った。そして…

 

『始めましょう 殺すわ、貴方を』

『さよなら これで 良かったのよ』

 

伝説の女傭兵、ブルーマグノリアを殺した。

愛しい人を、マギーを、殺した。

 

『黒い鳥、人の中の可能性、そんなものただの妄言に過ぎない』

『もういい、言葉等既に意味を成さない、見せてみろ貴様の力を』

 

あいつらとの最終決戦。

俺は全てを焼き尽くして、勝利した。

 

『タワーを巡る戦いは既に始まった 止まることはない。』

 

そして始まった評決の日(ヴァーディクトデイ)

俺は傭兵として戦いそしてその結果は-

 

『まさか半年で休戦なんてなぁ、てっきり十年そこらは引退出来んと思ったが』

「一時休戦だしいつ再開するかはわからないよファットマン」

『だな、まぁまずは今日の仕事だ。間もなく投下ポイントだ』

「了解、オペレーティングシステム起動準備」

 

MIDDLE EAST

【メインシステム 戦闘モードを起動します】

『スキャンした、依頼はここにいる自律兵器の殲滅だ。ちっちぇのが東に五体、西に四体。でけぇのが北に一匹だ』

「了解」

 

西の奴らにヒートハウザーを放つ。北、東と順番に殲滅していき1分とただず奴らは全滅した。

 

『周辺に敵影はない。終わりだな』

「……」

『どうした?』

 

あたりを見渡す俺にファットマンが気付く。

 

「あの報酬でこの程度…?」

 

あの報酬ならもっと居てもいいはずなのに…?

 

『確かに嫌な空気だ、さっさと帰ろうぜ』

「ああ」

『ミッション完了 システムを通常モードに…なっ⁈イチカ‼︎下から高エネルギー反応だ!』

「っ!」

 

ACの下に謎の穴が開き機体を吸い込もうとする。ブーストを使えど逃れられない。

 

『待ってろ‼︎今助けにー』

「きちゃダメだ!ヘリも吸い込まれる!」

『クソが!どうすれば!』

「……」

 

この穴はこちらに来る時のと同じだ。だとすれば、帰る時が来たのだろうか。

 

『イチカ‼︎何があった!』

「ファットマン」

『あ?』

「今までありがとう」

『おい!』

「異世界から来たって言うのを信じてくれて、ACを与えてくれて、パートナーになってくれて本当にありがとう」

『……』

「しばらくは会えないと思うけど必ず会いに行く。だから…またね」

『…ああ、美味い酒を用意しとくさ』

 

ファットマンの言葉と同時にエネルギーが切れる。

ACと共に俺は穴に落ち、意識は闇に沈んだ。

 

”幸運の男”と呼ばれた運び屋(ストーカー)。ファットマンはこの日を境に引退。

名酒集めを趣味にしながら隠居生活をしているらしい。


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