Pixivで3話に分けて投稿した作品です。
是非読んでみて評価や、コメントなど宜しくお願いします!

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もしこんな事が起きたら

 「悪い雪ノ下。ちょっとトイレに行ってくるわ。」

 

私と比企谷君は由比ヶ浜さんの誕生日プレゼントを買いに来ていた。

 

5分後........

 

1人のアホ毛が特徴的な男の子がトイレから出てきた。

その子供は体に合わないくらい大きい服を着ていて、比企谷君がさっきまで着ていた服と、鞄を持っていた。

私はおかしいと思い、比企谷君に電話をしてみた。

 

 

そうすると、その男の子の鞄から音が鳴り出した。その男の子はあたふたしながらバックの中を漁り、音の鳴る物体を取り出した。

 

そして音が鳴り止んだところで鞄にしまい直した。

 

まさかこんな所で、待ち合わせ時間の確認などに使うための電話番号が役に立つとは...

 

 

「ねえ、君、お名前は?」

 

私は自分が出来る最大の優しい笑顔で聞いてみた。

 

「ひ、ひき、比企谷八幡。お姉ちゃん誰?ここどこ?」

 

 

「私は、雪ノ下雪乃。ここは千葉のららぽよ。」

 

「僕、なんでそんなところにいるんだろ。」

 

こんな小さな子に事実を伝えたらどうなるかわからないわ。

 

「比企谷君、お父さんかお母さんは?」

 

「わかんない。僕どうしてここにいるのかわかんないんだもん。」

 

比企谷君はどうしたんだろう。そんな事を考えた。

 

でもあの服でこの辺りを歩いたりするのは少々危険だから服を買ってこようかしら。

 

「じゃあとりあえず私が服を買ってくるから、ここのベンチで座って待っててね。」

 

「うん。」

 

まさか比企谷君があんな風になっているなんて。

 

15分後......

 

「比企谷君。買ってきたわよ。」

 

「うん。ありがと。お姉ちゃん。」

 

普段人には見せないような笑顔で言ってくれた。

 

なんだか今、ものすごい力で心臓を握られたような気がした。

 

「じゃあここで着替えておいで。」

 

「うん。」

 

比企谷君は私が買ってきた服を持って多目的トイレに入った。

 

この後いったいどうすれば良いのだろうか。

 

10分後.........

 

「着替え終わったよ!」

 

「ええ。じゃああなたの家まで送るから案内してもらえるかしら。」

 

「え...。知らない人に家は教えちゃダメって言われてるから。」

 

「大丈夫よ。比企谷君。私は小町さんとも知り合いだから。」

 

「え、そうなの?なら良いのかな。」

 

なにこの子単純すぎる。かわいい。でも、なにをしたらこんな単純でかわいい子が、あんな捻くれた男になるのかしら。

 

 

 

 

 

私は今、比企谷くんの家の前にいる。

 

なんて説明すれば良いのかしら。

 

比企谷くんが小さくなってしまったから送りに来たわ。

 

小町さんならこれで信じてもらえるかしら?

 

ピンポ-ン

 

「はーい。比企谷です。あれ?雪乃さん?今いきまーす。」

 

「ええ。」

 

ガチャ 

 

「こんにちは小町さん。」

 

「どうしたんですか〜?ってその子...」

 

「ええ、比企谷くんよ。今日由比ヶ浜さんの誕生日プレゼントを買っていた時急に小さくなってしまったのよ。こんな小さな子に一人で帰れなんて言えないから送りにきたの。」

 

「あ、そうなんですか!?」

 

「お姉ちゃん。この人誰?」

 

「この人は小町さんよ。」

 

「こんな人知らない。小町はもっと小さい!」

 

「え...........?」

 

急に小町さんが魂を抜かれたかのような雰囲気になった。

 

「ちょっと小町さん大丈夫?」

 

「ええ。大丈夫です。じゃあお兄ちゃん早く部屋に行こ。ありがとうございました雪乃さん。」

 

と言って小町さんは比企谷くんの手を引っ張った。

 

「やだ!お姉ちゃん助けて!」

 

こんな上目遣いされたら断れないじゃない。

 

「小町さん。比企谷くんが元に戻るまでうちで預かってはだめかしら?」

 

「うーん。いいですよ。このまま嫌われた状態でずっと一緒にいると、いつか胃に穴が開きます。」

 

「では小町さん。昔比企谷くんが来ていた洋服はあるかしら?」

 

「ちょっと待っててください。探してきますね。」

 

小町さんはいつもテンションが高いのに、今日は普段の100000分の1位のテンションね。初めてこんな小町さん見たわ。

 

カマクラがこっちに来たので比企谷くんとカマクラと一緒に遊ぶことにした。

 

以外にもこの頃から比企谷くんは動物が好きだったようで、猫の扱いにとても慣れているように見えた。

 

30分後...

 

「ありました。雪乃さん。」

 

「ありがとう小町さん。では私達は帰るわね。今度小町さんも顔を出してね。」

 

「はい。」

 

「それじゃあ。お邪魔しました。」

 

「お邪魔しました。カマクラまたねー。」

 

 

 

 

 

 

 

「比企谷君。夜ご飯何食べたい?」

 

「うーん。ハンバーグ!」

 

私と比企谷君は、現在スーパーで買い物中だ。

本当この比企谷くん可愛い。目を光らせてハンバーグって。

 

私は今までにないくらい気合いを入れてハンバーグの食材選びをしていた。

 

「なにか食べられないものはある?」

 

「うーん。トマトだけかな。」

 

「なんで?トマトは栄養豊富で身体に良いのよ。」

 

「なんかあのどろっとした所というかなんかわからないんだけど、きらいなんだよね。」

 

「わかったわ。」

 

なぜか、比企谷君の言う事に逆らえない。

 

ここで本当に良い人なら嫌いなものを克服させようとする所なのだけれど。

 

こんな感じで買い物を終えた私達は家に帰った。

 

 

 

 

 

「ただいま。」

 

「お邪魔します。うわー。お姉ちゃんの家広〜い。」

 

「比企谷君。まずは手洗いをしましょう。」

 

外から帰ったのだし手くらい洗った方が良いわよね。

 

「うん!洗面所どこー?」

 

場所も教えないで手を洗いなさいはかわいそうだったわね。

 

「比企谷君ここよ。」

 

「ありがとう。」

 

「じゃあ夜ご飯を作ってるからテレビでも見て待ってて。」

 

「わかったー!」

 

 

 

 

 

 

1時間後

 

「比企谷君。出来たわよ。」

 

「うん。うわぁ。美味しそう!」

 

「冷めないうちに早く食べましょう。」

 

「うん!いただきます!」

 

「召し上がれ。」

 

「こんなに美味しいハンバーグ食べたの初めて!」

 

よし!気合いを入れて作った甲斐があったわ。

 

「そう。それは良かったわ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ。美味しかったー。ごちそうさまでした。」

 

「ええ。では比企谷君先にお風呂に入って。」

 

「うん。」

 

今のうちに洗い物をしておかないと。

 

でも比企谷君はあのままで大丈夫なのかしら。

 

もしこのまま戻らなかったどうしよう。

 

いっその事私が育てるのはどうなのかしら。

今の素直で可愛い比企谷君が、少し前の比企谷君のように捻くれた人間にならないように。

 

そんな考え事をしているうちに洗い物が終わった。

 

 

「お風呂気持ち良かったー。」

 

比企谷君がお風呂から出てきた。

 

眠いのか比企谷君はウトウトしている。

 

それにしても、比企谷君のアホ毛って濡れても立ったままなのね。

 

「じゃあ私がお風呂に入ってくるから、先に寝てても良いわよ。こっちに来て。」

 

「うん。ありがとう。お姉ちゃん。」

 

 

 

 

私がお風呂から出た頃には比企谷君はぐっすり眠っていた。

 

私は比企谷君を起こさないようにゆっくりとベッドに入って、眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

「ん、知らない天井だ。」

 

なんかわからないけど隣で寝息が聞こえる。

 

 

なぜ雪ノ下が俺の隣で寝ているんだ。

しかも俺の着ている服だ。

超小さい。なんでこんな小さい服を俺がきているんだ。

やばいバレたらマジで殺される。

身体と、社会両方で。

 

でもどうする。俺にはららぽでトイレにはいってから記憶がない。

 

「ん?比企谷君。」

 

「お、おう。」

 

やばっ。雪ノ下起きちゃったよ。

 

「え?比企谷君?なぜあなたが私と一緒に寝ているのかしら。私はもっと小さい比企谷くんと一緒に寝たはずなのだけれど。」

 

「は?何言ってんだ?お前。風邪でもひいたのか?」

 

「そんな訳がないじゃない。とりあえずベッドから降りてもらえるかしら。話は後でゆっくりしましょう。」

 

「ああ。すまん。」

 

やばい。雪ノ下から怒りのオーラが出てる。

 

 

 

 

「で、俺には昨日ららぽでトイレに行った後記憶が無いんだが何があったんだ?」

 

雪ノ下によると、俺は小さい頃の姿でトイレから出てきて、雪ノ下に保護されたようだ。

そして雪ノ下の家で預かってもらうことになり今に至るということらしい。

 

俺を小さくしたやつか。

俺の思い当たる人だと一人しか候補がいないんだか。

 

「雪ノ下。悪いけど雪ノ下さんに電話かけてもらっても良いか?」

 

「ええ。私もこんなことできそうなのは姉さんくらいしか思い当たらないのよ。少し待ってて。」

 

雪ノ下にスピーカーにしてもらい電話を、することになった。

 

4コール後雪ノ下さんは電話に出た。

 

 

「ひゃっはろー。雪乃ちゃんから電話してくるなんて珍しいね。」

 

「姉さん。比企谷君のことなのだけれど、小さくなったのは姉さんの仕業?」

 

「バレちゃったかー。雪乃ちゃん。比企谷君はちゃんと元に戻った?」

 

「やっぱり姉さんの仕業だったのね。戻ったわよ。戻ったから一番怪しい姉さんに電話をしたのよ。」

 

「そうだったんだー。」

 

「雪ノ下さん。」

 

「ん?何?比企谷君?」

 

「もうこんなこと二度としないでくださいね。」

 

「ちぇー。もう、そんなに怒らなくてもいいじゃん。わかったわよ。じゃあねー、雪乃ちゃん。比企谷君。」

 

雪ノ下さんとの電話が終わった後、雪ノ下は溜め息をはき、

 

「今回は姉さんの悪ふざけだったから不問にするわ。」

 

「お、おう。ありがとな。雪ノ下。雪ノ下に保護してもらえて良かったわ。犯人も特定できたし。」

 

「ええ。では昨日は由比ヶ浜さんの誕生日プレゼント買えなかったから、今日もう一度行きましょう。」

 

「ああ。じゃあ一旦家に帰るから1時に昨日の場所集合な。」

 

こうして、俺と雪ノ下の奇妙な事件は終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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