頑種ですか。そうですか   作:匿名既望

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この話を書いた時点で思っていたこと。魔法はチートすぎた。でも自重しない。


第4話 強化ですか。そうですか

>>CE71.03.23 本島@オーブ/ユウナ・ロマ・セイラン

 

「原作ブレイクとか、そういう問題じゃないよな。こりゃもう……」

 

 TV映像の中では海上を滑るように進む白い軍艦と、その周辺を飛んだり甲板に降り立っているオーブ本土防衛軍の新型機動兵器の勇姿が映しだされていた。

 

 うん。俺、ついやっちゃんだ☆

 

 しかもいろいろやらかしたせいで原作を完全にブレイク。今日は原作だと、オーブ近海に到達した<アークエンジェル>がザラ隊の追撃を受けつつ、さらにはオーブ軍からも攻められて墜落を装いつつ領海に侵入、オノゴロ島に入港した、という展開が起きるべきタイミングなのだが……

 

 ザラ隊が本国に戻されており、

 オーブ軍の国産MSが空を飛び回りつつ、

 <アークエンジェル>を拿捕している。

 

 ホント、原作なんて斜め上にすっとんでいる状況だ。

 

 すべてはヘリオポリスが崩壊し、俺が覚醒(?)した1月25日までさかのぼる。

 

 オーブ連合首長国の最高意志決定機関である首長会議は、ヘリオポリス崩壊という事態において、当初はなにひとつまともな対応がうてなかった。

 

 前機械相の独断によるモルゲンレーテ社の大西洋連邦軍MS共同開発計画への参加、いわゆる“G事件”が昨年末に発覚、カリスマ的指導者だったウズミ・ナラ・アスハが監督責任をとるとして首長代表の座を辞任し、オーブ政府はG計画からの正式な撤退に向けて大西洋連邦との調整を始め……と報道されていた中での事件だったせいもある。

 

 撤退するはずだったG計画の成果が実はすでに完成していたとか、

 ヘリオポリスというオーブ領土がZAFTに襲われたとか、

 でもアスハ一門の一部が密かに大西洋連邦軍艦艇の寄港を認めていたとか、

 G計画の契約違反にあたるオーブ製試作MSが残されていたとか、

 問題の一部氏族が証拠隠滅のため傭兵を雇い、

 雇ったことすら揉み消そうと別の傭兵を雇って襲わせたとか、

 でも発覚して追求されれているとか、

 それらもあって対外的に理念を理由に正論が言えなくなったとか……

 

 考えてみるとオーブの理念重視って、もうすでに破綻している。それなのに原作で“理念のために国土を戦火に曝す”決断をしたあたり、原作の首長会議は自己満足のために国と民を犠牲にしたと言われても仕方がない。まぁ、おそらくそこには当事者にならないとわからないアレコレがあったのかもしれないが。

 

 だが、この世界では事情が違う。

 

 おそらく俺に関係しているのだろうが、爺様ことクムト・ミラ・セイランが気炎を張り上げ、責任を感じて黙り込んだウズミや、何も決められない他の首長たちの尻を蹴り上げた。これによって、事態が大きく動いてしまったというわけだ。

 

 なお、それまでの爺様は隠居同然の存在で、今期を最後に父さんに首長座を含む跡目を全て譲ることを宣言していた。おそらく原作では、それもあって気迫に欠け、あれよあれよという内にオーブ解放作戦当日を迎えてしまったのだと思う。

 

 しかし、気合いの入った爺様は全くの別人だった。

 幼かったとはいえ、再構築戦争と建国当時を経験しているのは伊達ではない。

 

──理念を尊ぶならば徹底して貫け!

──侵略を許さぬというなら、侵略された今、なにをするべきは自明の理だ!

 

 爺様のその叫びに、諸氏族の老人たちが喝采をあげた。

 さもありなん。

 種死のオーブ軍を見ればわかる通り、オーブにはもともと武断的な気風がある。氏族に行政のみならず軍事においても多大な権限が与えられているところも、そうした側面があるからこそだ。

 

 斯くしてヘリオポリス崩壊から3日後の1月28日、オーブ首長会議は全会一致でヘリオポリスを侵略したプラントに対して謝罪と賠償を求める強い抗議を行った。

 

 決定的な原作剥離の始まりだ。

 

 プラントはこれを無視するも、オーブは地球連合に与しないことを宣言しつつ、昨年のエイプリルフール・クライシスでオーブ領海にも降下物があったことと合わせ、

 

──極めて遺憾ではあるが、プラントが我が国に宣戦布告し、戦争状態に入ったことを正式に認めざるをえなくなった。

 

 と発表してしまう。

 世に言う『ウズミ代表の戦争宣言』だ。

 

 そう。ウズミ代表だ。

 

 同会見は、ウズミの代表首長再就任を発表するものでもあったというわけだ。

 

 爺様と父さんから聞いた話によると、強いリーダーシップが必要となったため、途中までは爺様が代表首長になる流れになっていたものの、オーブの王族にも等しいアスハを推す声が予想以上に根強く、かといって文官肌のホムラでは爺様の対抗馬になりえないことから、ならばウズミの再登板を、という斜め上の展開になったんだとか。

 

 無論、容易く決まった話ではない。

 

 ウズミの再就任にあたり、アスハ家は莫大な私財をオーブに供出。これはヘリオポリスの被災者保護と施設復旧に費やされるばかりか、急ぐ必要がある国防体制の拡充にも割り当てられ、さらには数々の権益をセイラン家に譲ることで譲歩を勝ち取ったようだ。

 

 まっ、俺にはどうでもいい話なので細かいことは聞いていないが。

 

 いずれにせよ、表向きに、ホムラ代表首長はヘリオポリス崩壊のストレスで退場、本当の意味で責任を果たすべくウズミが代表首長の座に返り咲き、対応に必要な資金の全てをアスハ家が私財から出すと表明した。ということになっている。

 

 ウズミのカリスマ性は健在だったため国内の反発は少なかった。

 国外は、もともと地球連合に加盟した東アジア共和国が、

 

──南米のように赤道連合もオーブも断罪すべし!

 

 とか叫び続けていたので最初から「ふーん」に近い対応を受けている。

 

 閑話休題。

 

 ウズミ再任により戦時体制下に入ったオーブは、そこから矢継ぎ早にいろいろなことを始めた。というか、それを可能とするだけの予算がアスハ家から供出され、必要な技術を俺が大盤振る舞いした結果、すごく楽しいことになってしまった。

 

 まずMS関連。<アストレイ>は装甲等を削り、運動性を追求するコンセプトで設計されたMSだが、現状ではあまりにも脆すぎるし、なにより空も飛べなければ海にも潜れない。島嶼(とうしょ)国家であるオーブでは使えないにもほどがある仕様だ。

 

 そこで俺は、機械相に就任した父さんが求めるがまま、いろいろとやることにした。

 

 装甲は『新機動戦記ガンダムW』のチタニュウム合金を採用。生産性も性能も総重量も現行の発泡金属より遙かに上であり、かつ発泡金属が微小重力環境下でしか精錬できない一方、こちらは地上工場でも精錬できたことが採用の理由だ。

 

 ついでに<アストレイ>の生産性・性能・整備性をさらに突き詰めると、

 全高16.9メートル、重量8.0トンに収まってしまった

 

 本来の<M1アストレイ>は全高17.53メートル、重量53.5トン。

 <105ダガー>が全高18.00メートル、重量57.05トン。

 <ジン>に至っては全高21.43メートル、重量78.5トンなのに、だ。

 

 恐るべしチタニュウム合金。というか『W』の素材工学がチートなだけか。

 

 んで。

 

 種死時代は<ムラサメ>生産分に割かれていたジェットエンジン系の生産ラインが空いていたので──原作でフライトローター“シュライク”が使われたのはその関係?──おもいきって種死の<ウィンダム>に採用されていたジェットストライカーを設計、超軽量化が実現していることもあり、<アストレイ>は生まれながらにして空戦機としてもバツグンの性能を得るに至った。

 

 水中用は、将来的にMS技術を応用した水中戦用MAを独自開発するべきとした上で、電磁推進式のマリンストライカーパックと幾つかの水中用装備を<アストレイ>に装備する形で対応する方式を提案。いわゆる<ブルーフレーム>の<スケイルシステム>の方針ってやつだ。

 

 オマケとして『ソードアート・オンライン』のVR技術を若干応用し、とてもリアルなシミュレーターの仕様と基本プログラムを作成。これのアーケードゲーム版をセイラン家の系列企業で製造販売することも父さんに提案しておいた。

 

 これらは全て、2月7日に父さんに諸データを提出する形で丸投げさせてもらった。

 それというのも。

 電子精霊を使役できるようになった俺はオーブ全土の中小企業に偽装した上でパーツを発注しまくり、古代アルハザード式魔導術のデバイスを兼ねた『アクセル・ワールド』のニューロリンカーっぽいものを2月6日の時点で完成させていたのだ。

 

 で、ダイレクトリンクで[マルチタスク]をフル活用したら、1日で必要な作業が終わってしまった。という感じだ。

 

 なんにせよ。

 

 俺の提案にオーブ政府は大興奮、モルゲンレーテ社は大混乱だったらしい。

 

 笑えたのは、父さんが卒無く全技術をパテント化、新たに起業した俺の持ち株率100%の個人企業“フロンティア”に権利等を一括した点だろう。おかげで俺は一夜にして途方もない大金持ちになり、さらには爺様と父さんが“俺の承認が無いと他国に技術供与できない”という点を使って外交攻勢にも討って出たわけで……孫息子を出汁につかうとは、ほんと、セイランの血筋は鬼やでー。

 

 とまぁ、そんな感じで。

 

 俺によって魔改造されたオーブの機動兵器は、俺が既存の生産設備も考慮した上で諸々を再設計したおかげもあって、なんと2月15日の段階で試作機が完成してしまい、その性能に誰もが驚きの声をあげる結果となった。

 

 こちらからの提案もあり、正式採用された<アストレイ>の名前は微妙に変わった。

 <MBF-M1 アストレイア>。

 “ASTRAY+α”なので<アストレイア(ASTRAYA)>。実に安直である。

 

 原作でいう低軌道会戦が起こり、地球連合の宇宙戦力が大幅に削がれる結果となった翌々日にあたる2月15日、試作機が満点の出来映えであることに喜んだ首長会議は、正式に世界初のナチュラル用MSにしてMS国産機第一号となる<アストレイア>を国内外に広く発表した。

 

 このあたりで外交環境も変わりだした。

 

 とはいえ、ヘリオポリス被災者の本土受け入れと共に脱出艇の記録装置が持ち込まれたことで“崩壊に<アークエンジェル>やGAT-Xシリーズも関係”していた事実が明らかになっていた点も大きく関与している。

 

 原作でも<ストライク>のアグニ、<アークエンジェル>のコロニー内部への兵器使用が崩壊の一因となったのは否定できない。さらに地球連合軍の<メビウス・ゼロ>が応戦していた映像が手に入ったことで、オーブは、というか爺様はかなり強気になった。

 

 なんでもアスハ一門、というかサハク家は、裏で<アークエンジェル>とGAT-Xシリーズの引き渡しには応じていたものの、ヘリオポリスへの地球連合軍籍艦艇の接近および寄港そのものは正式に認めておらず、あくまで不正規行動だったらしい。

 

 それを破った上に、あまつさえコロニー崩壊に関与している。

 どう落とし前をつけるつもりだ。

 と、爺様は大西洋連邦に強く詰め寄った。

 

 以前の大西洋連邦なら、これを一蹴しただろう。なにしろ公式に認めていないとはいえ、アスハ一門が許可を出していたのだ。ウズミが知らなくとも一族が関与している以上、知るかボケ、と返すこともできる。

 

 だがそうもできなくなる理由が生まれてしまった。

 1月25日、俺が【超叡智】で<アストレイ>用OSを完成させてしまい、

 2月15日、ナチュラル用量産型MS<アストレイア>がお披露目されてしまった。

 

 ちなみにロンド姉弟がこれを手みやげに何かやらかすことが予想できたので、俺が早々に二人をマーク、ダミー情報をばらまきまくり、NOS(ノス)と呼ばれだしたナチュラル用OSの情報が漏れないようにしておいた。電子精霊様々である。

 

 結果、大西洋連邦は“知らないふりをする”という選択肢を選んできた。

 

──G計画? 末端が勝手にやったことです。知りませんなー。

──<アークエンジェル>? ヘリオポリスで作ったオーブの船でしょ?

──<GAT-X>シリーズ? ヘリオポリスで(以下略

──我々の責任? 知りませんなー。

──ところでオタクのOSなんだけど………………

 

 とまぁ、こんな感じだ。

 

 少なくとも大西洋連邦は<アークエンジェル>の船籍を過去に遡って抹消。第八艦隊から送られてきた搭乗員についても、なんと軍からの逃亡者として軍籍を抹消。徹底的に無関係であると主張してきた。

 

 厚顔無恥、ここに極まれり。だがブルーコスモス盟主が我が者顔で暴れられるような組織でもある。さもありなんと納得できるあたりが頑種世界の頑種世界たる由縁だ……

 

 いずれにせよ。

 

 斯くしてNOSが欲しい大西洋連邦と、謝罪と賠償が欲しいオーブとの外交折衝は原作をいろいろと破壊しながら、事実上、<アークエンジェル>とGAT-Xシリーズの所有権譲渡と諸技術の正式な無償交換という形で3月10日にまとまってしまった。

 

 NOSの件は今後の相談次第って感じだ。

 

 なお、これとは別にユーラシア連邦もNOS獲得競争に名乗りをあげている。対価は、ZAFTに一時占拠された後に放棄された小惑星基地アルテミスの所有権譲渡とユーラシア連邦の得意技術である光波防御帯シールド“アルミューレ・リュミエール(AL)”の技術供与というもの。

 

 爺様に聞いたところ、AL技術は秘匿技術なので国際パテントが無いらしい。だから種死時代にZAFTが好き勝手に応用してたわけか──と納得しつつ、だったら知ってるからいらね、と答えておいたら、さらにユーラシア連邦からいろいろとむしり取る算段をたてはじめた。おお恐い恐い。

 

 そんなこんなでいろいろとありつつ原作通り、地上に降下した<アークエンジェル>がオーブ近海へと姿を現したわけだが、すでに触れている通り、ZAFTの追撃は受けていない。

 

 それは何故か。

 

 いやぁ、電子精霊で情報を集めつつ各方面に嫌がらせをしたら、いろいろと凄いことになっちゃって。

 

 そうそう。魔法といえば。

 

 まずは内憂。サハク家の背信を徹底的に暴き、それに連なるモルゲンレーテ社とアスハ派の馬鹿どもも吊し上げてある。その結果、サハク姉弟とその親派は<アストレイ ゴールドフレーム>を積んだオーブ宇宙軍所有のコーネリアス級輸送船2隻で逃走。国際指名手配を受けることになってしまった。

 

 ちなみにアストレイ開発チームは無罪だったので残留。今は<アストレイア>の量産化が完了したので、仮称<マリン・アストレイ>開発のために水圧・水流との飽くなき戦いを繰り広げている。がんばれ。超がんばれ。

 

 続いて多国籍企業複合体である秘密結社“ロゴス”と、それすらも手玉にとっていた“一族”と呼ばれる調整者気取りの連中。内部不和があったので煽りまくり、秘匿されていた施設等の自爆装置を問答無用で全て起動。2月14日のバレンタインデー、世界中の様々な施設で一斉爆破テロが起こったばかりか、時間遅れで3月1日には火星植民都市も吹き飛び、『ΔASTRAY』を含む『ASTRAY』シリーズが強制終了状態になった。

 

 おまけにロゴスも一族残党も内ゲバを開始。

 

 さすがにこれには俺もビビった。

 鬱る部分もあった。

 だが、反省はしても後悔はない。

 ロゴスも一族も、オーブに不利益を与える組織だ。これに対抗した結果なのだから、これに巻き込まれた無関係者の犠牲者には一生、冥福を祈り続けようと心に決めている。

 

 さて。

 

 マティスを失った一族は空中分解。そのあたりは原作と同じだが、俺がさらに煽ったせいで残党の内ゲバが激化の一途をたどり、それが今も続いている。

 

 ロゴスは半数が互いに暗殺され、さらに紆余曲折あった末に、大西洋連邦系のムルタ・アズラエル、ユーラシア連邦系のロード・ジブリール、東アジア共和国系のイワオ・ワシズの三巨頭が手を結んだことで一応の和解にこぎ着けている。

 

 こうした一族とロゴスの混乱によって、世界は表も裏も大騒ぎだ。

 

 表ではハイパー化一歩手前のインフレが発生。ロゴス系資金があまり入っていなかった中立国のオーブ連合首長国、赤道連合、スカンジナビア王国とプラント側の大洋州連合はそうでもなかったが、地球連合加盟国はかなりの経済的打撃を被ることになった。

 

 裏では疑心暗鬼から大小様々な組織の潰し合いが横行。ただ、一族がやっていたスクール等の未成年や、ロゴス系のブーステッドマンやエクステンデッドといった強化人間には俺の方から介入し、NGO団体等に保護させている。もっとも、すでに治療の余地が無い被験者も少なくなかったが……

 

 こうなるとプラントが高笑いをしていそうだが、そうは問屋が卸さない。

 

 電子精霊網が広がった時点で、俺はプラント評議会が情報統制により隠していた“ZAFTのナチュラルに対する蛮行の数々”を暴露した。評議会は地球連合の情報攻勢だとしきりに主張したが、そんな公式会見の映像すらもジャックして、アフリカ戦線における現地ZAFT部隊の蛮行──後にこれはアフリカ事件と呼ばれた──を流し、コケにした。

 

 そしてとどめにラウ・ル・クルーゼに関する暴露も行った、という次第だ。

 

 結果的にプラントの市民感情はまとまりを見せず、こちらもこちらで戦争どころではない状況に陥っている。

 

 つまり本当の一人勝ちはオーブ──というわけでもない。

 

 地味にオーブは国際的に孤立している。ウズミ代表の中立宣言はエイプリルフール・クライシスで被害を受けた諸外国への援助すら行わない、事実上の引き籠もり宣言だ。当然、被害を受けた国々は、地熱発電でぬくぬくしてるオーブを妬むことになる。

 

 結果が中立ではなく孤立。

 

 だがアスハ派に飼い慣らされているオーブのマスメディアは、そんな現実を“報道しない自由”によって隠している。原作第一話でキラたちが今次大戦を遠くの出来事と認識していた理由は、ここにあったようだ。

 

 ゆえに俺は、そのあたりを暴露しまくる形でオーブもまた混乱させることにした。

 

 アリバイ工作、とも言う。

 

 一連の暴露は、ジョン・ドゥというフリージャーナリストにして天才ハッカーが行った反戦・平和運動の一環、という形にした。だから念のため、俺自身のことも暴露し、俺が最初からオーブのMS開発に関わっていればヘリオポリスの悲劇そのものがなかった、みたいに詰る報道も行ってある。

 

 これら一連の大暴露劇は後に“ジョン・ドゥ暴露事件”として歴史の教科書にも載ってしまうのだが、おかげで俺の電子精霊網は以後も俺だけの武器として大暴れしてくれることになるのだった。

 

 って、そうそう。クルーゼの査問会、どうなったんだ?

 

〈いくら否定しようが、ここにあるだろう! コーディネイターを自称する貴様らとて、ホモ・サピエンスに他ならない! ならば、いずれ私を! この私のような絶望を! 滅びを望む意志を生み出すだけだ!〉

 

 あっ、キレてる。

 

 面白いからあとで全部、世界中に放送してしまおう。ジョン・ドゥの最後のお仕事ってことにすれば、なんとかなるんじゃないか?

 

>>SIDE END

 

 

 

 

 

>>CE71.03.24 OTHER

 

 後世、その査問会の映像は“ラウ・ル・クルーゼの絶望宣言”とも呼ばれることになる。

 またラウ・ル・クルーゼ本人は査問会の後、軍法会議により極刑に処されている。

 記録に残る最後の言葉は、

 

──私を消しても何も変わらないぞ、人間!

 

 やはり絶望の慟哭そのものだった………………

 

>>SIDE END

 




ラウ・ル・クルーゼは泣いていい。

なお、一族やロゴスに関する設定は、そのほとんどが筆者の妄想だとお考えください。また、作中では「ハイパー化一歩手前のインフレが発生」とか書いてますが、今にして考えてみると、むしろスタグフレ(物価は上がるけど給料はあがらない)になるんじゃね? と思うところが少々。

そうそう。本作の電子精霊と『ネギま』の電子精霊は似て非なるものです。そして、これが使えればMSいらなくね? と思い始めた筆者の暴走は、このまま続きます。

あと、ようやく次話で主人公が原作キャラと(ちょっとだけ)絡むよー。やったねユウナちゃん、ぼっちじゃなくなるよ!(嘘)

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