全部こがなが悪い。
だから作者は悪くないんだ!(必死)
第一高の入学式が始まる同時刻。
旧神奈川県鎌倉市。
現在でも鶴岡八幡宮をはじめ、高徳寺など歴史的建造物が多く立ち並び、夏(寒冷化によってそこまで暑くはなくなっているが)になれば由比ヶ浜など観光、レジャーの名所として、様々な人が集まる場所として今でも現役の都道府県の一つ。
そんな中、技術進歩を遂げた現代には珍しく、一際目立つ屋敷がある。
170年前の大正時代。
当時の富豪や貴族は西洋文化の意匠の屋敷を建ており、ここもそのうちに入る。
しかし時代が進むにつれ、『魔法』が普及した現代において旧神奈川県内に『貴族院辰宮』が本宅として使用するこの一件しか残っていない。
外内見共に当時のまま残されている為、ある種の歴史的建造物として私有地に入らないのを条件に観光地としてそれなりに人を集める場所となっている。
からんころん。からんころん。
その屋敷内、大理石を敷き詰められた通路を古風な西洋造りに反した和装に身を包む男。履いている下駄特有の乾いた木の軽い音色を奏でながら歩いていた。
青の羽織。黒とも白とも言えない奇妙な髪。この男を一見すれば学究肌な優男、と言えないこともない。
しかし両腕に人頭の蛇の模様を刻んでいるのが、さらには彼の背後に付き従っている者、鬼面を被り、まるで幾星霜も風雨に打たれ、言際の無駄が流れた―――否、消失した巌の如く佇まいで狩摩の後を追うその存在が否定する。
"普通じゃない"
表情はニヤけ、飄々とした態度。
どこか博打打ちめいた雰囲気の男は長く広い廊下を我が物顔で進む。
進んだ先、目的の部屋の扉の前で一度立ち止まると、背後の鬼面にそこで待っとれい、と声をかけ入室の確認もせず開け、ヘラヘラとしながら入っていく。
「おはようさん、お嬢。相変わらず美人でなによりよ」
開口一番が挨拶から始まる辺り常識を持ち合わせている様にに感じられるが、二の句が世辞でしかも小馬鹿にするように言う辺りが感に障る。
「……狩摩殿。約束の時間にはまだ一時間以上もあるんですが?」
…訂正しよう。この男には常識はない様だ。
『檀狩摩』
飛鳥の時代より存在する日本国の宗教機関『神祇省』。表と裏二つの部署があり、表は八咫鴉と呼ばれ太陽神の眷属として宣教や国体護持の組織的支援をするため、経済や政治の世界で行動する。裏は、鬼面衆と呼ばれ影として歴史の闇で汚れ仕事をする存在。
その組織を管轄しているのがこの男である。
1度神祇省は壊滅したものの、裏の部署はその後の生き残り大正12年の『甘粕事件』に強く関わっているとされる。2095年現在では滅んだ表側の部署も復活している。
この男が国の宗教組織を任せられているとは到底思えないがこれが現実である。
ちなみに『檀狩摩』と言うのは代々継承されているもので彼は今代の檀狩摩である。
付け加えると初代の檀狩摩の血筋、つまり子孫でもある。
「そりゃーあれよ。そんなんお嬢みたく美人を待たせるわけにはいかんでよ」
「だからと言ってこちらの予定を無視して、こんなにも早く来られても迷惑です。あなたもそうであるように、わたくしも仕事があるんですよ?」
「おうおう相変わらず俺には厳しいーお嬢で安心したでよ」
狩摩にお嬢と言われる彼女は今代の『辰宮百合香』
儚げな一輪の百合を連想させる女性だ。
白く大胆に胸元が開いたドレスを着こみ、年代物の玉座に座し心底呆れた様な表情を狩摩に向ける。
1890年(明治23年)から現代まで続く貴族院男爵の爵位を持ち、その現当主。
貴族院とは、大日本帝国法下における帝国会議の一院であり衆議院とは同格の関係を持つが、予算先議権は衆議院が持ち、非公選の皇族・華族・勅人議員で構成されており解散は無く、議員の多くが終身任期で、現在の参議院の原型でもある。
当時から残っているのは辰宮だけであり、ゆえに国内での発言権は非常に強い。
といっても、辰宮は政界から身を引いており、今ではとある学園の運営および理事を主な活動としている。
◇
「それで、一体どうしたのですか。こんなにも早く来たからには何か理由があるのでしょう?」
「そんなもんお譲に早よォ逢いとうて堪らんかったんよ」
「…まさかそれだけのことで?」
「おうよ」
「・・・・。」
百合香は狩摩に冷徹な眼差しを向けるが本人は怖い怖いと、言葉とは裏腹にへらへらとしている。
何故『檀狩摩』の名を継ぐ者はどうしてこうも『辰宮百合香』に執着するのか。
「ひひひっ。まぁあれよ。それが一番でもあるし、お譲に頼まれた約束の事もあるが、その前にアイツの事で話もしたいしのう」
「ああ、あの子の事ですか」
「あの子?ひ、ひひはははっ。何じゃいお譲。アイツの事をあの子ちゅーうんかいな」
「まだ15の子供ですよ。当たり前です」
「きひひ。いや、まあ確かにそうじゃろうけど。あの甘粕のことを『あの子』言うんはお嬢だけじゃろうよ」
愉快愉快と狩摩はわらう。
百合香は仕事の手を休め、机の端に置かれた小さなベルを鳴らす。
コンコン
透き通るベルの音がなり終わると当時に部屋の端、百合香の机がある直ぐ隣の部屋から戸の叩く音がした。
百合香が入室の許可を出すと一人の男が入ってくる。
端正な顔たちの燕尾服に身を包み、腰には年代を感じさせるサーベルが提げられた眼鏡の男。
「お呼びでしょうかお嬢様」
「宗春、紅茶をお願いします」
「かしこまりました」
男の名は『幽雫宗春』
辰宮に代々仕える幽雫の家系の人間であり、若くも辰宮家の筆頭家令を担う。
宗春は一礼し部屋を出ようとすると狩摩に声をかけられる。
「おう幽雫。客が来たん言うんに、迎えも無いんはどういうのことなら」
「これは失礼。一時間後にお見えになるとは聞き及んでいましたが、まさかこんなにも早く来られるとは思いもしていなかったので。申し訳ございません」
「はっ、気ィのきかん奴じゃのォ」
「狩摩様はせめて気を効かせて呼び鈴くらいは鳴らせてくれたら、出迎えもしましたのに」
「えろう言うようになったのォ、幽雫」
「狩摩様の言葉遊びに比べれば私の言葉など」
両者共に笑顔ではあるが目が笑っていない。
背後に人頭の蛇と狼が見えるのは錯覚だろうか。
「宗春、一応狩摩殿は客人です。その態度は失礼に当たります。早く紅茶の用意を」
「御意に」
「狩摩殿も宗春をいじめるのは止めてください」
「別にいじめとる訳でもなんじゃが、まあお嬢の頼みなら聞かんわけにもイカンな」
百合香の仲裁によって狩摩と宗春の冷戦は終戦する。狩摩は部屋の中央に置かれているソファーにドカッと座り、宗春は再び百合香に一礼をすると部屋を出ていった。
「それで、あの子の事で話とは?」
「いやなに。別にたいした事でもないんじゃが。今頃始まっちょるんじゃろ?甘粕の通うことになった第一高の入学式は」
「ええ。もう始まってますね」
百合香は壁際に置かれた古い置時計を見ながら答える。
「ひひひっ。あの甘粕のことじゃ。だぶん、いやきっと何かしでかす。第一高だけに限らんことじゃが、あそこは甘粕にとってほっとけんもんばっか転がっとる」
「その原因を作ったのは他でもないあなたでは?」
「なんじゃい、バレとったか。やっぱりお嬢には隠し事はできんのう」
「まったく困った人です。本来ならあの子はうちに入学させるつもりだったのに。狩摩殿があの子に第一高を勧めなければまだ幾らか平和だと言うのに」
「そりゃー悪かったでよ」
「心にもない謝罪などされても不快なだけです。唯でさえここには四葉の研究所があると言うのに」
「付け加えて第一高には四葉の兄妹が通うことになった。そこに我らが■■『甘粕正彦』も通うってか。よいよ面白いことになりそうじゃのう。きははははッ」
「正直、彼の家とは余り関わりを持ちたくないのですがね。なぜ四葉が■■を、いえあの子を狙うのかが解りません。九島のご老人ならまだ理解できます。先日も来られましたし」
「四葉は精神で九島は古式魔法じゃったかいのう。四葉は兎も角、九島のじいさんは今更こっち側に付こうとでも言うんかいのう。■■■■と魔法は似通ったもんでもその実全くの別もんじゃとゆうのにな」
「無理な話です。■■は我々だけが知るべきものです。それは力の独占ではなく、秘匿せねばならないもの。そもそも■■自体、それほど価値のあるものでもありませんし」
「おうよ。そこから得られる力は確かに強大じゃろうて。そんでもそんなんは意味はあっても価値の無いもんでよ。あそこから持って帰ってエエんは誇りだけ。■■を制覇したっちゅーな。我らの英雄柊四四八が言っとた事よ」
「ええ、その通りです。あの子もその事を理解してくれればいいのですが」
「そうならんと『甘粕事件』の再現が起こるってか。」
二人の間で交わされる言葉。
『■■』『■■』
辰宮と神祇省が170年以上も隠し続けて来たもの。
『甘粕事件』の発端。
詳細は未だ闇の中に隠されたまま。
否、隠さねばならない。
「まあ今すぐ起こるっちゅーこともないじゃろぅて。安心せいやお嬢。所詮、事は成るようにしか成らんしのう」
「あなたは相変わらず行き当たりばったりな生き方をしますね」
「深こぉ考えて深みに嵌まったら終わりよ。まあそれはそれで面白いことになりそうじゃがのう。きははははッ」
「失礼、訂正します。出鱈目ですね。やはりあなたの事嫌いです。破滅主義も大概にしないといずれ死にますよ?」
「はっ!人生ちゅーもんは愉しんだもん勝ちよ」
「やっぱり嫌いです」
「えらい嫌われてしもーたもんじゃのう。ひひひ」
その後、家令の宗春が紅茶の用意をし戻って来た。二人は他愛のない世間話を挟みながら本来の予定を進めていった。
◇
場所は変わり魔法科高校入学式会場。
司波達也は驚いていた。
「深雪、どうしてお前がここに?総代挨拶はどうしたんだ」
「甘粕君…、もう一人の総代候補の方が総代挨拶をすることになったので。それよりお兄様」
感情表現が苦手なのか、はたまた無感情なのか。それでも達也の妹である深雪は、兄が不思議そうな表情をしていると分かった。
だからこそ、深雪は笑顔のままキレる。
「入学式早々そんなきれいな方を、しかも二人も侍らせるなんて…流石ですわ」
「まて深雪。別に侍らせているとかでは無くてだな…」
深雪を中心に周りの温度がぐんぐん下がる。寒っとか冷房効きすぎじゃないとか周囲の生徒から聞こえる。
「深雪、説明するから落ち着け」
「私は至極冷静に落ち着いていますよ。お兄様」
「彼女達はたまたま席が隣同士になっただけだ」
「あー、何か勘違いさせちゃってるみたいね。ごめん」
達也の隣、眼鏡をかけている少女の横に座る赤髪の活発そうな印象の女子生徒が顔を除かせながら申し訳なさそうに深雪に声をかける。
「二人で並んでる席が見つかんなくてさ、達也くんの隣が開いてたから座らせて貰ってたの」
「そうだったんですか。申し訳ありません。申し遅れました、妹の司波深雪です」
「良いって。勘違いさせちゃった私たちが悪いし。私は千葉エリカ、エリカって呼んで。私も深雪って呼ぶからさ」
「柴田美月です。私も美月で結構です」
あ、あと敬語もいいからとエリカは付け加える。深雪もそれを了承した。
その後、式が始まり恒例の校長の長ったらしい話や来賓の祝辞などをBGMにエリカらは司波兄妹に双子かと質問すると、よく言われるが違う。早生まれの兄妹だ、と答えられるといった世間話に華を咲かせた。
『続いて、新入生総代挨拶。新入生総代、甘粕正彦君お願いします』
講堂に響くアナウンスが言った名前に深雪が反応する。
軽く頭を下げたのを見て達也は声をかける。
「甘粕正彦…、深雪。彼がそうなのか?」
「はい、お兄様」
壇上へと上がる甘粕に達也は視線を向ける。
壇上の中央へ辿り着くとこちら側へと向いたとき視線が合う。
「…!」
達也はある感情に、身体が反応した。その感情は達也にとって絶対に生まれることのない筈だった。
過去に捨てたはず。残っているのは妹に対するものだけのはずなのに。何故ーーーー。
忘却の彼方にあったその感情は『恐怖』だった。
◇
壇上の中央で甘粕はある生徒を見ていた。
律儀にも会釈する深雪の隣にいる男子学生。司波達也。視線が合い、ほんの少し達也の目が揺らいだ。
表情の変化が一切見てとれなかったが確信したことが一つ。
司波達也の感情。
封じられているのか、それとも棄てたか。どちらかは解らないが、甘粕は自分のことの様に哀しんだ。
感情は人が持つ当たり前のもの。人が人足らんとする絶対の条件だと、甘粕は認識している。
一瞬でしかないので彼が感情の無い者とは言い切れはしれないがそれでも、そうなのだと甘粕の直感が告げていた。
どんな経緯があってそうなったのか。理由が前者であれ後者であれ甘粕は達也のことをどうにかしたいと思っていた。
感情を取り戻してほしいとーーー。
その時、甘粕は会場のざわめきが彼の耳に届く。
一向に喋り出さない甘粕に困惑したような視線が集まっていることに気づいた甘粕は一言謝罪し頭を下げる。
少しの間を開け、彼は募った想いを言葉にした。
『先も紹介があったが、人の礼として己自身の口で名乗ろう。新入生総代、甘粕正彦だ。新入生諸君とはこれより三年間、同じ学舎の学徒としてよろしく頼む。
このような場では本来、それに相応しい言葉を語るべきではあるのだろうが、今回この場においては俺自身の言葉を送らせてもらう。
先ずはお前たちに聞きたいことがある。お前達は今の世をどう思う?人工爆発、急激な寒冷化によって引き起こされた食糧難が原因で第二次第三次世界大戦勃発、終結してから三十五年がたった今、魔法が定型化され、法が俺たちを守り、先の大戦で世界人口が三分の一まで減少したことで、食うこと、住むところも不自由なくしていける今の世を、お前達はどう感じている?
六十億と言う犠牲の果て、それを礎に俺達の今がある 。先人たちが遺した技術のお陰で今の生活がある。彼らがいたお陰で俺達は生きている。
その事をお前達は理解しているか?少しでもその事を考えた事があるだろうか?
戦争と言う忌むべきものを経て今の世が在り、その過程を経て、結果として俺達が生きている日本は平和を保っている。
魔法と言う技術が核兵器の抑止力として確立し大戦を終結に導いた事で、お前達魔法師が生まれた。日本だけではなく世界に認知されて新たな力となった。
だが、魔法師が生まれたと言っても総ての人間がそれを使える訳ではない。
魔法師と非魔法師。今の世にはその二種類の人間がいる。言い方を変えれば力を有する者と力を持たない者だ。
力を有する諸君。お前達は力を持たない者らからみれば脅威そのものだ。当たり前だ。たった一人で国すら滅ぼせる戦略級魔法師がこの世にはいる。この日本も例外ではない。
非魔法師の彼らにとって魔法を使えるだけで、脅威の大きさなど関係ない。そこに優劣など存在しない。
それを踏まえた上でお前達に問おう。
何故、お前達はそうまで優劣にこだわる。ブルームとウィードといった差別用語を使い他者を無意味な言葉で貶す?
俺はな、戦争は嫌いだ。嫌悪すら感じる。差別も同じくらい嫌いだ。
だがな同時にこうも思う。
戦争が在るからこそ、差別があるからこそ、人は抗い、輝きを放つことが出来る。
一科生諸君。お前達は確かに優秀なんだろう。胸元を飾る八枚の花弁がその証だ。俺にもそれがある。
だがな。それが一体なんなんだ?これにどれ程の価値が在ると言うんだ?
エリートの証?将来を約束されている?
馬鹿馬鹿しい。下らんよ。吐き気すら覚える。
こんなものごときにお前達は胡座をかき、二科生を格下にみているのかよ。
ふざけるのも大概にしろよ。彼らと俺達のどこにそうだと言えるものが在ると言うんだ?
他者を表面上だけしか見ず認めず、ただ無意味に貶すお前達の方が劣等だと言える。
二科生諸君。お前達は何故、そこまで権利を求める?
エンブレム、個別指導員の有無。差などそれだけだ。施設利用、資料観覧、オンライン授業の受講など一科生同様の権利がお前たちにはあるのにも関わらず。
それだと言うのに権利を同等にしろ?
阿呆かお前達は。これ以上何を同等にしろと言うんだ。それともあれか?特権でも寄越せと言うつもりかよ。
自分のいる環境が気に入らないと言うのなら、先ずは己を変えろよ。周りが変わるのを待つな。
二科生諸君。一科生のいる場所が羨ましいと言うならその高みに駆ける努力をしろ。出来ないのを環境のせいにするな。
それはただの逃げの言い訳にすぎん。お前達の前には壁がある。一科生と言う越えるべき壁がある。そのための努力を怠るな。立ちはだかる壁に乗り越えられないものなど無い。『夢は諦めなければ必ず叶う』。
俺の祖であり、先代の甘粕正彦が遺した言葉だ。俺自身、この言葉を胸にここまで来た。この言葉があったから、俺はここに立っている。
俺自身がその結果の証明だ。
ゆえに二科生諸君。俺は信じている。お前達なら出来ると、乗り越えてくれると。
一科生諸君。お前達はまず、二科生を認めろ。彼らを認めた上で、彼らの壁で在り続けろ。二科生を貶す暇があるのならより高い壁になるべく己を磨け。
今の状況に満足するな。慢心など価値もなければ意味すらない。誇りだと言うのならその意味を間違えるな。
お前達は二科生にとっての並び立つ目標であり、越えるべき壁だ。その事をまず理解しろ。貶すのではなく、焚き付けろ。彼らだけではなく、自分自身にも。
今、俺がそうしているように。
そして最後に、この言葉を贈らせてくれ。
『我も人彼も人、ゆえに対等』
基本である心構えの言葉も先代が遺し、俺が甘粕正彦の名と共に受け継いだものだ。
俺の言った言葉に不満もあるだろう。否定したいだろう。お前達には俺を殴る権利がある。罵詈雑言を浴びせる権利がある。
それでいい。目の前には異なった思考回路を持つ相手がいる。
不満を持つのも分かる。憤慨してもいい。俺はそれを甘んじて受けるつもりでいる。
そして俺の言葉に共感を覚える者が圧倒的に少ないことなど、俺自身がよく理解している。
それでも、俺は言わずにはいられなかった。
お前達の輝きを燻らせたくはなかったんだ。
だからどうか、俺にお前達の輝きを見せてほしい。
長くなったが、これで総代挨拶を終わるとしよう。
新入生総代ーーーー甘粕正彦』
一礼をして壇上を後にする甘粕。
例年とはあまりにも差がある言葉に、誰もが圧倒されていた。
静寂がしばらく続き、式が再開されたのは数分後の事だったーーーーーーーー。
だんかるさんとお嬢登場
甘粕超理論炸裂(不安)
目をつけられたお兄様
どうしよ…この後どうしよう
誰か助けて!