やはり捻くれボッチにはまともな青春ラブコメが存在しない。 作:武田ひんげん
夏休み、リア充どもは暑さなんかお構いなしに海に行ったりプールに行ったりして遊び、そのほかの奴らは細々と暑さに耐えながら家にこもったり塾に行ったりする。夏休みというのは自分の現在の立場がはっきりとする時である。
もちろんボッチでカーストでも最下層にいる俺は、家のリビングでクーラーに当たりながらソファーでダラダラとしていた。もちろん三年生なので受験勉強も忘れていないが。一方の小町は献身的に掃除機を掛けていた。
「おーいお兄ちゃん、そこ邪魔だよどいて」
「…」
「…聞こえてる?ごみいちゃん、一緒に吸い込むよ」
「…」
「…ほんとに吸い込むよ?」
そういうと俺の上に掃除機のヘッドを載せてきた、スイッチはオンで。当然俺の服は掃除機の吸引力によって引っ張られる。
「すいません。いまどきます」
「うむ、よろしい。そういう素直なお兄ちゃん大好きだよ☆ あ、今の小町的にポイント高い♪」
最後のはいらねーだろ。ま、ちょうど良かった。このタイミングで勉強を始めよう。いや、このタイミングしかない。もし今逃せば俺は今日一日中ソファーでゴロゴロするところだった。小町に感謝。
ということで勉強をはじめる。今日は理数系をやろうと思う。…理数て雪ノ下から教えてもらったんだよな。実はあれから一週間に一回くらい理数系の勉強を教えてもらっていた。雪ノ下は教え方が上手くて俺でもこうして自主勉強できるレベルに達している。
そういえば夏休みになってからは雪ノ下と会っていないな。まあ電話番号とかも知らないし、雪ノ下と会うということは俺の貴重な夏休みが短くなるということで…
と、突然ティンコロティンコロと携帯の着信音がなる。
…え?俺の携帯に着信?ありえねーだろ。俺の連絡先を教えた奴なんて小町とかだけだし。…まさか詐欺とか?俺そんないかがわしいサイトとか見たことねーぞ…
着信画面を見てみると、見知らぬ番号からだった。…あ、これ確定ですわ。
俺は無視をすることに決めた。
…ティンコロティンコロ…
…ティンコロティンコロ…
…ティンコロティンコロ…
あれから10分たったが、何回か中断をはさんで何度も掛かってきた。さすがに俺もしびれを切らして電話に出ることにした。
「…もしもし」
「…あ、比企谷くーん、やっとでたー。もぉーどれだけ待たせるのー??」
「…どちら様ですか?」
「えーひどーいー」
正直分かりたくない。てかなんで電話番号知ってんだよ。俺教えたことねーぞ??
「てかなんで俺の電話番号しってんだ?雪ノ下」
「それは、ひ・み・つ♪」
「…」
「あーなんでそんな反応するかなー??」
「…きるぞ?」
「あー、そんなことしていいんだー… どうなっても知らないよー?」
「なんだってんだよ?」
なぜだか含みのあることを言ってきた。コイツの場合なにをしてくるかわからないので一応聞いてみた。
「んーまあそれはあとでわかるよー」
「は?」
「それよりも比企谷くん、今から出てきてくれない?」
「は?いやだ」
「そういうと思ったよー。でも、絶対に出てこないといけなくなるからねー♪」
え?どゆこと?なんだ最後のセリフ、すごい気になるんだけど…
「それじゃ、またあとでねー比企谷くん♪」
プープープー
電話が切れた音が鳴る。…なんなんだ?絶対に出てこないといけない?どゆことだ?
とりあえず、俺はこの出来事でやる気を完璧に失ったのでリビングに降りていった。
リビングに降りると小町が誰かと電話をしていた。こんな時間に誰が電話してくるんだ?
小町は誰かとの電話がおわるとこっちの方を向いて、
「ねえ、お兄ちゃん、今日何があるか知ってる?」
「は?…なんもねーだろ」
「はぁーなにもしらないんだね… 今日はなななんと!お祭りがあるのでーす!」
パチパチと拍手している小町。
「てことで、お兄ちゃん、いくよ!」
「は?やだよ、なんで祭りいかねーといけねーんだ?」
「…だめ?」
やめてーその上目遣い。かわいいから、断れなくなるからー!
「…わかった、いってやるよ」
「わーい、お兄ちゃん大好きっ!あ、今の小町的にポイント高いっ!」
最後のがなければいいんだけどな…
だけどこんな可愛い妹がオネダリしているんだ。お兄ちゃんとして行かないといけねーだろ!
――――――――――――
…結論から言おう。祭りは存在した。それもかなり大きな祭りが。そして今俺は小町と祭りに来ている。小町は浴衣を着てきた。…正直かわいい。水玉が入った浴衣は小町にとてもにあっていた。そして会場に着くと小町が、こっちに来てと誘導してきた。俺はその誘導についていくと、
「ひゃっはろー比企谷くんー!」
「元気か?比企谷」
小町が俺を連れてきた場所には浴衣を着た二人の女性がいた。一人は雪ノ下陽乃、もう一人は平塚先生。
「あの、なんでお二人ともいらっしゃるんですか?」
…なんで?なんでいるんだ?俺は小町に誘われて祭りに来たはずだぞ?俺は小町のために、小町と回るために祭りに来たはずなのに、なんでこの二人がいるんだ?
「私達も祭りを楽しみに来たんだよー♪」
雪ノ下はいつもどおり笑顔を浮かべてそう言ってくる。俺にはその笑顔の裏にとんでもない黒いものが見えてる気がするんですが?気のせいですか?いや、気のせいじゃない。
とゆうかなぜ小町はここに誘導…はっ、まさか…
「おい小町、まさかお前…」
「えっへへへー」
「あまりにも比企谷くんがノリが悪いから妹ちゃんに頼んで連れてきてもらったんだー」
「いや、問題はそこじゃなくて、なんで小町の電話番号を知ってるかだろ。お前と小町に接点なんて…」
そうだ。なんでこいつは小町のことを知っているんだ。そこが最大の問題点だ。
「あのね、実はこの前総武高校のオープンスクールに行った時に知り合ってね、それで雪ノ下先輩が私のところに来てお話しようっていってきてそれからお知り合いになっちゃってー」
うそだろ、小町までお前は手を出すのかよ…
俺の心のよりどころまで蝕んでくるなんて… 一体何考えてるんだ雪ノ下は?
「ね?電話でいってた大変な事になるって意味がわかった?」
「十分にな」
「これにこりたらこれから電話がかかってきたら…わかってるよね?」
どこのヤンキーだよ。なに?俺パしらされたりするの?ボッチだけじゃなくてパシリにもなっちゃうの?
「とにかく、こんなところで立ち話もなんだ、祭りを楽しみにいこうではないか」
平塚先生が切り出してきた。というかなんで先生がここにいるんですかね?
――――――――――――
流石に大きな祭りだけあって人でごった返していた。
「人多いねー」
「そうだな、そこら中にはカップルもイチャコライチャコラ…」
ちょっと平塚先生?なんだか心の声が漏れてますよ?
そういえば平塚先生はまだ独身だと言ってたな。それで一回大泣きしてたなー… 美人でスタイルもいいのにアラサーになって独身とか…へブッ!
「…おい比企谷、なにか失礼なことを考えていなかったか?」
「い、いえなにも…」
平塚先生に腹パンされた… てか心の中読取るとかサイコメトラーかよ。
「う、うわー、人多いねー、何も楽しめないよー」
「そうだな、なんでここに来たんだろうか…」
小町は残念そうにしていたが俺はもっと残念だ。妹が行きたいからと祭りに来たらこの二人までいて、しかも俺の小町に対する愛情まで利用されて… お兄ちゃんの心はボロボロだよ。
と、一際大きな人波がおきた。…やばいやばい、もみくちゃにされる。俺はなんとか安全なところにいたのだが、残りの三人は揉まれてしまっていた。あ、そうだ小町、小町だけでも助けねーと。
と、横にいた小町の手を見つけた。姿までは見え無かったが、よかったまだ何とか助けられる。
とおもって手を引っ張ると、
「いたたー。たすかったー。あれ?比企谷くん、どうしたの?」
雪ノ下の手だった。…あれー?小町の手だった筈なんだけどなー?横にいたのも小町だったし雪ノ下は前を歩いていたはずだったんだけどなー??
と、メールが入る。差出人は小町だった。
「「お兄ちゃん大丈夫ー?小町は大丈夫だよー!とにかくはぐれちゃったから仕方ないから別行動になるねー!お兄ちゃん一人でしばらく頑張ってー!」」
…小町の安否は確認できた。すると雪ノ下が、
「あちゃーはぐれちゃったねー。静ちゃんも無事みたいだし、小町ちゃんは?」
「小町も無事みたいだ」
「そっかー。…仕方ないね、私達で回ろっか!」
「…あ、ああ」
ということで、俺たち2人で祭りを回ることになった。
…小町、早く戻ってきてくれ…
続く
さて、夏休みに入りました。次回はこの続きになります。
ところでちゃんと伝わっているでしょうか?日本語力がないので伝わっていないところがあるかもしれません。
これから頑張っていきます!
すみません浴衣の描写を忘れてましたね。すみません。くわしい描写は次回期待してください!
次回投稿は6月18日の17時です。
評価や感想の方もどんどんください!
これからもよろしくおねがいします。