やはり捻くれボッチにはまともな青春ラブコメが存在しない。 作:武田ひんげん
昼飯をたべながら俺は気になることがあった。
時計をみると11時30分。まだ時間はあるので、この後一体どこに行くのかが気になって聞いてみたら…
「んーとね、映画みにいくよ」
「…はい?」
「まだ時間あるでしょ?それにちょっと見たかった映画があってねー」
しれっと言ってきた。たしかにこの中には映画館入ってるけど、それに映画なら2時間くらいは時間立つけども。
「で、なんの映画みるんだ?」
「それはー、行ってからのおっ楽しみー♪」
「…へいへい」
そういうと、俺と雪ノ下は立ち上がってお会計へと向かった。
二階にある映画館までもちろん横並びで歩いていた。
俺は先に行こうとしたんだがまたしても腕をガッチリとね…。
俺はその最中にちらりと横を歩いている雪ノ下を見た。
…横目だけども。
朝とかは余りにも大変で説明できなかったが、雪ノ下の今日の格好はすごく清楚な感じだ。白のワンピースに明るい黄緑のカーディガン。すごく雪ノ下に似合っていた。
すると、俺の視線に雪ノ下が気づいて、
「なーに盗み見てるのかなー?キモイよっ♪」
キモイをそんなトーンで言われたのは初めてだわ。今までは声は低くテンションは最悪な感じでキモイとは言われてきたけども。…黒歴史思い出してしまった…。
――――――
ようやく映画館に到着したのはいいが、時間がお昼なのにもかかわらず、客、特にカップルが多かった。俺はそれを見た瞬間回れ右をして引き返そうとしたが、またしてもありえない速さで腕をガッチリとホールドされた。
上映時間が迫っていたのでいそいで列にならぶが、その列がカップルで溢れてる溢れてる。それもそのはず、今から見る映画というのは少女マンガが原作の恋愛物。
なのでカップルとかで見に来る奴らが多いのも納得ができる。
しかしぼっちな俺はそんなものに今まで縁も無かったし、見ようともしなかったので今の気分は未知の領域に踏み込んでいるような感じがしている。すごいそわそわする。
「ねえねえ比企谷くん、今の気分は??」
からかうような感じで聞いてきた。それもキョドっている俺を見てニヤニヤしながら。
「最悪だよ、なんでこんな映画見なきゃいけないんだ」
「もう来ちゃったんだからおそいよー。…あ、進み出した。ほらほらいくぞー!」
そういいながら雪ノ下は腕を組んできた。それも今までのようにガッチリホールドではなく、恋人がするようなやさしい感じのやつで。
そして、再びキョドっている俺を見て雪ノ下はニヤニヤ笑っていた。
――――――
「えーと、この辺の席かなー」
俺達の席は、前から見ても後ろから見てもど真ん中の席だった。
――――――俺陽――――――
横並びだけ図で説明。
「事前にとっておいてよかったー。最高のポジションねー♪」
「なあ、かえりたいんだ―――」
「さぁ、気合を入れて映画をみよう!」
無視ですか… でもヤバイってここの席は。めっちゃ目立つし、ボッチにとっては公開処刑みたいなものだって…
俺たちが座ってから5分後くらいに映画が始まった。といっても最初の方は劇場内の注意事項とか、ほかの映画の宣伝とかだけど。
あれ長いよなー。本編始まるまで10分くらい余裕でとるよな。測ったことないから正式にはわかんないけど。
と、ようやく本編が始まった。
――――――
「おい、まてよ!」
「なによ?あんたなんで――――――」
……。正直きついなー。俺はあんまりこの手の映画を見ないので正直つらい。というかこんなのありえねーだろ。現実的じゃない。なんだよ、むっちゃこいつら青春してるし、運がいいし、ラッキーだし、イケメンだし…
おおっといけねいけね愚痴が。と、となりをちらりとみると…
「スー…」
…なんで寝てんだよ。お前が誘ってきたんだろうが。
しかもめっちゃ気持ちよさそうに寝てるし。
…てか、こうやってみると雪ノ下はやっぱり美人だな。きっと今までこの容姿とあの表の性格で世の男や、人々をトリコにしてきたんだろうなー。いや、トリコというか支配かな?
セミロングの髪の毛は良い匂いを発していて…ていかん!変態になっていた!
と、気づけば雪ノ下は起きていた。
……えーと、やばくない?
雪ノ下はジト目をしていた。
「比企谷くん、なーにこっちをジロジロみてるのかな?」
「え、えーと…」
「しかも髪の毛の匂いかごうとしていたよね?」
そこまでばれてたのかー。やばいってこのままだとまた俺の黒歴史に一つ追加されちゃうよぉー…
「何かいい訳は?」
「…ありません」
雪ノ下は一転ニコッと笑っていってきた。俺はその笑みを見た瞬間に寒気がしてきて怖かったので正直に言った。笑顔って時として凶器になるよな。
「うむ、正直はよろしい。てかさ、比企谷くん」
「ん?」
そういうと、雪ノ下はニヤニヤしながら、
「私の顔ずっとみてたけど、どんなこと考えてたのかな??」
「え??な、なにいってんだ?」
「私わかってるよー、比企谷くんの視線ずっと感じてたんだもん」
わりかし最初の方から起きとったんかい。あーまた黒歴史が増えていく…
「ねえねえー、黙ってないでほら、いっていって!」
「え、あ、えーと」
雪ノ下は急かしてくる。好奇心旺盛な感じの笑顔でいってくる。
「…その、か、かわいいって、…お、おもってた…」
…うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!と心の中で叫んだ。…死にたい!なんて恥ずかしいことなんだ。また黒歴史いきやぁーー!
またニヤニヤと笑顔を浮かべているだろうと、ちらりと雪ノ下を見ると、暗くて良く見えないが、少し顔が赤くなっている…気がした。
「え?そ、そう?…ふ、ふーん…」
え?なんかちがうくね?この感じは…
「あ、比企谷くんまたキョドってるー!ほんとに見てて面白いなー」
すると表情をくるりと変えてそう言ってきた。すぐ表情とか変えれるよなー。
はっ!そこで俺は気づく。こんなやりとりど真ん中でしてたらめっちゃ目立つじゃん!
と思って周りを振り返ったら、俺らのことなんか気にしていなかった。
それどころかイチャイチャしたりしているカップルがたくさんいた。…みんな何してんだよ。
すると映画がいつの間にエンディングに達していた。席をチラチラ立つ人々が増えていた。俺たちも席を立って退出することにした。
――――――
映画館を出た俺たちは外のベンチで少しゆっくりしていた。…疲れた。正直な感想。映画かんであんな恥ずかしいことになるなんて…。
「いやー楽しかったねー!満足満足」
「疲れた」
「そんなおじさんみたいなこと言わないのー!」
チラリと時計をみると3時を回っていた。
すると雪の下も時計を見ながら
「あ、そろそろ別の予定の時間だ。じゃ、ひきがやくん、この辺でお開きしよっか」
「わかった」
そういうと雪ノ下は立ち去っていこうとする。と、俺はここでふと思い出したことがあった。
「おい雪の下!」
「なーに?」
雪ノ下は振り返った。その顔はいつもの仮面をかぶったものではなかった。
「その、あ、ありがとな。勉強教えてもらって。おかげでテスト助かったわ」
「ん?いやいや全然きにしてないよ。比企谷くんも飲み込み早かったから私も楽しかったし!じゃ、また来週ね比企谷くん」
「おう」
いつものように笑いながら言っていたが、その笑顔は今まで見たことない、すこし暖かい笑顔のような…気がした。
俺はなんだかよくわからないけど、心の中で雪ノ下陽乃という存在が徐々に大きくなっていっているような…気がしていた。
続く
日本語力ないなー自分…
自分的には甘くしたのですが皆様はどうだったでしょうか?
それと映画の席のところで説明不足かもしれません。すみません。
さて一週間が終わりましたね。休日だー!
次回投稿は日曜日の17時投稿します。
感想等お待ちしております。