やはり捻くれボッチにはまともな青春ラブコメが存在しない。 作:武田ひんげん
よし、復習終わりっと。
明日に迫った入試本番に向けて、暗記科目の復習を寝る前に終えた。暗記系の科目は寝る前にやるのが効果的。
よし、もう寝よう。目覚ましもセットした。
俺は緊張もあってなかなか寝付けなかったけど、気がつけば寝ていた。
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ピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピッ
「ん…」
うるさい携帯のアラームを止めて、時間を確認したら、よしおっけ、9時だ。ふあーあー…目覚まさねーと。
俺は朝食を取るためにレストランに行こうと扉を開けたら、ちょうど陽乃がたっていた。
「あ、おはよう八幡」
「おう」
「レストランでしょ?いこうよ」
「おう」
まだ朝早いので二人共テンションは低かった。俺に至ってはまだ、おう、しか言葉にしてなかった。
下の階にあるレストランに行くと、何人かの人々が朝食を食べていた。
俺はホットコーヒーとロールパンを取って二人がけテーブルに座った。もちろん、砂糖ミルクシロップの3点セットも付けて。
俺が3点セットをコーヒーにまんべんなく掛けていると、
「相変わらず甘そうなコーヒーね」
「八幡特製超甘甘コーヒーだ。飲むか?」
「遠慮しとくわ」
若干引きながらテーブルを挟んで向かいに座った。陽乃の朝食はコーヒーにロールパン。同じやないかい。
しかし、ゴクゴクと飲む甘いコーヒーは最高やー。落ち着くわー。
「あ、八幡」
「なんだ?」
「ちゃんと復習できた?」
「おう、バッチリだ。お前は?」
「私も大丈夫よ。今日は頑張ろっね!」
「おう」
「なによー、テンション低いぞー。もっとあげていこ!」
「いや、上げれないからマジで」
陽乃はプレッシャーを上手く変換できているようだ。さすが陽乃、場数が違う。俺なんか甘いコーヒーを飲んで今は落ち着いてるけど、結構緊張してるんだよな。陽乃の対処の仕方は勉強になるよ。
俺達は朝食を済ませると、部屋に戻って最終確認をしていた。
「よし、筆記用具、ノート持った。あ、お守りも、それから…おっと、受験票も持ったな。よし、いこう」
手荷物をしっかり確認して、部屋を出た。
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デカイな。
大学についての第一印象だった。ヨーロッパ風の外観で、何より広い。そして綺麗。
パンフレットとかで見てたけど、実物を見るとやっぱり迫力あるな。ごクリ…
「大丈夫よ、緊張しないで」
「あ、ああ」
カチカチになりかけたところで、陽乃が俺の肩をもって声をかけてくれて嬉しかった。さすがだな。
俺達はキャンパス内へとはいっていった。
「ここら辺のはずだけど…あ、あれっぽい。人が結構いる」
「あれっぽいな」
キャンパスの一角に人が集まっているところがあったので俺達も近づいていくと、黒人や俺達と同じアジア系の人とかがいたからおそらくここであっているはずだ。
あ、看板がある。…看板には留学生の入試会場入口と書いてあった。
「ついたねー」
「あ、ああ」
しかし人が多いな。やっぱ有名大学だから留学枠も多いんだろうな。
俺達は開始時刻の1時間前には到着したんだけど、結構人はいた。
…。
俺達が待っているあいだにもどんどん人が集まってきた。まあざっと100人ほどかな?
周りには友達同士でだべってる奴、ノートとかを見てる奴、じっと緊張した面持ちで立っている奴など様々だった。
俺達は、緊張した面持ちでたっていた。だって日本人だもの。
しばらく待っていると、案内の人がでてきた。
「留学生試験会場はこちらです」
――――――――――――
いよいよ会場に入った。
俺と陽乃は学科が違うので試験会場も違う。
俺の学科にはそんなに人はいなかった。ざっと10人くらいかな?
たしか陽乃の学科が人気だったからそっちの方に集中してるんだろう。
「今から君達にはこのテストをしてもらう。よく考え、諦めないように」
前で試験監督が受験生の意欲を高めるようなコメントを残して問題用紙が配られた。
そして俺の元にも問題用紙がやってきた。…いよいよか。
「では、はじめ」
一斉に問題用紙に書き込み始めた。
カリカリカリカリ
ペンと消しゴムの音しか聞こえない教室内。
俺も必死に問題を解いている。
とにかく焦らず、やれる問題からしっかりやって、そしてしっかり問題文を読んで…。
えーと、何?
問題1、イギリス国内は3つの国が集まって出来た国です。さて、その3つの国の名前はなんでしょう?
これはたしか、
解答欄、イングランド、ウェールズ、スコットランド
まあこれは簡単だな。さて、次は、
問題2、加盟国がイングランドとウェールズのサッカートップリーグの名前は?
あ、これもしってるぞ
解答欄、バークレイズプレミアリーグ
どうだ、スポンサーまでいれたぞ。
さて次は、
問題3、イギリスの主要産業は?
えーと、これはたしか――――――
キーンコーンカーンコーン
ふう、終わった。あと2教科か。
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キーンコーンカーンコーン
終わったー。全部終わったー。時間飛んでんじゃね?なんて声気にしなーい。
俺は軽く伸びをして、教室から出ていくことにした。周りの奴らもほっとした表情をしていた。まあ、緊張感から開放はされたからな。
俺は試験が終わったら陽乃と待ち合わせをしているから、その待ち合わせ場所に向かった。
「八幡、お疲れ様ー」
「おう」
「どうだった?」
「まあ、自信はあるな」
「それならよかったよー」
「お前は?」
「私も完璧よ」
自信に満ち溢れた表情を浮かべていたから心配はいらないだろう。あんなにしてて逆にダメだったらおかしい、ってくらいには出来たからな。
「じゃ、日本に帰ろっか 」
「そうだな」
あとは日本に帰って結果を待つだけだ。
どうか受かってますように…。
続く
次回投稿は8月23日19時頃です。